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出入り口

バントン現象扱いずらいよ

アメリカ ニューヨーク旧郊外



ジリリリリッ……ジリリリリッ……


「メンケバーク補佐官、大統領から電話です」


「大統領ですか……ええ分かりました、渡してください」


メンケバーク補佐官は「ありがとう」と言い、電話を受け取る。



ガチャッ



「大統領、国家安全保障問題担当大統領補佐官のヘンリー・メンケバークです。まず、先に伝えた通り今日のNSC(国家安全保障会議)には参加しませんよ。………ああ、やはり例の、欧州の件ですか?」


道の脇が荒れ地となった廃墟の都市を走り抜けるメンケバーク補佐官が乗ったこの車。

後続には大きなトラックもある。


道の先には高いフェンスとゲートがあった。


このフェンスには数十メートル置きに監視カメラやセンサーなどが設置されおり、時折、武装した軍が侵入者を監視している。

もちろんゲートは特に厳重に警備されているのだ。


そして、道の両脇には高いビルは一つもなく、災害が起きたかのように荒れ果てた廃墟。

地面にはところどころ爆発痕のような大きな窪が点在し、更に奥には更に大きいクレーターが薄っすらと見えていた。


『その通りだ。先月の22日、ヨーロッパ(●●●●●)で2つのEAO粒子によるアダム粒子壊変、所謂バントン現象を欧州EAO研究機構(SERE)が初めて人工的に再現することに成功した』


「そんなもの、10年以上前に名付けの教授自らが再現していますよ。つまるところに、私達が第一に警戒するべきはその5日後、世界(●●)で初めて人工EAO生命体の作成に関して著した論文を一般公開したことです」


補佐官の乗った車が出口用ゲートの前で停止した。


コンクリートで固められたこのゲート付近にはの20人あまりの完全武装の兵士や州警察が立っている。

助手席に座っていた部下は車から降りてゲートの門兵に駆け寄り、会釈を交わし始めた。


『それこそ、なぜ今頃だ?だ。理論だけなら30年前のアメリカで判明している』


「今頃? 彼らは私達とは違い、既に一からの作成に成功していますよ」


『バントン現象でだろう?』


「その成功の5日後に都合良く作れるでしょうか? 四、五年前のロシア連邦のEU加盟が影響したと言って過言ではありません。彼らは私達のEAO化学技術にたった数年で追いついていたのです」


ゲートへ行った部下が帰ってきた。

部下が助手席に座りしばらくすると厳重に閉ざされていたゲートの扉が開いた。


車とトラックは発進してゲートをくぐり抜ける。

ゲートの外も見る限りも住宅街はほとんどなかった。


『……つまり、あと数年すれば米欧のパワーバランスが覆る可能性があると』


「対EAO粒子研究の弊害でしょう。しかしながら、それがアメリカの強みでもありますが………おや、すみませんがそろそろまた仕事がありますので、この件はまた今度にしましょう。これが会議の助言となったことを祈ります」

メンケバークは腕時計の羅針をちらりと見てそう話す。


『ああ、分かった。NSCの内容はいつも通り部下を通して報告しておく。シンプソンの件に関する重大な報告も同様にだ。では……』


「ええ、では」

メンケバーク補佐官はそう言って通話を切断するボタンを押した。


そして高級感のある座席のシートに深く背をもたれさせ、窓の外を見た。

もう風化してボロボロになったブランコがメンケバークの目にふと映り込む。


かつてニューヨークの子どもたちが遊んでいた、そんなふうに感じられる場所だ。


「ニューヨークもすっかり変わってしまいましたね、シッシッ、とっても、目覚ましい眺めですねェ」


もう遠くなりつつある高いフェンス。


そこには2つの標識が貼られている。

一つはEAO波長汚染標識。そしてもう一つは――――



------------




リリリ……ジリリリリッ……ジリリリ


また同じ、めざまし、天井、朝が来た。

私はアイロンで無駄に綺麗に用意された制服に着替え、家を出る。




私は学校の門をくぐった。

掲示板の前にはたくさんの人がざわめいており、私の耳にもその声が聞こえてくる。


「やったー! また同じクラスじゃん!」


「ほんとだ! え待って。美久、彼氏と同じクラスやん」


「ほんまそれな、ていうか読むな見るな」


私は自分の名簿を確認し、すぐに掲示板を離れて教室に向かった。




「なあなあそう言えばクラス表のこのクラスにもさ、去年いなかった人の名前あったよな?」


「このクラス?」


「うん、このクラス。たぶん浪人生…か転校生? のどっちかだと思う。 他組の方は留学生かなんかだろうけど」

私の前の男子達が興味深い話をしている。


一方の私は、この学年の生徒の名前をほとんど把握していないため、判断のしようがない。

だが、転校生、私はその転校生と生涯関わらない、れないだろう。

どうせ、数日後にはどうだっていいことになっている。


しかしやっぱり気になった私は、聞き耳を立て男子達の話を注意深く聞いていた。


「その人女子? まあでも付き合うなら顔面次第」


「顔面言うな。あと木村は彼女持ってるやろ、いてこますぞ」


「いてこますんじゃねー、あと俺春休みに別れたって」


「まじで? なんで別れたん?」


「いやー佐知と春休み遊びに行ったときに、色々あって別れた」


「色々って何やねん!」


…ホームルームが始まるまでうつ伏せになっておこう。

興味があった話がすぐ変わり落胆した私は、体を横にした。


新しい先生が教室に入ると、生徒達は号令をかける。

生徒達が着席したあと、先生は簡単な自己紹介を済ませた。


「えーあと今日は、みんなの自己紹介はこれから互いのことを知っていけばいいんだけど、転校生がね、このクラスに入るのよ。だからね、一応自己紹介してもらうね」


先生はそう言って扉の向こう側に目で合図をかけた。


しかしすぐに入ってこない。先生は扉の方へ寄ってまた合図をしに行った。

そして、ゆっくりと扉は開き出す。私は六分の驚きと四分の好奇心を下に、その扉を見ていた。


入ってきたのは女性だった。


その人はまるで、裸足で氷上を歩いているのかと考えるぐらい、小刻みに体を振動させて震えていた。

その足は一歩、一歩と懸命に進み、大変見てられないものだ。

しかし、生徒達は見世物小屋を覗くように、心配と不安、はたまた別の生徒は軽蔑的な眼差しでその足取りを見ている。


その人は教卓に上がり、私達の方を向いた。

その人は自分の服裾を掴み、下を向けていた面を上げた。


「…っ……ぉ、この高校に転校してきました、開原瞳です。よろし、よろしくお願いします…」

そう言った。


教室に座る一人の女性、目黒渼麗は、思わず反射的に目を見開き、耳を紅潮させていた。

そしてその耳に触れると、その熱はすぐに手へと伝っていったのであった。



2010年4月7日 


この日は両生学園高等学校の始業式である。

内容が薄い…文字が少ない…(前の話でも言った)

あとアメリカ視点多いのなんなんでしょうね?

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