15.休日は爆発で
『これはお前が作った?すごい じゃないか』
『あなたこんな 点数を取れるようになったの?』
『いいぞ、この調子でもっと頑張るんだ』
『あなたは偉い子ね』
今でもたまに、夢をみる。
起きた時には思い出せない。
朝の日差しのような、とても温かな気持ちであった。
これは、誰かとの記憶なのだろうか?
そうであってほしい。
そうであるはずだ。
だって、そうだったら、事故にあう前は、こんなに安心する気持ちになっていたという証拠だから。
どこにいるんだろうな、お父さん、お母さん。
どんな人だったんだろうな。
僕が事故にあって、とても取り乱していたと叔父さんから聞いた。
とても、とても大切にされていたのだろう。
会いたいよ…………。
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「はっ!!」
嫌な汗をかきながら、目が覚めた。
汗がすごい。
こんな目覚め方は久しぶりだ。
たまにこうやって起きる時がある。
何か、悪夢でも見ていたのだろう。
悪夢かぁ…………。
悪夢をみる要因といったら、教師長の脅しと未来のドロップキックぐらいだろうか。
あと、金田のストレスだな。
山岸と会うのも最近はストレスではなくなってきたか?
今日は土・日曜だな。
よかった。
今日が平日であれば、今の時間はもう学校の2時限目が始まるくらいだ。
今年のGWは木曜日が始まりだ。
金田に言われたのは、その1週間前の木曜日だから、もう3日経ってしまった。
休みにまでどっかにいくのはダルすぎるが、教師長のダル絡みもある。
やらなければ更にキツイ質問責めが待っている気がする。
………しょうがない。
ほんっとうにやりたくないが、ここは本気でやらなければいけないようだ。
教師長と殺し合いするのは僕もゴメンだ。
テーブルに卵がけご飯を置いてゆっくりと食べ始める。
チラリと隣を見れば、見つけはしたものの処理の仕方がわからなくて放置してある爆弾があった。
「こいつ……処理しなきゃな…………」
幅30センチ程度の立方体であり、重さは3〜5キロぐらいじゃないだろうか。
一部だけ分解して中を見てみたが、本当に爆弾の構造だったからこれは本当に爆発するだろう。
爆発と言っても、壁が焦げるくらいの熱量で、他の部屋には騒音以外の障害はない。
実害があるのは僕だけで、僕の部屋の家具などはほとんど使い物にならなくなりそうだ。
処理の仕方を考えながら伸びをする。
「こんなものを人の家における未来も未来なんだよな………」
コツン
「………え?」
伸びをしていた手に、何かプラスチックの塊のようなものが当たった。
それが何かというと………。
「あ」
それを帝が認識した瞬間、その物体………………起爆スイッチは、落下を始めた。
しかも、裏で。
つまり、このまま落ちれば……。
──────爆弾は起爆する。
そう思った時に、体は動いた。
向かう先は、ベランダ。
手には、片手で爆弾を持って。
なにをしたかというと、30センチの立方体を、片手で投げ飛ばした。
が、ベランダの安全柵にぶつかり失敗。
跳ね返り僕の膝に戻ってきやがった!!!
直後に、背後からゴトン、となる。
その後、爆弾は白く光り、僕の目の前の膝の上で爆発した。
「あのアマあああああぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!」
ドゴオオオオオオオオオオオオ!!!!
近くの部屋の住人や、真下で賑やかにしていた人たちが静まり返り、ここら一帯に奇妙な静寂が訪れた。
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土曜日だったのに悪夢に見舞われ、ベランダが爆発した僕は、しょうがなくベランダの復旧作業に入っていた。
そして、それが終わったのが16時過ぎ。
ベランダは今までにないほど輝いていた。
僕は、疲労によりそのままベッドに倒れ込んだ。
爆破されたベランダを綺麗にした後のこの輝きを見ると、逆に達成感が湧いてくる。
ピーンポーン
そして、休みの日のこんな時間にピンポン鳴らしやがったやつ誰だ。
インターホンのモニターをみると、そこには菜々がいた。
菜々だったらしょうがないな。
菜々は僕のファーストフレンドであり、他の友達(喧嘩友達含め3名)との接点を作ってくれた大切な人だと思っている。
高校生活で孤立しないでいるのは、菜々のおかげだり
恩人とも言える人の用事を無下にするわけにもいかないしな………。
「………はい」
ガチャリ、と扉を開ければ、目を見開いて驚いている菜々がいた。
「……………なんでそんなに驚いてんの?」
「いや、すごいなーって!」
「何がぁ!?」
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とりあえずリビングまで案内して、テーブルにコーヒーを置いておいた。
菜々から話を聞くに、こうだ。
菜々は僕に連絡したらしいのだが、返事を待てども全く反応がなかったから直接会いに行こうと思ったらしい。
「ちなみに聞くけど、いつぐらいに連絡した?」
「9時くらい……かな?」
「あ、そんとき寝てたわ」
「どうりで不気味なほど何もない思ったわ」
眠たかったからね。
「それから私はずっと待ってたのよ。でも、何もないからしょうがなくあなたに直接会いに行こうと思ったって訳」
「ん?なんで僕が家にいるってわかった?」
「とりあえず知ってる人に片端からどう思うか聞いたわ」
「そんな大事な用事なんすか……」
「大丈夫。私、知ってる人なんて未来ちゃんぐらいしかいないから」
「悲しいこと言うなよ」
つまり、未来が教えたと捉えて良いだろう。
あぁそっか。
菜々はさっきの爆発音が聞こえていたとしても何も思わないだろうが、未来の耳にさっきの爆発音が聞こえていたら家にいるだろうって結論にもなるか。
なるほど、だからさっきは(未来が)すごいなぁー、って思ったのか。
「で、用件何だよ」
すんごい話が横道にずれていたから本題に入らせてもらう。
「あなた、また揉め事を起こすらしいわね?」
「うぁ………ハハハ」
そっかぁ………。
ウワサ、立ってるよなぁ…………知ってた………………。
あ、福島先生!
あの可愛い先生がストレスで悪夢を見てしまう!!
「先生の快眠のためにやめておくか……?」
「何の話をしているのかわからないけれど、揉め事に巻き込まれているのはわかったわ」
コーヒーを飲んで立ち上がり、僕の方に近づく。
「……なんだよ」
「あんまり、無理はしないで。なんやかんやで、あなたを高く買ってるんだからね」
それだけ言うと、玄関からこの部屋を出ていった。
「なんだよ………わざわざ探して話すことが僕の心配って……………」
僕は苦笑いしながら、今日初めての一人の休息の時間を始めた。
チラリと学習机の上を見た。
そこには、完成途中の何かの基盤と、さっきの爆弾の起爆スイッチが置いてあった。
帝の休日は、案外忙しいのであった。
うらめもっ!
ドゴオオオオオオオオオオオオ!!!!
「…………あ。この音、わたしが帝の部屋に置いた爆弾………。結局、自分で押ささっちゃうんならもうどうしようもないなぁ…………」




