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#11 逃走準備

「ここか…?」

首相官邸の近くで更に神社が近くにあるホテル、誠はそこの道路の向かい側に立っていた。

近くにいる龍牙と目を合わせると、龍牙は小さく頷き左手に持っているスマホに視線を移した。


「こんなことがなかったら一生、来ることは無かったホテルだろうな。…出来れば違う形で来たかったけど」

誠は残念に思いつつも

「…そんじゃ、どこに逃がして落ち合うか探しますか」

と気持ちを前向きに行動を始めた。


「…神社、人がいっぱいいるな」

ホテル近くの神社に来た。


その神社は厄除け、お宮参り、七五三等で人が多く訪れる神社だった。

「木を隠すには森とは言うけど不確定すぎるよな。美郷を連れてきたときにどのぐらいの人がいるか予想がつかない」

誠がそう考えながら呟いていると横から声をかけられた。


「何かお困りですか?」

誠が声のする方を見ると、巫女さんが話しかけてきていた。

「い!いえ!何でもないです」

誠は挙動不審に思われるような返答をしてしまい、それを誤魔化すように更に言葉を続ける。


「立派な神社だなぁと思いまして、いや、最近ここら辺に来るようになったんですけどね」

誠は特に話さなくてもいいような事を話し始めた。


「…ふっ、ははは」

巫女は笑いだした。その行動から誠は一気に警戒心を高めた。

しかし、巫女は龍牙の方を向き、手を振った。

その行動に疑問を感じると同時に警戒心は少し薄れた。


「浦島 誠さん、ですね?」

「は、はい…」

「はい、不合格。私が敵ならあなたもう死んでます」

巫女は誠に指をさして、バァンと銃を撃つジェスチャーをした。


「えっ?…えっ!?」

「何で名前聞かれて返事しちゃうんですか。そんな平成後期の服装してるから尚更目立つんですよね。龍牙くんにコーディネートしてもらったらどうですか?」

腕を組んで龍牙がいる方向に首をクイっと動かした。


「え?服装、変ですか?」

「変です。あなたもバブル時代の服装見たら変って思いますよね?それと同じです」

誠は基本的に黒のジャケットに黒いシャツか白いシャツ、下はジーンズだった。


誠は龍牙の方を見て、声を出さずに口を大きく動かして、変?と聞いた。

龍牙はすぐに頷いた。

「出来ればさっき言ってほしかったな…」

誠は龍牙に悲しそうな顔を見せた。



「さて、梨々香さんから連絡は受けてます、あなたに協力してやってほしいと。申し遅れました、私は堀田 夕子。ここで巫女をやってます」

その巫女は誠がイメージする巫女とは違い、金髪と赤いリップが目立つ女性だった。


「…本当ですか?」

「お?いいですよ、その警戒。そうです、それが正解です!」

「いや、巫女っていうのが本当ですか?」

「…そっちですか?あれですか?巫女に気持ち悪い幻想抱いてる男ですか?」

「いや、幻想というよりか、金髪とその赤い口紅は神社的に有りなんですか?」


言われた夕子は数秒沈黙して

「……あっ、そっか。今、こいつ考え古いわぁって思いましたけど、当たり前なんですよね」


そりゃ令和元年から来てるからなと思ったが、余計な衝突は避けたいと思った誠は

「それはごめんなさい……」

謝罪した。それに見た目からして誠が苦手な女性だったので波風立てたくなかった。


「い!いえ、こちらこそ皮肉を言ってしまってすみません。そう謝られるとちょっと罪悪感が…」

「いえ、実際古い人間ですから…、この時代にふさわしくないのに存在してしまってすみません」


夕子は慌てた

「すっごい卑屈!ちょ!本当にごめんなさい!」


「誠さん、そう言いながら夕子ちゃんの事を観察してるから今に色々見抜かれるよ」

龍牙が近付いてきた。


「ちょっと!あなたが近付いてきちゃダメでしょ!」

「あっ…そうか。なんか頭下げあってるから気になって…」

龍牙はすぐに通りすがった。


「……観察してる?」

夕子は怪訝な顔をして誠を見た。

「…いや、何の事を言ってるのかは俺にもわかりません」

誠は頭を傾げた。


「もしかしたらこれからのあなたの事を言ってたのかもしれませんね。梨々香さんの元旦那さんなんですよね」

「この時代ではそうみたいですね。元の時代でも俺は梨々香の事が好きですけど」


「…真っ直ぐ言いましたね。こんな素敵な旦那さんなのになんで梨々香さん別れちゃったんだろ?」

「香澄が言うには俺が人助けしすぎて愛想を尽かしたとか」

「元々そういう人なんですか?」

「いや、今のところそんな人生送ってないし、自覚は無いんですけどね」

「なるほど、自覚は無しか…。でも一人の女性を助ける為に未来まで来る時点でそういう人なんだと思いますけどね」

「美郷の事は特別です」

誠は間を空けること無く答えた。


「…今のは聞かなかったことにしますし、梨々香さんには言わないようにしてくださいね?」

「……気を付けます。言葉が足りませんでした」

「まぁ、何となくわかりますよ。今回私が協力を受けたのも美郷さんは世界に必要な人だと思ってるからですし」

「ところで協力というのは具体的には?」

「あぁ、逃走と隠れる場所に関してです。私は美郷さんの顔を知ってますし、過去の私が美郷さんを見ても不審には思わないでしょう」

「ってことはこの神社に?」

「はい、今から案内します。ちゃんと道を覚えてくださいね」

「ありがとうございます」

誠は深々と頭を下げ、感謝の意を示した。

美郷救出への準備は順調に進んでいた。


その頃、ホテルのスイートルーム。

「さてと、あなたが持っている技術。そろそろ教えてくれないかしら」

「……そもそもあなた、誰なの?」

「私?総理大臣よ?知らない?」

「…知らないから聞いてるんだけど。少なくとも私の記憶の中にあなたが総理大臣だという記憶は無いわ」

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