壱 〜日常的な日常〜
新章、日常譚です。
何故か、物語の本筋とちょっと分けたいなぁ〜と思ったんで数え方を変えました。
あと、作者は誤字が多いし見つけるのも下手なので、見つけたら報告のご協力をお願いします。
「この僕、神咲 帝の朝は早い………」
独り言です、はい。
ちなみにただいま午前10時。
そして、いろいろあったGWが明けた初日である。
そう、お察しの通り、寝坊である。
いや、別に国満とかと揉めたりはしたけど、揉めたのは初日だし、レポートも借りれた。
別にこの事態は国満達のせいとか、そう言うわけではない。
原因があるとすれば………。
『お前、俺以上に馬鹿なんじゃないか?』
『さすがに僕はそう思わないよ?』
「お前らが出てくるようになったのも原因の一つだよ。それに光榴。嘘はよくない」
『あからさますぎたかな?』
そう、彼ら………。
僕の【多重人格】である2人、上代 光榴と加闘 井狩である。
彼ら2人が、僕と同じ見た目、背格好、声で。
今そこに立っているように見えているのだ。
まぁ、アニメやマンガ、ドラマ等でよく見る、わかりやすい他人格の表し方だが………。
漫画やアニメで出ていたと言うことは、その描写は多くの中二男子の心をくすぐっていたというわけで。
それすなわち、事情の知らない他人から見ればただの痛いやつなわけで…………。
「ていうかそもそも、お前ら意識世界にいただろうが」
『そうなんだけどな。ここ最近、誰かさんが使った【洗脳の加護】だとか【原初の言霊】とかいう外的要因で他人格が引っ張り出されたことが原因の一端だろう』
『俺は自分の体がない感覚は嫌いだわ。寝る』
光榴は現実的な推理をするが、井狩は心底つまらなさそうに最初の前置きだけ聞き、そのまま横になって寝た。
『アイツの能力のせいで意識世界と現実世界の境界線が曖昧になってるんだ。そのせいで行き来しやすくなってる』
「じゃあ、井狩に体の主導権を握られやすくなった……?」
『だけどよ、僕と帝。2対1よ?主導権は取られないと考えても安心だ』
一瞬、寝ているはずの井狩の方から期待のオーラが出ていたが、瞬時にして消滅していった。
なんだよ全く。
大人しく寝とけ!
『意識世界と直結してる僕らに、その声が聞こえてるのを忘れないでね?』
「やべっ」
『てめぇ調子乗りやがってぇっ!!』
『あーあ』
井狩の拳が握られ、殴られる覚悟をするが………。
まぁ案の定、衝撃はこなかった。
井狩の拳は、俺の腹をスカスカと横切るだけ。
「光榴、お前………。当たんないってわかってたくせに『あーあ』とか言いやがったろ」
『バレてら』
光榴はケラケラと笑って歩き出す。
『学校はいいの?もうだいぶ遅れてるけど』
「ここまで遅れたらもう大差ないだろ。次の授業で出るからそれまで寝る」
そう言うと、ものの数秒も経たぬうちに寝息を上げ始めた。
『相変わらず、ってやつかな?あ………井狩さん?』
『他人行儀だな。それに、そいつはお前が思うような子供じゃない。現実を見ろ。お前が覚えてるのはもう────』
『それ以上は、ダメ。聞こえてしまうわ』
光榴が手を広げ静止させ、帝の方をチラリとみる。
相変わらず、帝は寝息を立てている。
『想像以上に厄介だな。こっちに引っ張り出されちまったのは』
『どうやら、そのようです』
井狩と光榴は、人知れず大きなため息をついて頭を抱えた。
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「で、遅れて来たと」
「すいませんでしたー。許してくださーい」
「さてはお前。いや、確実にお前、反省してないな」
なんか、すごい怖い先生がいました。
いや、あの可愛い可愛い、チンチクリンな感じの、ロリ属性がありそうな福島先生が怖いわけじゃない。
そんな先生が怖く見えてしまっているのであれば、僕は末期だ。
怖い先生は副担任であり、この学校の【特殊異能学習授業】の担当である塩川 津玲であった。
あ、ちなみに、馬鹿正直に全て話したわけではない。
『他人格が急に出てきてびっくりして動揺してたら授業に遅れました!』
どう?もっとマシな嘘つけよって思うだろ?
だって僕だってそう思うもん。
だから、僕は今、帝ではない。
ちなみに、実はこれ、賭けである。
「まぁまとめるが、理由は右腕の義手が急に外れて付かなくなったから新しいものに新調してきた、と」
「そう言ってるじゃないですか。証人もいますし。ねぇ、未来」
まぁこの通り、何かしらの理由で同じタイミングで来た未来に協力してもらってはいるが………。
「(未来のこの疑心暗鬼な表情………。やっぱり、バレてるなぁ〜)」
未来には教室に着く前に、(理由抜きだが)事前にこの遅刻の説明をお願いするように頼んでおいた。
だが、それに協力すると言っていたが、裏切られる可能性も高い。
なってったって僕のことを何故か毛嫌いする未来だし、未来からすればすぐにわかる嘘だし、何かあれば一緒に責任を負わされる。
さぁ、どうする…………。
「えぇ、彼は義手が外れて大変なことになっていました。それはもう面白いくらいに」
「そうか。確かに、帝だけなら信憑性が無かったが、このクラスの委員長である未来がそう言うならそうだったんだろう。以後、気をつけるように」
なんとか解放してくれた。
「いやぁ、サンキュー未来。手ェ貸してくんなかったら終わってたわぁ……」
「ウチも………。ちょうど理由を聞かれたくなかっただけ」
未来が暗い目をしながら俯く。
「なんかあったのか?」
「アンタに言うと思う?………って言いたいけど、ちょっとは恩を感じてるし、アンタが遅刻した理由も言ってくれるなら考えてあげなくもない」
今、さらっと俺の名前言ったな。
バレてますよってアピール?怖い怖い……。
「わかった。俺は別にやましい理由なんてないしね」
「そう、じゃあどうぞ?」
未来の席に着き、そこから、トイレ側へあてもなく歩き続ける。
お先に言って?と催促してくる未来。
全く、聞くだけ聞いて自分の遅刻理由を言わない。
なんて思ってるなら、心外だな。
僕は本当に言うつもりだったんだよ?
「僕は普通に寝過ごしただけだよ。ちょっと改造されたところが暴走仕掛けたけど、そこも直してきた」
「へぇ……。ピンとこない……………ってわけでもないから、本当なんだろーね」
そりゃあ、相手は直感で嘘を見抜ける未来だ。
ならこっちは、普通に嘘なしで対応するだけだ。
授業まで時間があるから、授業時間中ずっと寝ていたのは事実だし、脳も【ラプラスの悪魔】で少しばかり改造されているから、その部分が暴走したって言うのも事実。
だから、未来の直感に当たることはない。
『おぉ……。未来対策したんだ』
「(こうでもしないと、僕のアイデンティティが消えるからね……………)」
「んじゃあ、未来は?」
「……………………お父さんと、電話してた」
「……ファザコ「違う。断じて違う!!」………」
そんなに否定しなくていいじゃん。
お父さん泣いちゃうぞ?
ちょっとした冗談を思い浮かべながらトイレの突き当たりに到着し、そのまま振り返って再び歩き出す。
「……ウチね。生まれた頃に出産祝いに来たお父さんしか.見たことないんだ。だから全く覚えてない。教師をやってるって聞いたけど、それ以外わからない」
「お母さんに聞いたりは?」
「してみたんだけど、職業以外、何も答えてくれない。でも、ある日から、(自称なんだけど……)お父さんから電話が来るようになった………」
今、(自称なんだけど……)って、ボソボソと聞こえてきたんだが?
え、それってやばいやつなんじゃないの?
と思いながらも、ついつい聞き返す。
「いつから?」
「………私がこの高校の孤島に入島するちょっと前ぐらい。嬉しくてすぐ出ちゃった。けど…………」
『ヒサシブリダナ。ワタシガ、オマエノオトウサンダ』
「機械音声だけ………」
未来にしては珍しく、唇を噛む。
まぁ、とりあえず、最初は本当かどうかわからなかったから、質問した。
『お父さんの名前を答えて』
そう言ったら、しっかり返ってきた。
ウチの知らない、お父さんの本名。
『ワタシノナマエハ、ウガタ ウチノブダ』
「お母さんに確認したら、すごい形相で『どこで聞いてきたぁ〜!』って言うから、本当なんだなって思った。それから、お父さん(仮)から電話が来たらなるべく出るようにしてるんだ」
………これ、聞いてよかった内容なのだろうか。
いや、僕としてはめっちゃ気になる話なんだけどさ?
プライベート的なアレで、何か、聞かなきゃよかった気が……………。
「と、言うことで。光榴く〜ん」
「あ、ヤベ」
逃げようとしたが、しっかりと捕まる。
「事情全部、聞いちゃったねぇ〜。じゃ、協力してもらうしか、ないなぁ〜」
『タノンダ、ミカド』
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「おい!おーーいっ!!俺を身代わりにして逃げるなぁ!!」
「あ、帝くんに戻った。ざーんねん」
「なんだ、俺がハズレみたいな」
肩をすくめる未来に、怪訝そうに見る帝。
「とりあえず、私には協力してもらうから。お父さん探すために、尽力すること!!」
「さ、サー、イエッサー」
「それは男の人への言い方!!」
「イエス!マム!!」
うらめもっ!
「え、あの二人って仲悪いんじゃないの?なんか険しい顔しながらトイレと教室の間の廊下を一周してたけど。なんかあったの………」
「確かに、今日も同じタイミングに来たな……。何かある……!!」




