〇転生チートではない。(セージによる詳細なステータス解説)(4)
だいぶ、日が傾いてきた。
かすかだけど、本当にかすかだけど、かなり距離は離れているけれど、何人かの人の気配を感じた。
どうも、ウィッキー君も同様だったらしい。
ほんの少し進路を変更し、そちらの方向に向かう。
クエスト中の探索者か、盗賊か、それともオレを探している王立学園に雇われた探索者か。
感覚:A/? 感覚機能の評価
感覚Aレベル(超一流ってところ)のオレは、その一団がセージの名前を呼びながら進んできていることを認識できた。
これで、【王都】に戻ることができる!
ということで、人体実験の悲劇に遭わないよう、救助隊の皆さんにどう説明するかを考えることにした。
ウィッキー君との厳正なる協議の結果、
・気がつくと、森の中にいた。きっと【魔獣】に引っ掛けられた。だって、攫われたのなら今頃、命はないもん。
・運が良く、救助隊が1日で探索できる範囲で、【魔獣】から逃れることができたらしい。
・森で遭遇したときの常識として、体力を温存して救助を待つため、その場を一歩も動かなかった。
・救助隊の声を聞いて、そちらに向かった。
・手長猿は、じっとしていたとき、たまたま拾った。もともと人に飼われていた…おそらくテイム中の手長猿が、やはり【魔獣】に引っ掛けられたらしい。人に慣れた手長猿がいたから、パニックにならなかった。
・手長猿は、特に首輪とかしていないので、所有権はオレに帰属する。
まあ、ご都合主義的なところが多いけれど、何より、手長猿とともに少しやつれた(厳密にいえば、過剰に脂肪を消費した)オレが、そこそこ元気でいることが何よりの証拠だろう。
くれぐれもボロを出さないようウィッキー君に念を押し、あれでも盗賊かも知れないので慎重に見聞きしつつ、救助隊と思しき一団に近づくことにした。
夕刻の【大樹海】の中に盗賊なんて、まあ、いるわけもないのだけれどね。
☆
目の前で女の子がぷるぷる震えている。
ちょっと戸惑ってしまう。
【並列思考】の誠二側が、ええ、俺ってちょっとリア充っぽい感じだったのかよ、ちょっと軽いイジメにあっていて肩身が狭いんじゃなかったのかよ、と思ってしまう。