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#7 理解、そして急転

外が少し明るくなってきた時に誠は目を覚ました。正確に言うと一睡も出来なかった。

いつも寝ているベッドは美郷に取られたためだ。


「…こいつ、マジでそのまま寝やがった」

昨夜、何故かベッドじゃんけんを吹っ掛けられ見事に負けた誠。

関係無いとベッドを取ろうとすると美郷からの

「大声出しますよ?」

という口撃にもう何も出来なくなった。


そのままテーブルに突っ伏して寝ようとしたが、やはり寝られなかった。


「ん、んん……」

時折聞こえる美郷のこの寝言が誠を更に悩ませ、眠ることなど出来なかった。


「今、何時だ?」

目覚まし時計を見ると朝の六時だった。

「…早いわ!」

つい大きめの声で言ってしまった。


「ん、んん、…うるせぇなぁ」

美郷が目を覚ました。


「朝っぱらから口が悪いな」


美郷は横向きになりながら話しかける。

「…まこっちゃん、朝ご飯は?」

「無いよ」

「買ってこいよ」

「何様だよ」

「美郷様、もしくは女神様」

「嫌だね」

「昨夜あんなことしたのに?」

胸を腕全体で隠した。


「何もしてません」

「意気地無しだもんね」

「…この野郎」

「それじゃ起きるかなっと」

美郷は起き上がった。


「…お前、よくスーツで寝られるな」

「………」

「美郷、よくスーツで寝られるな。ってか、これめんどくせぇ。何なの?そのこだわり」

「説明には五時間ぐらいかかりますけど?」

「じゃあいいや」

「あれは今日みたいに雨が降っていた日でした」

「いいやって言ったよね?あと今日晴れてるから」


「ちょっと!」

「何だよ…」

「スーツにシワが出来てる!」

「当たり前だろ!」


「あーあ、牛丼食べないと伸びないなぁ、このシワ」

「アイロンかけろよ」

「未来では牛丼を食べると来てる服のシワが伸びます」

「それは嘘だってわかるからもういい」

「つまらない男…」


「いいから安藤が事故に遭う未来が回避されたか見てこいよ」

「それは大丈夫です」

「…なんで?」

「梨々香さんのこど……うが私を目覚めさせました」

「マジで何を言っているのかがわからない」

美郷はまた香澄の事を言いそうになってしまった。

誰との子供か聞かれたら厄介なので誤魔化した。


「とにかく大丈夫なんです!……あっ」

「何だよその嫌な感じの、あっ」

「肝心のまこっちゃんの未来を見てませんね」

「…二十五年後?」

「はい、近所の小学生からゾンビ扱いされてるまこっちゃん」

「それは初耳なんだけど?」


「傷付くかなと思って言ってなかったですからね」

「じゃあ何故、今言った?」

「私がもっと傷付くような事を言ってるから、免疫出来たかなと」

「酷いこと言ってるって自覚はあるのな」

「まこっちゃんの性癖がわかったからね」

「…何を言っている?」

「ビンタした時、喜んでたもんね」

「記憶にございません」


「そんな事言うならもうビンタしてあげないんだからね!」

美郷は腕を組んだ。


「多分それ使い方間違ってると思うぞ。っていいから見てこいって」

「寝起きの女をすぐに働きに行かせて自分は家にいる男かよ。最低」

「言い方に悪意しかないな」


「悪意があっても怒らないんだね」

「……ん?何を言っている?」

誠は嫌な予感がした。


「悪意があったら怒るけど、無いだろ?…無いよ?…じゃあ怒るわけないよ。とか言ってたのに」

美郷は一人二役で誠と梨々香の会話を半笑いの状態で再現した。


「…どこで見てた?」

「真後ろ」

「いつから聞いてた?」

「何ブツブツ言ってんの?の所から」

「初めの方から聞いてたんですね!!」

「私、サイコパスじゃないですからね!!」

急に美郷は大声で否定した。


「それは安藤が言ったことだろ?」

「否定してくれなかった。いや、あいつは女神だよ。ぐらい言えよ」

「思ってないことは言いません」

「ケチ!」

「いいから行ってこいよ!飯は用意しといてやるから」

「ホント?牛丼特盛ね」

「あぁ、はいはい。って朝からそんな食うの!?」

「じゃあ行ってきまーす」

美郷は姿を消した。


「ったく、じゃあ買ってくるか」


誠は出掛ける準備をしようとしたが

「ただいまー!牛丼食べよー!」

すぐに美郷が帰って来た。


「早ぇよ!!」

「そりゃそうだよ!この時間に移動してくるんだから」

「たった数秒で買って帰って来ることが出来ると思うか?その辺予測して三十分後ぐらいに移動してこいよ」


「…ちっ!」

「なんで舌打ちしたんだよ」

「一理あるなって思って」

「一理どころじゃなく俺が正しいだろ」

美郷は悔しい顔、誠は誇らしげな顔をした。


「いんや?」

「どこがだよ」

「……」

「ほら!俺が正しい!何も言えないじゃん」

誠は美郷に指をさしながら、ハハハと笑った。


「未来じゃ発言権無いくせに…」

「その未来の歪みから変えろよ。って二十五年後でも俺は卒業してないの?」

「……」

美郷は悲しそうな顔をしている。

「表情で語るのやめろ!」



「あっ、そうそう。忘れないうちに言っておきますね。二十五年後のまこっちゃんは歩けてました」

「……歩けていた?歩けてなかったの?今まで」

「はい、動くときは平成初期に作られた車イスに乗って動いてました。病院で知り合った人から譲り受けたものみたいです」

「今から二十五年後で考えると約五十五年経った車イスか…」

「はい、でもさすが日本製と言うべきか普通に使えてるんですよね」

「へぇ…、そりゃすごいな。でも歩けるように変わっていたと」

「そうです。やはり足の怪我の時に病院に行ってたのが大きかったんだと思います」

「じゃあ安藤に感謝だな」

「は?それなら私じゃない?」

美郷は強い目で誠を見ている。


「…何したよ」

「走って行って、梨々香さんと黙ってろって言い合ってケンカして、……何もしてないですね」

話している内にうつむいていった。


「だろ?そういえば救急車呼んでくれた人って?」

「…さぁ?」

「いや、知ってるだろ?うっすらと記憶にあるからな?」

「…聞きます?」

「聞いたらまずい話か?」

「私を捕まえようとしてる人です」

「未来の警察って事か?」

「警察ではないですね、警察は過去に来ることは禁止されているので」


「ん?…何で?」

「私がいた未来の一年前なんですが、凶悪犯罪が起きたんです。そしてその犯人を捕まえようとしてた警察は結局捕まえられなくて、過去に戻って事件を起こす前の犯人を射殺してしまったんです」


「…まだ何もしてない段階で、か」

「はい、もちろんそれで未来では何も事件が起きてないことに変わりましたが、警察がそれをやってしまうということは悪用にも繋がる事にもなってしまうと一斉に批判が集中しました」

「悪用?あぁ、そうか、事件発生時の現場の証拠を捏造するとか出来るか。それで冤罪が発生してしまうと…」


「うわ、……そういうの考えつくとか引くわぁ」

「少し考えれば思いつきます」

「まぁとにかくそんな事があったので警察は来れません。もちろん過去を変えようと今ここにいる私は重罪です」

「じゃあどこの誰が捕まえに来てるんだ?」

「タイムトラベルを研究している研究所の所員です」


「…そもそもの疑問いいか?」

「私のスリーサイズは秘密ですよ?」

「それはとことんまでどうでもいい、そうじゃなくて」

「はいはい、何?」

「……何で過去に戻る研究をしたんだ?過去に戻るのは未来では一般的なのか?」

誠は少しイラッとしたが話を進めた。


「研究自体は初めはただの興味本位というか、出来たらいいなで始めたみたいです。そしたら成功してしまった」

「その始め方で成功するってすごいな」


「あと過去に戻るのは一般的ではありません。そしたら未来を変えたい放題になってしまいますから」

「だろうな。じゃあもう一つ」

「はい」

「美郷は何で過去に来れたんだ?」

「私はその研究所の元所員です。しかも天才的なエース」

「自分で言う?」

「私の入所で研究は加速して戻れる年数が伸びましたからね」

「…何年前まで戻れる?」

「三十年です。だからギリギリ私が産まれる前にも戻ることが出来ます」


誠は今の美郷の言葉に少し引っ掛かり、すぐにそれの原因がわかった。

「……え?美郷さんって三十歳なんですか?」

「急にわかりやすく敬語になりましたね…」

「いや、歳上とは思わなかったのでつい」

誠は美郷に対する態度を改めた。


「それは誉め言葉として受け取っておきますし、今まで通りで大丈夫です。未来では…未来では三十歳ってだけですから!」

美郷は未来ではの部分を強調した。


「三十歳で独身?」

「…今のはセクハラで未来では銃殺刑ですから、気をつけてください?」

「マジで…?」

「マジで」


「じゃあ話をすること自体ためらって出来なくなるな。セクハラって明確な定義無いだろ?」

「無いですね。私がまこっちゃんの行動や発言でセクハラって思ったらそれがセクハラで銃殺刑ですから」

「じゃあ俺は話すのやめる……」

「はい、未来のまこっちゃんはそういう色々な理由から人との交流を避けるようになりました」

「だろうね…。ってか独身かどうかも聞いたらセクハラなら婚活とかどうするの?」

「独身かどうか聞いてセクハラになる人とならない人がいますから」

「……あっ、そういうことね。お前なんか眼中に無いよって男から聞かれたらセクハラなのね」

「そういうことです。そして銃殺刑です」

「リスクがでかいな…」

「はい、なので生涯未婚率と出生率はこの時代よりも悪くなってます」


「…未来は大丈夫なのか?」

「まぁお見合いとか婚活パーティーとかが増えてますから」

「そこは未来型にはならなかったのな」

「…ですね。変わらずです。むしろ男性のほとんどがそういう相談所とかに登録してます。銃殺刑になりたくないですから」


「俺は?」

「入会金が用意できなくて登録してません」

「そうか…。金、貯めておくかな」

「まぁ貯金はそれ目的じゃなくても必要な事ですからいいとは思いますけど」


「で?他には?」

「何がですか?」

「いや、近々に何か起こるとか…」

「……牛丼を食べます」

「そこから一度離れようか」

「わ、私と離れたいですって!?やっぱり遊びだったのね!!」

「理不尽が過ぎる!!わかったよ!!買ってくるから待ってろ!」

「わーい」


「ったく…」

と言いながらも誠は牛丼屋に向かい、自分の並盛と美郷の特盛を持ち帰りで買った。


帰り道、自宅近くの公園の前を通るとまた前にも見掛けた少女が遊んでいた。


「あの子、またいるな。しかもまた親っぽいの近くにいないし…」

誠が少し見ていると少女が近付いて来た。


「あの時のお兄ちゃん!」

「ん?え?」

「たすけてもらってありがとうございました!」

「あ、お、おぉ、気を付けるんだぞ?」

「はーい!!」


「ん?」

誠は目を疑った。その少女に美郷が重なって見えた。


「あいつ、まさか…」

誠は走った。走って帰る必要は無かったが一刻も早く美郷に確認したかった。


自宅に着いた誠はすぐに扉を開け、中に入った。

「美郷!」

「あっ、お帰り!お兄ちゃん」

「…お兄ちゃん?」


また未来が変わっていた。美郷がこの時代に戻ってくる前までは誠とははっきりとした面識は無かった。

しかし牛丼を買いに行くという本来無かった行動を誠に取らせた為に美郷の中での誠の呼び方が変わっていた。

しかしそんなことよりも誠は美郷に言いたいことがあった。


「え?お兄ちゃんでしょ?何を今更言ってるの?」

「美郷、お前何て事を…」

「え?どうしたの?」

「何で!なんでこんなことのために俺なんかのために危険な事をしたんだ!!」


「……わかっちゃったの?」

「あぁ、あの時助けた女の子なんだろ?」

「…うん、そうだよ」

「何で…、あれと今回の事を天秤にかけても美郷の方がリスク高すぎるだろ!」


美郷は下を向いてから再度誠を真っ直ぐと見た。

「お兄ちゃん、私の家庭の事知ってる?」

「家庭?」

「うん、私のうちは母子家庭でね。お母さんは朝から夜までいなかったの」

「だから、一人で公園に?」

「そう、あの時も一人で遊んでた。お母さんが亡くなってから日記で保育園に入れられなかったって後から読んだけど」


「……それでどうしてここまで?」

「私ね、誰かに抱っこされたことなかったんだ。そりゃもっと小さい頃はあったのかもしれないけど、覚えてる限りでは無かった。お兄ちゃんに助けられるまでは」

「…あぁ、確かにそうして道路の端に移動させたな」

「あの時、人の手ってこんなに温かいんだって初めて知った気がしたの。そこから私も出来る限り手を差し伸べるようにした」

「それでどうしてこんなことまで」

「私がそういうことをするようにしてから友達にも先輩後輩にも恵まれた。でもお兄ちゃんは誰からも心配も愛されても無かった」

「……」

誠はショックで言葉が出なかった。


「だから今度は私の番だって思ったの!!」

「だからって……、割に合わないだろ!それで指名手配?捕まったらどうなるんだよ!」

「……どうなるのかな。ずっと捕まったままなのか。消されるのか」

「何で…何でそんなこと」

誠はその場に崩れ落ち、泣いた。


「天才なんだろ?お前が生きていればもっと色々な、例えば世界の歴史の真実を知れたり、もっと頑張れば何故地球が出来たのかも知れて人類の為になることが山ほど出来たはずなのに。それをこんな俺なんかの為に……」



「…わかんない」

「は?」

「わかんないよ、そんなの。私がそうしたいって思ったからしただけなんだから」

「…何だよ、それ」



「本当ね」

誠の後ろから香澄が現れた。誠は扉の鍵をかけていなかった。


「美郷さん、ここまでですよ」

香澄は銃を美郷に向ける。

美郷は胸ポケットに手を動かそうとするが、その前に腕を撃たれた。


「ぐぅ!」

美郷は撃たれた腕を抑えて倒れた。


「おい!撃つことはないだろう!!」

「違う!!今のは私じゃないわ!…ちっ!扉をすぐに閉めて!!私はカーテンを閉める!!」

誠は言われたとおり扉を閉め、鍵をかけた。

香澄も窓に銃を向けながらカーテンを閉め、美郷を部屋の反対側に移動させた。


「何だよ!どうなってるんだよ!」

「恐らくもっと上の人間が動き始めた」

「…もっと上の?」

「研究所の所長は美郷さんを可愛がっていた。だから絶対に撃つな。説得して戻らせろと言っていた」

「なのに撃たれたってことは…」

「政府、いや別の組織が関与してるかもしれない…」

「何だって?」


次の瞬間、スーツの男が部屋に現れた。

「誰だ!!」

「お前に用は無い」

そう言うと男は美郷の胸ポケットにから懐中時計を取り出し、破壊した。


「…何をしてるんだよ!!」

誠は頭に血が昇っていた、男に殴りかかろうとしたがその拳は受け止められ

「せっかく少しでもマシな人生に変わったんだ。無理するな。安心しろ、今までの事は不問にしてやる」

そのまま腕を捕まれ壁に投げ飛ばされた。

「今はそのまま寝てろ」



誠はすぐに立とうとしたがダメージが大きすぎて立てなかった。

「くそっ!おい、そこのあんた!何とかしてくれよ!」

「…今は何も出来ない」

香澄は構えることもなくただ立っていた。

その様子に誠は激昂した。

「何でだよ!」


「今は!!…何も出来ない」

そういった後で強く唇を噛みしめている表情を誠は見て、どうすることも出来ない状況が故に従うことにした。

「…っ!そうかよ」

誠は察していた。ここで動くと美郷に危険が及ぶかもと最悪の事態を想定した。



「ふっ、中々賢い選択だ」

男はそう言った後に美郷の腕を掴み姿を消した。



「…ちっ!くそ!!」

香澄はその場にあったテーブルを蹴り飛ばした。


「おいぃぃぃ!!何してんだ!人ん家のテーブルに!」

「……威勢の良いことを言う前に起き上がったらどうですか?お父さん」

「お、おおお、お父さん?おと、お父さん!?俺が?」

誠は焦っている。そのおかげかすぐにその場で立ち上がる事が出来た。


「…もうここまで来たら隠しても意味無いでしょう。どうにでもなれです」

「お、俺の娘?…母親は?」

「さすがにそれは言えません。ただ一つ言えることはあなたはお母さんに捨てられています」

「うん、でしょうね」

誠は悟ったような表情をしている。


「…驚かないんですか?」

「美郷から未来の俺を教えて貰ってるからな。俺の中では生涯独身なんだと思ってたぐらいだ。結婚生活が続いてたら美郷が言う未来になってないだろう?」

「ちっ!」

「舌打ちされる理由は無いね」

「なんでそんなとこだけ賢いんだよの舌打ちです」

「なんか美郷に似てるな。そういうとこ」

「美郷さんは尊敬する先輩でした」

「そうか。で、どうしたら美郷を助けられる?」

「は?」

「美郷は捕まったらどうなるかわからないと言っていた。俺なんかの為にひどい目に遭うなら助けたい」

「……くっ、ふふふ、ははははは」

香澄は大きく笑いだした。


「何だよ、俺じゃ無理だって言いたいのか?」

「いえ、お父さんは昔からお父さんなんだなって」

「どういうことだ?」

「あなたがお母さんと別れた理由も人助けでしたから。しかも自分には何の得も無い」

「そう…だったのか」

「お母さん言ってましたよ、普段は何か大きな事をするような人じゃないのに、いざとなったら自分を犠牲にしてまで人を助けようとするって。その前に私たちでしょ!って怒って別れたみたいですけど。でもそこが好きになった理由だからってずっと悩んでました。多分今でも」

「……そっか、そうだったのか」


「……いくつか方法はあります」

「なんだ?」


「この時代の美郷さんは知ってますか?」

「あぁ」

「子供時代の美郷さんを説得してください。自分がしたことを恩に感じなくていいとかそういうことを」

「…そうか!元々の理由がそれだもんな」

確かに美郷はお礼だと言っていた。それを誠は思い出した。


「しかしそれはリスクが高いです」

「何でだ?」

「考えてみてください。成人男性が少女に恩に感じなくていいって話している場面を」

「………通報されるな」


「はい、私も父親が幼女趣味で捕まったとか嫌ですし」

「……う、うん。それで他には?」

「未来に行って直接助けるかですね、誰の差し金か具体的に調べる必要がありますけど」

「俺が未来に行けるのか?」

「…私がここにいることを忘れてますか?戻ることも出来ますからね?」

「…一緒に行けばいいのか!」

「はい、どうしますか?」

「行くに決まってるだろ!」

「考えることも無く、か…」

これがお母さんが好きになったところなのかと、香澄はわかった。


「ん?」

「いえ?別に。では私の肩に捕まってください」

「あぁ、わかった」


誠は未来へ行き、美郷を助ける事にした。

自分の人生がそれでどうなるか、その時は考える余裕も無かった。

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