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幼女エルフと始める異世界生活  作者: 朝倉翔
第2章
28/199

女達による仁義なき戦い

更新が遅れて申し訳ありません。

今回はレーナ&リーアvsイケメンの女衆20人の対決となります。

戦いの準備は整った。

ハイエンジェルとゼウスによる二重の結界。

これでレーナとリーアが本気を出したとしても、対戦相手のイケメン君パーティは問題ないだろう。

しかも、ゼウスによる蘇生魔法と回復魔法の二段構えも備えてある。


イケメン君のパーティメンバーはしばらく無言だったが、やることを思い出したのか、レーナとリーアに向かって叫び始めた。


「で、では果たし合いを開始しますわ!お二人とも、出てきなさいな!私たちの攻撃を耐えきれるとは思わないですけどね!」


「なんかうるさい人だなぁ……。それじゃあパパ、行ってくるね」


「私達の力をしっかり見ていてよね、お兄ちゃん」


レーナとリーアは、イケメン君の女の言葉に嫌な顔をしながら戦いの場に向かって歩いていく。

俺にできることはやったつもりだ。

後は、2人が攻撃を耐え切ってくれることを祈るばかりである。


2人がコロシアムのステージ中央にたどり着いた時、女達が改めて勝負内容を確認してきた。


「では、これから果たし合いを開始しますわ。今回の果たし合いは特殊ですけれども……。まずは私達が貴女達を攻撃します。それに耐え切れたら次は貴女達の攻撃となります。ここまではよろしいですの?」


「問題はないよ」


「それなら良かったですわ。それで、私達の構成は前衛が5人の後衛が15人ですの。初めは前衛のメンバーが攻めますが、どちらか近接戦闘できますの?」


女は前衛と後衛で攻撃を分けるようだ。

というか後衛の人数多すぎじゃない?

あれか、火力で押し切るパーティなのか?

ちなみに、近接戦闘ならリーアの得意分野である。


「……そういうことなら私が行かせてもらうわ。レーナは完全に後衛職だからね」


「リーア、大丈夫?向こうの前衛は5人みたいだけど……」


「お兄ちゃんからの愛で強化された私にとって5人は少なすぎるくらいだよ?レーナはこの後に備えて準備しておいて」


「それもそうだね。……無理はしないでね」


「わかっているって。無理したらお兄ちゃんに心配かけちゃうもんね」


そう言って、レーナは後ろに下がっていく。

リーアvsイケメンメンバー5人か。

実を言うとリーアが戦う場面を見るのは初なので、どのように戦うのか楽しみではある。

ただ、今回の果たし合いでは攻撃を受けきることが勝利条件だ。

HPと防御力が高いリーアといえども、5人からの攻撃を受けきることは厳しいんじゃないかな。

そんなことを思っていた時のことだった。


「……そういえば……あの女の人達って皆胸が大きいよね……。私なんてまだペッタンコなのに……しかもレーナにも負けてるんだよね……。巨乳羨ましい……どうやったらそんなに大きくすることができるの……?今はあの自称イケメンにアピールしているみたいだけど……それがお兄ちゃんに向けられたら……?そんなの……もぎ取るしかないよね……?」


リーアはイケメン君の女達の胸を見て、そんなことを呟き出した。

【嫉妬】と【狂愛】のオーラがどんどん溢れていく。

その視線を受けた女達はブルブル震えているような気がする。


「な……なんなの!?この禍々しいオーラは……!……気にしたら負けね。皆、いくわよ。私が槍で牽制するから、他の4人は剣で切り掛かってちょうだい!」


ほう……。剣を使うのが4人と槍が1人の編成なのか。

たださ……小さい女の子1人にたいして5人で襲いかかるって、絵面がどうみてもいじめにしか見えないんだけど……そのことに気がついているのだろうか。

大丈夫かなと思いリーアの方を見てみると……。


「ーーーー我の望みは複数の敵に力負けすることのない力。我の魔力を贄に複数の敵に打ち勝つ力を与えたまえ……。【魔力分身】!」


……リーアが5人に増えた。

ちょっとまって、あれって魔法なの?

天使が5人に増えたんですけど……!


ーーーー[落ち着いてください、旭。リーアが使用したのは闇の上級魔法の【魔力分身】です。魔力を使って実体と同じ分身を出す魔法ですよ。ナ◯トの影分身と考えればいいのです]


内心で慌てていたら叡智さんからツッコミが入った。

っていうか、分身できる魔法なんてあったんだな。

分身って忍術の類だと思っていた。

視線を戻すと分身したリーアが女達に向かって、挑発していた。


「「「「「さぁ、これで同じ人数よ?それとも1対1では勝てる見込みがないのかしら?」」」」」


「 ……言いましたね?1人ずつ相手にできるのなら好都合!私達の力をその身で思い知ればいいわ!」


女達はそう叫んで、リーアに切り掛かっていく。

……しかし、攻撃はリーアを傷つけることなく躱されていく。

リーアは剣の攻撃を()()で流しながら、流せないと思った箇所は避けている。

避けているだけだが、女達は冷静さを欠いてなんとか攻撃を当てようとしている。

しかし、リーアはそれらの攻撃を落ち着いて捌いている。

冷静さが欠けている攻撃では当たるものも当たらないとは思うが……。

だからといって、あくびしながら交わすのはいかがなものだろう?


リーアの敏捷は400だからそこまで避けきれないと思っていたのだが……どういうことなんだろう?

今戦闘しているリーアの敏捷値は絶対に400じゃない気がする。

叡智さん、叡智さん。教えてください。


ーーーー[疑問を感知。リーアは現在【嫉妬】と【狂愛】を同時に発動しています。それによって、敏捷の能力値が上昇。現在、リーアの敏捷値は4000を超えています]


4000ておま……。

俺の敏捷値が5000だからそれに近い能力値となるじゃないか。

それだけ高ければあんな風に避けるのも容易いよなぁ……。

というか、【嫉妬】と【狂愛】のバフ効果が半端ない件について。

これは敵からしたら怖いだろうなぁ……。


「……ハァ……ハァ……!なんで……!攻撃が……!当たらないんですか……!?」


「お姉さん達が弱いからだと思うよ?攻撃が遅すぎて眠くなっちゃう」


息切れをしている女達に比べ、リーアは汗1つかいていない。

敏捷値が上がっているから避けるのも苦労しないのだろう。

そんな前衛職をリーアが挑発しているが、その挑発に対する反論もできないようだ。

息切れをしている前衛の女達を見た後衛が叫んでいる。


「私達の攻撃で一気に押し切りますわ!こちらに戻って!」


どうやら、魔法でレーナとリーアをギブアップさせようとしているらしい。

それを聞いたレーナがリーアに声をかける。


「リーア戻って!前衛での勝負は勝ったようなものだし!後はわたしに任せて!」


「わかったわ!……【魔力分身】解除」


リーアは分身を消して、レーナのところに戻っていく。

お互いの前衛が後ろに下がったことで、第2ラウンドの火蓋が切って落とされる。


「なかなかやるようですわね……。そんな貴女達に敬意を評して私達の全力の一撃を叩き込んであげますわ!」


「まさか……おい!あの魔法は威力が半端ないからこの場で使っちゃダメだ!あの魔法を受けたら2人とも死んでしまう!」


女達の言葉を聞いて、イケメン君が隣で叫んでいる。

……非常にうるさい。

俺が何のために、ゼウスとハイエンジェルを呼び出したと思っているんだ。

隣でうるさくされても迷惑なので、殺気をイケメン君に向かって浴びせておく。


「……グッ……!?」


俺の殺気を受けて、黙り込む自称イケメン君。

彼のズボンが濡れているのは……見なかったことにしておいてあげよう。見知らぬふりをする優しさは持っているからね。


「レーナ、向こうは15人で魔法を同時に詠唱して発動させるみたいよ?威力は……お兄ちゃんの禁忌魔法よりは若干劣るといった感じかな?どう対処するの?」


「大丈夫だよ、リーア。ダマスクとの戦いの時にパパがいい防御魔法を使用していたから」


レーナは自信満々にリーアの質問に答える。

ダマスク戦で俺が使った防御魔法……ってまさか!

いや、レーナは【聖なる盾】しか使えなかったはずなのだが……。


レーナの言葉の後、両陣営の詠唱が始まる。


「「ーーーー我らの魔力を合わせ、我らの大切な方の敵となるかの敵を打ち砕かん。集まりし膨大な魔力は魔法の威力上限を高め、 我らに益ある結果をもたらさん。我らが使役する属性たるは炎……」」


「我が求むは我の大切な存在である人が使用した防御魔法。その障壁は何事も通すことを許さぬ、史上最高の防御壁。かの敵の攻撃を討ち滅ぼさん……【聖域(サンクトゥアーリウム)】!!」


詠唱が先に完了したのはレーナだ。

俺が使用したのと同じ【聖域】が2人を囲むように展開される。

【聖域】は禁忌魔法を一回は確実に防いでくれる。

禁忌魔法の劣化程度なら問題はないだろう。

詠唱時間が短かったが……まぁ、【詠唱簡略化】のスキルのついた杖を持っているから当然といえば当然か。


「「ーーーー今我らが目の前にいる敵を燃やし尽くさん【同時詠唱魔法:炎獄球(ブラストボール)】!」」


イケメンの女達も遅れて詠唱を完成させる。

【炎獄球】か……。

【炎獄の台風】が上級魔法だったから、あの魔法も上級魔法なんだろう。

たださ、魔法を放った方が息切れ起こしているのは何でだ?

Cランクで上級魔法を放つというのは数で補わないといけないらしい。


【獄炎球】は轟音を轟かせながら、レーナとリーアに向かっていく。

まぁ、【魔法威力向上】を使っていないから、俺の【炎獄の台風】よりも威力が低そうなんだけど。

あれが禁忌魔法の劣化なのか……正直肩透かしである。


「……15人合わせて発動してそれ……?パパの魔法の方が強いんですけど……」


レーナも同じことを思ったようだ。

実際に【炎獄球】は【聖域】に触れると音もなく消失した。


「……ゼェゼェ……!なんで……!なんで……何ともないのですか!!」


「いや……貴女達の魔法ってお兄ちゃんより格段に弱いし……。レーナの唱えた魔法って禁忌魔法よ?お兄ちゃんの攻撃ですら一撃は耐えるって噂の防御壁が壊れるわけないじゃない……」


「そうだよねぇ……。リーアが禁忌魔法の劣化っていうから【聖域】を唱えたのに……。これなら【聖なる盾】だけでもよかったよ……」


女達はリーアの禁忌魔法という言葉を聞いて、驚愕している。

その女達の矛先は俺の方に向かった。

イケメン君を一瞬見たが、気絶していたのをみると視線を逸らしたのだ。

……好感度が下がらなければいいね。


「ちょっと……!貴方のパーティメンバーが禁忌魔法を使えるなんて聞いていませんけど!?」


「いや、言ってないし聞いてないのは当たり前じゃないか。それに使えるようになったのもつい最近だし」


「ちょっと……自称イケメンさんのお姉さんたち……?なに気安くパパに話しかけているのかな……?イケメンさんを見限ったら今度はパパを狙うつもり……?許さない……ユルサナイ……」


おぉ……。レーナが今まで以上にヤンデレしている。

可愛いなぁ……今すぐ抱きしめに行ってもいいかなぁ……。


そんなことを考えていたら、リーアが相手側に向かって重く低い声で宣言する。


「……次は私達の攻撃の番だよね……?レーナはしっかり魔法を耐えきったのだし」


「……ちょっ、ま……、まっt」


「ルールだからね〜。まさか逃げるなんてことは言わないよね……?っと、ゼウスさんゼウスさん」


青い顔で2人を眺める女達を無視したレーナはゼウスに向かって話しかける。


『お嬢……?な、何でしょうか……?』


おっかなびっくりでゼウスがレーナに近寄っていく。

それを見た女達が絶句している。

……うん、気持ちはわかるよ。

エルフに怯えるゼウスっていう構図はありえない光景だからね。


「あの自称イケメンさんの女性達のHPと魔力を回復して欲しいんだけど……できる?」


『回復するのは構いませんが……よろしいのですかな?』


「うん、大丈夫。だってさ……()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()


『……わかりました。レーナお嬢の意見を汲み取って、全回復いたしましょう。【完全回復】』


ゼウスの魔法が女達に降り注ぐ。

女達は敵に回復された事実に驚いている……というより、恐怖していないか?

ヤンデレに当てられたか?


「さぁ、お姉さん?魔力は回復させたから頑張って防御魔法を唱えてね?じゃないと……大変なことにナルヨ……?」


「…………ヒッ!?」


相手が必死こいて防御魔法を展開する。

相手が展開したのは合同魔法による【炎獄の壁(ブラストウォール)】という炎の上級防御魔法らしい。

……正直攻撃を抑えられる気がしないのだが。


「リーア、私達も準備しましょうか。お兄ちゃんに私達の新しい力を見せるいい機会だよ」


「そうだねぇ。私達の全力全開の合同魔法をパパに見せてあげよう!」


2人はそういうと、【詠唱簡略化】の杖を2人で持って【狂愛】を解放し始めた。

禍々しいオーラが杖を通じて周りに溢れていく。

防御魔法を展開し終わっている相手はビクビクとしている。


それにしても……2人も合同魔法を使うのか。

いつの間にそんな特訓をしていたのだろう?

あれか?俺が居酒屋に飲みに行かされた時か?

それともコミケから帰ってきて、俺のところに来なかった2日間の間か?

そんなことを考えている間に、2人は詠唱を始めた。


「「ーーーー我らは人生で最高の人物に会い、その人物から新たなる力を得た。その力を用いて目の前にいる敵を消滅させん。混ぜ合わさるは光と闇。本来ならば交わらざる力が交わることで、より強大な魔法を生み出さん……」」


……なんだ?今回の詠唱は詠唱簡略化があったにしてはかなり長い……。

なにより、嫌な予感がビンビンするんだ。

詳細はわからない。第六感とでもいうべきか?

ただ、これだけはわかる。

あのまま魔法を放ったら……()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

それに気づいた俺は急いでゼウスとハイエンジェルに指示を飛ばす。


「ゼウス!今すぐにHPがなくならない魔法と結界を展開してくれ!ハイエンジェルは強化するから【天使結界】をゼウスの結界の外から2枚展開!!急げ!!」


「『か、かしこまりました、主!!』」


俺の指示に従って、ゼウス達は大慌てで結界やら魔法やらを展開する。

多分それだけでは不十分だろう。

俺も魔法を展開するしかあるまい。

あんまりイケメン君の女性にこの魔法は使いたくなかったが……このままでは果たし合いどころではなくなる。


「ーーーー【魔法威力向上】を使用。【聖域】を相手側に展開!」


「…………っ!?一体何が……!?」


自分たちの発動した障壁の内側に先ほどの防御壁が現れた女達は、驚きのあまり腰を抜かしている。

……腰を抜かしている場合じゃないんだけどなぁ。


「お……おい、君……。意識が戻ったと思ったらこれはどんな現状なんd「うるさい!死にたくなければ黙っていろ!」……はい」


イケメン君も意識を取り戻して、俺に問いかけてくる。

しかし、今はそれどころではない。

イケメンを無理やり黙らせ、今までにない規模で防御結界などの魔法対策を実行する。

結界を張り終わったのと、全神経を集中していた2人の詠唱が終わるのはほぼ同時だった。


「「今ここに!我らに敵対する全ての事象を消滅せん!【終焉の極光(ラストエンブリオ)】!!!」」


2人が詠唱を終えた途端、大気を揺るがすほどの強い光がイケメン君の女性達を包み込む。

幸いのことに2人の魔法は観客席まで届いていないので、女性陣以外に被害はない。

たださ……俺の展開した【聖域】からピシピシと音がなっているんだよ……。

【魔法威力向上】で威力ではなく防御力を挙げた【聖域】が……である。

これ……どんだけの威力なんだよ……。

2人の魔法攻撃合わせてもここまでの威力にはならないだろう?


ーーーー[疑問を確認。現在2人は【狂愛】によるバフ効果を受けています。そこに光と闇の相反する魔法が交わったことによりあれほどの威力が出ています。合同魔法の効果と【狂愛】の効果で現在の2人の魔力攻撃は合計で20000を超えております]


……俺以上の攻撃力か……。

それなら納得の威力の高さだ。

まさか【聖域】が破られそうになるとは思わなかったので、もう1枚展開しておく。


【終焉の極光】は5分間降り注ぎ続けた。

魔法の消滅後、2人はどうだ!?と言わんばかりに相手の方を見やる。


「……あれはパパの【聖域】!?どういうこと!?」


「レーナ……もしかして威力が高すぎたのではないかしら……?パパが【聖域】を展開していなかったら……あの人達死んでいてしまったのでは……?」


レーナとリーアはそう話しながらも恐る恐る俺の方を見て……。


「うわーーーん!パパぁ……ごめんなさいぃぃぃ!」


「約束を破りそうになっちゃった……。嫌いにならないでぇぇ!」


2人は泣きながら俺に全力で抱きついてきた。

俺は2人を抱きしめ、よしよしと頭を撫でてあげることにする。


「よしよし、泣かないの。相手は殺していないんだし結果オーライでしょう。それよりも……あんなに強力な魔法を放つことができるとはなぁ……。俺の【聖域】も強化してなかったら危なかった。強くなったね。リーアの【魔力分身】も見事だったよ」


俺はそう言って2人をきつく抱きしめる。

抱きしめられたレーナとリーアは驚いていたが、2人で顔を見合わせるとまた泣き出してしまった。


「パパ……パパぁ……!わたし達強くなれてる……?パパの足引っ張ったりしてない……?」


「お兄ちゃん……!嫌いになってない……?これからも一緒にいていい……?」


……2人はそんなことを気にしていたのか。

足を引っ張っている様子は微塵もないし、むしろ癒されているくらいだというのに。

俺は2人の頬に軽いキスをして、愛しさを込めて話しかける。


「足引っ張っていないし、これからもレーナとリーアにはずっと側にいてほしい。俺だけを愛してほしい。こんなわがままな男は嫌いか?」


俺の言葉を聞いた2人は満面の笑みで自信満々に答えてくる。


「「嫌いになるわけないじゃない!!いつまでもずっと一緒だからね!」」


「あ……あのー……まだ果たし合い終わっていないんですけど……」


……誰だよ。せっかくいい雰囲気になっているのに水を差してくるのは。

俺が苛立ちを隠さずに振り返ると、自称イケメン君がなんとも言えない顔で立ち尽くしていた。

彼の周りには女性陣が控えている。

……好感度下がらなかったのか。


「果たし合い?あぁ……俺たちF()()()()()()()とそちらの果たし合いだったか。すでに勝負は決したように思えるんだが?」


「い、いや……そうなんだが……。やはり君みたいな男に2人は任せられない!お嬢さん達の力の強さは十分に理解した!だが、君自身の強さではない!だから……俺とタイマンで勝負だ!」


……この男は何を言っているんだ?

ゼウスを召喚したことと一撃必殺の魔法を防いだのに俺の強さではない?

……このイケメン君は頭が悪いのだろうか……?

イケメン君の女性達は少し申し訳なさそうな顔をしている。

いや、そんな顔をするより前に止めてくれよ……。


「はぁ……分かった。実力差を測れない残念なイケメン君のためにその勝負を受けるとしよう。何でもありのタイマンでいいんだよな」


「いや、眷属を使うのは禁止させてもらう!俺はあくまで君の実力を知りたい!全力で来なければそちらのお嬢さん達は俺の仲間になってもらうからな!」


……は?

俺が全力を出さなかったらレーナとリーアを仲間にする……だと……?

……もういい、そこまで言うなら本気でやってやろうじゃねぇか……。


「よーし……分かった。そこまで言うなら果たし合いという形式を変えるとしよう。……これから行うのは殺し合いだ。ゼウスの蘇生フィールドもあるし問題ないだろ……反論は認めん」


「な…………!?規約違反になるぞ……!?」


「知るか。元はと言えばお前がふっかけてきたんだ。自業自得だろうが。さぁ、早く中央に行こうか。()()()()()()()()()()()()()()()


俺はそう言って中央に向かって歩き出す。

歩き出す前にレーナとリーアがこちらを見つめてきた。


「パパ……無理はしないでね?」


「そうだよ、お兄ちゃん。あんな男に負けるとは思えないけど、油断は大敵だよ?」


「大丈夫、2人のためにきちんと息の根を止めてくるから。……ゼウス、ハイエンジェル。死ぬ気で防御魔法を展開しておけよ?全力で行くからな」


「『Sir,Yes,Sir!!!』」


俺の指示にハイエンジェルとゼウスは怯えながらも全力で魔法を展開し始めた。

さぁ、あの言っても聞かない自称イケメンを叩き潰すとしようか……!

イケメン君は本当に実力差を見極められませんねぇ。

それだからCランク止まりなのですが。

さて、次回は旭が本気を出します。

コロシアムが壊れないか……重要なのはその部分ですね。


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