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#13 仕組まれた救出作戦

誠と香澄は美郷が来る前のホテルの敷地内にいた。


「…そろそろか?」

「多分ね」

二人は警戒を強める。


数分後、一台の黒塗りの車がホテルの敷地内に入ってきた。


誠達は隠れていた場所を離れ、車とホテルの間に行きやすい位置に移動を始めた。

車の扉が開く、中から一人の女性と美郷が出てきた。


「行くぞ!」

「指図しないで!」

二人は一気に走り出した。

香澄は銃を構えながら四方八方に備え辺りを警戒。

誠は真っ直ぐに美郷の元に走り、その腕を掴んだ。


「お兄ちゃん!?」

「まこっちゃんでいい!逃げるぞ!!」

「…うん!!」

誠は美郷の腕を掴みながら必死に神社まで走った。

香澄もその後ろから変わらずに警戒しながら走ったが、誰も誠達を追いかけようとはしなかった。

それにとてつもない違和感を感じながら、神社まで走った。



神社 一室

「はぁ、はぁ。美郷、ここで待っててくれ。未来で完全に救出する」


誠の話に理解は示すも疑念を隠せない美郷。

「…わかった。でもおかしくない?」

「あぁ、おかしい。誰も攻撃してこなかったし追いかけてくることもなかった」

誠はそれに同調した。


香澄は銃を出入り口に構えながら

「まるでこうなるように仕向けているようね」

「…敵は俺達が助けに来る事まで織り込んで計画してるって事か?」

「ただその場合、組織に裏切り者がいるって事になるわ。助けに来ることまで計画に入れていればあの場で殺されているはずよ。…あなたなら少し考えたらわかるんじゃない?」

香澄は下を向いた。


「香澄はもう知ってるって言い方だな」

「…えぇ、信じたくはないけどね。でもなんで…?」

表情が険しくなった。



誠は考えた。過去に戻って美郷を助ける。その事自体は変わってはいない。他に変わった所は?

「……っ!」

あった!下見の時から感じていた違和感。何故協力者が?何故急に自分達も行くと言い出した?


誠は警棒を右手に持つことにした。


「香澄、俺は戻ったらすぐに動けるようにする。最悪の事態を回避するために。…俺にもわかったよ」

「……じゃあ、位置を変えましょうか。美郷さん、部屋の隅に。私達がその前に立ちます」

「う、うん」

美郷は部屋の隅に移動し、その前で美郷を守るように誠と香澄は立つことにした。


そして

「美郷さんしゃがんでから自分への言い聞かせをお願いします。私はここで待つと」

「…わかった!」


「行くわよ?」

「おう…」

香澄と誠は姿を消し、美郷は頭の中で何度もここで待てば助けがくると何度も念じた。




誠と香澄が元の時間に戻ると目の前に銃を構える梨々香がいた。

誠は後ろを見る。そこには美郷が座っていた。

救出は一旦は成功していた。


しかし

「…どういうつもりだ?」

誠は梨々香を睨み付けた。


「まさかそうやって戻ってくるなんて…。気が付いたの?」

「…あぁ、あまりにもおかしかった。まるで俺が美郷を助ける事がストーリーとして書かれていたみたいに」


「お母さん!何で!!」

「香澄、あなたはこちらにいらっしゃい」

「だから!何で!!」

「…私達が離婚したのはその女が原因だからよ」

「えっ?」

香澄は美郷を見る。


「まこぽんの中にはずっとその女がいた。過去に戻ってまこぽんに会ったその女が!!」

「お母さん…。離婚は別の理由だったじゃない!」

「それは表向きよ。あなたが産まれてからもまこぽんの中には美郷がいた。そしてこの時代に美郷を助けるために二十五年前のまこぽんが来た。今はまだ過去に帰ってないからわからないけど、このまま過去に帰られたら、あなたも産まれているかもわからないのよ!香澄!!だからこっちに来なさい!!」


「…それは出来ない!」

香澄は顔をしかめ、下を向きながらも強い言葉で梨々香を拒絶した。


「香澄!!あなたまで!!」

「美郷先輩は生きなければならない!この人は地球誕生まで見に行ける才能と知識、技術を持った人よ!美郷先輩は人類の救世主になるべき人!そんな個人的な感情には付いていけない!!」


「何で?あなたまで私が間違ってると言うの?離婚した時もそうだった。周りからあんなにいい旦那なのに何で?って。散々言われ続けた!」



「…私もそちらにいる未来の旦那さんと話をして、そう思いましたよ」

「…俺もっす。いい人だと思うんすけどね」

夕子と龍牙が部屋に入ってきた。龍牙は直前に周りを警戒するよう言われていた。


そしてその後ろには誠が見たことの無い女性がいた。


「望月香弥子…」

美郷は女性の姿を見て呟いた。


「…驚いた。本当に記憶が定着しているのね」

「何の話?…定着?」

美郷は理解が出来ないという表情を香弥子に向けた。


「あとで話すわ。とりあえず…」

香弥子はジャケットの内ポケットから銃を取り出し、その銃口を梨々香に向けた。


その時、部屋の外に黒いジャケットを来た初老の男性が音を立てずに近づいていた。



「これ以上おばさんのヒステリーには付き合ってられないわ。私たちはもっと大きなビジョンを持っているから、さようなら」

香弥子は引き金を引いた。


「……!」

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