41.考察は陰謀と共に
やばいやばいやばいやばいやばばばばばばば………
何この状況!?意味わからんのだが!?
停学宣言をくらい、このままだと高等教育を受けることができないと思い自宅に連絡、リモートで専属家庭教師を雇って死に物狂いで勉強していたと言うのに………。
なぜ俺は今、審査員席に座らされて体育祭の採点をしなければならないのか!?
E組代表審査員である志動 夏樹は、動揺していた。
まずまず、今日が体育祭だと言うことすら知らない彼は、審査員に向いた人間ではなかった。
そんな彼が審査員に選ばれたのは、他クラスの影響である。
これまでで、この学校で停学や退学の処分を受けた人間は他にいない。
そこに目をつけた他クラスは、教師、または教師長に説得を始めた。
その他クラスからの説得により『E組の審査員は停学者が行った方が行事が盛り上がる』と言う理由で審査員が決められたそうだ。
そのせいで、『クラスから一人審査員を出す』と言う条件は、E組の生徒はおろか、担任の先生まで知らないという、デメリットが大きい状況にE組は置かれる。
なんの事情も知らない審査員と、他クラスの『自身のクラスにのみ得点を与えよう』という思惑を持った審査員。
この違いは、かなりの差を生む。
審査員のみで決まってしまうこの競技は、審査員がどれほど自クラスに協力的かで決まる。
たぶん、E組の審査員を夏樹にしたのは秋元 二色。
彼女と2回会って、わかったことがある。
彼女と一緒にいる場合、《ラプラスの悪魔》が使用不可になる。
何故か、未来が定まらないからだ。
未定の未来、なんて見たことも無いし、あるはずも無い。
未定が成り立つのは、不確定要素が含まれる場合のみ……。
そしてその不確定要素こそが、あの二色だ。
きっと、未来を改変できる【特技】か、《ラプラスの悪魔》と同系統の【特技】なのだろう。
それならば、審査員を夏樹にした犯人と紐付ければ、何故菜々に対して喧嘩を吹っかけたのかわかる。
【特技】で菜々に勝負を仕掛けられることを知り、二色のクラスが夏樹をE組の審査員になるよう推薦することで、帝をかけた勝負を勝利するつもりだったのだろう。
『たった一人の女子のためにクラスで教師に説得しに行くか?』とも思えるが、体育祭の一競技で勝てるなら対価は相当だし、まぁ足りない部分はメンヘラ(?)きっての愛のチカラだろう。
ともかく、僕が感じることは一つ。
嵌められたわけだ。
【未来を知る特技(仮)】など、知らなければ対策のしようがない、いわば初見殺しの【特技】だ。
《ラプラスの悪魔》は使うと相当な苦痛と精神力が消耗されるし、理解するのにかなりの時間がかかるから、読める未来も範囲が狭い。
そんな中、【特技】で同じことをノーリスクでされれば、流石の僕でも対処できない。
しかし何故、彼女は〔トライアスロン〕という名のただの陸上競技リレーに出る必要があったのか。
体力テストですれ違った時や、一時期春太に脅されていたことを考えると、そこまで体育系は得意ではないはずだ。
菜々と帝を賭けて勝負すると言う名目を作るためもあるだろうが、何か勝算があると言うのか……?
イマイチ見えてこない、B組のやりたいことが………。
練治の目的、堀那の正体、二色の【特技】。
他にも、A組の挙動がゾンビみたいになっている謎、C組に眠っている脅威、D組にいる心汰。
この体育祭は、この高校生活での転期となるだろう。
確信めいた予感が、漠然と頭の中にポツンと存在していた。
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運命の女神。
ここ最近は、そんなものに恵まれていると思っている。
山岸 春太は大人しくなり、運命の相手であるみっくんと出会い、【未来視の加護】という強力な【特技】を授かり、体育祭で勝てばみっくんを好きに出来る。
これほど運に恵まれて良いものか。
【未来視の加護】さえあれば、審査員での得点を先読みすることは可能だ。
ならば、最良の点数をとれる競技、それで最良の行動を『視て』判断する。
勝率を少しでも上げる………。
それに、E組に味方する審査員はほとんどいない。
会長である逆原を支援するように生徒会がE組に点を入れるだろうが、得点源はそこのみ。
ただ、私の【未来視】にも無かった『生徒会長の介入』。
そして、多分みっくんの影響である『【未来視】の打ち消し』。
これだけが気がかりだ。
【未来視】が打ち消された今、私は現時点での最良の選択はわからない。
わかるのは、打ち消される前に見た最良。
『生徒会の介入』と言う予想外により、最良の結果はきっと変わった。
ここで、私は悟ればよかったのだ。
この時点で勝敗は決しているのだと。




