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この未来なき世界 ~自由を求めた少女の物語~  作者: いから
It's more blessed to give than to receive
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回廊の決戦

地下は「広間-廊下-広間」みたいな間取り

お互いを確認した両者は、その刹那銃の引き金を引いた。


廊下は一直線なだけあって銃弾を避けるのは容易ではないが、ところどころに窪みや配管の遮蔽物がある。


咄嗟に私は廊下に滑り込み射線を切った。

しかし運悪く移動中1発の弾が横腹に命中した。


「痛ったぁ……」

瞳は横腹に着弾した弾丸を激痛に悶えながら、無理やり引き抜いた。


拡張弾頭。


対人用は条約で禁止してるが、瞳はEAO。容赦はない。


しかし、普通なら前みたいに球を逸らせたはずなんだけど力がうまく入らなかったな……


てことはあの素材を使ってるな。


この弾丸はEAO粒子のエネルギーとその作用を打ち消す性質のある「反EAO粒子」が組み込まれてできている。

EAOの体では、EAO粒子がぶつかり合ったり、そもそもエネルギーにしなかったりで生み出すエネルギーに調節している。


だが、それでも自身のエネルギーで自壊するから、そのエネルギーを抑えるために体内で反EAO粒子を作るのだ。


この粒子はEAO粒子と同じ性質だが、粒子崩壊でエネルギー放射をしないから透明性も失わない。

人間にとっては安全。


だからEAO波長のエネルギーが打ち消されてその素材の弾丸は操れない。


人間の技術すごい。どうやって加工してるのやら。

でも私は負けられない。


瞳は体から引き抜いた弾丸を地面に落とし、敵とは逆方向に銃を撃った。

次々と撃った弾丸は物陰からUターンして敵の方に向かっていく。


Uターン時の音との時差と私がいないところからの狙撃だ。

流石に熟練の兵士でも対応するのは難しい。


1マガジン打ち終わり、交換しながら素早く前進する。

その時見ると敵はすでに壁の裏に隠れていたが、3人が倒れ引きずられているのが見えた。


その時、先に体制を整えた1人の銃弾の嵐が襲った。


「まっずぅ!……」

弾丸が壁に衝突し当たり跳弾する音が長い廊下で響く。


瞳は弾を避けようとすぐさま近くの物陰に飛び込む。

だがそれでもこの攻撃には避けきれず、左足が貫通するほどにえぐれてしまった。


すごく痛い。


でも相手に体制を整えられても困るので待ってられない。

あと、EAOとなるとこれぐらいの怪我はなんてことないのだ。


「ここでこれを使うのが賢明だな」

私は左手に持っていた4枚の円盤を宙に浮かした。


対戦車地雷だ。


これぐらいしないと人数には勝てない。目測で敵陣まで85m……数秒で着く。

私は手榴弾を浮かべた。


起爆装置である手榴弾と共に投げ込まれた対戦車地雷はEAO波長のエネルギーで一気に加速する。

敵は撃ち落とそうと銃を撃っている。

でも今頃撃ち落とそうとしてももう遅い。


地雷が敵陣につくと同時に手榴弾は起爆し、それに誘爆した地雷は轟音を高鳴らせ爆発した。

腕と思わしき物体が飛んでくると同時に煙がここまで立ち込める。


「げほっ、げほっ……見に行くか」

私は手で口を覆い隠し、目を細めて駆け足で近づいた。


広間はあまりにも悲惨な状態だった。ありとあらゆる場所に赤い泥がこびり付いている。

私は顔をしかめつつも廊下の空間から広間の空間に足を踏み入れた。


その瞬間、悪寒が走った。右に目線を向ける。

「人類……舐めんなよ……!」


声に気づくと、米兵に右胸をショットガンで突きつけられている。なんでまだ生きてるの?

私はそう思いながらも必死に体を捻り避ける──


しかし間に合わなかった。


至近距離で胸を撃たれる。右の肺から背中まで貫通し、上半身の4分の1ほどの大きな風穴が開いた。

私は衝撃で倒れ込む。


「うぐ……はぁ、ちょっとやめ…………あれ?」

私は次弾に怖がり情けない声が出たが、それは来ることは無く相手は力尽き後ろに向かって倒れた。

恐らく最後一矢報いろうとしたんだろう。


私は呼吸を整えながらゆっくりと立ち上がる。

EAOの生命力は伊達じゃない。これもEAO粒子のエネルギーで細胞が活発だからだ。

4時間もすればこのくらい治る。ん?意外に遅い?またまた……


「はぁ、はぁ、まだ、戦いしか終わってない」


私は大量の血が垂れる胸の傷口を手で抑え、よろめきながらもセーフルームへと向かった。

最後で最初の戦いは華々しくはないが勝利で終わったのだ。

次は米兵視点

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