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幼女エルフと始める異世界生活  作者: 朝倉翔
第6章
105/199

旭は夜襲を仕掛ける

久しぶりに睡眠時間を多くとりました。

14時間くらい……?

その代償として完成がギリギリになってしまいましたが……。

 ーーーーヒュオォォォォォォォォォォォ。


 春の夜空にまだ冷たい風が吹き荒れている。

 只今の時刻は夜中の3時。

 俺達[ROY]のメンバーは現在高度1000mを飛行していた。

 冷たい風を受けない為に【聖域】を展開して温度対策もバッチリだ。

 気温すらシャットダウンする【聖域】は最強だな。


「……【遮断空間】展開。皆聞こえるか?これより真下にいる500人もの軍勢を追い返したいと思う」


 俺の言葉にレーナ達5人が頷く。

 仮眠をとった俺達は【透明化】をかけた後に、ダスクからやってきたであろう軍勢の真上にやってきた。

 レーナはユニコーンに乗り、ルミアとリーアは魔力を足に集中して空中に浮かんでいる。

 ユミは【神威覚醒】済みだし、俺とソフィアはリーア同様に空中での移動が可能。

 空を飛べるメンバーだからこそできる芸当と言えるだろう。


 ちなみに【遮断空間】を使用したのは、斥候に話し声や気配を察知されないようにするためだ。

 丹奈のパーティメンバーの電子レンジみたいな名前のやつが斥候だったからな。

 バレることはないと思うが、念には念を……というやつだ。


「それでお兄ちゃん。どうやって送り返すの?牽制とか意味なさそうな感じだけど……」


 リーアは下を眺め、げんなりした表情を浮かべて尋ねてきた。

 丹奈達のパーティは説得に応じそうだが、女性が多いこのパーティの言う事を聞く人間は少ないと思っているんじゃないだろうか。

 まぁ、冒険者って荒くれ者が多いからリーアの心配も分かる気がする。


「まぁ、牽制したところでって感じだよなぁ。逆に開戦のきっかけになってしまう可能性もあるし。だから……()()()()()()()()()()()()()()()()()()


「……お兄様。まさかとは思いますが、あの軍勢を一度に転移させるつもりですか?」


 俺の言葉にユミが静かに驚いた。

 普通であれば500人もの人間を一斉に転移させることなんてできないだろう。

 だが、俺ならできる気がするんだよね。


「なんとかなるような気はするけどな。ソフィア、実際はどうなんだ?転移させることはできそうか?」


 [問題はないかと。座標軸の固定は私が設定するとして、【翡翠の鎧】と【神威解放】を併用すれば5000人までなら転移できるでしょう]


「お兄様の【翡翠の鎧】と【神威解放】を使えばなんとかなるものなんですね……。それでも5000人は多すぎると思いますが……」


 ユミはソフィアの言葉に呆れたような言葉を発した。

 いや、多すぎるといってもなぁ……。

 今の俺の実力から測定した結果だからそう言われても困るのよね……。


「パパ。送り返す方法は理解したけど、警備に回っている人達とかどうするの?全員を一箇所に集める?」


 俺とユミが会話していると、レーナが会話に参加してきた。

 レーナの言う通り、夜勤警備に回っている人員は離れたところにいるのだろう。

 範囲を広げればできないこともなさそうだが……戻した時に面倒なことになりそうだ。

 俺はレーナの言葉を聞いて、ソフィアに協力を頼むことにする。


「そうだなぁ……取り敢えず今いる半分だけでもダスクに送り返すとしようか。残りの人員は一箇所に集めてから転移させるとしよう。ソフィア、手伝ってくれ」


[Yes,My Master。座標軸はどうしますか?]


「誰に喧嘩を売ったのかを知らしめる為にも、ダスクの冒険者ギルドにしよう。……できるか?」


[ダスクというと……旭がこの世界に転移してきた時に滞在していた街ですよね?あの場所であれば特定は簡単です。……座標軸の固定を開始……All clear]


 ソフィアは座標軸の固定を無事に終了させたようだ。

 まぁ、距離もそんなに遠くないから手間もかからないのかもしれないけど。

 じゃあ……開始するとしましょうかね。


「……【翡翠の鎧】と【神威解放】を同時発動。それと……冒険者以外の騎士達を……【マルチロック】」


「……いつ見てもお兄ちゃんの【翡翠の鎧】は綺麗な光だなぁ……」


 俺の体は翡翠色に光り輝き、神気のオーラが溢れ始めた。

 よしよし、今の俺ならなんでもできる気がする。

 光っている俺を見たリーアが見惚れているみたいだが……好きなだけ見させてあげるとしよう。

 こう言う時じゃないと出力最大になんてできないからな。


「転移魔法を発動させる為に【透明化】及び【遮断空間】を解除する。転移魔法実行後、向こうに気づかれてしまうだろう。各員、戦闘準備をしておくように!」


「……パパ、前に見たアニメの影響なのかもしれないけど……。今の状況でそのセリフは空回ってるよ?」


 かっこよく決めようと思ったら、レーナから冷静なツッコミをもらってしまった。

 ……くっ!

 一度は言ってみたかったセリフだったのに……!

 ……しょうがない。

 かっこいいセリフは諦めよう。


「……ゴホン!【透明化】と【遮断空間】を解除。それと同時に……【時間遅延】を発動!」


 俺は魔法の解除と同時に【時間遅延】を発動させた。

 これで少しの時間稼ぎはできるはずだ。


「……転移先がダスクの冒険者ギルドになっているのを確認。さぁ……上手くいってくれよ……?【神:長距離転移】!」


 俺は転移魔法を発動させると同時に【時間遅延】を解除した。

 魔法に「神」がついているのは、神格が付与されているからと説明しておく。

 名前を考えるのが面倒になったとかでは決してない。


「な……なんだ!?いきなり地面が光り始めたぞ!?」


「お、おい!あそこを見ろ!人間が……空中に浮かんでる!?」


「全員、戦闘態勢にはいr……」


「「「「え……?」」」」


 騎士達が俺たちに気付いたみたいだが……それも一瞬のうちだった。

 冒険者達の目の前300人ほどの騎士が全員転移されていったからだ。


「……やっぱりきたか……あーちゃん」


 丹奈は俺の姿をみてポツリと呟いた。

 その表情は諦めたようなものになっている。

 ……なんでこんなことに手を貸したんだか。

 あぁ、丹奈はダスクで唯一のAランク冒険者だからか。


「まったく……ダスクのギルマスにルミアのことを伝えるんじゃなかったのか?それが……なんだこの軍勢は。ルミア、レーナ、リーア。警備に回っている人間達をこっちまで誘導してくれ。ソフィアは3人のフォローを頼む」


「「「[はい!]」」」


「お兄様、私は一緒に行かせてください」


 俺はそう言いながら丹奈の近くに降りていく。

 ユミ以外のメンバーに他の人間を一箇所に集めてもらえるように指示を出した。

 ユミは一緒に来たかったらしいので好きにさせておく。


「しょうがないでしょ……アーガスさんに言われたら出撃せざるを得ないんだから……。ところで……そっちの子は……?」


「ん……?元女神のユミだよ。お前もあの時一緒にいただろ?」


「いやいやいやいや!!私が知っている子はこんなに幼くなかったよ!?それに髪色だって灰色だったじゃない!!」


 俺の言葉を聞いた丹奈はなぜか慌て始めた。

 ……?

 なんで丹奈は慌てているんだ?

 若干身長が縮んで、髪色が薄水色に変わっただけだというに。


「そういえばユミはどうしてこっちに来たいと言ったんだ?」


「……なぜだかあの人を見ていると懐かしい気持ちになってくるのです」


 騒いでいる丹奈を無視して、俺はユミに尋ねる。

 それに対してユミは丹奈を見てそんなことを呟いた。

 丹奈を見て懐かしい気持ちになるのは……【時間遡行】する前の女神が影響しているのだろう。

 あの女神は丹奈と仲良さそうにしていたからな。


 ……そう思ったのだが、どうやら違ったようだ。

 ユミはため息をついたかと思うと、【狂愛】のオーラを全開にして丹奈を冷たい視線で睨み始めた。


「ですが……今はとてつもなく怒りがこみ上げてきています。……お兄様。この人に攻撃魔法を一回放ってもいいですか?そうですね……【神の裁き】がちょうどいいかもしれません」


「こら。その魔法を使ったら【神威覚醒】が解除されちゃうでしょうが。それに蘇生できるとはいえども、その魔法は死者を出すから俺の許可なく使っちゃダメだよ」


 俺は物騒なことを言うユミを抱き上げた。

 怒りがこみ上げてきたのは、自分が助けてと言った時に助けてもらえなかったからだろう。

 ……正直八つ当たりなような気もするが。

 しかし、ユミは記憶を思い出したわけではなく、そういう感情が流れてくる……といった感じのようだ。

 その証拠に俺に抱き上げられたユミは、「む〜」と唸りながらも【狂愛】のオーラを収めている。


「ニナ!!大丈夫か!?」


「おい!丹奈に何をしやがった!」


「くっ……探知魔法を全開にしていたのに気づけないなんて……!」


「グラン、回復魔法を早く!恐慌状態に陥っている!」


「わかってらぁ!!」


 ユミとそんなやりとりをしていると、イケメン達が丹奈を庇うように俺の前に立ちふさがった。

 ……面倒なことになってきたなぁ。

 攻撃態勢に入っているし……攻撃してきたらやり返すぐらいは……いいよね?


「パパ〜!警備に回ってた人達の誘導できたよ〜」


「姿を見せたらすぐに追いかけてきたよ。……で、なんでこの人たちはお兄ちゃんに武器を向けているわけ?」


「……本当だ。ねぇ、誰に武器を向けてるの……?」


 俺がイケメン達の対処をどうしようか迷っていると、レーナとリーアが戻ってきた。

 ルミアとソフィアは帰ってきていないが……おそらく見失わないように囮を続けているのだろう。

 そんなリーアとレーナはイケメン達を見て、【狂愛】を発動させた。


「くっ……!旭がニナを恐慌状態にしたのがいけないんだろうが!」


「というかアーガスから通達はあっただろうが!早くギルドマスター補佐を連れてダスクに戻ってこい!拒否すれば戦争になるんだぞ!」


 レーナとリーアの【狂愛】のオーラに怯みつつも、俺達にダスクに戻るように叫ぶイケメン達。

 ……いや、ルミアはもう冒険者ギルドの職員じゃないし、戻る必要性は感じないんだけど。


「ルミアの冒険者ギルド退職は王都の冒険者ギルドからも許可を得ている。ダスクのギルマスが言っていることはただのわがままに過ぎない。それくらいはわかるだろう?」


 俺はため息をついてイケメン達に説明する。

 まぁ、そんなんで納得するならこの場所にいないんだろうけど。

 その証拠にイケメン達はヒートアップしているし。


「おい!そいつが目標の響谷旭なんだろう!?騎士様達は何処かに行ってしまったが……目標が目の前にいるなら無理やり連れて帰ればいいだけだろう!遠距離攻撃の準備を!」


「まて!勝手に行動するな!」


「うるさい!さっさとこんな緊急任務終わらせたいんだよ!!……放て!!!」


 イケメン達の様子を見た冒険者のリーダーと思われる人間は、そんなイケメン達に業を煮やしたらしい。

 電子レンジの制止の声を無視して、俺に向けて魔法やら弓矢やらを一斉に撃ち込んできた。

 1つ1つの魔法の威力は大した事ないが……一斉に向かってくると迫力があるな。


「攻撃してくるのはいいんだけどさ。威力が低すぎる。もうちょっと頑張りましょう」


 だが、迫力があるだけだ。

 俺達に向かってきた魔法はすべて【聖域】が吸収した。

 矢に限っては明後日の方向に飛んでいってしまったし。

 ……流れ矢にあたって誰か怪我しなければいいんだけど。


「……なんであの量の魔法を防ぎきるんだよ……」


「だから言っただろ……。俺達が束になってもあいつには勝てないんだよ……」


 冒険者のリーダーが唖然としている中、電子レンジが呆然と呟いた。

 俺の実力を知っているならしっかり手綱を握って欲しいところだ。


[旭、戻りました。先程大量の微弱な魔力反応がありましたが大丈夫ですか?]


「ん?あぁ、大丈夫だよ。正直脅威になるレベルじゃなかったし」


「ソフィアさん、だから言ったじゃないですか。旭さんなら大丈夫ですよって」


[ルミア、それでも万が一ということがあるでしょう?]


 魔力を察したソフィアは急いでこちらに戻ってきたようだ。

 その後ろをルミアが苦笑しながら追いかけている。


「旭さん、ただいま戻りました。警備に出ていた冒険者の誘導が完全に終了しましたよ」


「ん、お疲れ様。……じゃあ、最後の仕上げに取り掛かるとしようか。ソフィア、もう一回座標軸の固定を頼む。他の4人は冒険者達の動きを封じておいてくれ。【狂愛ノ束縛】でも効果はあるだろうから」


[了解しました。……座標軸の再固定を開始します……]


「「「「……【狂愛ノ束縛】!!」」」」


「ウォォォォ!!?なんだこれは!?」


「か、体が動かない!!」


「【狂愛ノ束縛】って旭にのみ効く魔法じゃなかったのかよ!?」


 4人が放った拘束魔法に驚いているイケメンと冒険者達。

 ……それよりも俺にのみ効く魔法ってなんだ。

 確かに俺に使用すると神霊魔法級の威力を発揮するが、それ以外も対象になるっての。


「……夜中だというのに騒がしいなぁ……。ダスクのギルドマスターはこんな数で俺をどうこうできると考えていたのか……?」


 俺はもがき苦しむ男達を眺めながらそう呟いた。

 レーナ達は今にも攻撃してやりたいという感じで男達を睨んでいるし……。

 転移させた後の対処も考えないといけないかなぁ……。

冒険者が放った魔法は中級魔法レベルだと思ってください。

それにしてもレンジは使いやすいですね。

電子レンジである種のネタになるのですから。


さて、次の更新ですが6/6or6/7を予定しています。

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