52.個人戦はペアと共に
とても遅くなりました!
新作を書いたり、現実が忙しかったりでいつ投稿したからを忘れていました。
こんな人間ですが、これからも応援よろしくお願いします。
彼、黒金 練治は奇妙な男だ。
出生地不明、練治を産んで早い段階で両親が死亡、その後裏の暴力団関係に拾われて育ち、6歳にして初めての殺人を行った。
その後は暴力団関係の殺しの仕事を何度も行い、15歳になりこの高校に入学した。
現時点で判明している人となりは、供述する人間によって異なっている。
「明るく快活、先頭に立って導いていく人間」
「暗いくせに出しゃばり、大コケしてイライラしながら去っていく迷惑な人間」
「表情が変わらず、何を考えているのかわからない人間」
いずれも信憑性に欠け、真偽は不明だ。
しかし、特別協力者によると、答えは一貫してこうだ。
「周囲に合わせる能力が異常なほどに高い人間」だそうだ。
周囲の人間がこうだから、自分もこうする。
同じチームのみんなはこうするから、自分もこうする。
そういった周囲へ溶け込むチカラが、高すぎた。
そう考えてくると、彼の行動にも辻褄の合うところが見つかってくる。
しかし、まだ不確定で曖昧なところもあり観察は必須。
君はこれからも、新たな発見があれば逐一報告するように。
追伸。
もし体育祭を掻き乱したいのであれば、最近話題のあの男、神咲 帝を真似るか、利用してみるといい。
あの男は、我々教師長が目をかけた作品だ。
彼のする行動は必ずどこかで決定打になりうるだろう。
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「もうそろそろ最初の競技か?」
「あぁ、個人戦って言っても、最初は事前に組んだ二人ペアで人数を半分まで減らすんだ」
「………ねぇ、僕のペ」
「アンタのペアはもちろん俺だよ?帝。国満とかがよかったか?」
「男の嫉妬かよ。きんもちわりぃ〜」
「よし、そこに正座しろ。今日こそその本音引き摺り出してやる」
あ、ああぁ。
ペアの純也くんお怒りだよ……。
「わかったわかった。煽ったことは謝るから」
「逆に煽ったこと以外はどう思ってるんだ?」
「…………まぁ、仕方ない。そっちにも非はあるんじゃないかなと思ってます」
「正直だなぁよし○す」
「ゆるしてちょ!!」
これ以上純也をおちょくるのはさすがに危険だからやめておくか。
どれだけ屈強な戦士でもお母さんや妻の拳は怖いもの。
実際、今の純也にはそれ系の危険を感じている。
「そういや、その国満とかは誰とペア組んでるんだ?」
「国満は、特例で出場を許可された夏樹だよ。あと、春太は模武君と、菜々や未来もそれぞれ仲のいい女子達と組んでるんじゃ無いかな〜?」
春太の犠牲になった模武君………可哀想に………。
安心しろよ、骨は拾ってやるからな………。
「で?あの二人以外の【特待生】は?今の所目処はついたか?」
「まだ始まったばっかりだろうが。ついてるわけないだろ」
「だろうな」
とは言いつつも、かなり絞れるところまでは来ている。
自由参加と聞いて焦りもしたが、【特待生】は参加した方がメリットは大きい。
今、《創名高校》のネット上には『【特待生】を探しても意味がない』という陰謀論めいた噂が立っている。
もちろん、流したのは未来だ。
俺のスマホは何故かハッキングされてどんなにアドレスを変えても情報が筒抜けだからな。
秘匿性を高めるには一番SNSに慣れている未来が一番いいと思ったが……。
「まさかアイツ、一番影響力のある本アカでやるとは……。肝が座ってるっていうかなんというか………」
彼女の交友関係は、この高校のほとんど全員と接点ができるほど行き渡っている。
そのため、本アカでこんなことを書き込めば、ものの数分で生徒全員が知ることとなっただろう。
もちろん、《教師長》たちも。
そして、これで反応してくる奴らは、『この情報は【特待生】にしか渡っていない』ということを知っている【特待生】5人のみ。
その情報を未来が流したということは、『未来』か、それとも『未来に近しい誰か』が【特待生】である事は明るみに出たのだ。
そこで疑われる人間の中に、多分僕は含まれている。
これから、未来の周囲では激しい腹の探り合いが始まるだろう。
いいか、これは僕からの挑戦状、および宣戦布告だ。
この誘いを受けるも受けないも、個人の判断。
【特待生】を一網打尽にできるチャンスでもあれば、【特待生】の正体を明かすリスクも伴う、最高の賭け。
【特待生】がその賭けに参加するか、しないか。
この際どちらでもいい。
だが、彼らには未来が体育祭の個人戦に参加することで、彼女の周囲から情報を得ようとするだろう。
僕はそこを見越して、観客一人一人に注意を払って個人戦を勝ち抜いていくのだ。
これについて、ほとんどの【特待生】は気づいているだろう。
しかし、乗る奴は乗るし、乗らない奴は乗らない。
これで情報のない【特待生】が釣れたら万々歳、もうほとんど判明している【特待生】二人についてわかっても儲け物だ。
今の所、情報操作においてでは僕に勝っている奴はいないだろう。
後の二人の【特待生】の力がそこ知れない分厳しいが………。
「………どちらにせよ、最後に勝つのが僕であれば、どんな手を使っても、それでいい」
もう一度信念を口にして、純也と共に個人戦の競技場所へと入っていった。




