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2ー3間 幕間②








 四月の終盤頃……



「なぁ帝!」



「なんだ黒田。うるさいぞ」






 まだ山岸が復帰せず、金田との諍いも起きていないある日の昼休み、まだ席替えのされていない席で、一人突っ伏していた。





「お前、入る部活もう決めたか?」




















「あ」





 そういえば、部活を選ばなければいけないんだったか。



 そういえば部局説明の時、僕寝てたからすっかり頭から抜けてた………。






「ちなみに黒田。それがいつまでだったか覚えてるか?」



「あー、っとね。明日までだ」



「よし、見学行くぞ」







 こういうのは即断即決、即行動だ。


 じゃなければ絶対に忘れるし、動く気力も無くなっていく。



 『明日でいいや〜』なんて言おうものならば、部活なんて存在は記憶の片隅からも消し飛ぶだろう。





「よ〜し黒田。ぼっち回避のためにも、早速部活を見て回るぞ、まずは運動部からだ!!」






 なぜなら、この高校、【特技】専門校なだけあって、【特技】で不正されようものならば罰せないので、大会には出れないのだ。




 つまり、運動部に行ってもそこまでキツくないだろうし、運動部は交流の輪が広く、モテるし、ぼっちにはなりにくいのだ。






 フハハ、部活選びを間違えればこの高校生活は終わりだ。





 なんとしてでも!!


 普通の部活に入って普通の生活を過ごしてやる!!!
















◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇









 というわけで、サッカー部。



 『生粋の陽キャやモテ男はサッカー部だ!』とは黒田の言葉。






 だが、この高校のサッカー部、まだ入部期間なのにも関わらず、早々退部者が出たと話題になっている部活だ。




 だが、どれほど過酷な部活なのか、危険な好奇心が胸をくすぐり、気がつけば黒田の案に了承してしまった。







 見学ということで、まずは部見学の説明を受けて、グラウンドの練習場に案内される。




 そこで見たものは…………。










































「いいかぁお前らあぁ!!お前らはただの奴隷だ!!大会に出る資格すら無い、プランクトン以下の人間の集まりであることを徹底的に体に刻み込んで練習するんだ!!!」



「「「「「サー!イェッ!サー!!」」」」」






「そこぉ!!声聞こえない!!きーこーえーなーいーぞー!?!?諦めるか?諦めんのか!?この程度でぇ!!!」



「す、すいません……コーチ…………………」







「おいそこお!!手ェ抜いてんじゃねえぞぉ!!もっとできんだろうが死ぬ気でやってんのかあぁ!?おい!答えろやあぁ!!」



「こ、これ以上はもう………………」










 死の断末魔の聞こえる、ただの地獄絵図であった。





「ここ最近はちょっと体ができてない部員が多くてですね………。その分、あなた達は充分ですので、軽く筋トレしてもらって、すぐに試合に出れると思いますよ」







 うそこけぇ!!


 と叫んでしまいそうになる。









 絶対に見学した部員を逃さないため、『アットホームな職場だよ☆』って感じの理由付けで、僕らを逃がさないつもりだ。






 やはりこういうところも即断即決だ。



 黒田と目を見合わせて、アイコンタクトで意見が合致した。





「さぁ、あなた達も是非サッカー部に………」




「「辞めときます、では」」




 二人で声を揃え、足早にサッカー部の練習場から離れる。






 普通に怖かった、怖すぎた。









 ちなみに、今思い返せば、あの中に国満と志動が紛れ込んでいた。




 アイツら………なんであんなサッカー部なんかに…………………。










◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇








 野球部。









「いや、かしこまらなくてもいいッス。俺ら、そんな迷惑陽キャみたいなことしないっスから」




 なんか…………。



 すげえいい人………。





 今の会話だけで彼が根っからの善人で僕のことを心から歓迎してくれていることがわかった。




 だが、一つ気になることがあるとすれば…………。








「ん?オイラの頭、なんかありましたか?」ピカリッ!



 うん、丸刈りなのだ。







 しかも、彼だけじゃなく、彼以外も全員。



 それに驚くことに…………。




























「どうしたんスか?オイラの頭になんかありました?」ピカリッ!!



「なんかあったっスか?オイラの頭ずっと見て」ピカリッ!!!



「……オイラの頭、そんなに気になるんスか?もう、みんなの頭見て気持ち悪がられてるっスよ?」ピカリッ!!!!





 なんと、野球部員、全員が同じような性格で、同じような表情、髪型である。







 みんな同じ顔だから、もうほとんど顔の見分けがつかなくなってしまっている。





 目は三。     三  三


 口も3。       3



 頭は輝くほどの丸刈り。






 この統率力、感嘆に値するが、僕らが入ったら僕らもああなると思うと、少し背筋に寒気が走る。






「さぁ!大会にはいけなくても、目指せ、フェアプレイ!っス!!!」




「「「目指せ、フェアプレイ!っス!!!」」」






 なんか新手の宗教勧誘の雰囲気が漂ってきたので、何も言わずにそこから逃げた。






 そういえば、一人だけ丸刈りじゃない奴がいたな。





 確か、僕らが体力テストで体育館に来た時、ちょうど上体起こしで大盛り上がりしていた男だ。




 確か………クラスは1-Aだったはずだ。




 なんというか………いろんなところで浮いてる男だな。










◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇








 文芸部。





 もはやあの2大運動部を見てしまえば、他の運動部を見る気力さえ失せてしまった。







 なので方向転換し、文化部の方を見ることにした。





 そして、その中でも『ザ・文化部』というイメージのある文芸部に来ていた。









「「(文芸部はまともでありますように………)」」





 その二人の期待は、早速裏切られることとなる。





 扉のドアノブに手をかける直前、部室内から悲鳴が聞こえてきた。


 しかも…………。














「イヒイィィィ!!!」

「お"お"お"お"ぉ"ぉ"ぉ"ぉ"ぉ"〜〜〜〜〜〜」

「aaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaa!!!!!!!!!!!!」







 といった、完全にアウトな悲鳴である。









 目立たぬように、そっと扉を開けて中を覗くと、そこでは、見知った人物が、またもや地獄絵図を作り出していた。







「逆原っ………あの馬鹿ぁ………………」




 騒ぎの中心にいたのは逆原 菜々。




 周囲にいたのは………、かなり太ったとしか言いようのない、眼鏡をかけた…………。







 いや、もうオブラートに包む言葉が思いつかないし、規制覚悟で悪口を言ってしまおう。













 俗にいう、『キモデブオタク』と呼ばれる部類の人間かもしれない。








 そんな特徴的な彼らが、逆原に踏まれて悲鳴をあげていたのだ。





 だが、その絵面だと逆原がすごい変態に見えるが、実際はそんなものではなかった。




「邪魔よ。読書の最中に邪魔しないで。いい?今は部活動中なの、そんなみっともない悲鳴あげてないで、早くちゃんとした仕事をして頂戴」






「イ、イヒィィ……」


「お"お"お"ぉ"ぉ"ぉ"………」


「aaaaaaaaaaaaa…………」








 彼らが一方的に盛り上がっていただけで、逆原はそこまで狂っていなくて安心する。




 こんな光景見た後に、明日どうやって接すればいいのか苦悩する必要はなさそうだ。










 だが、もちろんそんな光景は長く見ていたいものではない。




 黒田と僕の意見は合致し、扉をそっと閉じ、次の部活へと向かった。









◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇











 吹奏楽部。






 この部活は先の例のような心配がないことはリサーチ済みだ。




 なぜなら、事前に先生方に相談して、それを元に決めた部活なのだから!!





 最初からそうしろよって?


 ハハッ、どの部活もあんな酷いことになってるなんて誰が想像できるんだよ。








「失礼しまぁ〜す………」




「「げ」」




 黒田が入っていくのに続き、僕も入っていくと、最初に目の合った人物に思わず声が漏れた。





「『げ』って何よ。私がそんなに嫌ってこと?()()くん?」




「光榴って誰だよ。僕はそんな名前の人知らないなぁ。で、お前は吹奏楽なのかよ?()()







 二人の視線が交錯する。






「お前ら、もしかして仲良いの?」





「な訳あるか、コイツと仲がいいのはお前だけで十分」



「そんなわけないよっ!純也くん!!ほら、こんなクズほっといてさっ!吹奏楽見に来たんでしょっ?こっちこっち!!」



 



 未来は黒田の手を引いて去っていってしまった。




「え?あ、え!?あ、ごめん!!俺、先吹奏楽見てくるわぁ〜!!」





 黒田は状況をしっかりと理解できていなさそうだ。


 とりあえず未来に引っ張られてるという事実を理解をしながら、頬を赤らめて音楽室の奥深くへと消えていった。








 さて、もう今日は4つも部活を見たんだ。


 もう、明日で良くないか?











 流石に常識から外れた部活を見過ぎて疲れた僕は、とりあえずのところ、部活は明日決めることにした。



























 まぁ、この思考がどうなったのかは、ご想像にお任せするとしよう。







うらめもっ!

「はぁ、はぁ、サッカー部……どうする?入るのか?」


「いえ、おぼっちゃま……流石にコレを毎日は………無理でございます………………」


「じゃあもういいか。体験入部はここまでにしようぜ」

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