38.決戦は次の種目に
金曜投稿目指して頑張った結果です。
金曜主軸で投稿目指していきます……。
「あの〜、二色さん?」
「………」
「……二色?」
「なに!?みっくん!!」
「腕……放してもらえるかな?」
この運命を感じる少女こと、秋元 二色は相当、帝にご執心のようだ。
腕に抱きついて離れようとしないところは可愛げがあるが、それを離すまいと抱き寄せるチカラはまさしく万力のごとく。
もはやいつ腕がもげてもおかしくないかもしれない。
「あのー、二色?後もうちょっとで出場種目の3種目めになるだろ?行ってきたらどうだ?」
「じゃあみっくんも一緒に行こ?」
「ごめんね〜、ルール上、僕出場者側の出入り口入れないんだ〜」
「私たちの愛はルールなんてもので話される程度のものだと思ってるの?」
「あーうんそうだね。でもルールを破って学校を退学になるのも嫌でしょ?」
「みっくんと一緒なら別に……♡」
「…………」
「それにぃ、どうしてもルール破りたくないんだったら私が出場しなきゃ良いんだし♡」
「…………………………………………………………………」
このヤンデレ……離れない!!
「と、とりあえず僕は観客席行くから一回離れるな」
「あっ!あぁ!」
頭をぐっと押して離そうとしてもなかなか離れない。
どうしたもんか、これもう何言ってもなんやかんやで僕から離れなさそうだ………。
もうちょっと加減しながらも、チカラの出力を出して………。
「きゃっ!!」
あ、やべ!!
ちょっと加減ミスって倒しちゃった!!!
「大丈b───……」
「……おーい!帝!生徒会の仕事を頼みたい、ん、だ………が……………………」
………一番見られてはいけないとこを、一番見られちゃいけない人に、見られてしまった気がする。
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「おい、その状況はどういうことだ?帝」
「さっき倒れてたから手を引いてあげたんだけど、僕が不器用なせいで手を離しちゃった。それだけだから、マジで」
「………ふーん」
あー、なんというかもう全く信じてないな。
『へー、そんな言い訳通じると?』みたいな顔してらっしゃる。
「未来?帝は嘘をついてる?」
そう言うと、菜々の後ろから、さも当然のごとく未来が出てきた。
「んー?えっとね〜?」
「いや待て!なんでさらっと菜々の後ろから未来が出てくるんだ!」
「あ、光榴くんじゃん。おひさ〜」
「………ナンノコトカ、ワカラナィナ〜」
くっそだから会いたくなかったんだ!!
『そんなすぐ変わってくれるなよ?嫌いだとしても、少しぐらいは取り繕ってもらわないと』
『帝……。はぁ、コイツに嘘つくの疲れるんだよ…………』
心の中で頭の中の帝と一緒に頭を抱えていると、なんと二色が動き出した。
「ねぇねぇ逆原さん?みっくんとどういう関係なのかな?」
「みっくん………?なにを言っているのかあまり理解できないのだが、帝で合っているか?」
「それ以外のなんだって言うの?私のみっくんに気安く話しかけるとか、誰の許しがあってやってるの?」
二色は菜々に掴みかからんばかりの勢いで菜々に迫り、これ以上こちらに来させまいと押し返している。
正直、生徒会の書類仕事も、二色に絡まれるのも勘弁だから、この間に逃げるのが得策だ。
なんだけど………。
「まさか逃げるなんてないよね〜、光榴くん?」
「この第六感女ぁ……っ!!」
あまりにも不機嫌になった上代 光榴はかなり口が悪くなっている。
「で、なんだ?みっくん?帝のことか?」
「みっくんはみっくんでしょ。勝手に私のみっくんに喋りかけないでくれる?」
「彼は彼のものだ。一体何を言っているんだ?」
菜々の思考と二色の思考が噛み合わない。
双方泥沼状態で進展が無かったが………。
『次の種目の出場者、逆原 菜々さん、宇賀田 未来さん、秋元 二色さん、会場に集合してください!!』
「あら、呼び出されてしまったようね。同じ種目のようだし、そこで決めましょうか?」
「へ〜、別に良いですよ?みっくんに見向きもされない石頭女さん?」
火花をバチバチと散らしながら出場者出入り口へと去っていく。
二色が離れたことで本来の目的は達成したのだが…………。
「おーい……菜々さーん……生徒会の仕事が割り振られるんじゃなかったんですかー……………………」
「もう別に良いんじゃない?サボっちゃいな。私から言いつけておくから」
「お、サンキュー未来。珍しく良い提案してくれるじゃん」
「フフフフフフフフフ」
「え、怖い」
味方か敵かわからない未来と別れ、光榴は観客席へと向かった。
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身体は帝に主導権が戻った。
だが、ここで地味に問題が発生する。
『あれ?なんか、お前ら薄くなってね?』
先ほどから見えていた二人だったが、なんだか透明度が上がった気がする。
『あー、それはな?あのバカ二人(バカみたいに人格交代をさせてきた国満と夏樹のこと)のせいで精神系と肉体系の扉がガバガバになってただけだからな。時間が経てば元通りだろ』
とのことだ。
運良く行けば、体育祭終了前までに伊狩の馬鹿力を拝借できるようになる日が近くなるかもしれない。
それも良いことだ。
今のままの状態だと、これから巻き込まれるであろう諸々に影響が及びかねない。
【特技】上位勢の化け物共とまともにやり合うには、彼のチカラが必要だ。
せめて、体育祭後には戻しておきたいが………。
「まぁでも、面白そうだし検証は後回しにして菜々の試合見てからにするかな」
菜々達が出場する種目は〔トライアスロン〕。
異なる3つの種目を、3人で役割分担しながらもタイムを競い合う競技だ。
基本は『水泳』、『ロードバイク』、『長距離走』の3つだが、今回の体育祭は他の競技からも選べる選択式であり、A〜E組ごとにレーンが変わっている。
今回E組から出場するのは、菜々、未来、穂村の3人である。
いつの間に仲良くなったのか、3人で談笑していた。
菜々と未来、菜々と穂村は知っていたが、未来と穂村も仲がいいのは知らなかった。
まぁ、未来は学級委員だからな……。
え?お前は生徒会の仕事全くしてないって?
生徒会はほとんど菜々が運営していて、僕以外のメンバーも、ほとんどこういった企画に参加できていないのだ。
この運動会だって、菜々が全て決めて、菜々が許可を取って運営していた。
僕に回ってきた仕事と言えば、菜々が競技に出場している間の生徒会長の代理を任されたり、圧倒的に手が足らない時だけ。
圧倒的に手が足らない場合のため、手が何本あってもできないような量の資料の整理をやらされる。
その場合はキツいし、生徒会長代理なんて、それと同じかそれ以上の仕事量なんだから、積極的にやりたいものではないのだ。
相手の方をチラリと見ると、二色が目に入る。
B組の面々。
知っているような奴らはいない。
無論、警戒するべき奴らも、あまりいないはずだ。
二色の【特技】も把握はしてないが、〔トライアスロン〕に出ているってことは運動系だろうか。
ちょっとした監視も兼ねて、(推定)【特待生】である『鵜島 堀那』の考察も含めた、【特技】の見極めが必要かな。
久しぶりの観客席に戻りながら、次の種目で考えることを頭の中で整理していた。
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『みっくんこっち見たかっこいいみっくんこっち見たかっこいいみっくんこっち見たかっこいいみっくんこっち見たかっこいいみっくんこっち見たかっこいいみっくんこっち見たかっこいいみっくんこっち見たかっこいいみっくんこっち見たかっこいいみっくんこっち見たかっこいいみっくんこっち見たかっこいいみっくんこっち見たかっこいいみっくんこっち見たかっこいいみっくんこっち見たかっこいいみっくんこっち見たかっこいいみっくんこっち見たかっこいいみっくんこっち見たかっこいい………』
うらめもっ!
「なんか、帝遅くね?」
「ジュース買いに行っただけだし、すぐ帰ってくるよ」
「あ、E組〔バスケ〕負けた」
「「え」」




