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36.結果発表は退屈に






「終!!!了っ!!!!ですっっっ!!!!!!」





 その言葉と共に、観客席からは盛大な拍手と声援が送られる。






 やっぱり、みんなその声を注ぐ先は自身の子供か、彼。





 山岸 春太。



 今まで【特技】を見たことない人が簡単にイメージできる、【スーパーエネルギー】。



 そんな【特技】を使用した大逆転劇を見せられてしまえば、それはもう観客席は大盛り上がりする他ない。





 僕もその立場だったらそう思ったのかもしれないが、こちら側に立つとすごくしょうもない。











 ストレートに言ってしまおう。




 俺にとってこの試合……。




 『退屈』の一言に尽きる。






 だってそうだろ?



 結果なんて、春太が最初に玉を飛ばした時点で決まっていた。



 今回の競技の相手達は春太の計画にまんまと嵌められ、点数を総取りされたが、



 だが、彼はそのどんでん返しを求めた。





 春太にはそこまでの道筋が見えていた。










 だが、春太にその道筋が見えているならば、()()()()()()()()()()()()()









 これだから退屈なんだ。





 その結末が変化しないか、淡い期待を込めて国満を見ていたが、結果は結局変わらない。





 相手の中にもかなり強い【特技】が居たみたいだが、僕が探しているものではなかった。




 この体育祭に紛れ込んでいるはずだ。




























 自身の理想の体現のために世界に紛れる狂人。



 僕以外、4人の【特待生】がな。








◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇









「さてさて、それでは結果発表に移りまーす!!」







「………すまん。俺、一旦抜けるわ」



「え?ちょ、練治くん!?B組の功労者の1人じゃん!結果発表は聞こうよ」



「いや、いいよ。結果のわかってる結果発表なんてつまらんだけだ」





 堀那の説得虚しく、そう言って練治は振り返って出口の方へと歩き去っていった。







「俺もいいや、結果発表」


「……僕も、ちょっとちょつし悪いから帰ることにするよ」






「え?春太と国満も?大丈夫か?」





 B組のグループから離れているE組のグループでも、結果発表を見ずに帰ろうとする人間が2人でた。







 彼らもゆっくりと会場の出口へと向かっていく。





「………ねぇ、春太くん。キミは……、帝に勝ちたいのかい?」



「突き詰めればそういうことになるな。突然なんだ?」







「いや、話題の問題児とかなり距離が近いのに、何故かあんまり僕は絡みがないから聞いてみたかっただけ」




「意味がわからん。気味が悪い」





 そう言い残して僕を置いて出口の奥へと向かって行った。



 まぁ、彼がどこへいくのかは予想がつく。


 だからこそ、放っておいてもいいし、なんなら放っておいた方がいいだろう。






 それよりも、今は自分の体だ。




「………派手にやられたよな……」




 運動着をめくって右の脇腹をチラリとみる。




 脇腹はドス黒く染まっており、傷口では寄生虫のようなもの達がうじゃうじゃと蠢いていた。





 【スーパーパラサイト】。



 どうしたもんか、地味に等級が高い【特技】だから、かなり対処しにくい。




 あの後、謝罪も【特技】の解除もせずにどこかへ行ってしまったし、ちょっとスポーツマンシップ的にも配慮できていない。


 ちょっとイラっときてしまった。







 とりあえず今怒っていても仕方がない。



 今はこの寄生虫を取り除くことが先決。



 なるべく刺激しないように、外に誘導するには…………













◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇






「最後の最後に怒涛の大逆転!!!な、な、なんと!一位は、E組っ、ですっ!!!!!」






「「「「「「「「うおおおおおおおおおおぉぉぉぉぉぉっっっっっ!!!!!!!!!!!!」」」」」」」」





 先ほど“得点の強奪”については?マークを浮かべている奴が多かったが。



 会場は計画された春太の大逆転により大盛況だ。






「このルール、バスケット付近のエリアに玉が入っていれば得点。つまり、E組のエリアに入っている玉は500個なので、E組のみ、500ポイントゲットです!!」






 そこでまた観客達は大きく盛り上がる。



 ………この結果発表。




 僕も、少し飽きてきたな。









「すまん、純也。飲み物買ってくるわ」


「おう。体育祭は長いからな、喉も渇くよな」







 純也は快く送ってくれた。



 観客席の出口からエントランスロビーのような広間へと出て、自販機でコーラを買う。




 次の種目は………〔バスケットボール〕か。





 そこまで仲のいいやつが出るわけでも無いからな。



 出るとしても、最近菜々と仲良くなった穂村ぐらいだろう。






 なら、どこかテキトーな場所で時間を潰していた、という体で【時渡り】で次の種目まで時間を飛ばそうか。





 そう考えていると、選手出入り口から、自販機前にある僕に向かって歩いてくる人影があった。








「………お前、嘘ついたな、【特待生】。心底お前が何者かわからなくなったぞ」





「何のことだろうか、さっぱりだ。嘘をつく時の記憶がない、難儀な体質なんだ」










 選手出入り口から出てきたのは、黒金 練治。





 僕がかつて、『【特待生】などいない』とそそのかして、上手いように難を逃れようとした、殺人鬼だ。







「そもそも、嘘をついたなんて言いがかりはやめてくれないか?」



「言いがかりだ?ふざけやがって。【特待生】はいない、生徒同士の戦闘を激化させる口実、とか。よくもまぁあんな嘘が思いつくものだ」




「そんなことを言ってたのか?僕は馬鹿だからどういう意味なのかわからないけどね」






 こいつは殺人鬼なんだから、突然目の色を変えて殺す気で襲いかかってきてもおかしくない。




 最弱【特待生】としては、ここで戦うことになれば絶対に死ぬだろう。





 ここで死ぬのは非常にまずい。


 ので、必死に嘘をつかなければ…………。









「あの場から逃げたいが一心でついた嘘だってんなら上出来だと思うぜ?こっちに【特待生】の仲間ができないと思っていたのならな」







「チッ。【特待生】を仲間につけたのか………。誰だ」



「いうと思うか?」






































()() ()()()








 突然の背後からの声に、2人は思わず声の聞こえた選手出入り口に向き直る。





「…………まだ、俺が眼中にいないみたいだな。帝」





 体調不良を訴えて抜け出してきた、山岸春太が、そこにはいたのだった。
















うらめもっ!!

「E組のリーダー、賞状を渡すので出てきてください!」

「え?国満くん……はいない。春太、もいない。じゃあ………」

「あ、じゃあうちやるー!」

「「「高橋(木葉ちゃん)!?」」」

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