32.得点は“強奪”と共に
作者は意志薄弱すぎて、タイトルはまだ定まりきっていません。
わかりにくくなりますが、何か対策が取れればいいなと思ってます……。
「初撃は山岸選手の【スーパーエネルギー】から始まり、B→D→E→C→Aの順で動きを見せ始めました!!まず狙われるのはやはりE組かぁーっ!!」
司会の盛り上げや、初めて見る【特技】によって、一般観客達は大盛り上がりだ。
まぁ、あんなチカラがいつか使えるようになるかもしれないと夢を見せられたら、かなりの期待もしてしまうだろう。
にしても、【スーパーエネルギー】で最初はかましてくるとは思ったが、予想よりもかなり規模が大きかったな。
やはり僕に2回負けたところが響いてるのか……。
「俺に立ち向かいたいってのかぁ!?【塞翁中の拳狼】の名において容赦しねぇぞクソどもがあぁ!!」
「当の本人もやる気のようです!E組バスケットの前に陣取って防御を組んでいます!!」
春太は防御に入ったらしい。
まぁ、国満の【特技】に巻き込まれないように動いてほしいが……。
『止まれ、立ち去れ!!』
国満は容赦ない。
【特技】で、誰彼構わず後退させて、バスケットに近づかないようにしている。
だが、他のバスケットは、春太のせいでもはや玉が少ない。
もう少しやりようがあった気もするが………。
他のクラスのバスケットには玉が着実に溜まりつつあるが、それにつれてターゲットがE組に移りつつある。
このまま増える人数を耐え切ることができるとは思えない………。
どこよりも、A組の結託力が厄介だ。
まるで全員が同じ思考をしているかのように、互いの位置を把握して、次どこに動くかさえも読み越している。
この競技はA組とE組の二大勢力の争いになりそうだ。
だが、E組にはまだ菜々や未来もいて、穂村も一応同じクラスらしいから、戦力的にはかなり質がいい。
他のバスケットもどんどんと埋まっていく。
バスケットから出される玉や、妨害されて入らない玉などもあるが、それでも各クラスの攻撃メンバーと、自クラスの防衛メンバーが五分五分で張り合うというのは無理がある。
それをギリギリ成し遂げているのが、E組の国満と春太の二人だった。
バランスは保たれているが、これは一時的。
決壊直前のダムも同義だ。
加勢と言いながら、誰かがこっちに来たが最後、この防御網は突破される。
その時に起こす行動、指示の手腕こそ、国満がどれほどの実力を持つかの証明であり、この競技の攻略の鍵だ。
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クソウゼェ年増共に初めて反抗してから早2年。
初の敗北を味わったこの高校で、知略を巡らせようとは思ってもみなかった。
幸い、クソみたいな英才教育のおかげで頭は良かったし、昔は優等生ぶってたから運動もかなりできる方だった。
だがその“昔”に、偉そうな地位にふんぞり帰ってあれやこれやと指示して来やがるクソ年増共に嫌気がさして、俺はいわゆる『反抗期』に入った。
簡単に言えば、グレたんだ。
きっかけはあまり詳しくは覚えていない。
でも、俺が激しく怒ってたのは確かだ。
それが、中ニの初夏ぐらいだったか。
確か……塞翁中だろ?
親が高い金出して行かせていたが、その頃には反抗期に入りかけていたからちょっとした不満を持ちながら入試を受けた記憶がある。
だが、学校の授業なんて少し考えればわかるような簡単な問題を、『お前らどうせわかんないだろ』って上から目線で、懇切丁寧に教えてくるから俺は学校が嫌いになった。
嫌いになってからは早かったな。
3日は我慢したけど、そっからはバックれて、一人面白そうなことに頭を突っ込む毎日だった。
そんな中、不登校少年に絡んできたのが、高三の有名なグループだった。
ただゲーセンにあるスロットで大負けして、イラついて蹴った空き缶が当たっただけだ。
なのに、俺は恨みを買って路地裏に連れてかれたんだわ。
俺一人だぜ?
向こうは5〜6人の不良グループ。
噂ではヤクに手ェ出してる奴もいるとか、平然と凶器を振るってくるとかで有名だ。
なんなら、平和になった日本の高校生の中だと、TOP10には入るくらいのワルだった。
そんな奴らにたまたま目をつけられて、たまたま彼らがイライラしていたから、俺は連れて行かれた。
そこで自分よりも4つ上の先輩方に囲まれて、もうダメかと思いきや………。
パンチがあんまり強くなかったんだよな。
なんか、やり返すぐらいの気力があったからやり返してみたら、まぁ面白いほど簡単に吹っ飛ぶわでびっくりした。
そこで調子乗った俺はノリノリでいろんな奴を殴ってみた。
そしたら、気づけば周囲が静まり返ってることに気づいたんだよ。
ふと振り返ってみたらもう全員へばっててさ。
しょうがないから倒れてる奴らで“ストレス発散”してたんだけど、反応全くしないから、途中でなんか飽きてきてやめた。
きっとその時だったんだ。
俺がこんな道を通るようになったきっかけは。
そこからはあんまり進んで語るようなものじゃない。
ただの暴力をわけもわからず、するされるの毎日を送り、その度に少々の昂りを味わって帰る日々。
そこらへんの問題は、親がもみ消していた。
もみ消すのも疲れるらしく、両親には泣きつかれたが、俺は『自業自得だ』と振り払っていた。
今振り返っては、自業自得なのかどうかも、もう覚えてもいないが。
そんな生活をしていたから、俺は“ヤンキー”と呼ばれるようになり、隠蔽していた情報も漏れ始めた。
それが、俺が塞翁中出身の一匹狼として《塞翁中の拳狼》と呼ばれるような、老若男女誰もが恐れる男となった経緯だ。
そんな男が今この瞬間、一人の男を欺くためにヤンキーとしての喧嘩のチカラではなく、IQの方を酷使するとなれば、俺の事情を知るものから見ればお笑い種だ。
でも、これでいい。
今、流れくる他クラスのクソ共からバスケットを守っているのは理由がある。
バスケットになるべく玉を入れられないように。
まぁ、その理由もあるが、他にもある。
あの“国満”とか言う帝のお気に入りは気づいているハズだ。
これは玉を入れる競技じゃない。
司会は言っていた。
『線の中の100の玉がクラスのポイント』『バスケットに入るとポイントマイナス』
線の中の玉が100個だから100点。
だったら、500個ならば?
答えは500点だ。
五クラスの得点は全て一クラスに集約される。
他クラスの玉が、万が一バスケット付近の他クラスの枠内に誤って入ってしまったならば、それはどうなる?
何が言いたいかと言うと、この競技には『得点の強奪』を禁止していない。
確かに、倫理的に考えれば『そんなの言わんくてもわかるやろ』とか言う奴も居るだろうが、司会は『ライバル潰し、漁夫の利、仲間割れもオッケーです』とも言ったんだ。
今回、奴が期待しているのはそこだ。
国満は、どうやって得点を伸ばすか。
だが、残念だがもはや今の時点でさえ、俺の方が取れる得点は高い。
あとは、ここにくる奴らを足止めし、少し癪だが、自クラスのメンバー達に玉をなるべく多く持ってきてもらうのが吉だ。
オリジナルルールということで気づきにくいのか、今のところ得点強奪の件に気づいているのはA組だけだろう。
A組は数人で露骨な玉回しをした後にさりげなく自陣に玉を入れていた。
他のクラスは気がつかずに正攻法で攻めてくるが、注意するべき【特技】は多い。
例えば………。
「お前らあぁ!!ちょっとどけな!!俺が踏み潰してやるよぉ!!!」
全長2〜4mくらいの巨人のような人間がいきなり出てくる。
【特技】としては、【スーパージャイアント】って感じだろうか。
そういった奴らは“国満”とやらの守備範囲外だろうから、俺がやる。
「……行かせるかっての」
エネルギーを足に集中させて跳躍。
そして、そのまま鳩尾にダイブ!!
そのダイブは見事、時速40km以上は出ていただろう。
鳩尾に40kmの威力があれば、まぁ倒れることを余儀なくされる。
それを横にながせば、っと。
「お、おい。なんかあの巨人、こっちに倒れてきてないかぁ!?」
「やばい、一旦E組のバスケットから離れろ!!」
他クラスの攻撃陣は散り散りに逃げていく。
さっきまで他クラスの奴らが溜まっていた場所に、ズシン、と音を立てて巨人は倒れ、ちょうどいいように人避けの役割を果たす。
だが、“国満”とやらも分断されてしまったらしい。
残党は…………。
「あと、俺たちだけかなぁ?」
「じゃないか?流石にキツイか?」
残っていたのは二人。
ギリギリ、時間終了までなら足止めできるかどうかのレベルだな。
一人は、俺が今まで殴ってきた奴らと同じような………いや、今までに見たことがないほど、血に飢えたような、人殺しの目。
そしてもう一人は、なぜ創名高校にいるのかわからないほど平凡な、黒髪黒目の青年だった。
「まぁ、かの《塞翁中の拳狼》。どんな手応えか試したかった節は、なくはないかな」
「ハハハ。さすが、彼女持ちの人殺しの言うことはキザっぽさもあって一味違うな」
「………知ってるんだな。いいのか?消すぞ?」
「消えないよ。そう言う世界の人たちとは少し関わりがあるんだ。まるでなろう小説の主人公みたいな人生を送ってきてるんでね」
残ったのは二人、それもそこまで連携は取れていなさそうだ。
この競技の初めに見た時は二人ともB組のところにいた。
二人はB組だ。
警戒に越したことはないが、A組の方が危険そうだ。
巨人の向こう側の動きは把握できない。
早めに玉を持ってきてもらいたいが…………。
「この巨人、早くどかさないと、自陣に玉持って来れないよ?馬鹿なの??」
…………どうやら、この競技の“得点強奪”は、B組も把握していたようだな。
完全に気づかなかった。
なら、今頃あっちではB組も玉回収に勤しんでいるのだろうか。
「そんなことはない。確かに俺の【特技】を使えばこっからどかすこともできるが、そこまで焦る必要はない」
「そっかぁ〜。じゃあいいのかなぁ。仲間が苦労して集めている玉、取られちゃうかもよ?」
「期待してねぇ。俺一人で十分なんだよ」
「俺ら二人を相手にできるの?」
「神咲 帝に負けるのに?」
「お前らじゃ、帝に勝てねぇだろ」
嘲るように笑うと、それぎ琴線に触れたか、黒髪の青年が猛進をしかけてくる。
「◾️◾️□◾️□、◾️□◾️◾️*、◾️□◾️◾️□◾️」
彼が何かを言い始める。
聞き取ることはできなかった。
「何言ったんだ……あぁ??」
彼の解読不能な言葉が発せられた後、足元に違和感を覚えて下を見る。
すると、誌面には何かが刻まれていて、その刻まれた文字が輝き、次の瞬間…………。
まるで地雷を踏んだかのように、地面が吹き飛んだ。
うらめもっ!
「おい!何やってんだよ大田!!お前が『踏み潰す』とかイキって巨大化するからE組のバスケット行けねぇじゃねぇか!!」
「ダメだ、気絶してる!クッソこんな怪我人出ると思わなかったから回復系【特技】連れてきてねぇよ………」




