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幼女エルフと始める異世界生活  作者: 朝倉翔
第1章
23/199

幕間の物語-冬の聖典と旭一行 3-

冬コミ編完結です。

本当は2部で完結する予定だったのですが……どうしてこうなった?

今回はいつもより長いです。

俺たちは東ホール1にたどり着いた。

……会場に行くまでに、男達が俺たちを取り囲んで移動したり、ハイエンジェルの大楯に阻まれた男達が怨嗟の声をあげたり、それはもう色々な出来事があった。


ちなみに遠くから勝手に写真を撮ろうとする者達もいたので、新たに【電波障害】の魔法を使用している。

この魔法は叡智さんが教えてくれたもので、使用した空間において携帯のカメラと拡散を防止してくれるそうだ。

完全に地球限定の魔法だよなぁ……効果が限定されすぎている。

まぁ、今の俺たちにはありがたいけど。


「おい!カメラが起動しないぞ!?」


「○wi○t○rで拡散もできないぞ!?どうなっているんだ!?」


「くそぅ……写真を撮れないならせめて握手を……!グハッ!?」


「いや……○Tフィールドあるんだから無理だろ……。その前にあの男が抱き上げていることで高さ的にも無理だろ。」


「なら、パンチラを……!……!?ブラックホール……だと……!?」


抱き上げているからパンチラのチャンスに一縷の望みをかけてくる男がいるのはわかりきっていた。

俺の目の黒いうちはレーナ達のパンツなんて見せないよ?

まぁ、見せられる下着じゃないというのもあるんだが。


「じゃあ、3人とも。いろいろ見ていこうか。人混みが多くなっている通路は通らないようにしよう。多分悲惨なことになるから」


「壁サーの待機列はみれないのかぁ……。でも、旭お兄ちゃんのいうことに従うー」


「道案内はお兄ちゃんに任せるわ。見てるだけでも楽しいもの」


「ですね、同人誌というのは見ているだけでも楽しいですし。……周りの男どもの視線が非常に鬱陶しいのがマイナスですが……。旭さん、このゴミを掃除してもいいですか?滅していいですか?」


レーナとリーアは楽しんでいるようだが、ルミアが非常に物騒なことを言い始めた。

この世界での人殺しはかなり面倒なことになるので、抑えてもらわねば。

こういう時の対処法は……レーナとリーアの機嫌が悪くなるが、仕方あるまい。


「ルミア、ここでの人殺しは色々と罪が重いからダメだ。制限時間が来れば戻れるが、その時間まで自由時間がなくなる。どうしても男達の視線がうざかったら、俺に抱きついていていいから」


「ぱ……旭お兄ちゃん……?ルミアお姉さんは旭お兄ちゃんを狙っているって話をしたよね……?それを助長するようなことをしてどうするの……?」


「そうよ、お兄ちゃん……。これ以上ハーレムを作ったら私達への愛情が薄くなるじゃない……。そんなの私は嫌だよ……?」


俺の言葉にレーナとリーアが【狂愛】のオーラを全開にして、重く低い声で両耳に囁いてくる。

耳元で囁くのはやめて。ゾクゾクしちゃうから。

ちなみに【狂愛】のオーラを受けた男達は、ズザザッという音を立てながら距離を取り始めた。

……ヤンデレな2人を見て距離をとるとか……そんな程度の想いでよくレーナ達に近寄ろうと思ったな。


(主……お嬢様方のオーラを私達に当たらないようにしてください……。護衛任務中なのに、色々と漏らしてしまいます……)


ハイエンジェル達にも影響を与えているようだ。

透明のため姿は見えないが、声が震えている。

15体ものハイエンジェルが一斉に失禁したら……大変どころじゃないな。

俺はレーナとリーアに小声で説得する。


「レーナ、リーア。病むほど愛してくれているのはかなり嬉しいけど、護衛のハイエンジェル達にも悪影響が出てる。ハイエンジェル達には当たらないようにできないか?」


「特に範囲指定していなかったんだけど……わかった。気をつけるね」


「お兄ちゃん、私の【嫉妬】は大丈夫?発動してない?結構嫉妬していたんだけど……」


レーナとリーアはそういうと【狂愛】がハイエンジェル達に当たらないようにしてくれた。

リーアは【嫉妬】の方も心配しているが、問題ないと抱きしめる。


「あー!!リーアばかりずるい!!わたしも抱きしめて!」


レーナがずるいずるい言いながら俺の耳を甘噛みしてくる。

要望通りに抱きしめてあげると、ふにゃりと笑うレーナ……とても愛らしい。

2人を抱きしめたことで、両腕にエルフ美少女2人を抱きしめ、後ろからは猫耳美女に抱きしめられているという構図になる。


男達からのリア充爆発しろオーラが俺たちに突き刺さる!

しかし効果はないようだ!


そんな感じで通路を歩いているとある一冊の同人誌を見つけた。

俺と同じでいきなり異世界に転移したが、チート能力を持っていない主人公が出てくる作品のヒロインの同人誌だ。

「鬼がかっている」という主人公のセリフのイメージが強い。


その本をじっと見ている俺に気づいたレーナが質問してきた。


「旭お兄ちゃん、その本がどうしたの?」


「いや……、この同人誌に出ているヒロインでちょっとな」


もしかしたら、あいつに対して有効かもしれない。

俺の元カノと同じ存在だったなら、この同人誌で今後俺たちに関わらなくすることもできるんじゃないのか?


(ハイエンジェル隊、この同人誌を買うから正面の配置を横にずらして。商品を買ってサークルを離れたら元に戻るように)


(かしこまりました、主)


ハイエンジェル達にそう指示を出してから、俺はその同人誌が売っているサークルに近づいていく。


「すみません、新刊セットが欲しいのですが」


「…………!?し、新刊セットですか?2000円になります」


「わかりました。レーナ、俺の財布から2000円を出して店員さんに渡してくれ。リーアは商品を受け取ったら俺の腕に通して欲しい」


俺はレーナとリーアにそう説明する。

レーナは財布を俺の鞄から取り出して、千円札を店員に手渡す。


「はーい。店員さん、このお金で大丈夫ですか?」


「は、はい。一応大丈夫ですが……その、2人を片腕で抱っこしていてきつくないのですか……?」


店員はどこからツッコンでいいのかわからないと言った顔でそんなことを言ってくる。


「いえ、全然。2人は軽いくらいですので」


「そ、そうですか……。あ、これが商品になります」


「どうもありがとう。お兄ちゃん、腕に商品通すから一旦降ろしてもらえる?」


リーアがそんなことを言ってくるが、別に降ろす必要はないだろう。

ハイエンジェル達に命令して、腕に通してもらう。

しかし、透明化をしているのを忘れていた俺は、店員や周りの男達から驚愕の視線を受ける。


「おい……あの銀髪エルフっ娘に商品が渡った途端に、商品が自分から男の腕に向かったぞ……!?」


「ポルターガイストか……!?あの男……どうなっているんだ……!?」


「くそっ……カメラが使えないのがかなり惜しい……!」


……これはやってしまった感あるなぁ。

【電波障害】を使用していて本当に良かった。

コミケが終わった後にニュースになるかもしれないが……帰った後なら別にいいか。

誰も信じないだろうし。


俺たちは東ホール内のサークルをゆっくり眺めていく。

レーナとリーアはR指定の同人誌の表紙を見ては小声でキャーキャー言っている。

ルミアは……さっきから無言で俺の背中に抱きついているな。

猫耳もぺたんと倒して、完全に情報をシャットダウンしている。

楽しくないのかな?と思ったが……、背中からは微かにフーフーという声が聞こえる。

……あれか?発情期か?

詳しく詮索するのはやめておこう……その方がいいかもしれない……。


レーナ達が気になった本を買ったりして、西ホールの企業ブースにいこうと通路に出た瞬間のことだった。


「君達、ちょっと待ってもらえるかな?会場内で幼い女の子2人を抱っこして同人誌を買っている人物がいるという報告があったんだけど。お話聞かせてもらってもいいかい?」


声をかけてきたのはあろうことか警察だった。

会場内にいた誰かが報告したらしい。

……東ホール出るまでによく声かけられなかったものだと思ってしまう。

とはいえども、これはどうするかな……。

時間はただいまお昼を回った頃。

制限時間までは後3時間あるんだが……、その3時間を拘束されるのは辛い。


そんなことを考えていたら、警察は他の仲間に連絡を取り始めた。


「こちらB地点、報告にあった人物と接触した。応援を頼みたい」


これ以上増えるというのか……拘束されるだけじゃ済まされないかもしれない。

俺の脳裏には[アマリス]に転移する前の状況が浮かび上がっていた。

元カノに裏切られ、児童売春の疑いをかけられて1ヶ月にも及ぶ事情聴取……。

仕事ができなくなってしまったあの頃……。


それを考えた途端、俺はとっさに行動していた。


「この子達とは家族だが、拘束されるのは勘弁願います。3人とも、しっかり掴まっていろよ?」


俺はそういうとハイエンジェル達に指示を出す。


(ハイエンジェル隊、俺たちを抱えて空に飛び上がれ。この場を離脱する!)


(わかりました!あの男どもは殲滅しますか!?)


(いろいろ面倒になるから、準備ができるまでは放置!よし、いくぞ!)


ハイエンジェル達は俺の体を抱えて飛び上がる。

抱えていないハイエンジェル達は周りからの攻撃を警戒するように、防御体制をとりながら飛翔する。


「な……!?空を飛んだ……!?こちらB地点!対象は空を飛んで逃亡!……冗談言うな?目の前で起きている事実です!至急応援を!西企業ブースへと飛んでいきました!」


警察は慌てて他の仲間に連絡を取る。

西企業ブースに行くことがバレてしまったが、少しの間時間が稼げればいいので特に気にしない。

俺は飛びながら3人に説明する。


「この地球で非常に面倒な警察に目をつけられたので、コ◯ケ旅行は終わりだ。レーナが持っているゼウス人形を使って[アマリス]に戻るぞ」


「旭さん、あの男達を消してしまえばいいのでは?」


「いや、それをやるとさらに面倒なことになる。この世界では法律がかなり厳しいんだ」


ルミアが相変わらず物騒なことを言ってくるが、それを実行するわけにはいかない。

最悪公務執行妨害にあたるかもしれないからな。

……任意聴取を無視して逃亡している時点で遅いかもしれないが。


「パパ、それでこれからどうするの?すぐにゼウス人形を使って転移した方がいいんじゃない?」


「いや、戦利品を【無限収納】にしまっておかないと、置き去りにされてしまうと【叡智のサポート】が言っていた。西企業ブース近くで収納だけ行いたい」


「……お兄ちゃん、何か見えてきたよ!あそこが西企業ブースってところ?」


リーアが西企業ブースに向かうスロープを見つける。

周りの人は人間が空を飛んでいることに驚愕しているが、気にしないで進んで行く。


「そうだ、あそこが西企業ブースの一画だ。ハイエンジェル隊、あそこに広い空間がある。その場所に降りてくれ」


「「かしこまりました!」」


俺たちは程なくして西企業ブースの外側……屋上駐車場か?に降りた。

飛んできたからか、警察の姿はまだ見えない。

今周りに見えているのは何事かと集まってきた参加者だけだ。

だが、無線機で連絡していたから、近くにいる警察はすぐにやってくるだろう。


「ここで戦利品の収納をする。ハイエンジェル隊は透明化を解除せずに俺たちの周囲を警戒。レーナとリーアは買ったものを俺に預けてくれ」


ハイエンジェル達が大楯を構えて配置が完了したことを告げる。

レーナとリーアは自分が気に入った同人誌を俺に預けてきた。

……ルミア、お前はいつのまに同人誌を買っていたんだ?

しかも猫耳の比率が高いのはなぜだ?自己投影して楽しもうと考えているのか?


俺はそんな疑問を浮かべながらも、3人の戦利品を【無限収納】に収めていく。


(主!奴らが追いついてきました!)


ハイエンジェルの警告に気づき、前を向くと30人くらいの警察が近くまで寄ってきていた。


「はぁ……はぁ……ようやく追いついた……。君、任意聴取とはいえ逃げるのはやましいことがある証拠だよ?大人しく話を聞かせてもらおうか……。お前たち、確保するぞ」


警察官たちが俺たちに近づいてくる。

しかし、ハイエンジェル隊の大楯に阻まれてしまった!


「ぐ……!?なんだ!?前に進めないぞ!?」


「何かの壁が展開されている模様です!どうしますか!?」


「人海戦術だ!数で押し切れ!」


警察は数がこちらに有利だと言わんばかりに、大楯を力技で乗り越えようとする。

そんな様子をのんびりと眺めながら、俺はレーナに話しかける。


「レーナ、ゼウス人形をだしてくれ。向こうの世界に戻るぞ」


「パパ……のんびり話している場合じゃないと思うんだけど……。わかった。はいこれ」


「おい……!あいつあんなに小さな女の子にパパとか呼ばせているぞ!?何としてもこじ開けろ!!」


警察がなにか騒いでいるが、今はそれどころではない。

俺はレーナからゼウス人形を受け取る。

使い方は……この人形を空中に掲げて【境界転移】と答えるのか。

簡単だな。

だが、人形を空中に掲げている姿を見られるのは恥ずかしい。


俺はハイエンジェル達に新たな指示をだす。


「ハイエンジェル隊、今から向こうの世界に戻る。ゼウス人形を掲げている間、警察や他の人間の目くらましを頼む。透明化は解除して構わない!戻るとき、自動的にお前達も送還されるから安心してくれ」


「なんだ……?あの男は何を言っている……?」


警察が動きを止めてこちらを警戒しているが、動かないなら好都合だ。


「かしこまりました、主。ハイエンジェル隊、透明化を解除して主に時間を作ってみせます!」


俺の指示を受けて囲っていたハイエンジェル達がその姿を現す。

突然、見目麗しい羽の生えた天使が多数現れ、驚愕する警察官達。

そんな中、ハイエンジェル達が大楯から聖剣に装備を切り替え、剣を空中に向けて魔法の詠唱を始める。


「「「我が主に仇なす不届きもの供よ……!!主に対する暴言は不敬になると思いしれ!我が主に真の力を……【聖光の塔(セイクリッドタワー)】!!」」」


「な……!?いきなり光が!?どうなっている!!」


警察達の声が聞こえてくる。

俺たちの周りには光の壁が一面に広がっているだけだ。

どうやら本当に目くらまし用の魔法らしい。


「じゃあ、戻るとしようか。ゼウス人形よ!俺たちを[アマリス]にある簡易ハウスまでの転移に力を貸したまえ!【境界転移】!!」


ゼウス人形を空高く掲げて転移魔法を唱える。

レーナ達は俺の体にしっかり抱きついている。

ようやく帰ってこれた……と思った瞬間。

目の前にはゼウスが正座で待ち構えていた。

……いや、なにやってんの?

全知全能の神に出待ちされると反応に困るんだが……。


『主よ、無事に戻ってこられたようで何より。ゼウス人形を使った形跡がありましたが……いかがなされたので?』


「あぁ、向こうで警察……こちらでいう騎士団に捕まりかけてな。急遽戻ることにした」


『それは災難でございましたな……。では、主人の帰還も見届けたので我は戻りますが……よろしいですかな?』


「あぁ、大丈夫だ。ありがとうな、ゼウス。また力を貸してくれ」


『もちろんでございます。このゼウス、主の力になれるならいついかなる時も馳せ参じましょう。それでは』


そう言うとゼウスは帰還して行った。

ちなみに今の時刻は15時頃。

本来なら[ウダル]へと進むべきなのだが……。


「ごめん、さっきの関係で疲れてしまった。今日はもう寝ようと思っているんだが……いいか?」


「パパは今日転移を二回も使っているから仕方ないよ。今日はゆっくり休んで?でも……」


「お兄ちゃんはたまにはゆっくり休むべきだと思うわ。ただ……」


「「今日買った私たちの同人誌だけは返してから寝てね!」」


「あ……あの、私の同人誌もお願いします……」


レーナとリーアは満面の笑みでそんなことを言ってくる。

今から戦利品の確認をしたいのだろう。

ルミアは……顔から火が出るんじゃないかと言うくらいに真っ赤な顔をしている。


俺は3人にそれぞれの同人誌を返して、1人寝室へと向かった。

……いつも寝る前に襲ってくるレーナとリーアが来なかったからと言って、寂しくなったりはしていない。

あぁ、断じて寂しくなってない。




翌日の明朝。

昨日転移した後のことが気になった俺は検索をかけて見ることにした。


ーーーーとある掲示板

【冬◯ミ3日目に現れた金髪と銀髪のロリ女神と、真のロリコンの男について語るスレ】


【警察の目の前で突如消えたロリコン!その行方はどこに?】


【いなくなる前に突如現れた天使について語るスレ】


【猫耳の美少女に罵倒されたい】


ーーーーニュース一覧

【突如消えた女性3人と男性。その行方はどこに?警察は現在も捜索を行っている】


【人が空を飛んだ!?空力学の先生が語る人体飛行】


ーーーー

などなど。かなりの情報がでてくる。

魔法のおかげで写真とかは残ってないが、今回の件は予想以上の大事になってしまったようだ。

次に地球に行くことはないと思うが……今度行くときは記憶消失の魔法は忘れないようにしようと強く思う俺なのだった。

記憶をなくす魔法は必要不可欠と学んだ旭でした。

今回旭が買った同人誌は結構ありますが、その中の1冊が……?


この回で第1章は終了です。

次回の舞台はウダル。

どのような展開にするかは……仕事中に考えます⇦

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