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#6 論点変えてた

「よっと…。はてさてどうなってるかな?」


誠が刺されてしまう日に移動した美郷は遠くから様子を見ていた。


「あれは梨々香さんと下川…。あれ?まこっちゃんは?」

二人の周辺を見るが誠の姿は見えなかった。


「まだ中にいるのかな?」

美郷が引き続き様子を見ていると下川が梨々香に頭を下げているシーンを目撃した。

そのすぐあとに梨々香も頭を下げると、下川は残念そうに帰っていった。


「告白したって事かしら?もしかしてまこっちゃんとは何もないってわかったからなのかな?意外に行動力あるわね…」

ここまでは特に誠にも梨々香にも不幸な出来事は起きてはいなかった。

しかし誠の姿が確認できない。


「…まさかすでに殺されて?」

美郷は嫌な予感がした。


しかしその数分後、誠が従業員通用口から出てきた。

誠の姿を見つけた梨々香は誠に近付き、少し話をしたあと二人で歩きだした。

「まだ何もなっていないようね…」

美郷は少しホッとした。



その少しあとに二人の後方から下川が誠の名前を叫びながら走ってきた。

手にはナイフを持っている。

「あっ!後ろから!」

美郷は出ていきたい気持ちを抑えていた。



下川の叫び声に早く気付いたのは梨々香の方だった。

予想していたかのように素早く構え、持っていたカバンを下川に投げつけた。

その後はあっという間だった。ナイフを手から落とさせてから下川を投げ、背中に腕をくっつける形で取り押さえた。


「浦島さん!警察!!」

梨々香は叫び、誠に通報するように伝えると誠は慌てながら電話をかけ始めた。



「……梨々香さん、あんなに強いの?」

「お母さんは合気道と柔道を小さい頃からやっていたそうよ」

「そうだったんだ…。ん?」

美郷は声がした方を見るとそこには香澄がいた。

その時全てを思い出した。ずっと忘れてしまっていた、頭に浮かんでもすぐに消えてしまっていた存在。それは香澄だった。


「…香澄ちゃん。良かった。良かった良かった!」

「何を言ってるんですか?今からあなたを連行しようというのに」

香澄は銃を構える。


「いやもうそんなことより本当に良かった!」

美郷は気にすることなく喜んでいる。その様子を見た香澄は一つの考えが頭に浮かび、銃を下ろした。

「……まさか、私は消えていたのですか?」


「そうだよ!じゃあね!」

美郷はその瞬間を見逃さなかった。すぐに胸ポケットの懐中時計を操作しその場から消えた。


「あっ!…ちっ、また逃げられた」

しかし香澄は少し笑っていた。




現在

「たっだいまー」

美郷は上機嫌に戻ってきた。

「その様子だと成功か?」

「はい!大成功!」

「そうか!良かった」

「ただ、まこっちゃんの情けない部分が目立ってたなぁ」


「…どういうこと?」

「梨々香さん、多分下川の事気付いてますね」

「そうなのか?いや、情けない部分って?」

「言わないようにします。変に行動を変えられちゃうとまた悪い方向に行くような気がするので、時の流れに身を任せてください」

「…何も意識するなって事か?」

「そういうことです」

「まぁ、良い方向に向かうんならその方が良いのか」

「もう変えるチャンスは明日の直前しか無くなりますからね。このまま行きましょう」

「…わかった。そうしよう、んじゃ帰るわ」

「はーい」

誠は帰るために歩きだしたが美郷も隣を歩いていた。


「…あのさぁ」

「何ですか?」

「もしかしてうちに来ようとしてるのか?」

「え?今更何ですか?」

「いや、家は?」

「無いですよ?正確にはありますが今は帰る事が出来ません」

「何で?」

「未来では私は指名手配中だからです」

「はっ!?何をしたんだよ」

「今、ここにいることが重罪ですから」

「なんか何となくわかる自分が嫌だわ。俺の未来を変えようと過去に戻って干渉するのは許されてないんだな?」

「正解です!」


「…本当に何でそこまで俺に?」

「言いましたよね。お礼だって」

「それなんだよなぁ、俺が何をしたの?」

「今はわからなくてもいいんです!」

「………わかった。いつかは話してくれるんだよな?」

「…そうですねぇ、どうしましょうかね?」

「そこを意識すると美郷の未来が変わるからダメってやつか?」

「いえ、もうとっくに起きていることなのでそれは大丈夫です」

「…もう起きてる?今よりも過去で助けてるって事か?」

「そうです。はい、この話はこれで終わりです。それじゃあ帰りましょう」

美郷はスタスタと歩いていってしまった。


「しまった…。自分から論点変えちまってた」


誠もすぐに追いかけ、二人は誠の部屋に帰ることにした。

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