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幼女エルフと始める異世界生活  作者: 朝倉翔
第4章
81/199

旭は女神に罰を与える

熱を出してしまった影響でギリギリの投稿になってしまいました……。

「わ、私に対する罰……?存在の消滅以外ならなんでも受け入れるよ……!」


 女神は俺の次の言葉を待ちながらそんなことを呟いた。

 ……いや、罰を決めたのはレーナとリーアであって、俺ではないんだが。

 そもそも自分に選択権があると思っている時点で図々しい。


「お前が受け入れる受け入れないじゃないんだが……まぁいい。お前に対する罰は……【時間遡行】だ」


「「「……【時間遡行】?」」」


 俺の言葉に女神だけではなく丹奈とレンジまでもが疑問の声を上げた。

 女神はわかるが……他の2人はなんでこれが罰になるのかわかっていないらしい。

 俺は発案者のレーナとリーアの顔を見た。


「レーナ、リーア。このポンコツ3人は時間遡行がなんで罰になるかわからないらしい。説明してやってくれないか?」


「はーい。えっと、まず時間遡行についての説明かな。時間を巻き戻すことっていうのは文字の並びからしてわかると思う。でも、今回時間を戻すのは女神のこれまでの人生……神生?なの」


「レーナの言葉を捕捉するよ。女神が赤子で生まれてきたかはわからない。でも、時間を巻き戻しをすることによって神として顕現したのが大人の姿だったとしても、擬似的に容姿を退行させることができるようになるってわけ。容姿が退行するということは……精神年齢も下がるということ。これで分からないなら……もう一回人生やり直したほうがいいと思うよ」


 レーナとリーアは呆れ顔を浮かべながら3人にそう説明した。

 リーアに至ってはかなりの毒舌だ。

 毒舌を吐く褐色銀髪少女……ありだな。

 それはともかく、俺の頭の中には消滅以外の案がなかったので、この話を聞いたときはとても感嘆した。

 どこまで時を巻き戻すかは……俺次第なんだろうけど。


「で、でも!!仮にも私は女神だよ!?神の時間を遡行するなんていくら旭君でもできるわけが……!!」


 女神はレーナとリーアの言葉を聞いて慌て始めた。

 今の容姿を少なからず気に入っているからなのだろうか。

 ……高身長スレンダーも悪くはないんだが……もう少し欲しいとは思わなかったのか?

 どこがとは言わないけど。

 そんな女神の言葉に応えたのはソフィアだった。


[貴女は何を言っているのですか?旭はいまや女神の貴女よりも神格が高い状態にあるのです。神権が付与されていないだけで、実力は貴女よりもかなり上ですよ?ましてや私がサポートするのです。できないという考えがありえません]


「……そんな……ッ!!ね、ねぇ、丹奈ちゃん!!丹奈ちゃんからも旭君に何か言ってよ!!このままじゃ私の人格が消されちゃう!!」


 ソフィアの言葉を聞いて自分に不利だと判断した女神は、拘束されたまま器用に丹奈に泣きついた。

 ……そういえば連絡を取り合っていたな。

 女神に泣きつかれた丹奈はというと……。


「……ごめん。あーちゃんに刃向かうことができる人間はこの世界にはいないんだ。……新しい人生を楽しむのも1つの手じゃないかな……」


「う、裏切り者ォォォォォォ!!!私は嫌だからね!精神まで時間を巻き戻されたら私が私じゃなくなっちゃう!!」


 女神から視線を逸らして丹奈はそう断言した。

 丹奈に見捨てられた女神は力一杯に叫び始める。

 ……あー……うるさいな。

 耳がキンキンする……。


「キーキー騒がないでくれ……。ゼウス、女神の口を塞いでくれ。【クリエイト:猿轡(さるぐつわ)】」


『了解しましたぞ。……ほれ、暴れるでないわ!!』


「んぐっ!?ムーーーー!!!」


 俺は即興で猿轡を創造し、ゼウスに着けさせる。

 女神は口を塞がれたことに対してかなり怒っているようだが……うるさくする方が悪い。

 ……これボールギャグにしておけばよかったかな?

 ……絵面がレーナとリーアの教育に悪そうだからやめておこう。


「さて、静かになった……。ムームー言っているが……まぁ、許容範囲だろう。さて、ここで1つ問題が出てくる」


「問題?【時間遡行】を行うことになにか問題があるのですか?」


 俺の言葉を聞いて疑問の声をあげたのはルミアだ。

 ルミアの猫耳を撫でつつ、俺は説明する。


「あぁ、【時間遡行】を行うにあたって重要なのはどのくらい時を巻き戻すかだと思うんだ。俺がどこまで巻き戻せるのかというのもあるし……そういうのをみんなで話し合って決めたいと思ってさ」


 ルミアはなるほど……と呟きながら考え込んでしまった。

 俺の言った言葉を正確に理解し、それでどのくらいの時を巻き戻すのがベストなのか考えているのだろう。


「……で、ソフィア。俺の力だとどこまで時間遡行できるんだ?ソフィアのサポートありの場合と無しの場合の両方を教えてくれ」


[そうですね……。私のサポート無しですと、旭がバフを全開にすれば5歳ごろまで巻き戻せます。私のサポートありなら……受精卵まで遡ることができますね。その場合は誰かの中に入れないといけなくなりますが……]


「「「…………ぅえ!?」」」


「むぐッ!?ムーーーー!!」


 ソフィアの言葉に思わず変な声を上げてしまう俺と丹奈とレンジ。

 ついでに何やらを叫ぶ女神。

 いや……ちょっと待て。

 サポート無しで5歳ごろまで遡ることができるのは……百歩譲ってよしとしよう。


 だが……ソフィアのサポートありだと……受精卵まで遡ることができる!?

 それはもはや女神という存在自体を消滅させるのと同じだよな!?

 俺が【時間遡行】の思わぬ効果に驚いていると……レーナとリーア、ルミアの3人が輪を組んで話し合いを始めた。


「……もしあの女神が受精卵まで遡ったら……誰かの中に入るんだよね?」


「……ソフィアさんはそう言っていたね。……と言うことは、間接的にお兄ちゃんとの子供ってことにならない?」


「旭さんと私たちの遺伝子も組み込めば……そうなるでしょうね。……遺伝子を組み込むことができないなんてソフィアさんは言っていませんでしたから」


 ……ちょっと待って?

 なんか物騒な話し合いをしているんですけど。

 俺はレーナ達に出産させるつもりはないぞ?

 しかも……俺と体の中に入れる人間の遺伝子を組み込むって……それ完全に事後じゃないか。

 そんな話し合いを続ける3人にソフィアが近づいていく。


 ……お?

 もしかしたら今も話し合っている3人にその考えはおかしいと伝えてくれるのかもしれない。

 俺はソフィアに加勢しようと、ソフィアの後ろから3人に近づいていく。


 ……そう思っていた時期が俺にもありました。


[3人とも、大事なことを忘れています。遺伝子を組み込むためには情事に励まないとダメでしょう!?それを行なった後で【時間遡行】を行えば万事解決です!!]


「「「…………確かにッ!!!」」」


 ーーーーーズザザザザザザッ!!!


 ソフィアの言葉を聞いた俺は盛大にずっこけた。

 後ろで丹奈とレンジがウンウンと頷いている。

 癪なことに俺と同じ思いだったらしい。


「それなら……誰がパパとの子を作るかになってくるね……」


「ふふ……ふふふ。今まで争うことがなかったけど……。今回ばかりは譲るわけにはいかないよね?お兄ちゃんとの最初の子供は私が産むんだから……!」


「待ってください。レーナさんとリーアさんはまだ若いでしょう?ここは大人の私が担当するべきでは……?」


[3人とも待ってください。人間の姿に顕現しているとはいえども私は旭の固有スキルです。ということは……旭の固有スキルだからこそ私が適任なのでは……!?この中の誰よりも相性がいいはずです……!]


「「「あなたは強すぎるから今回はダメ!!!」」です!!」


[クゥゥ……ッ!!]


 ……なんかすごいことになってきた気がする。

 4人は【狂愛】を全開にしてるし……全員の目からは光が消えている。

 俺の子供を一番最初に産みたいという思いは素直に嬉しいのだが……産んだとしてもあの女神だぞ?


 ……正直、あの女神を最初に産むくらいなら俺との情事でできた子供を産んでほしいと思うのは……俺のわがままなのだろうか?


「……あーちゃん。この状況どうするの……?このままだとあーちゃんのヒロイン達による壮絶なバトルが繰り広げられることになっちゃうよ?」


「に、ニナ……?なんでお前はこんな状態の人間に近づくことができるんだ……?俺はめちゃくちゃ怖いんだが……」


 レーナ達の様子を見た丹奈が俺に近づいてきた。

 その丹奈の後ろからレンジが恐る恐る追いかけてきたが……そんな生まれたばかりの子鹿みたいに足を震わせるくらいなら待っていればいいのに。

 ちなみに丹奈が恐れてないのはヤンデレスキーだからってだけだと思うぞ。


「まぁ、俺のために争うことは別に問題はないんだが……。【四獣結界】も張ってあるし。ただなぁ……俺の遺伝子を混ぜるとはいえ、あの女神を生むことになるんだろ?それが嫌なんだよなぁ……」


「ムグッ!?ムググググググ!!!」


 俺の言葉に女神はムグムグ言いながら何やら叫び始めた。

 多分だけど、「時間を巻き戻されるのは私なのに理不尽だ!!」とでも言いたいのだろう。

 ……まぁ、それが罰なんだから受け入れてくれとしか言いようがないんだが。


「レーナ達には悪いけど……俺の独断で決めさせてもらおうかな。おーい、ソフィア。」


[……グスッ。旭……なんですか?私は旭との子供を作れない敗北者……いまの私に役に立てることはないと思うのですが……]


 俺はゴゴゴゴゴ……と火花をぶつけ合っているレーナ達を横目にソフィアを呼んだ。

 そんなソフィアは涙目でネガティブなことを言っている。

 というか、俺が女神を受精卵まで【時間遡行】するのが確定みたいな言い方をしないでもらいたい。


「いや、誰も受精卵まで時間を巻き戻すとか言っていないから。今から言うあるものを用意しておいてくれるか?」


 未だにグスグス泣いているソフィアの頭を撫でて、俺はソフィアに【クリエイト】してほしい物を伝える。

 その言葉を聞いた途端、ソフィアは涙を拭って瞳を輝かせ始めた。


[……なるほど。それを創造すればいいのですね……?わかりました!このソフィアに任せてください!……全力を持って旭の期待に応えなければ……!ふふふ……!]


 ……よし、ソフィアなら俺の予想以上にいいものを創造してくれるだろう。

 俺は女神に近づき、猿轡を外した。


「……プハッ!?あ、旭君!!本当に受精卵まで巻き戻すなんて言わないよね!?嘘だよね!?」


「……まぁ、そこまでするつもりはないけどさ……。とりあえずレーナ達の争いが本格化される前に罰を与えることにする。神の輪廻転生なんて多分お前が初めてだろうから誇りに思っていいぞ?」


「そんな誇りなんていらないからね!?」


 そんな女神の声を無視して俺は【時間遡行】の発動準備に取り掛かる。

 バフを全部使用するのは当然として……念のために女神の周辺に【聖域】を展開しておく。

 いや、本来なら必要ないんだが……レーナ達の争いが飛び火しないとはいえないし。


 そんなレーナはハイエンジェルを100体召喚、リーアは【百鬼夜行】を発動させて後ろに控えさせていた。

 唯一ルミアは召喚魔法を発動させていないが……その手には神刀が構えられている。

 早くなんとかしないと、誰が女神を産むのかという非常に虚しい争いが始まってしまうかもしれない。


「最後に【紅き鎧】を使用して……と。さて、準備は整った。人間が神に罰を与えるなんて不敬だと思うか?お前がレーナ達に刺客を送り込まなければ……と思うが、結果が全てだ。時間を巻き戻したら俺が面倒見てやるさ。……()が女神に与えるのは時間の巻き戻し。それにより此度の罪を償わん。……対象の遡行年齢を6歳に設定……神霊魔法【時間遡行】!!」


「キャァァァァァァッ!?」


「パパ!?受精卵まで時間を巻き戻すんじゃなかったの!?」


「私達が今始めようとしていた決闘の意味がなくなっちゃうよ、お兄ちゃん!!」


「旭さん!今一度ご再考を!子供から育てた方がよりいい女神として生まれ変われるはずです!!」


 女神の悲鳴を聞いたレーナ達3人が慌てて俺のところに駆け寄ってきた。

 呼び出されたハイエンジェル達と妖怪達は……呆然と立ち尽くしている。


 そんな中、女神の時はどんどん巻き戻っていき……6歳の幼女になった。


「……え?ここ……どこ……?……ヒッ!?なにあのこわいの!」


 女神だった幼女が初めて発した言葉は、恐怖に満ちたものだった。

さて、女神が受けた罰は幼女まで時間遡行されるーーでした。

予想が当たった人はいたでしょうか?

もし、そんな人がいましたら……Twitter上で教えてもらえると嬉しいです。


さて、次の更新ですが……4/24or25を予定しています。

24日が面接ですが……いつも通りのペースを維持できるように頑張ります。


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