旭は女の子の隠された力を知る
今回は画像の挿入しました。
こんな感じなんだなぁ〜と思っていただけると幸いです。
※【神威解放】になっていたので【神威覚醒】に修正
「旭君、待たせてしまってすまないね。ステータスカードと身元引受け人の書類を持ってきたよ」
俺達が【無限収納】からだしたルミアのアップルパイを食べ始めてから数分後。
ステータスカードと書類を持ったギルドマスターが戻ってきた。
ギルドマスターの分のアップルパイをソフィアに切り分けてもらいながら、書類とステータスカードを受け取る。
「ありがとう……って、この書類ほとんど記入済みじゃないか。ここまでしてくれたのか?」
「なに、これくらいはお安い御用さ。この程度の書類の記入は5分もかからない。旭君はこの街唯一のSSランク冒険者なんだ。このくらいはサービスさせてくれ」
「なんか悪いな。感謝するよ」
ギルドマスターは身元引受け人の書類のほとんどを記入してくれたようだった。
名前を書く欄だけ空欄になっているが……本人直筆の署名が必要なのだろう。
そこまでしてくれただけでも感謝しきれないのだが……この量を数分で記入できるのはやばいな……。
さすがはギルドマスターという肩書きを背負っているだけはある。
どこぞのギルマスとは大違いだ。
「とりあえず……この書類の署名は後ほど行うとして……。まずは、ユミの冒険者証を発行するとしよう。ユミ、このカードを持って【ステータス】と唱えてくれるかい?」
俺は透明なステータスカードをユミに手渡す。
ユミはレーナとリーアからあーんしてもらったアップルパイを頑張って飲み込むと、そのカードを顔の前にかざした。
「にぃに……このカードとってもきれいだね!えっと……【すてーたす】!!」
ユミの幼い声がギルドマスター室に響き渡り、ステータスカードが光を放ち始めた。
さて……ユミのステータスはどうなっているのやら……。
ーーーー
ユミ Lv.1
称号【響谷旭の義娘】
種族:女神
HP 1500
MP 10000
攻撃 1000
防御 1000
魔攻 10000
魔防 3000
敏捷 800
スキル
【異世界人召喚】(封印)
【全魔法適正】
【神威覚醒】(特殊スキル)
【カリスマ】(封印)
【神格】(封印)
【詠唱省略】
【恐怖耐性】
【胸囲成長システム】
【成長促進(Lv.V)】
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……ステータス的には俺やレーナみたいな後衛タイプだな。
それ以外は基本的にバランスの良い配分となっているようだ。
◯ュウや◯ク◯ィニを思い浮かべたのは……俺だけかもしれないが。
……突っ込みたいスキルがいくつかあるのはこの際置いておく。
後でゆっくり解明していけば良い。
「ねぇねぇ、にぃに!わたしののうりょ……く?どうだった!?」
ユミは俺に抱きついてきてそう尋ねてきた。
……抱きつくのは良いんだが……そこはやめてくれ。
ダイレクトダメージ入るから。
「Lv.1にしてはかなり強い方だと思うぞ〜?ユミはかわいくて強いんだな〜」
「えへへへ……。にぃににほめられちゃった!レーナおねえちゃん、リーアお姉ちゃん!わたしつよいって!!」
「よかったね、ユミ!じゃあ、何かあったときはユミにお願いしようかなぁ?」
「私達と同じスキルも持っていたね。今度は【狂愛】のスキルも手に入るようにがんばりましょ?じゃあ、お兄ちゃんとギルドマスターは大事なお話があるから、アップルパイとお菓子を食べに戻ろうか」
「うん!わたしね!こんどはおねえちゃんたちにアーンしてあげるんだ〜!!」
俺に褒められたユミはそのままの勢いでレーナとリーアに抱きついた。
抱きつかれた二人はユミを褒めつつ、こちらにアイコンタクトを送ってくる。
ーーーーユミの事は私達に任せて。ギルドマスターとお話ししてても大丈夫だよ。
レーナとリーアはそう視線で伝えてきた。
……正直、二人の配慮はありがたい。
今のユミのステータスを見て、ソフィアとギルドマスターの3人で話し合いたいことができたから。
あ、【狂愛】については早めの習得をお願いします。
「さて……。ユミのステータスが表示されたわけだが……ギルドマスターはこれについてどう思う?」
「そうだね……。まずは普通の人よりもステータスがかなり高いのが目についたかな。まぁ、時間が巻き戻っているとはいえども、女神だからこの部分は納得できる。【成長促進(Lv.V)】もあるから、レーナ君やリーア君みたいにかなり強力なステータスになっていくだろう」
ギルドマスターは真面目な顔でユミのステータスについて分析していた。
……まぁ、俺が連れている子達はもれなくチートになるからそれもあるんだろう。
と……思っていたのだが、ギルドマスターは不意に首を傾げた。
「ステータスはいいんだが……この【神威覚醒】ってどんなスキルなんだろうね。固有スキルというのは稀に存在するが……特殊スキルというのは聞いたことがない」
……それは俺も思っていた。
ユミのスキル一覧にあった特殊スキル【神威覚醒】。
文字だけを見れば神格が戻る……ということなんだろう。
だが、神格が戻るという事は……またあの女神に戻ってしまうことになるのではないだろうか?
[恐らく旭とギルドマスターが考えている事は違うと思いますよ]
俺がしかめ面で悩んでいたのを見かねたソフィアがそう捕捉してくれた。
あの女神に戻る訳ではない……のか?
それならあのスキルはどんな効果があるのだろう。
「ソフィア、【神威覚醒】は女神の神格が戻るということではないのか?俺はまたあのウザい女神に戻ってしまうことだとばかり考えていたんだが……」
[いえ、あのスキルの効果はそうじゃありません。まず、あのスキルを使用するには旭の力が必要なのですから]
「俺の……力?」
俺はソフィアからの言葉を反芻するが……いまいちどういうことなのかわからない。
俺の力がユミの神格を解放することになる……?
一体どうやって……?
[旭でもわからないことがあるのですね。ふふ……そういう旭も愛おしいですよ。……ゴホン。まず、今のユミは旭の【時間遡行】によって神格が封印されました。神格を元に戻るためには旭の魔力と専用の魔法が必要になるのです]
「なるほど。【時間遡行】を実行した人間の魔力とキーとなる魔法を併用することで初めて使用できるスキルということか……。ちなみに魔力を与えるにはどうすれば良いんだ?キスか?」
「旭君……普通はごく自然に幼女とキスという選択肢は出てこないと思うのだが……。旭君はあんな小さな女の子も守備範囲内なのかい……?」
ソフィアに対する俺の疑問に対して、ギルドマスターが不穏な言葉を呟いた。
いやいや、俺は守備範囲が広いだけだから。
6歳は……ギリギリセーフだな、うん。
「ギルドマスターの呟きはスルーするとして……。ソフィア、それを使用することでどうなるんだ?」
[そうですね……。実際に見せたほうが早いかもしれません。決闘場に行きましょうか]
ソフィアはそう言ってレーナ達の方に向かっていった。
俺はギルドマスターと顔を見合わせる。
「なぁ……旭君。最近決闘場の使用頻度が高くないか……?……壊れていないよな?」
「あそこが一番都合がいいんだから仕方ないだろ……。むしろ着々と修復されていっているはずだぞ?ハイエンジェルやデススネークを召喚して修復させているから」
「いやいや……上級眷属をそんなことに使っていいのか……?……修復してくれるのは構わないんだが……住民のあの騒ぎはそれが原因だったのか」
ギルドマスターは額に手を当ててため息をついた。
キープアウトのテープつけているから大丈夫だと思ったんだが……意外と目撃情報は多かったらしい。
[旭、何をしているのです?早く決闘場にいきましょう]
そんなことをギルドマスターと話していたら、ソフィアが早く来るように急かしてきた。
ギルドマスターとこんな会話をしている場合じゃないな……早くソフィア達を追いかけないと。
俺とギルドマスターは急いで決闘場に向かうのだった。
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「にぃに。ここでなにするのー?」
ユミは決闘場を眺めながら俺の服をくいくいと引っ張ってきた。
「あ、わたしもそれは気になってた。パパ、何か聞いてる?」
「ソフィアさんからは面白いものが見れますよとは聞いたけど……」
「いや、俺もソフィアが決闘場に行くとしか聞いていないんだ。ソフィア、みんな揃ったしそろそろ教えてもらってもいいか?」
レーナとリーアに質問された俺は隣にいるソフィアにそう尋ねた。
ソフィアはユミの頭を撫でながらとんでもない事を言い出した。
[あぁ、ここでユミの【神威覚醒】を実際にやってもらおうと思いまして。言葉で説明するよりも実際に見たほうが理解が早いでしょう?]
「いや……そうかもしれないが……。ユミはいいのか?」
俺はソフィアに頭を撫でられているユミに尋ねる。
ユミは首をこてんと倒して、不思議そうに俺を見つめていた。
「だいじょうぶって?わたしのスキルだもん。にぃにのやくにたてるならなんでもバッチコイだよ!!」
……あの女神がこんなに健気な女の子になるなんて……!
俺は思わずユミを抱きしめてしまった。
ユミは一瞬驚いた顔を浮かべていたが……すぐに蕩けた顔になる。
「……ユミの気持ちはわかった。じゃあ、今から【神威覚醒】を試してみようか」
「うんっ!!」
俺はユミと一緒にソフィアのもとに向かう。
あ、ギルドマスターは念のために【空間固定】で束縛させてもらった。
これからやる行為は刺激が強いのかもしれないからな。
「えーっと……、【神威覚醒】の条件は俺とユミがキスすることと……専用の魔法が必要なんだっけ?」
[その通りです。ちなみに専用の魔法は……【天降る女神】です。ではやってみましょうか]
俺はユミを抱き上げてその綺麗な瞳をジッと覗く。
ユミは覚悟を決めたのかコクンと頷いた。
ユミとのキスに嫉妬しそうなレーナとリーアの二人は優しい視線で見守っている。
……やっぱりお姉ちゃんとして成長してきているなぁ……。
「じゃあ……ユミ、いくぞ?」
「うん!」
ーーーーチュッ。
「…………んっ」
俺はユミに魔力を送るためにその柔らかな唇にキスをする。
ディープな大人のキスではなく、軽く触れ合わせるだけのキスだ。
キスをした途端に、俺の魔力がユミの体に流れていくのを感じた。
……というか、俺の魔力がオーラとなってユミの体を包み込んでいる。
[旭、魔力がユミに行き渡りました。例の魔法を使ってください]
「了解した。……【天降る女神】!!」
俺の魔力で包まれたユミを見たソフィアは、俺に次の指示を出してきた。
ソフィアの指示を受けた俺はユミを下ろして、専用の魔法である【天降る女神】を発動させた。
「なにこれ……なんかキラキラしてる〜!…………ヒャッ!?」
魔法の発動を受けてユミの体が光り始めた。
当の本人は呑気にその光を眺めていたが……何かに驚いたような声を上げ始める。
「ユミ!?大丈夫か!?」
俺は光の中のユミに声をかける。
もしかして……【神威覚醒】は危険なスキルだったのか!?
もしそうだとしたらソフィアが実験しようなんて言わないと思うんだが……。
「大丈夫ですよ、旭お兄様。ユミは問題ありません。」
光の中からユミの声が聞こえてきた。
……が、その言葉に違和感を覚える。
光が消えて、ユミの姿が明らかになった。
「ユミ!?…………えぇ、ナニコレ……」
光の中から現れたユミは、なぜか巫女装束を着て日本刀を構えていた。
いや、まぁそれはいいんだ。
目のハイライトが消えているのも許容範囲だ。
逆にヤンデレが発動しているんじゃないかと思うと……すごく心が昂ぶる。
「ユミ……なんか体が縮んでいないか?」
そう、ユミの体は【神威覚醒】前よりも縮んでいる。
そんなユミは体が縮んでいることを気にした様子もなく、心配そうに見つめる俺を優しい微笑みで眺めていた。
ユミの体がさらに小さくなりました。
余談ですが、【神威覚醒】前は135cm、開放後は129cmとなっております。
旭とギルドマスターは【神威覚醒】にしか注目していませんが……もう1つおかしなスキルがあることに気がついて欲しい……。
【胸囲成長システム】の効果については……どこかの話で出したいと思います。
さて、次回の更新ですが4/30を予定しています。
平成最後の更新となります。




