〇検証作業、人はそれを人体実験という。(4)
「あのさ、滅魔魔法を使ったのだから、【魔族】は消滅したんじゃないの?」
ウィッキー君がくりくりした眼差しをオレに向ける。
『【神族】にしろ、【魔族】にしろ、本当はこちらの世界に存在しているわけではないのだ。だから、こちらで姿を顕現させるのには膨大な魔力が必要になる…その魔力を霧消させ、こちらで力を行使できなくするのが【滅魔魔法】なのだ。あの【魔族】は公爵クラスの【魔族】だったから…』
「それって、とってもハイレベルな存在なの?」
『公爵クラスの【魔族】だと、もう、半分は【魔神】の領域に片足突っ込んでいる存在なのだ…』
ちょっと自分の手をグーパーグーパーしてみた。
人と握手したら、相手の手がぺしゃんこになるとか…
それは、ちょっと堪えてほしい。
『変な話。英雄レベルの冒険者が、単騎で公爵級の【魔族】と対決しても、まずもって、勝ち目なんてないのだ。あるじどのがそんな存在を魔法の一撃で消滅させたとしたのであれば、パラメーターがそこまで上昇しても、あまりおかしい話ではないのだ。』
一人(一匹?)納得している手長猿。
引き続き茫然としているオレ。
「じゃあ、なに?これってトレーニングしたら、Sレベルまで上昇するの?」
『然りなのだ、あるじどの。パラメーターは上限を挙げるのに苦労するのであって、上限まで上昇させるのは、日々のトレーニングで全然可能なのだ。』
ううむ…
全パラメーター、Sレベルかあ。
こうなったら転生チートだ、転生チート。
今こそ、まさにオレの人生が変わった瞬間なのだ。
※嘘です。人生が変わった瞬間は、魂の融合の時です。分かっていっています。
☆
ということで、運動着兼作業着に着替えて、毎朝、【王都】の東側にある【憩いの森】をランニングすることにしよう。




