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#10 美郷がいる場所

「えぇ、えぇ…わかったわ。ありがとう」

梨々香は電話を切った。


「何かわかったのか?」

誠が梨々香に問いかける。


「美郷の居場所がわかったわ。首相官邸からすぐ近くの神社が近くにあるホテルだそうよ。そこに不審な黒塗りのワンボックスが停まってたみたいで見張ってた者から連絡があったわ」

「姿は確認できたのか?」

「えぇ、よほどの自信なのか何も考えていないのか。美郷を連れて総理大臣がホテルに入っていったそうよ」

「なんだそりゃ。何が目的なんだ…」

「さぁ、それを確かめるためにも行かなきゃね」


「行くって言ってもホテルだろ?どこの部屋かわからないと危険なだけだ」

「大丈夫よ、今連絡来たのはそこのホテルの従業員。部屋もばっちり。二十九階のスイートだそうよ」

「美郷は客人として行ったのか?それとも別の理由が…」

「別の理由で考えたら私達を捕まえるためもあるかもしれないわね。じゃなきゃわかりやすい行動は取らないわよ」

梨々香は別視点からの考えを誠に伝えた。


「なるほどね、見張られてることを前提に行動すればこっちの動きも操れるって事か…」

「そういうこと、しかもホテルの二十九階だから敵だらけで行きも帰りも戦うはめになりそうね」

「だよな、エレベーターも階段も抑えてしまえばいい。逆に言うとそこだけ固めてればいいということだしな」


梨々香は少し間を置き、誠に問いかける。

「誠、強かったっけ?」

「いや?」

「だよね」

「…一つ聞いていいか?」

「何かしら」

「美郷はこの時代では指名手配されていると言っていたが、その割には総理大臣と一緒にいて捕まったりはしてないみたいだが…」

「あぁ、その事ね。指名手配を出してたのは警察じゃないのよ、今の時代は誰でも指名手配を出すことが出来るの。例えば借金を踏み倒された人が何としてでも回収したいって事で相手を指名手配することが出来るの」

「ってことは指名手配を出していたのは総理大臣…」


「そう、まぁ過去を変えるのは重罪は重罪だからそこにおかしな点は無いわ」

「それはそうか。あと今連絡して来た人に裏から入れてもらえないのかな」

「入れてもらえても結局は同じでしょうね」

「同じって?」

「どうせ部屋に行くには裏から出なければならない。あと私達が助けに行く前提で向こうがわかりやすい行動をしてるなら当然裏にも敵がいるでしょうね」

「もしかして八方塞がりってやつか?」

「…一つだけあるわ。危険な賭けだけど」

「何だ?」

「こっちには香澄がいる。だから過去に戻れるのよ」

梨々香は香澄がいる部屋の扉を見た。


「…わかりやすく車から出てきたところを。って事か?」

「…え、えぇ、そこがいいと思うけど、ただ現在の美郷がいなくなるわけだからまた追っ手が来るかもしれない」

真っ先にポイントを話す誠に梨々香は少し戸惑った。誠がどこまで考えが及んでいるのかが把握出来なかった。


「目をそらすために実際にはこっちでも助けに行くふりをしなければすぐにバレるか。助けたあとはどこに連れていくんだ?」

「ここでいいと思うわ」

「…いや、逆にホテルの近くはどうだ?」


誠の提案に梨々香は疑問を呈す。

「何故?」

「美郷が消えてもまさかホテルの近くにいるとは思わないだろう。それに過去に戻って助けたとしてもさすがにここまで逃げてくるのは骨が折れる。だとしたらこの時代で数人と逃げる方がまだ助けられる可能性が高い。過去には俺と香澄で行く。だからあと数人ホテルの近くで待っててくれないか?」

「どこで待つかは?」


誠は考えた後に

「…俺がホテルにこれから行ってくる。向こうは俺の顔は知らないだろ?知ってたとしてもまさか二十五年前の顔でいるとは思わないだろう」

「…龍牙くん、香澄を呼んできてもらえる?確認しなきゃいけないことがあるわ」

「はい、すぐに」

龍牙は梨々香に一礼をし、香澄が休んでいる部屋に向かった。


「確認しなきゃいけないこと?」

「誠がここに来ていることを知ってるのは研究所の所長だけ。と限定して考えるわね。その所長は誠の顔を知ってるのかどうかよ」

「…そうか、それで指摘されたらアウトか」

「そういうこと」



「恐らく知らないと思うわ」

香澄が部屋に入ってきた。


「恐らく?」

「えぇ、私が捕まえるように指示されたのは美郷さんだから詳しくはわからないけど、でもまこっちゃんの顔は見たことないと思う」

「…まだそれで呼ぶか?」

「良いじゃない。お父さんも変だし誠も変だし、妥当じゃない?」

「…まぁ、そうか」


「とにかく顔は知らないから大丈夫だと思うわよ」

「…じゃあとりあえず視察してくるわ、何かあったらあとは頼むな」

誠は部屋を出てホテルに向かおうとした。


「ちょ!ちょっと待って!」

梨々香が止める。

「ん?」

「…龍牙くん、いざという時のためについていってくれない?誠の後ろをつける形で」

「はい!わかりました」

「…そうか、何かあったときの武器持ってないし、渡されても使えないもんな。よろしくお願いします」

誠は龍牙に一礼をした。


「任せてくださいっす!!誠さん、死なせねぇっすから!!」

龍牙はピースサインをした後に銃を構え、笑った。


誠は美郷がいるだろうホテルの視察に向かった。

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