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二話

ちょっと残酷な描写があります

「はあぁぁ!」


ズバッ!


俺は気合を入れて目の前のスケルトンをぶった斬る。

あれから約三年が経った。ん?どれからだって?まあ、あれだ。その。強くなろうと決めた日からだ。それがいつかはよくわからないがまあとにかく約三年だ。

目の前のスケルトンは母が闇魔法で生み出したものである。

俺はこの三年間午前はこうしてスケルトンや新たに習得した土魔法で生み出したゴーレムと訓練をして、午後は母からこの世界に関する様々な知識を教わった。

まず、俺がいる世界だがアースと呼ばれているらしい。そしてこの世界には人間と魔族、そして魔物がいる。人間に分類されるのは人族、エルフ族、ドワーフ族の三種でそのほかの人型の生物は全て魔族と呼ばれている。どこまで人型だと定義するかは難しいところだがゴブリンはギリギリ魔族に入るらしい。

そして魔物だが驚いたことにこいつらはなんと魔族にとっては無害である。というかむしろ意思疎通を図れる。元々魔物はとてもおとなしいが人間が魔物を見た目から危険だと判断して攻撃するようになってから魔物も人間を攻撃するようになったらしい。魔族と魔物の間にはそのようなことはないので基本的には仲がいいらしい。

そしてこの世界の言語だが人間も魔族も同じ言語を使っている。そして魔物だけ別の言語を使っているので俺は今この魔物の使っている言語を覚えるために絶賛特訓中である。

この世界には3つの大陸があるらしい。1つ目が一番大きなマグナ大陸。2つ目が東マグナ大陸。そして3つ目が俺の住んでいるらしい南マグナ大陸だ。そう。名前のとうりにマグナ大陸の東には東マグナがあり、南には南マグナがある。

俺の住んでいるらしいというのは、俺は生まれてこのかた外に出たことがない。俺は洞窟らしき場所で生まれたと思っていたがここは父が母のために作った立派な地下の隠れ家であった。ここは基本真っ暗で食べ物も特になにもないが人間には絶対に見つからないらしい。その理由はここは人里からかなり離れており、人に見つからない結界が何重にも貼られているのだとか。じゃあ食べ物はどうしているかって?そりゃ吸血鬼だからメイドさんの血をいただいているに決まってる。まあメイドさんたちは流石に食べ物なしでは生きれないので時々外へ出て動物を狩っているが。一度魔物の肉を食べないのかと思ったが魔物の肉はとてもじゃないが不味くて食べれないらしい。

まあそんなわけで俺は幼少期をぬくぬくと平和な地下で過ごして来た。メイドさんたちや母以外の人間や魔族、魔物とは一切合わなかったがそのおかげで順調に訓練を重ねて強くなることができた。

これが今のステータスである。



ローズ=セレスト 9歳 レベル40

筋力 80(×5)

魔力 2000(×5)

敏捷性 600(×5)


スキル 邪神の加護 不老不死 血流操作 威圧

皮膚硬化 統率力 火魔法 土魔法 風魔法 水魔

法 闇魔法



正直強くなりすぎた。別に後悔などはないがまさか9歳で母より強くなるとは思わなかったのでびっくりである。母は俺がこんなに強いのは高位吸血鬼だからだと思っているが間違えなく邪神がやらかしている結果だろう。

そうそう、この世界では吸血鬼自体が珍しく母は冒険者と戦っていた頃はなにかと崇められていたらしい。俺はそんなの勘弁だが俺が外に出たらそういうことはあるかもしれない。

俺が外に出るのはあと一年後である。魔族には10歳になると一人前だとして旅に出すらしい。ちょっとというかかなり早すぎる気がしないでもないがまあ、慣習ならばしょうがない。

ということで俺が外に出るまで後一年である。俺は旅をするために準備を始めようと思った。いやもちろん道具の準備もそうだが、主に体の準備である。この三年間かなり鍛えてきたがまだ少し不安ではある。

ということで何か新し魔法を習得しようと決めた。火魔法や土魔法などの簡単なものは一ヶ月あれば習得できたがもっと大きなものを習得したい。俺が目をつけたのは時空魔法である。これは母が持っていた本に書いてあったので習得しようと決めた。母もしたかったそうだが結局できなかったらしい。

俺は死に物狂いで練習した。毎日毎日その膨大な魔力を時空魔法の練習に費やした。そしてちょうど一年が過ぎた。

俺は時空魔法を完璧に使えるようになっていた。










ついに俺は旅立ちの日を迎えた。


「じゃあ、行ってくるよ!母さんも元気でね!また友達でも連れて会いにくるよ!」


「セレス。これを持っていきなさい。父さんと母さんからの贈り物だよ。絶対に気をつけて行ってくるんだよ。」


俺は赤く輝くペンダントをもらった。それはとても美しく綺麗だった。

俺はそれを首にかけると、


「ありがとう。行って来ます!」


長年生活して来た安全地帯を旅立った。














(元気よく出て行ったものの....誰にも会わないんじゃな〜)


俺は今森の中をさまよっていた。別に迷ったわけではないのだがあの地下からでてからまず人を探そうと思った。人といっても魔族のことだが。

俺は元々大陸の最南端にいたらしく、地下から出ると前方には森が後方には海が広がっていた。なのでおれは森の中に魔族を求めて入って行ったのだがこのザマだ。もうこの大陸には魔族はいないのではないか、そんなことを考えていた。


その時だった。


「やめて!私があなた達になにをしたってゆうの!?お願いだから離して!」


近くで女の悲鳴じみた声が聞こえた。俺は急いでそこへ近寄るとそれはひどいものだった。2人の男と1人の女(おそらく3人とも冒険者だろう)がボロボロになった魔族をとらえて蹴りつけていたぶっているのだ。


「おめーら魔族は生きてるだけで罪なんだよ!」


男はそう言い放つと女の顔を蹴りつけた。


「醜い顔を見せんじゃないよ!」


女はそう言うと顔を蹴りつけた後に魔族の足に持っていた槍を何度も何度も突き刺した。



「まあまあ、商品になるんですから殺さないでくださいよ。」


もう1人の男はそう呟くと魔族に手枷をはめ始めた。


俺は正直ショックだった。母からは散々人間には気をつけろ!とか人間は魔族を家畜だと思っている。とか聞かされてきたがそうは言っても話してみればもしかしたら仲良くできるかもしれないと思っていた。それだけに俺の考えがどれだけ甘かったか思い知らされた。

そして俺はショック以上に怒っていた。誰に?目の前のクズ共にである。そしてゆっくりと近づいていった。






最初に奴に気づいたのは冒険者の女であった。女は目の前の魔族をいたぶるのに快感を覚えていた。その魔族は美しかった。それが今は自分たちに捕まりその美貌も傷だらけで絶望に染まっている。男達はまだ魔族をいたぶるのに夢中だが女はその顔が絶望に染まったを見て一通り満足するとそろそろこの森から出ようと男たちに声をかけようとした。


コツコツコツ。


何者かが近づいてくる音が聞こえた。男たちは魔族に夢中でまだ気がついていない。女は音のする方へ顔を向けた。そして驚愕した。まるで生気がないかのような真っ白な肌に整った顔。太陽に反射して光り輝く銀色の髪。そして漆黒の黒いコートを羽織り黒い翼が二枚広げられている。


女は冷や汗が止まらなかった。この世界では銀髪は吸血鬼であるという証だからである。ただの吸血鬼ならば3人でかかればなんとかなったかもしれないがこの吸血鬼は太陽の下を堂々と歩いている。そして放たれるとんでもない威圧。

これは高位吸血鬼だ。そう直感した。



「君たちなにをしているのかな?」


突然現れた声の主に男たちはさすがに気づく。


「なんだよいきなり。今いいところなんだから邪魔すんじゃ......!?」


男たちは振り向くと固まった。

この森は冒険者の間では魔境と呼ばれているなかなか危険な場所だった。しかし男たちは冒険者の中でもいわゆる凄腕と呼ばれる部類に入っていた。SランクやAランクまでは行かなくともBランクには到達していて魔境に入れるほどには自信があった。しかしである。目の前の吸血鬼はどう見てもBランクごときが相手にできるものではない。そう本能が訴えてくる。


「なにをしているか聞いているんだけど?」


このままではやばいと思った女が口を開く。


「わ、私たちは、えーとそうね、迷っちゃったの!森に入ったらちょっとおもったよりもひろくって!それでこの女の子を保護したの!だからこの子を連れて帰って面倒を見ようと思っていたの!」


多少同様しながらも女はどうにかして切り抜け用と考えた。


「そうなんだ。親切だね。それでそちらの女の子はボロボロみたいだけどなにがあったの?」


吸血鬼はそう言うと魔族に話しかけた。


その魔族はボロボロになりながらも口を開く。


「うぅ....あぁ.....」


しかし、うまく喋ることができなかった。もう喉も散々蹴りつけられてボロボロだったのである。


「お、おい!ちゃんと喋れ!」


イライラした男はつい思わず魔族を蹴りつけてしまった。








ブヂッ!


俺の中で何かが切れた気がした。


「おい。俺がこのままハイそうですかと見逃すと思ってんのか?」


俺は静かに歩き出した。


冒険者たちはもう話合いは無理だと思ったのかそれぞれ武器を手にした。


そして女が槍を突き出してきたのを皮切りに俺もまた剣を抜いて走り出した。










それは一方的な虐殺だった。


俺は女の突きをかわすとそのまま懐に潜り込んで剣を一閃して斬り裂いた。


女が一瞬で死んだところを見ると男たちは震え上がりそれぞれ武器を捨てて逃げ始めた。しかし、俺はそのようなクズどもを逃がすつもりはなかった。


俺はそいつらに剣を使うのももったいないと感じたので剣をまた収めると男たちに一瞬で追いつき片方の男の頭を殴りつけた。殴られた男の頭は爆散して跡形もなく消えた。そしてもう1人の男の首を掴んで投げ飛ばすとそのまま木にぶつかって動かなくなった。


俺は初めて人を殺した。



























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