髪の毛&宇宙人
二つのショートショートが入っています。
髪の毛
佐藤氏は、髪の毛の生えすぎで困っていた。
ふつう、髪の毛で困ることといえばはげだが、佐藤氏の髪の毛は、どんどんと伸びていったのである。
三ヶ月前まではほとんど坊主なみに髪の毛が短かったのだが、今はもう腰のあたりまで伸びている。
ある日のこと、佐藤氏は発毛薬品をとりあつかっている会社に相談してみた。
「髪の毛を抜くことができる薬はありませんか。」
「ありますよ。使ってみますか。」
「ありがとうございます。おいくらですか?」
「三万円です。」
少々高いが、まあこれも仕方がない。佐藤氏はさっそく薬を持ちかえって、頭にふりかけてみた。
三ヵ月後、佐藤氏の髪の毛は完全になくなって、頭ははげあがっていた。
「なんという薬だ。はげちゃ意味がないじゃないか。」
宇宙人
ある日、地球に怪しげな光の物体が墜落してきた。
光は、案の定UFOであった。
UFOからは、緑色の三頭身ほどである目が赤い生物がでてきた。これが、宇宙人なのだろうか。
「※◎;}?;(’?!”」
なにやら喋ったようだ。だが、意味がわからない。
地球人は、何だかわからないというジェスチャーをした。
すると、宇宙人はカプセルのような薬を地球人に差し出した。
地球人が薬をのむと、宇宙人のことばがわかるようになった。
「おれは、宇宙人だ。手厚く出迎えにあがるように。」
宇宙人は、かなり態度がでかい。
宇宙人をパーティに招待した地球人は、ある異変に気づいた。
まわりにいる人間の考えていることがわかるのだ。
宇宙人にきいてみると、先ほどのんだ薬はテレパシーで相手の考えていることがわかるということを教えられた。宇宙人がこの薬をのんでいたとしたら、われわれの考えていることはお見通しなのだろうか。むやみに何かを考えることもできない。
宇宙人が帰ったあとも、薬をのんだ地球人は相手の考えていることがわかっていた。
だが、人ごみの中を歩けなくなった。脳が、人々の考えている情報を全てとりこんでしまうためだ。
とんでもない薬をのんでしまった。薬をのんだ地球人は後悔した。