旭はSSランクの冒険者となる
おはようございます。
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ウダルのギルドマスターの後に続いて、冒険者ギルドに戻ってきた。
周りの冒険者達はギルドマスターと一緒に入ってきた俺たちを見て驚愕している。
「さて、旭君。今回のランクアップの手続きについてだ。本来はギルドマスター室で行うのだが、今回は周りに周知する意味合いも込めて受付カウンターで行いたいと思う。いいだろうか?」
ギルドマスターがこちらを振り向いて確認をしてくる。
周りに周知するってことは、あのイケメン君みたいに暴走する輩が再び現れないようにするためなのだろう。
特に拒否はないので素直に頷いておく。
レーナとリーアも反論はないようだ。
「あぁ、それについては構わない。で、その受付の対応は誰がやってくれるんだ?」
「勿論、私ですよ。旭さん」
受付のカウンターからはルミアがこちらに向かって話しかけていた。
……いや、貴女俺の後ろにいましたよね?
いつの間に受付カウンターに入ったんだ?
……ツッコミを入れたら負けな気がしてならない……。
ギルドマスターは苦笑しながら補足を加えてくれる。
「すまないね、旭君。ルミア君が君関係の仕事は全部私の仕事だと聞かなくてね」
「私は旭さんの専属ですからね。冒険者ギルドを辞めるまではこのポジションは譲りませんよ」
ギルドマスターの言葉にルミアは胸を張って堂々と宣言している。
こう言うのを見るとレーナとリーアが【狂愛】を発動させるんだが……今回は何も反応していない。
どうしたんだ?と思って2人に問いかける。
「レーナ、リーア、今日はどうした?いつもなら【狂愛】が発動するほど病むのに」
「うーん……ルミアお姉さんならまぁいいかなぁって……」
「そうね……ルミアさんのお兄ちゃんへの好意は本物っぽいからなるようにしかならないかなって」
レーナとリーアはそう言って、ルミアに優しい視線を向けている。
……ルミアの気持ちは感づいていたけど、まさかレーナとリーアのダブルヤンデレを陥落させるとは……。
多分あれだな。冬コミの時のルミアを見てからなんだろうな。
ただ、出会った当初の頼れるお姉さんではなく、天然ドジっ子の姉を見るような視線はやめてあげようか。
それに気づいた時、ルミアが大変なことになるから。
「では、冒険者ランクの昇格手続きを行います。……とは言っても、後は書類上の手続きだけですが。Aランク以上の冒険者パーティには名前をつけていただいておりますので、その命名のみとなります」
「チーム名か……今まで考えたことなかったな。レーナとリーアはいい案ある?」
「チーム名かぁ……。[パパと可憐な少女達]はどう?」
「レーナ、それだと私までお兄ちゃんをパパと呼んでいるようになるじゃない。ここは[史上最強のイケメンとその嫁]にするべきだと思う」
レーナとリーアに意見を求めてみたが……ネーミングセンス的にどうなんだ?
レーナの案は俺の名称を変えればいいからまだいいとして……リーアのはないんじゃないかなぁ?
俺はイケメンじゃないし。
「いや、俺はイケメンじゃないからリーアの案は無しかな?[ヤンデレーズ]とかどう?」
「「いや、流石にそれはちょっと」」
……ダメか。俺の仲間になる娘達はヤンデレに目覚めるからいいと思ったんだが……。
そんな感じで、3人でああでもないこうでもないと話し合っていたら、ルミアがアドバイスをくれた。
「チームを想像させる名前にするのはどうでしょう?この名前を聞いたら旭さん達のパーティとわかるような……」
「俺たちの特徴か……」
「パパとわたし達の特徴かぁ……。そうなるとこれかなぁ」
レーナはそう言って紙に俺たちの特徴を書き始めた。
・パパがかっこいい
・チート級の能力
・ハイエルフとダークエルフの嫁
・ヤンデレを兼ね備えたヒロイン
・パパが最強
……最初と最後がレーナの主観が入っているのは置いておくとして。
これらを合わせてのチーム名か……難しくないか?
そう考えていたらルミアから提案があった。
「そうですね……では[ロードオブヤンデレ]と言うのはいかがですか?略称でROYと略すのもわかりやすいかと思われますが……どうでしょう?」
「うん、ルミアお姉さんの案はいいと思う。リーアはどう?」
「そうね……。お兄ちゃんがロード、私達がヤンデレで表現されているから問題はないと思うわ」
レーナとリーアはルミアの提示したチーム名を気に入ったようだ。
俺としてはロードの名は重いんじゃないかと思ったが、いいチーム名が浮かばないのも事実なので、ルミアの提案に乗っかろうと思う。
なにより、嫁2人が賛同しているし。俺の仲間になる娘はなぜかヤンデレ標準装備しているし。
「じゃあ、チーム名は[ロードオブヤンデレ(ROY)]で登録してくれ」
「わかりました。ギルドマスター、チーム名が決まりましたので、他の冒険者達にこのことを広めておいてください。私はランクアップの最終手続きをしてきますので」
「相変わらず人を部下のように使うね……。私をそんな風にこき使うのは先にも後にも君だけだよ。さすがは裏のギルドマスター」
ギルドマスターはルミアの言葉に苦笑しながらも、冒険者達に聞こえるように声を張り上げる。
「諸君!話を聞いていたかもしれないが、ここに通告する!ここにいる冒険者響谷旭君とそのパーティメンバーであるレーナ君、リーア君は今この時より、過去最高のSランクを超えたSSランクに認定された!チーム名は[ロードオブヤンデレ]。今後このパーティに無駄な喧嘩を吹っかける者はウダルのギルドマスターの名において処分を言い渡すので注意するように!」
ギルドマスターの言葉を聞いた冒険者達は当然騒ぎ出す。
俺たちに喧嘩をふっかけたら冒険者ギルドが処分すると言われれば、騒ぎたくもなるだろう。
「SSランクってマジかよ……!?」
「どんな能力を持っていればそんなことになるんだ!?」
「そういえば、あのイケメンパーティが手も足も出なかったらしいぞ……」
「ギルドマスターの後ろ盾があるとか最強すぎるだろ……。これで喧嘩ふっかける奴はただのバカだな」
「ハーレムなのは憎たらしいが……奴の能力を考えれば仕方ないことなのか……」
……いや、本当に驚くくらいに騒がれているな。
というか、もうイケメンパーティを叩きのめしたことが広まっているのね。
情報が広がるのが早すぎると思う。
「やっぱりダスクにいたギルドマスターのおじさんと違って、ここのギルドマスターさんは仕事ができるね。これでパパに絡んでくるおバカさんもいなくなるだろし」
「本当はこれが普通だと思うんだよねぇ……。ダスクのギルドマスターはルミアさんに頼りっぱなしだからいけないのよ。お兄ちゃんの実力をしっかり見極められていない時点でお察しだよね」
レーナとリーアのウダルのギルドマスターに対する信用がどんどん上昇している件について。
まぁ、確かに俺たちの実力をしっかり評価してくれているとは思う。
ただなぁ……話が大きくなりすぎているような気がしなくもないんだよなぁ。
ウダルのギルドマスターってそこまで影響力が強いのだろうか?
「なぁ、ギルドマスターさんや。あんたはそんなに冒険者ギルドに影響をもたらす人間なのかい?」
「……ん?あぁ、俺は各地に存在する冒険者ギルドのギルドマスターの中で幹部を担っているからな。それなりに影響力はあると自負しているよ。……ルミア君もあれで結構影響力のある人間だがね」
俺の疑問に笑いながら答えてくれるギルドマスター。笑うとダンディだな。
しかし、まさかウダルのギルドマスターが幹部的なポジションだとは思わなかった。
ルミアの影響力の強さはある程度わかっていたつもりだったのだが。
【氷の女王】とか呼ばれているくらいだし。
そんなことを考えていたら、ルミアが俺達の冒険者証をもって戻ってきた。
「旭さん、お待たせしました。これが新しい冒険者証になります。SSランクということで、この冒険者証を提示するだけで各お店である程度の値引きが適用されます。また、緊急の依頼については優先的に依頼が持ち込まれますので、そこはご了承ください」
そう言ってルミアは冒険者証を手渡してくる。
冒険者証はプラチナでできているらしく、白い光沢を放っている。
「パパ、見て見て!このカードかなりキラキラしてる!」
「お兄ちゃん、これ……プラチナだよね……?私、プラチナって初めて見た……!」
レーナとリーアはプラチナを初めて見たのか、キャイキャイとはしゃいでいる。
はしゃいでいるその姿は年相応の女の子で、非常に愛らしい。
今すぐに抱きしめたいが、ルミアに確認したいことがあるので頭を撫でるだけで我慢する。
「SSランクを新しく作ったにしては色が決まるのが早いな……。ルミア、もしかしてSランクもプラチナの冒険者証なのか?」
「いいところに気がつきましたね。確かにSランク冒険者の冒険者証もプラチナが使われます。しかし、Sランク冒険者が存在しないとは言えども、同じでは大差ないので旭さん達の冒険者証にはプラチナを100%使用しております。そのカード一枚で金貨50枚の価値がありますよ。旭さんの実力を考えれば、このくらいは妥当だと思います」
ルミアが自信満々に答えてくれた。
それにしても3枚で金貨150枚分の価値があるのか……。
ギルド的に問題はないのだろうか?
そう思ってギルドマスターの方を見ると、ルミアの言葉に納得したような顔で頷いていた。
「ギルドの金銭面は気にしなくていいぞ。実力のある冒険者に相応の対応をするのは冒険者ギルドの義務だからな。……ダスクのギルドマスターが不甲斐ないだけで、本来はこれが普通の対応だから、冒険者ギルドへの評価は下げないでおくれよ?」
……俺の心は読まれていたようだ。
俺は素直に謝罪する。
「バレていたか。申し訳ない。お言葉に甘えてこの冒険者証を大切に使わせてもらうとしよう。ウダルの冒険者ギルドが俺達に敵対することがないことを祈るよ」
「ははは。天変地異を起こすほどの実力がある冒険者を裏切るなど、この私が許さんから安心してくれ。……さぁ、事務的な話は終わりだ。ここにくる前に言ったように食事にしようじゃないか。ちょうど準備もできたようだしな。食堂に行くとしよう。ウダルの美味しい料理を堪能していってくれ」
そう言ってギルドマスターは食堂に向かっていく。
レーナとリーアは待ってました!と言わんばかりに俺の両腕を引っ張ってくる。
「パパ!料理の準備ができたって!早く行こっ!」
「ようやく美味しいご飯が食べられるのね……!お兄ちゃん、早く行きましょう!お兄ちゃんが最強の冒険者になったお祝いを盛大にしなきゃ!」
「最強の冒険者になったのは俺だけじゃなくて3人だぞ?……わかったわかった。すぐに行くからそんなに引っ張らないでくれ」
俺は興奮する2人に苦笑しながら食堂へ向かって歩いていく。
ここまでよくしてくれるならこの街に定住するのもありかもしれないな。
そんなことを考えながら、レーナとリーアに引っ張られていく俺なのだった。
「……これで旭さんの冒険者としてのランクは丹奈さんを超えました。ウダルのギルドマスターの後ろ盾も得た……。ダスクのゴミマスターが手を出してくることは少なくなるはず……。後は各ギルドに通知を出すだけですね」
ルミアが後ろでそんなことを呟いていた。
これがフラグにならなければいいのだけれど。
作者にネーミングセンスがないので、このような形にしました。
いい案があったらコメントしてくれると嬉しいです←
次回から丹奈目線の話となります。
うまく表現できるか自信はないですが、頑張って書き上げたいと思いますので、暖かい目で見守ってくださると幸いです。




