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この未来なき世界 ~自由を求めた少女の物語~  作者: いから
It's more blessed to give than to receive
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推測行動

扉がゆっくりと開いた。


あれ、鍵かかってないじゃないか? いや、相手は合鍵を持ってるのか。


俺は開いていく扉に銃を構えた。

唾を飲み込む音が異様に大きく聞こえる。


半開きの扉からひょいとその姿が見える。


あれ、あいつは……


「ちょっとちょっとベドナレクさん! 銃構えないでくださいよ〜」


「……は? べニートお前なんで今来たんだ?」


べニートは俺の部下の一人で、時よりウザいが一番優秀なやつだ。

今彼は船の工作員として船員をしているんだが、今ここに来るとは思わなかった。


「来たのは俺だけじゃないっすよ。ほら、ヴィギニスとアンゾンも後ろにいます」


「そうだーおれもいるんだぞー」


「はい、私もいますね、はい」


初めに喋った方はヴィギニスだ。はっきり言って脳筋とでも言えよう。

二人目はアソゾンで、機械関係に精通しているがそれ以外はクソ。以上!


俺はこいつらまとめてミディアムスリーと呼んでいるのだが、これはまた別の話……


「何できたんだって聞いてんだよぉ!このバカ三銃士め!」


「えーとそれはっすね、瞳さんに『strongarm』の国籍を取るためのデータ送って欲しいので来たんすよ」


「……俺でもいいじゃないか。あと連絡は?」


「まーまーそれは置いといて、『storongarm』はどこですか?」


どうやら連絡してなかったようだ。これだから報連相できない奴は……


「瞳とプール行ったよ、帰ってくるように連絡しとくわー」


「お願いっす」


「え、もしかして瞳ってショートヘアのあれか? おれやっちまったかもしれん……」


「ヴィギニス、おつかれ!」

すかさずべニートはそう言う。


俺はヴィギニスの発言の意図が汲み取れず困惑したが、べニートの表情を見る限り大体分かったのであった。



------------



「寒い……ストロンまだかな……」

私はベンチで凍えながら座り、体をさすりながら待っていた。


その時、ちょうどメールの着信音がした。

私は携帯を手に取り内容を見る。


『ミディアムスリーが来て、国籍取るためのストロンのデータ欲しいって言ってるから瞳たち一度帰ってきてくれー』


「了解……だけど、ミディアムスリーってなんだっけ? えーと……」


確かミディアムスリーって、ニックが自分の部下3人に向かって言っている言葉だっけな。

べニートと、ヴィギニスと……あとアソゾンだっけな。


……あ、もしかしてあのエレベーターにいた人達って……そう言うことか。

見ない間にたくましくなったなぁ。態度は横柄だけど。


私は『了解』と返信して、携帯をポケットをカバンにしまった。


「瞳、着替えたぞ。海見に行こう」

着替え終わったストロンがちょうど更衣室から来た。


「ごめん、ちょっとニックがストロンに用事あるからって帰ってこいって言ってるから一旦帰ろう。いい?」


「いやいや謝るほどじゃないよ。じゃあまた次回は見に行こうな」


「うん、次は行こう!」


私たちはそう言ってエレベーターに向かった。


「そういえばさ、言うの忘れてたけど俺、高校行くことにした」


「えぇ! 本当に!? まだまだ考える時間はあるし、日本語も覚えるのも大変だよ?」

私は驚きながらエレベーターのボタンを押しながらそう言う。


でもちょっと嬉しい。


「まあ言語覚えるのは得意だからさ、それに俺は学校行ったこともないから楽しみだし、瞳のためでもあるから」


「えぇ……私のためって言われるとなんかなぁ」

私は少し照れ顔になり目を逸らす。


「そう言えば瞳って可愛いけど何歳なの? ちなみに俺は今年で15歳」


「可愛い……いやいや! 私の年齢は一応14歳で同じなんだけど色々事情があって……」


「事情?」


「うん、本当は21歳なんだ」


「まじか、でも身長とか風格とかは14歳の方がしっくりくるぞ」


「そうなんだよねー、なんで覚えてないけど14歳から体の成長がなくてね……記憶が曖昧なことに関係してるのかしてないのか……」

私はエレベーターに乗り込みながらそう言う。


「記憶?」


「そう、中学にいた時の記憶が……いや、この話はやめよう。気分が悪い」


「……分かった。」


私は片手で頭を当て、壁にもたれた。

静かな空気が気まずくもエレベーターの中に漂う。


「瞳、エレベーター着いたぞ」

ストロンはぼーっとしている私にそう声をかける。


「もう着いた? 早いなぁ」

私はそう言いながらエレベーターを降りた。


「あ、そうだ、ニックの用事ってなんだ?」


「ニックの部下がストロンのデータ欲しいってさ、早くこいって。」


「ふーん、ニックって部下いたんだな、どんなやつ?」


「あーそうそう、それでその部下たちが面白いんだ〜。一人は彼女いた歴1日で──」


私は部屋に着くまで、しょうもなくも日常的な会話をしながら長い道を歩いた。


話している時の私は笑顔が溢れている。


いつの日か私たちが、いつもこうやって話せる日が来る時。

それこそ望んでいた世界なのだろうか?

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