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始まり

俺は田中雄介。どこにでもいる高校生だ。

そして今。俺は追い込まれていた。


そう。あれはちょうど数分前。俺が学校の帰り道にコンビニに立ち寄ったときだ。


「おい!動くな!さっさと金を寄こせ!」


運悪く強盗に出会ってしまったのだ。


(おいおいおい...どーすんだこれ!)


俺は焦った。そりゃ誰だって強盗を見たら焦るだろう

。しかもその強盗がナイフを店員についつけていたら。


(どうする?助かるか?)


一瞬そんな考えが頭をよぎった。が...


(いやいや。俺にそんな勇気なんてないし!)


その時だった。怯えて腰を抜かしてしまっていた店員に痺れを切らし、強盗が銃をぶっ放したのは...


あれは威嚇のつもりだったのだろう。ただ俺は運が悪すぎた。強盗が適当に打った弾が俺の胸を貫通した。


(嘘だろ....)


俺の意識は闇に落ちていった。
















気がつくと真っ白い空間に立っていた。俺は此処が死後の世界だと思った。目の前に白い服を着た老人が立っていたからだ。


「あなたも死んだのですか?」

俺はその男に話しかけた。


「失礼な!儂はまだまだ死なんわ!なんていったって儂は神じゃからな!」


その男は神様だった。男は俺がポカンとしていると矢継ぎ早に話し始めた。


「しかしお主も不運じゃったのぉ。ただの威嚇射撃に当たって即死だとはのぉ。しかもその若さじゃ。まだまだこれからだというときにのぉ。じゃからの、お主を転生させてやろうと思うのじゃ。どうじゃ?元の世界では死んでしまってるから無理じゃけど新たなる生として異世界におくりこむことならできるぞ。」


「転生、ですか?」


「そうじゃ。お主が行く予定の世界は地球とおんなじような世界じゃ。まあ、科学があまり発達しておらんがな。魔法があるぞ。お主のような年齢のものならうれしいじゃろ?」


「魔法!?それは俺が転生しても使えるのですか?」


「もちろんじゃとも。元の世界の者は体に莫大な魔力を秘めておる。それをそのまま向こうにおくるのじゃ。すぐに使えるようになるぞ。」


「なるほど。ありがとうございます。ところで俺が向こうに行く理由などはありますか?」


俺は神様を信用していたがなんの理由もなく異世界転生をさせてもらえるなんてそんなはずがないと思っていた。


「理由、じゃと?まあそんな大層なものはないぞ。ちょっとばかしあちらの世界は荒れていてな。戦争や犯罪は当たり前。奴隷もあるし酷い差別もある。お主が生きていたニホンとやらよりはよほど過酷じゃよ。儂はな、そんな世界でお主がどう生きるかを見たいんじゃ。あちらの世界の人間はあまりにも傲慢すぎる。まあとにかく、特に大きな理由なんてもんはないんじゃよ。」


「そう、ですか...わかりました。ではありがとうございます。精一杯やって来ます!」


「ほう、随分といきがいいのう。お主のことを気に入ったぞ。そうじゃ、1つギフトをやろう。特別じゃぞ。まあ向こうに行けばすぐにわかる。ではな、頑張るんじゃぞ。」


老人はそう言うと何か呟いた。すると俺の足元に真っ黒な魔法陣が現れた。そして怪しく光ると俺の意識はまた沈んでいった。



















(ここは、どこだ?)


俺は真っ暗闇の中目を覚ました。しかし、俺にははっきりと見えていた。俺を抱く美しい女性が。


「よーしよしよし、お母さんでしゅよ〜」


その女性は美しかったが青白い顔をしていた。しかし、なんとなく優しい気持ちがした。そしてその女性こそがこの世界での俺の母親だった。


(やっぱり、あれは夢じゃなかったんだ。)


神様に会って転生させてもらったことはやっぱり信じられないことだと思ったがこうして新たな命に生まれ変わっている以上本当のことだったと実感した。


(とりあえず感謝だな。)


そして俺はこの世界で新たに生きていこうと決意を胸にしてとりあいず襲ってくる眠気に身を委ねることにした。





















あれから6年がたった。

いろいろわかったことがある。まず俺の正体だがやはり人間ではなかった。母親のやけに青白い顔からもしかしたら人間ではないのではないか?と思っていたがやはりドンピシャだった。

俺は高位吸血鬼。魔族だった。まったく神様もふざけたことをしてくれたものだ。あの口ぶりからしてこの世界は人間が支配しているだろう。差別も酷いと言っていた。では差別されているのは誰か。人間に近い姿をした魔族である。それを母から教えられた時はため息が出た。母は高位吸血鬼のワンランク下の普通の吸血鬼だそうだ。そして俺の父はなんと大鬼の希少種。オーガだ。なんでその2人から高位吸血鬼が生まれたかはわからないらしい。多分あの神様が何かしたのだろう。

父は俺が生まれたときにはもういなかった。母さんにそのことを聞くとはぐらかされると思ったがちゃんと教えてくれた。なんでも、母を守って死んだそうだ。父と母は魔族の中でも有名な戦士だったそうだ。2人は人間の侵攻から他の魔族を逃すために人間の冒険者と戦ったそうだ。しかし、もちろん人間の方が数はおおい。最後に2人は取り囲まれてしまい、父が最後の力を振り絞って暴れたそうだ。母も逃げずに最後まで一緒に居たかったがまだお腹は小さかったが身ごもっているだろう子のことを考えて父の言う通りにしたそうだ。母はその話をするときに泣いていた。俺は父を誇りに思った。会ったことはないが母を頼むと言っているような気がした。俺は人間よりも強くなろうと決めた。






ちょっとというかかなり話が逸れてしまったが俺についての話に戻ろう。高位の吸血鬼というのは魔族の中でも最上級の強さを持つらしい。中でもその身体能力は魔族一で強力な武器となるそうだ。そして気になるであろう神様がくれたギフト。俺は三歳の頃に物を鑑定することができることに気がついた。そして最初はそれが俺のギフトであると信じていた。しかしギフトはそれだけではなかった。4歳の時、俺はこっそり母に鑑定を使ってみた。元々、生き物には使えないと思っていたのでちょっとした実験である。


するとそこにあらわれたのは



ローズ=ヴィヘラ 65歳 レベル85

筋力 70

魔力 890

敏捷性 200


スキル 自然回復 血流操作 風魔法 火魔法 水魔法 闇魔法


そう、ステータスだった。




まず俺は年齢に驚いた。どう見ても二十代の母がまさか六十超えてるとは思わなかったからだ。恐る恐る母に聞いて見ると吸血鬼は平均寿命800歳なんだそうだ。思わず腰が抜けた。となると母はだいぶ若いことになるので安心したが。

そして次は母が相当強いということだ。俺は母を鑑定した後にいつも家にいるメイドさんたちをこっそり鑑定した。するとレベルは10前後でステータスも母とは比べ物ならないほど弱かった。スキルもよくて二、三個だった。母にメイドさんたちは戦えるの〜と聞いてみるとあれでも普通の魔族よりは強いらしい。やはり母が異常なだけだった。

俺は生物を鑑定できると分かると自分を鑑定して見た。するととんでもなかった。あの神様が相当やらかしたことが判明した。





ローズ=セレスト 4歳 レベル1

筋力12 (×5)

魔力400(×5)

敏捷性40(×5)


スキル 邪神の加護(全てのステータス五倍) 不老不死

血流操作 威圧 皮膚硬化 統率力 鑑定



そう、あの神様は邪神だった。

まあ、別にあの神様に悪い感じはしなかった。むしろこんな力をくれて感謝したいくらいだ。そしてこれは俺の思い上がりかもしれないが魔族を救ってやって欲しいということなのかな?とかも思ったりした。まあ、分からないが。

次に不老不死。母の自然回復は切られた傷が即座に治るというものだがこれは多分その上位互換だろう。と推測した。

後、父の能力と思われるものをいくつか継いでいて少し父を近くに感じられた気がした。

俺は邪神の加護なしでもその辺のメイドさん達よりはステータスが高かった。これは多分高位の吸血鬼の恩恵だろう。こうして考えて見ると俺の第二の人生は随分と恵まれていると思った。そして誓った。密かに。自分の胸に。前世ではよくわからないうちに死んだ。なにもできずに殺された。だから、誰にも負けないくらい強くなろうと思った。そして次の生は誰かの役に立ちたいと思った。なにもできないのはもう嫌だから。













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