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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

魔王よりも恐れられている女装勇者

作者: 神無月蓮晃

新作を投稿します。

「お世話になりました」

「此処はとても感じの良い宿屋ですね」

「ベッドは上質でしたし、シーツとかも清潔でした」

「‥‥‥はい」

俺達は宿屋の主人に感謝の言葉を告げたが、物凄く怯えられてしまった。

どうやら勇者パーティーである事がバレてしまったようだ。

実は俺達は魔王を討伐した勇者パーティーだ。

とある目的の為に今でも三人で勇者パーティーを組んでいる。

ちなみに俺は勇者で、アカネは魔女で、ミドリは聖女だ。

俺達は三人とも黒髪で黒い瞳なのだが、この大陸では珍しいらしく、目立ってしまうのだった。

最近になって気付いたのだが、何故か俺達は魔王よりも恐れられている。

特に男に恐れられているように感じる。


「すっかり怯えられてしまったわね」

「やっぱりアオイは女装すべきです」

ミドリがとんでもない事を言い出した。

「絶対に嫌だ」

女装なんて、冗談じゃない。

「こら、やめろよ。女装させるな」

「そんなに暴れないでよ」

「観念して、大人しくして下さい」

俺は猛烈に抵抗したが、二人に女装させられてしまった。

「‥‥‥」

「そんなに不貞腐れないでよ」

「とても似合っていますよ。馬子にも衣装です」

それは褒め言葉になっていないだろう。

俺は益々不機嫌になった。


「ちょっと待ちな」

「此処から先は俺達の縄張りだ」

「通して欲しければ、通行料を払いな」

「通行料は少し高いぜ」

「つまり持ち物を全て置いていけと言っているんだ」

お約束通り盗賊達が現れた。

機嫌が悪い時に限って、ゴキブリみたいに這い出してくる。

「鬱陶しいから、今すぐ俺達の目の前から消えろ」

「早く逃げた方が良いよ」

「さもないと死にますよ」

今の俺は機嫌が悪いから、手加減出来ない。

だから今すぐ消えろと忠告してやった。

「おい、聞いたかよ」

「女の癖に生意気だな」

「お仕置きが必要みたいだな」

「女三人で俺達に勝てると思っているのかよ」

「勇敢なお嬢ちゃん達」

さっさと消えないどころか、戯言を吐きやがった。

「女三人だと。お嬢ちゃん達だと」

「あぁ、知~らない」

「私達の忠告を無視するなんて、馬鹿なのですか?それとも自殺志願者なのですか?」

アカネとミドリが憐れむ視線で、盗賊達を見つめた。

「ふざけるな。俺は男だ」

「男だと」

「お前はオカマか?」

「気色悪い」

「変態」

「男女」

「‥‥‥ふ・ふ・ふ」

「あぁ、マジギレしちゃたよ。お気の毒に」

「ごめんなさい。マジギレしたら、私達でも止められません」

「誰がオカマだ。気色悪くて、悪かったな。俺は変態でも、男女でもないぞ」

「「「「「ぎゃああああああ」」」」」

激昂したアオイが盗賊達の股間を蹴り続けて、不能にしてしまった。


俺は容姿が女みたいだが、立派な男だ。

それなのに前々から連れの二人が俺に女装を強要する。

その方が勇者パーティーだと気付かれにくいからだ。

それ以外にも理由がある。

一つ目は馬鹿な男達に奢らせるのに、都合が良いからだ。

二つ目は男が一人で女が二人だと侍らせていると思われて、嫉妬する男達に絡まれてしまうからだ。

もっとも女三人だと別の意味で、絡まれてしまう事もあるけどな。

三つ目は惚れた弱味で二人に主導権を握られているからだ。


「銀貨十七枚に銅貨五十三枚か。後は武器と防具だな」

盗賊達の所持金と武器と防具を奪ってやった。

大した金額にはならないだろうが、次の町で武器と防具を売り飛ばそう。

おまけで衣服を全て剥ぎ取って、燃やしてやった。

「暫く全裸で過ごしやがれ」

捨て台詞を吐いて、次の町に向かった。


「銀貨二枚と銅貨三十枚か。宿代にしかならないな」

武器と防具を売ったが、予想通り大した金額にならなかった。


「お嬢ちゃん達、一緒に飲まないか」

「何でも奢ってあげるからさ」

「変な事はしないから、良いだろう」

「お嬢ちゃん達だと」

酒場で気持ち良く飲食していたのに、酔った男達が絡んできた。

コイツらも、お嬢ちゃん達だと言いやがった。

更に俺達に馴れ馴れしく、触ろうとしやがった。

「触るんじゃねえ。それに誰がお嬢ちゃん達だ。てめえら、全員死ね」

「「「ぎゃあああ」」」

男達の股間を次々と蹴り潰した。

酔っているから、手加減出来なかった。

「おい、あの三人組って、勇者パーティーじゃないのか」

「間違いない。あいつは股間殺しの女装勇者だ」

「恐怖の急所潰し魔王だ」

「逃げようぜ」

「触らぬ神に祟りなし」

男達が怯えて、酒場から逃げ出した。

しかも変な二つ名で呼びやがった。

「ふざけるな。誰が股間殺しの女装勇者だ。恐怖の急所潰し魔王だ」


「望み通り急所を潰してやる」

「「ぎゃあああああああああ」」

変な二つ名で呼んだ男達を追いかけて、急所を蹴り潰した。


「あんたが見境なく股間を蹴り潰すから、男達に恐れられるんだ」

酒場の主人に苦情を言われて、俺達が恐れられている理由が判明した。


「つまり私達が恐れられていたのは、アオイが原因だった訳だ」

「どう責任を取ってくれるんですか」

「ごめんなさい。猛反省しますから、許して下さい」

その事で二人に深夜まで、正座させられて、激しく叱責されてしまった。


「アカネ、ミドリ、おはよう」

「「‥‥‥」」

翌朝になっても、二人は不機嫌なままだった。


「それじゃ冒険者ギルドに行ってくる」

「待ちなさい。私達も行きます」

「また暴れられては、困りますから」

朝食を終えて、冒険者ギルドに行こうとしたら、二人も同行すると言い出した。

どうやら俺が暴れると思ったらしく、信用されていない事を痛感した。


「君達は女性だけのパーティーなのかい」

「もし良かったら、僕達とパーティーを組まないか」

「歓迎するよ」

冒険者ギルドに到着した直後に声を掛けられた。

「お断りよ」

「結構です」

「鬱陶しいから、今すぐ消えろ」

「そんな事を言わないでさ」

「守ってあげるから」

「大切にするよ」

速攻で拒否してやったのに、しつこく絡んでくる。

「アオイ、お願い」

「特別に許可します」

「オッケー、任せな。お前達、覚悟しろよ」

「「「ぎゃあああ」」」

俺は男達の股間を思い切り蹴りあげてやった。

「「「「「‥‥‥」」」」」

騒がしかった周囲が静寂に包まれて、怯えるような視線を向けられた。

「聞きたい事がある。右の瞳が金色で、左の瞳が銀色で、紫色の髪をした若い男をギルドで見かけなかったか」

周囲の連中はスルーして、受付嬢達に尋ねた。

「いいえ、そんな人を見た事はありません」

「私もありません」

「そうか、邪魔したな」

どうやらあの男はこの町に来た事がなさそうだった。

「あんた達はどうだ」

「「「「「‥‥‥」」」」」

一応周囲の連中にも尋ねてみたら、全員が無言で首を横に振った。

そんなに怯えるなよ。

よほど股間を潰されたくないらしい。

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