表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
52/67

42.未来は彼によって









 E組の競技は、100m走の次はハードルだ。


 ハードルは未来(みき)が出場する。




 他の競技とは違い100m走はすぐに終わる競技だ。



 タイム的にはぶっちぎりで、第二走者へとバトンが渡される。







「頼んだ!」


「頼まれた!」



 ちょっとおちゃらけた雰囲気を出しながら、未来は走り出す。



 もちろん、だからと言って本気を出していないわけではない。






 しっかりとトップスピードを出して、走り込み、勢いよくハードルを飛び越えていく。



 中学の頃に陸上をやっていたのかと思うほどの美しい走りに加え、他の走者が【特技】を使っているのに対し、全く【特技】を使っている様子が見られないところがあり、一際違いが浮き彫りになっていく。





 不正さえなければ、かなりの得点は貰えていただろう。




 他のクラスの第二走者も続々と走り始めた。





 二色はB組の第二走者だ。


 種目は借り物競走らしい。





 ちなみに補足するが、観客席は会場の上だ。


 野球場やコロシアムなどと同じように、選手がジャンプしても届かない場所に観客が入っている。




 だが、彼女の場合は未来を予見済み。




 引く前から何を借りればいいのかを理解しているし、体育祭が始まる前から用意もしている。





 そのため、同じクラスのクラスメイトに、用意してもらったものを投げてもらえれば、借り物競走は高得点で終われる。



 まぁ審判は正当な点数を付けないからあまり関係は無い。






 そのため、ちょっとした興味で二色は未来と並んで走っていた。



「……ねぇ、なんであなたは逆原やみっくんと一緒にいるの?」


「そのみっくんって奴とは好き『あ゛ぁ゛ぁ?』で一緒にいるわけじゃないよ」





 未来の『好き』というセリフに過剰に反応してしまった二色だが、深呼吸して話を元に戻す。




「でも、菜々ちゃんは違う。あの子は一緒にいると()()()()気がする。良い方にも、悪い方にもね」




「へぇ……、つまり、面白そうだから一緒にいるってこも?」



「そうとも言う……ねっ!!」





 未来は元々早かったギアを更に上げて二色を振り切り、段々と第三走者へと近づいていく。







 E組の第三走者は穂村、競技は水泳。



 だが、水着は着ていなかった。






「ちょ、穂村!?なんで水着着てないの!?」



「だってぇ、彼氏以外が見てくるのってぇ、恥ずかしいからぁ………」





「そんなこと言ってらんないでしょぉ!」







 そう言いつつも走るのを止めることはできず、バトンは未来から穂村に渡される。



「失格とかは勘弁してよ!!」



「ルールに、元々の競技のルールに沿わなければ失格とは書いてなかったわぁ。なら、本当は反則でも、この〔トライアスロン〕なら【特技】でめちゃくちゃやっても文句は言われないはずよ………!」






 かなりの暴論だが、その通り。


 明確な失格の定義が説明されていないのは、学校の落ち度。



 ならば、別に反則級のズルをしようとも、明確なルールが決まっていないのが悪い。




 それに、この競技は審査員が絶対だ。




 審査員一人が『有り』だと言えば、その行為は『有り』だ。







 何が言いたいのかというと、好き勝手やっちゃおうって話だ!!







 水泳の水槽に飛び込む直前の一歩。




 腹にチカラを込めて、両腕からチカラを発散する。


 彼女の【特技】は、炎を発生させる。




 その炎は原初級。


 火力、周囲の炎さえも全て自身の手中。







 その炎が、水槽の水に向かって、一直線に放たれる。





「蒸発しなさぁい、【原初の】────……」








 水槽に向かっていった炎が、水と触れ合い、一瞬にして炎のみが残った。





「────【(えん)】!!!」



パリイイイィィィィ!!!






 その宣言の瞬間、水槽の水は一気に全て蒸発し、一気に膨れ上がった水蒸気によって水槽は破壊された。

















◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇








 B組の第三走者にバトンを渡し、二色はレーンのそばに倒れ伏した。




 そして、よろよろと立ち上がり、未来へ近づいて言った。




「あなたに言ったらややこしくなるだろうけど、未来(みらい)は私達の方を味方してる。あなた達E組は私たちに負けて、みっくんは私のクラスに来る」




「あちゃー、なら負けといた方が良かったかな。でも残念、ウチらは勝つよ」






「そんな未来はない!志動 夏樹が審判に入った時点で、あなたたちの負けはほとんど確定………」









「それは、そういう未来が見えたから、ってだけでしょ?」



「!?!?、それ、どこで知ったの………?」







「いやぁ、わかっちゃうんだよね、色々とさ」





 そう言いながら手を目にあてる。


「未来のことを話す時、普通の人なら、予測的だから嘘か本当か曖昧になって伝わってくるのに、アンタが未来について話す時は、見てきたかのように話をするからね」





「そこまでわかってるなら、なぜ負けを認めないの?」




「認めてないんじゃないでしょ。まだ負けてないから、負けないように頑張ってんの」




 きっぱりと、未来はそう言い放った。








 意味がわからない、と思っている。


 数ヶ月間この【特技】と付き合ってきたが、そう何度も外すことはなかった。




 それこそ、みっくんが手を出した時以外の未来は変わったことが無い……………!?









「まさか、みっくん………」




「ホントに癪だけど、あなたの【特技】、推定……【未来視】、【未来視の加護】、【原初の未来】?なんでもいいけど、未来を視るその【特技】に対抗できるのは、特別な目を持った彼だけなのよ」





「嘘……みっくんが、私と敵対するような行動を取るような未来なんて…………見たくない!!」









 二色は頭を抱えながらわなわなと震えている。




「うそ、うそぉっ!わた、わたひの、み、みっ……くん………」






 現実を見たくない。



 自身の理想を抱いたまま変化から目を背けている。





 今まで、自分は苦しい思いをしてきたはずだ。



 少しは報われてもいいはずだ。



 最近、ようやく人生が上手くいっていたと思っていたのに!!!





 なぜ、上手くいったものを全て掻っ攫っていくかのように!!!




 理想を壊されなければ行けないの!?!?













 もう終わりなの!?


 ようやく回ってきたツキを、こんなに早く手放さなきゃいけないの!?






 いやだ!いやだいやだ!!!












「よくも、私の、私だけの、未来、を………っ!!!」














 目を背けていたところから、最初の完走者が出たことを告げるファンファーレが鳴り響いた。













うらめもっ!

「【特技】錠剤とよばれる【特技】を発現させる錠剤は、『今までの経験や自身の強い想い』が基となっている細胞の活性化により体が変異し、それに適応することで【特技】が発生するつくりとなっている」





評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ