〇【魔族】公爵との闘い(1)
「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお~~~」
『きききききききききききききききききききききききき~~~』
まずは、少しでもこの場を離れよう、距離を取ろう、逃げよう。
オレと手長猿の叫びが、かすかに森に響き渡る。
明らかに、急速に近づいてくる【魔族】の存在。
実際のところ、誠二は論外として、セージもスポーツエリートのように超人的な肉体を持っているわけではない。
【魔族】の発する強い悪寒に、オレも【地神】も恐怖に慄きつつ、何故か冷静にこの状況について考えている自分がいる。
魂の融合。
神様のいうとおり、セージ・ウォレスと桂木誠二という魂の融合に違和感は生じなかった。
実は、人間って生まれつき、性格はそこそこ決まっているっていう。
セージも誠二も、もともとの魂は一緒だったわけだから。
その一方で、2つの人生を生きたという実績はある。
だから、普通に【魔族】に追われて恐怖に慄く自分と、それを客観的にみている自分がいるって感じ。
その客観的な自分は、「すぐ使わないといけない1回きりの魔法」の使い方を知ろうとする。
『きききききききききききききききききききききききき~~~』
「ぜえぜえぜえぜえ、ねえ、この魔法ってどう使うの」
『おおお、あるじどの、意外に冷静であるな。この魔法は【巻物】なので、呪文の詠唱は不要。相手のいる方向に右手を向けて、【魔法を発動する】を意識すればオッケーなのだ。』
「ぜえぜえぜえぜえ、じゃあここで【魔族】と対決だ。ちょっとでいいから、【魔族】を止めてくれ、いや、止めてくださいお願いします。」
『ええええええええええええええええええええええええ~~~』
えええええ~じゃないよ。あんた神様だろ、一応。
いかに戦闘力が皆無らしいとはいえ、神にいたる上位精霊だろ、あんた。
何故か、心の中でつっこむセージがそこにいた。




