55.個人戦は2回目のミニゲームとともに
案の定、A組の〔ミニゲーム〕は瞬く間に終わった。
2回戦に進出したのは20人。
工藤 颯太はもちろん、【スーパーパラサイト】の陰キャや、〔トライアスロン〕で審判をしていた花坂 六芝もいる。
今の三人、地味に強そうな【特技】を持っている。
警戒は十分にすべきだろう。
A組が退場して、司会が再び叫び始める。
「Aぇぇぇ組が終わったなぁらああぁぁぁ!次はぁ!!B組いいぃぃぃぃ!!!!」
「「「「「「イエェェェェェ!!!!」」」」」」
体育祭は個人戦になっても大盛況。
いや、個人戦だからこそ盛り上がっているのか?
少なくとも、教師長たちは便利そうな【特技】の片鱗を少なからず発見してホクホク顔だろうな。
さて、B組で、僕と面識のある数少ない人間は、秋元 二色、鵜島 堀那、黒金 練治だ。
このクラスの【特待生】は鵜島 堀那だともはや分かってはいるが、奴の【特技】はまだわからない。
【原初の言霊】に似た、言語に関する【特技】。
【特待生】の【特技】なのだから、【原初】を超えた称号無しと呼ばれる最強の【特技】の一種である可能性も高い。
使っていたところを見るに、少なくとも爆破はしていた。
案外、爆薬の着眼点でも合ってるかもしれないが…。
どちらにせよ、この〔ミニゲーム〕で使うことは無さそうだ。
現時点の〔ミニゲーム〕で、B組内で確実に勝ち残ってくるという確信があるのはただ一人、秋元 二色だけだ。
彼女の【特技】、推定【未来視の加護】かな?
未来によるとアレは、自身の行動で変化する可能性が存在する未来を観測して、どの未来が最適か、その未来に行くには自身がどう動くべきかを先に知ることができる。
未来が言うには、それに対抗できるのは僕の【ラプラスの悪魔】だけらしく。
僕が【ラプラスの悪魔】を使うと、まず二色が未来を見て行動を変えた結果が、二色には見えるようになる。
次に、その未来を見ている二色は、一つの事象に対していくつもの行動パターンの内の一つを選ぶわけだが、【ラプラスの悪魔】を使うと、彼女がどの行動を取るのかを予測できる。
その結果、彼女の【特技】には、未来を見て行動を変えた結果に加えて、『未来を見て行動を変えた自分』に対して僕がどう動くのかの可能性も全て見えてしまう。
そのイタチごっこにより、彼女に見える未来の量は【ラプラスの悪魔】が関与するだけで倍々増しに増えていき、当然その情報量に脳が悲鳴をあげ、【特技】の自動防衛本能で【未来視の加護】がシャットダウンされるのだとか。
それを脳内で計算して【未来視】への対抗策として思いつく未来の発想力には、正直脱帽だ。
「つまり、二色の勝敗の運命は俺が握ってるってことか…」
「悪用するんじゃないわよ」
普通に未来に突き飛ばされて釘を刺された。
そ、そんな悪用とか、そんなことするわけないじゃ無いですかぁ〜。
【特技】の使えない女の子に対して……グフ、グフフフフ。
冗談はさて置き、僕の【ラプラスの悪魔】だっていつまでも使えるわけじゃ無い。
〔トライアスロン〕で使いすぎて、今日使えるかどうか危なかったほどだ。
あんな長い時間使い続けるのは命にも関わる、白髪も数本増えた気がするし。
もう絶対にやりたくは無いな。
まぁ、そういうことだから今の二色は【特技】使い放題なわけだ。
〔ミニゲーム〕は大抵が思考や駆け引き、度胸を競うものだ。
そんなゲームで未来が見えるのは必勝と言える。
対戦ゲームが発表される。
二色は……、クラスの女友達と、野球盤、か?
野球盤か、野球盤かぁ……。
少なくとも、僕の番に来なくてよかった。
記憶喪失だからかは知らないが、野球盤とかテレビの中でしか見たことない。
僕が当たったら確実に負けるところだった。
いや、純也にやる気を出させるにはいい機会か?
まぁ、僕に野球盤が当たることは無くなったことは確かだ。
そして、黒金 練治はクラスメイトと〔コイントス〕、鵜島 堀那は陰キャ男子と〔山手線ゲーム〕だった。
練治の〔コイントス〕は、コインが金属製だろうから、【特技】で操ることができるだろう。
奴の【特技】はまだ定かじゃ無いが、金属を操ることは確かだ。
コインが金属ならやつの勝ちは確実だ。
堀那と陰キャの〔山手線ゲーム〕は正直どう転ぶかはわからない。
一応予想は立てて置いてはいるが、それをどう上回ってくるか………。
『E組、個人戦出場選手は、控え室に移動してください』
「よっしゃぁ〜そろそろ行くかぁ〜」
「今日は勉強しながらなら良い。テストやべぇんだよ」
「体育祭でまで勉強とか、受験生の鏡だな」
控室移動か……。
CD組の注意人物を確認できなかったな。
第二試合、全クラスの代表20名から、直感で探して戦っていく感じになるだろう。
……そういえば、俺の〔ミニゲーム〕の相手、【必勝の運否天賦】だったよな。
………俺、まともに〔ミニゲーム〕できるのかな………。




