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幼女エルフと始める異世界生活  作者: 朝倉翔
第5章
86/199

特別編-平成の終わりと令和の始まり-前編

令和最初の話は特別編となりました

 今回は本編から日時が数ヶ月経過した四月下旬頃の話である。

 マイホームの寝室で、旭がユミを後ろから抱きしめながら、○ou○ubeのとある動画を見ているところからこの話は始まる。

ーーーーーーーー


「そうか……ついに平成が終わるのか……。次の元号は……令和?なんか平和みたいなニュアンスだなぁ」


 俺はユミを後ろから抱いた状態でタブレットの動画を見ていた。

 多くのVチューバーが活躍している大手動画サイトである。


 俺が見ている動画では管官房長官が、新しい元号[令和]と書かれた台紙を掲げている姿が映し出されていた。

 次の再生リストに、その官房長官のMADがズラリと並んでいるが……それは後で見ればいいだろう。


「……にぃに。このへいせい?……ってなんのこと?」


 俺に抱きしめられていたユミは首を後ろに倒して尋ねてきた。

 6歳まで幼くなった女神様は、日本の元号というのに興味があるらしい。

 それにしても……首を後ろに倒すだけで可愛いとか……どうなっているのだろう?

 庇護欲が際限なく上昇していくのを感じる。


「んー?俺が転移してくる前に生きていた日本では、天皇という偉い人が変わるたびに一年の呼び方を変える習慣があるんだ。今回のだったら平成何年が令和何年に変わる……という感じかな。……まぁ、俺もそこまで詳しくないんだけど」


 俺は頭をポリポリ掻きながらそう答える。

 詳しく知らないのは俺が元から平成生まれだからだ。

 昭和から平成に変わった時も一悶着あったようだが……。


「うーん……。なんかむずかしいけど……めずらしいことはわかった!」


 そんな俺の返答にユミは満面の笑みで答えてくれた。

 満面の笑みというか……話が難しくて理解できなかったんだと思う。

 ……6歳の少女に異世界のことを話すのは少し早かったか……。

 元女神だから異世界の知識は残っていると思ったんだが……違ったようだ。


「まぁ、この世界にいる俺には関係のないことだけどなぁ。この動画がかなり話題になっているというのは……次の再生リストからもわかるんだが」


 俺はそう呟いて、元号発表の動画から音MADの動画に切り替えた。

 管官房長官がいろんな曲に合わせてコミカルな動きを繰り返している。

 元号発表の動作はかなり短い時間だったはずなんだが、こんな短い素材だけでこんなに面白い動画を作れる人は本当にすごいと思う。


「あははははっ。このおじさんのうごき、おもしろ〜い!!」


 官房長官の動きはユミにも受けたようだ。

 俺の膝の上でジタバタとしながら動画を見ている。

 子供特有の高い体温と柔らかい肢体が動くたび、少女特有の甘い匂いが俺の鼻をくすぐる。

 もうここで襲ってしまおうか……?

 ……いや、我慢だ。

 ここで欲望に負けてはいけない。


「パパ〜?ユミちゃん〜?お昼ご飯できたよ〜」


「お兄ちゃん、今日はいい天気なんだから少しは外に出ないと……。ほら、カーテン開けて〜」


 俺が己の欲望と理性の狭間で戦っていると、かわいらしい声をあげてレーナとリーアが寝室に入ってきた。

 リーアに至っては言ってることが完全にお母さんだが……ナイスタイミングだ!

 まぁ、そんなことを口に出したらユミが悲しむので心の内で賞賛を送るんだけれども。


「ごはん!?レーナおねえちゃん、リーアおねえちゃん、すぐいくねっ!」


 俺の膝の上からぴょんっと降りたユミはたたたたーっと寝室を出て行った。

 部屋には俺とレーナ、リーアが残される。


「パパ、ユミちゃんなんか笑ってなかった?何を見てたの??」


「無意識に誘惑してくるユミに理性を働かせていたのは偉いと思うけど……。そんなに理性をフル動員させないといけないような動画でもみてたの?」


「ん?俺がいた世界の新しい元号の発表動画だよ。そうだな……後でみんなでみようか。さぁ、俺たちも下に降りるとしよう」


「んー……、そうだね。せっかく作ったご飯が冷めたらもったいないし!!」


 俺はレーナとリーアの手を握って、一緒に下に降りていった。

 今日はどんなご飯が待っているのだろうか。


 ▼


 レーナとリーア、ルミアが作った昼ご飯を食べた後。

 俺達はテーブルに座ったまま、寝室でユミと見ていた動画を視聴していた。


「ふむ……。旭さんが前いた世界には二度ほど行く機会がありましたが……天皇が変わるだけでも一大イベントなのですね」


「天皇は日本の象徴らしいからな。それをおざなりにするわけにはいかないんだろう」


 ルミアは感慨深そうに動画の感想を述べた。

 俺も現天皇が退位されると聞いた時、職場のみんなと驚いていたなぁ。

 日本人故の感覚なんじゃないだろうか。


「うーーーー…………」


 そんな中ユミはかわいく唸っていた。

 ……?

 何でそんなに恨めがましい目をレーナ達に向けているんだ?


「おねえちゃんたちばかりずるい!わたしもにぃにがすんでた……にほん?ってばしょにいってみたい!!」


「いや、行こうと思えばいけるけd「ほんとうっっ!!?」……そこまでしていきたいのか」


 ユミは俺の言葉を途中で遮って、グイッとその幼い体を寄せてきた。

 ただなぁ……今の時期はGWということもあって人混みがすごいんだよ。

 そんな状態で連れて行ったら迷子になってしまうのでは……と考えるのは仕方ないと思う。


[旭、私がいるから大丈夫ですよ。それに人混みが少ないところに行けばユミも満足するでしょう]


 俺の考えを読み取ったソフィアがそう耳打ちしてきた。

 ……なら問題はないかな?


「……よし、わかった!じゃあ、今月の30日にでも日本へ行こうか!」


「やったぁ!!あさひにぃに、だいすき!!!」


 ユミは全身を使って俺に抱きついてきた。

 抱きつかれた場所は……あえて語るまい。

 柔らかい感触が最高だったとだけ伝えておこう。


 ▼


 ……ユミとソフィアを交えた[ROY]フルメンバーでの日本の転移が決まり、俺は事前の準備を行うことにした。


 まずはお金だ。

 今回は別に冬○ミに参加するわけでも珍獣屋にいくわけでもない。

 ……というか、珍獣屋はユミの年齢が幼いために連れて行くことはできないんだけど。

 だから今回の転移では純粋にデートを楽しもうと思っている。


「……とは言っても、デートもまた一大イベントだよな……。俺しかお金を持っていないんだし、たくさん持っていかないと……。だが、今の俺にそんな大金あるか……?」


[それでしたら、金貨を日本に着いた時に自動で日本円に替えるのはどうですか?ちゃんとその国で作られた正規のお金になるので問題はないかと]


 俺の呟きに、一緒に準備を進めていたソフィアが答えた。

 それ……不法入手したことにならないか?

 俺としては正規で入手したお金を使いたいところなのだが……。


「ソフィア……。それ日本の法律的に大丈夫なのか?日本は偽札とか結構うるさかったと思うんだけど」


[それについては問題ありませんよ。まず第一に私達は異世界からの訪問者です。日本の法律が私達に適用されるはずがないでしょう?万が一にも警察に捕まりそうになったら、【紅き鎧】と【時間遅延】を使用してすぐさま転移をすれば問題はありません。要はバレなければいいんですよ]


 俺の懸念事項はソフィアの黒い微笑みで黙殺された。

 確かにレーナ達5人はアマリス出身だから問題はないが……俺は一応日本国籍の人間だ。

 変に偽札とか使ったら簡単に足がついてしまう気がする。


「バレなければいいというのは簡単だが……俺の顔は警察のデータベースに残っているし、俺は元は日本国籍の人間だ。最悪の事態を想定して動かないといけないだろう?」


[……なるほど、旭はそう考えていたのですね。それでは……【偽装】の魔法をかけて、()()()()()()()()()()()()()()()()に転移しましょう。金貨から日本円の変化は気づかれ無いと思いますが、もしバレたとしても、【偽装】の効果で身バレすることは無いと思います]


 ソフィアはそう言って、転移の準備に戻ろうとした。

 ……いや、まて。

 今ソフィアはなんて言った?

 俺が異世界転移していない方の日本?


「ソフィア、ちょっと待ってくれ。俺が異世界転移していない日本っていうのはまさか……」


 俺の言葉にソフィアは首を傾げた。

 なんで今更そんな事を聞いてくるのだろう……そんな表情を浮かべている。


[……?旭がいた世界は幾つもある世界のうちの1つに過ぎないからですよ。そちらの世界の言葉で言うとパラレルワールドというやつでしょうか。神格が高い旭であれば別次元の日本に行くことも可能になるのです]


「……まじか。パラレルワールドってあったんだな……」


 俺はソフィアの言葉に絶句した。

 今まで俺がいた世界ではパラレルワールドは無いものとされていた。

 だが、実際にはパラレルワールドは存在しており、今回の転移ではその内の1つに行くのだと言う。

 ……もはやなんでもありだな。


[後の質問は大丈夫ですか?]


「あ、あぁ。ソフィアが言いたいことは理解した。信じがたいと言う思いもあるが……」


[それは旭が規格外の能力を持っているからこそ……ですよ。さぁ、急いで準備を進めましょう。今回の旅行は人数が多いのです。屋敷を離れる際の対策とかも考えねばならないのですから、ゆっくりやっている暇はありませんよ]


 ソフィアはそう言って今度こそ準備に戻っていった。

 今思うと、今回の旅行を一番楽しみにしているのはソフィア自身なのかもしれない。

 過去二回の転移は【叡智のサポート】としてだった。

 人間の姿に顕現した今、色々と見てみたいものがあるのだろう。


「わかったわかった。すぐに準備を始めるよ。……ソフィア、楽しい旅行にしような」


[…………はいっ!]


 ウキウキと旅行の準備をするソフィアを愛おしく思いながら、旅行の準備を再開させることにした。

 旅行を楽しみにしている人間が最低でも二人はいるのだ。

 その期待に答えてあげなければ……男として失格だろう。

 俺はそう決意して、旅行に備えるのであった。

ついに令和になりましたね。

皆さんは平成最後の日をどう過ごしましたか?

作者は混雑するスーパーでひたすら食品レジの仕事に徹していました。


さて、次回の更新ですが……5/2or5/3の予定です。

2日に更新されていなかったら、「あ、こいつ間に合わなかったんだな」と思ってください

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