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自分には文章力がありません。そのため不快になることがあるかもしれません。なので無理せずに読んでいただけると幸いです。
「我が憎いか鬼の子よ。村を滅ぼし家族、友人を殺したこの魔王が」
「殺しても殺してもそんなんじゃ足りないくらいにお前が憎い」
城内からは未だ悲鳴の散雨が漏れ、城門を抜けた大地は爛れ血に濡れた学院生が大勢横たわっている。魔王一人に対して百人を超える学院の教師と生徒でも傷を付けるのが限界だった。
「殺し合いとは常に憎しみが付きモノだ。お前ら人間は愚かである。一度の戦争で多くの犠牲を払っておきながら再び戦争を起こそうというのだから」
魔王は天に右腕を掲げ詠唱する。手平から小さな球が浮遊し、次第に大型の球体に膨れ上がる。表面は黒く光沢のように地を反射している。魔王が指を鳴らすとそこには人々が殺し合う光景が浮かび上がった。
「ここに映るのはこれからの出来事だ。お前らの後悔は一時のモノ。過去の過ちを再び犯すというのなら我自らこの世界を滅ぼそう」
大型の球体に移っているのは、国中が燃え上がり、女、子供を容赦なく殺す人々だった。様々な国の映像が浮かび上がっているが何処も彼処も血に染まっていた。魔王の言うように戦争が本当に起こるかはわからない。が、ここ最近の街で起こる事件からその信憑性は非常に高かった。
「お前は一体何者なんだ。何故そんなモノを見せる」
「我が何者か知りたいか小僧。ならば楽しませてみよ。我らの全てを見せてやる」
「ふざけんな!ちっとばかし力あるからってなめ過ぎだ!」
四股を削がれ無残な姿になった友人に届くように鬼の力を開放する。鬼人化。身に宿す鬼を具現化或いは憑依させ、限界を超えるマナを強制的に使役する鬼族の秘術。額から鬼を象徴する角と眼が紺碧に染まる。右手に意識を集中させ秘術を発動させた。右肩から溢れ出した薄藍のマナは指先まで伝わり鎧のように纏わった。
「そんな鬼人化で我を倒せるとでも?そやつと同じ末路を辿るぞ」
「僕はもう誰も失いたくはないんだ!この命で皆を救えるのならそれが僕の生きた証だ!」
左手に友人が残した最後の鬼が宿り暴れるようにマナが噴き出した。それは暖かくそして心が落ち着くそんな感覚。月白のマナが右手のように左腕を纏う。左眼が白と青が混ざった白群色に変化する。
地べたに落ちている友人の使っていた欠けた刀剣と腰に差す短刀を両手に構えた。左に欠けた刀剣、右手に紅き短刀を。
「行くぞ、魔王!」
「さぁ楽しませてくれよ、小僧」
鬼族の生き残りと魔王の激闘が更に大地を血で染めていった。
遡る事五年と数ヶ月。
鬼狭は何者かに襲撃され鬼族は数人の子供を残して崩壊した。
遡る事……なんて書くとガン萎えする読者の方がいるかもしれませんがこの書き方で始めさせてもらいました。理由はただ一点のみです。これ以上世界観を広げない為です。三作品が繋がるストーリーなのでこの始め方でなければ更に敷居を広めてしまいそうなのでこの時点で終点を定めておきました。次話からはストーリーに入ります。苦でなければ次話も読んでいただけると幸いです。