ミートパイ
歩いて数時間、私達はシドニーに到着した。
街はさっきの街以上に活気に溢れており、高層ビルが当たり一面にに立ち並んでいた。
「このミートパイ美味しい~!」
私は左手にミートパイ、右手にもミートパイを持ってパクパクと歩きながら食っていた。
さっき店で売っていたものを買ったのだ。
作りたてのミートパイは香ばしい匂いがして、口に入れた瞬間その味が広まる。
「……てかこんなに観光してていいの? 危険じゃない?」
私は今更ながら気づき、ニックの方を見た。
「まあ米軍関係者も見当たらないし、ちょっとぐらいはいいと思うぞ。まだ事件がバレてないみたいだなぁ」
ニックはそう言って口の中にミートパイをまるごと一つ入れた。
「……あ、そういえばなんでメキシコに行くんだ……?」
ミートパイを早々と食べ終わったストロンは、ふと疑問に思いそう呟いた。
「んん? ああそれは国籍を取るた……パイ美味しー!」
「……メキシコの国籍?」
「ゴックン うん、そだよー」
ニックがミートパイを喉の奥に送り込み、一息ついた後にそう頷いた。
「今のメキシコ政府はESPって言う組織と繋がっていて、俺たちはそこと信頼関係があるからすんなりと国籍取れる訳。」
「ESP?」
「うん、EAOの保護活動やってるところ。いいやつばっかで楽しいんだ」
私はミートパイを頬張りながら自慢げに話した。
こうして自慢できるのはニックいる時だけだし……
「へーでもなんで国籍なんて取る必要あるんだよ。ずっと隠れとけば――」
「まあまあ、理由は後で教えるよ! ほらほらあれ見て、オペラハウスだよ!」
ミートパイを完全に食べ終わった私はそう言って海沿いに駆け寄り指を差す。
世界遺産のシドニー・オペラハウスだ。
夕焼けに照らされたその建物はどこか神々しさを出していた。
「あ、本当だー初めて見たよ」
ストロンも観光に来たかのように薄っぺらく喜んでいる。
他にも毎日たくさんの行き交うダーリング・ハーバー、広大な白砂が広がるボンダイ・ビーチなどなど、ここでは紹介しきれないほどの観光名所がここシドニーには存在している。
観光目的ではないが全部行きたいぐらいだ。
「お前ら観光楽しんでるなー………おっ、もう6時だ。じゃあここで一旦解散なー」
ニックは腕時計を見るなりそう言い、フェリーの方に小走りで向かっていった。
一度なにもないところで転けそうになったのは内緒だ。
「ばいばーい」
私は大胆に手を振り、ニックを見送った。
私達も行かないとね……
「じゃあ……私達は海、行こう」
私はストロンから少し目をそらして言った。
「そうだな、行くか」
ニックと私は少し距離を開けて、海を目指して歩いていった。
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日はますます沈み、そして夜になった。
「ああ、ありがとう」
ニックはそう言ってパスポートを受け取り、窓口を後にした。
もちろん偽造だ。
にしてもEAO波長測定機で検査されなかったな……まだ米軍にバレてない?
予想では1日ほどで異変に気づき事件発覚だと読んでいたが……
まあ、以外だが良い誤算。
でも、これだったら瞳もあいつもここから行けて面倒ごとも省けたな……まあいいか。
「ふぅー あとは瞳たちがこの船に乗るだけだな。失敗してスクリューに巻き込まれるなんてバラバラにならなければいいんだけどね」
ニックは瞳がいる方向を見ながらそう呟き、フェリーに続く階段を登っていった。
進展が少ないけど許してください。
ミートパイってオーストラリアにあるですかね・・・




