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幼女エルフと始める異世界生活  作者: 朝倉翔
第1章
20/199

旭はダスクの街を出る

冬コミ前の投稿となります。

特別編の話に繋げるために少し無茶な設定をしてしまいました……。

俺がレーナとリーアの魔の手から逃れるために、温泉宿を全力疾走した翌日の昼。

6時間ほどの仮眠をとった俺は、レーナたちと共に食堂でご飯を食べていた。


あの後どうなったかだって?

リーアに闇魔法で拘束され、レーナの使役するドライアドに捕まって家族風呂に入りましたとも。

拘束から抜け出すのは容易だったんだが……抜け出そうとすると2人が涙目で見上げてくるんだ……。

あれに勝てる奴はいないでしょうよ……。

……で、その後はレーナの宣言通り朝までこってり搾り取られた。

レーナとリーアはサキュバスの称号を与えたほうがいいと思う。


さて、そんなこともあったからなのか、レーナとリーアの肌はかなりツヤツヤしている。

俺の両隣に座って、ランチメニューをもぐもぐしている。非常に愛らしい。

しかし、昨日の追いかけっこを他の従業員や宿泊客にも見られていたので、個人的にはかなり居づらい。

通報される心配がないだけマシな方か……。


そんなことを考えていたら、レーナが俺に質問をしてきた。


「パパ、お昼食べた後に冒険者ギルドに行くんだよね?ギルドマスターのおじさんが冷静になってなかったらどうするの?」


「その時はルミアに情報確認するかな。正直ルミアの方が詳しい情報持って居そうだし」


「お兄ちゃん、その考えには私も同感だけど……。ルミアさんはお兄ちゃんを狙っているみたいだから安心できないんだよね……」


リーアが不貞腐れた顔でそんなことを言ってくる。

不貞腐れる顔も可愛いけど、いらない心配だと思うんだよなぁ。


「まぁ、大丈夫じゃない?俺が同じ年代の人に好かれるなんてありえないし」


「パパ……パパはもっと自分の魅力に気づいた方がいいと思うよ……」


レーナは呆れ顔でそんなことを言ってくるが……事実なんだから仕方ないじゃない。


「と、とにかくだ。今後の準備もあるし、冒険者ギルドでの用事は早めに済ませてしまおう。ご飯はしっかり食べられたか?」


「むぅ……仕方ないなぁ。あ、パパ。わたし最後にデザート食べたい!」


「お兄ちゃん、私もデザート食べたいんだけど……いい?」


「じゃあ、デザート食べたら冒険者ギルドに向かうからな?」


「「はーい」」


そういうとレーナとリーアはデザートのパフェを注文しはじめた。

あの小さな体によくもまぁ、たくさん入るものだ。

俺はそんな2人の様子を微笑ましく見守りながら、冒険者ギルドでの情報収集をどうするか考えていた。




冒険者ギルドに着いた俺達は、まず初めに違う街での達成報告のある依頼を探しに掲示板を見ていた。


「うーん……違う街での達成報告となると……なかなかいい条件がないよぉ」


「お兄ちゃん、Aランク冒険者の事を調べるなら、癪だけど……ルミアさんに情報を聞いてからいい依頼がないか斡旋してもらうのはどうかな?」


「そうだなぁ……。とりあえず受付に行ってみるか」


「その必要はありませんよ。既に私が来ておりますので」


「「「…………!?」」」


レーナとリーアの2人とそんな話をしていたら、背後からルミアの声が聞こえた。

……いつの間に背後に立っていたんだ!?

気配を全然察知できなかったぞ!?

レーナ達も驚いたように目を見開いている。


「旭さん、レーナさん、リーアさんこんにちは。今日はどうなされたのですか?」


ルミアは平然とした表情で俺に問いかけてくる。


「あ、あぁ。昨日Aランク冒険者のことを聞いただろ?それで、他の街で達成報告のある依頼を探そうと思ってな……」


「他の街で達成報告のある依頼……ですか?あるにはありますが……。まさか!この街から出て行くということですか!?」


ルミアは俺の意図を感じたようだ。

驚愕に目を見開いている。……そんなに驚くようなことかな?

俺とルミアが話している間、レーナとリーアはふふんとドヤ顔をしていた。

ルミアへの牽制のつもりらしい。

牽制どころか可愛らしいだけなんだが。


「……すみません、詳しいお話をお聞きしたいので、応接室まで来ていただけませんか……?」


ルミアは神妙な表情でそう提案をしてくる。

丹奈の情報は公には聞けないこともあるし、場所を変えることに反論はない。


「わかった。じゃあ、案内を頼む。俺たちも聞きたいことがあるからな」


「わかりました。では、私の後に続いてください」


俺とレーナ達はルミアの後に続いて、応接室に向かう。


「……おい、旭のやつ今度は何をやったんだ?」


「俺は知らん。ただ、あの[氷の女王]が旭の専属になったっていう噂は本当だったんだな」


「旭が来るとその度に何か起こるよな」


「今度は何が起こるんだろうな」


そんな冒険者達の声が聞こえてくる。

まぁ、今回はレーナ達に対する暴言とかではないので、放置しておく。

っていうか、毎回何か起こるんじゃなくて、巻き込まれているだけなんだけどなぁ。


「ちょっ、ルミア!?旭の対応は俺が行うから!あのことも聞かないといけないs……グハッ!?」


俺たちに気づいたギルドマスターがルミアに対して何かいいかけていたが、無言で腹パンをもらってうずくまってしまった。

何をしに出て来たんだ……ギルドマスターは……。まぁ、あいつのことを根掘り葉掘り聞かれるのは面倒だから助かったけど。


「では、こちらで詳しいお話を聞かせてもらえますか?」


俺は事情を説明する。

笹原丹奈が俺の元カノの可能性が高いこと。

再会したら最悪戦争になるかもしれないので、この街を出て違う街に行こうと考えていること。

丹奈がどのルートで進んで、どの街を通るかということ。


それらを話し終えた後、ルミアは少し考えるように答えた。


「旭さんの元カノという可能性は、高いかもしれません。名字があるっていうのはとても珍しいですからね。戦争になるほどでしたら、他の街に避難するのもいい手だと思います。ギルドマスターが口を滑らせないようにしないといけないかもしれませんが……。丹奈さんは現在、王都クーラに向かっています。ダスクへのルートは順当にいけば、アレイシャを中間地点としたルートになるでしょう。しかし、丹奈さんは寄り道を結構な確率でします。安全なルートというのはないと考えたほうがいいかもしれません」


……まぁ、そうだよなぁ。

俺と付き合っていた時も、寄り道とかかなりの頻度でしていたしなぁ……。

順当なルートを守るとは到底思えない。


「ルミアお姉さん、それだと鉢合わせる可能性が低いとは言えないってこと?」


「えぇ、レーナさん。100%安全なルートはないと言ってもいいでしょう」


「なんだか破天荒な女ね……。お兄ちゃん、どうするの?」


ルミアの話を聞いて不安になったレーナとリーアは俺に訪ねてくる。

対する俺の答えは決まっていた。


「まぁ、昔からそういうやつだったし、鉢合わせたら運が悪かったと思うとしよう。最悪、ゼウスとか禁忌魔法とかで追い払えばいいさ」


「旭さん……一介の冒険者に【全知全能の神】の相手は務まりませんよ……」


「それで向こうが逃げてくれるなら、俺は遠慮なく力を行使する」


実際、あのゼウスにダメージを与えられるとは思えないしな。

俺の禁忌魔法でようやくって感じだったし。


「……なるほど……。では、丹奈さんのことも踏まえて、この依頼はどうでしょうか?」


ルミアは俺の意見を聞いた上で、1つの依頼を提示してくれた。

その内容は……


ーーーー特別依頼ーーーー

依頼者:冒険者ギルド

ランク:Bランク相当

内容: 冒険者ギルドにて新たに登録された冒険者の情報を、隣町のウダルまで届けてもらいたい。

(※注意:ダスクの冒険者ギルドの職員が証明のために同行する)

特記事項:この依頼の達成報告はウダルで行うものとする。

報酬:金貨15枚

ーーーー


……なんか俺たちに都合の良すぎる依頼なんだが……。

もしかして……ルミアに嵌められたか?

まぁ、王都へのルートからは外れているし、俺としては問題ないかな。

そう考えていたんだが、レーナとリーアは違ったようだ。


「あの……ルミアさん!この注意書きってまさか……!?」


「えぇ、ウダルの冒険者ギルドへの証明人として、私が同行する予定です」


「やっぱり……!で、でも、パパが違う街に行くっていうのはさっき聞いたんだよね!?その短い間でこんな都合のいいクエストを用意できるわけが……!」


「これくらいの業務なら5分あれば問題ありません」


「「職権乱用だーーーー!」」


レーナとリーアがギャアギャアと文句を垂れるが、当のルミアは涼しい顔をして追撃を免れている。


「専属の受付として当然の対応だと思いますよ?それとも他の知らない男の職員が一緒の方がいいですか?」


「それは断固として断る。レーナとリーアを愛でていいのは俺だけでいい」


「「パパ(お兄ちゃん)……、嬉しい!」」


そう言って2人が抱きついてくる。

ははは、愛い奴め。頭を撫でてやろう。


「相変わらず仲がよろしいのですね。でしたら、私が付いて行ったほうがよろしいかと思いますが」


ルミアはそう言って、自分をアピールしてくる。

逃げ道を失った2人は、呻きながら渋々納得した。


「じゃあ、その依頼を受けよう。冒険者ギルド補佐官の仕事は大丈夫なのか?」


「はい、大丈夫です。これを機にギルドマスターには責任をもっと感じてもらわなければなりません。先程黙らせた時に、休暇届を叩きつけておきましたから」


どうやらルミアはこうなることを予見していたらしい。

直感なのか、予知能力なのか……。いずれにしても用意周到だ。


「うぅ……ルミアお姉さんも一緒か……。パパを誘惑したらダメなんだからね!?パパはわたしとリーアを愛しているんだから!」


「心得ておりますよ。()()()()()()()()()()()()()ご安心を」


「なーんかルミアさんの言い方にモヤモヤするけど……決まった以上は認めるしかないよ、レーナ」


「うぅぅ……」


3人の会話もひと段落したところで、俺はレーナ達に話しかける。


「じゃあ、依頼を受けたことだし、必要なものを買ってくるとしよう。ルミアは同行者だけど、仲間として扱うから買い物とか協力してくれよ?」


「はい、勿論です。私は旭さんのためならなんでも全力でこなすとここに誓いましょう」


「なんでも全力は色々と怖いから適度に協力してくれ」


なんでもするはフラグになりかねない。

今は新しいヒロインは間に合っているので、釘を刺しておく。

……効いているかは微妙なところだが。


「じゃあ、レーナとリーア、ルミアは食材の買い出しを頼む。戻ってきたら【無限収納】に収めるから。俺は温泉宿に行って、チェックアウトをしてくるよ」


「旭さん、テントとかの道具はいいのですか?」


「それは【クリエイト】でなんとかなるから大丈夫かな。料理はルミアに任せるから、食材は頼んだ。後、リーナとレーアは洗い替え用の服も買ってくるようにね」


「「はーい」」


「【クリエイト】も使えるようになったのですか……。やはり旭さんはチートですね」


レーナとリーアが元気よく返事をする中、ルミアは感心したような呆れたような顔をした。

俺じゃなくて【叡智のサポート】が優秀なだけなんだけどな。


そうして、諸々の準備を終えた俺たちは足早にダスクの街を去ることにしたのだった。

冒険者ギルドを出る時、他の男冒険者達はあからさまにホッとした顔をしていた。

なんとなくイラっときたので、【勲章をなくす病】を1週間の期限をつけて打ち込んでおいた。

その後の冒険者ギルドが涙と嗚咽の叫び声に包まれたのはいうまでもないだろう……。


次に目指すのは[ウダル]だ。

【クリエイト】で創造したゴーレム馬車に乗りながら、俺たちはウダルに向けて出発したのだった。

ルミアが新しく仲間になった!

とは言っても、証明人かつ料理人としての同行なので、特に旭と何かあるわけではないだろうなぁと思ってます。


次は冬コミ編です。

開場待機中に執筆したいと思ってます。


※本日の投稿が厳しい為、明日更新します

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