裸体フタツインマイルーム
「16IN」
社会のために働いて、偽物よばわりされて、
辿り着いたのが、
灰色のディスク、デスク。
何のために夢を、
みてきたのだろうか。
全てが散乱したステージの横。
消えてしまった記憶。
消えてしまえばと言ったあいつ。
普段の僕等に、
栄光あれ。
そう、この世でたったひとつの作詞ノート。
僕らが刻んだ作詞ノート。
16IN。
作詞ノート。
永遠の自分達に。
「あいつが好き」
あいつの背はもう伸びない。少しの嘘と赤毛の僕。後ろ髪をくくっていざ、出陣。
負けるもんか。
あいつが好き。
あいつが好き。
僕は再びベースを担ぐ。
「なあなあ」
深い森の中、指輪を捨てた。自由とか自在とか、
そういうものはどうだっていい。
我々に闇夜を。
疑いばかりの闇夜。
僕は、闇夜に咲く花を自らの手首に標した。
哀しい。
辛い。
きれい。
我々は正々堂々と、
音を奏でる。
捨てた指輪の再生のために。
「裸体二つインマイルーム」
シャワーの中で彼女と二人。裸体二つインマイルーム。笑おう笑おう。手の鳴る人へ。
生き様は、
水と化してしまうのだから。
結論を急いではいけない。
それが生き様と約束である。
裸の僕と裸の彼女。
「兵隊」
夜の赤穂御崎。ひとり、煙草の火を点ける。ライブの反省会。バイト先に挨拶。
僕等は何事にも震えずにやってきた。
だから。だから。
100%の真夜中に、小猫と共にコンビニへダッシュ。
僕等は馬鹿にされた世の中を早送り。
「しょうじきむらで」
休暇をもらい、
夏の米子へ向かう。
留守電には、
『早く、帰ってこいよ』
と皆の楽しい声。
腐ってしまうその前にしょうじきむらで、
僕は生活を笑って楽しむ。
コンビニエンスストアの店員さんは、にこにこと笑い、
『良い旅になりましたか』
とカメラをぶら下げる僕を見て微笑む。
僕は特急に乗って、
皆の元へと帰るとしよう。
焦らずに。
良い旅になりました。
「KIKUMOのベース」
あの日。KIKUMOのベースに触っていなければ、今の僕はいない。
手続きで役所に向かう。
今日の神戸の朝焼けの写メがきれいで。
バイパスを走る、
あの人へ正義を。
「優しき伝言」
ガソリンスタンドのお嬢は、疲れてるけど、いつも、きれいに笑顔をくれる。
ライブハウスにお嬢あり。
僕は優しき伝言を大事にこなす。
きっと、なるようになるだろう。さあ、もうすぐ、夜明け。
走ろうか。
歩こうか。
僕等はここで生きている。
背伸びした三日月へ。
今日も美しき日々が僕等に訪れますように。
さて、行きますか。
「新規作成」
ただ、ただ、やることを一生懸命に、やるだけ。自転車に乗ったら職務質問。
新規作成された、
再生されし朝に。
僕は映画を撮る夢を見た。
捨て駒の僕はもういない。
瞬間瞬間を4弦に委ねる。
ただ、ただ、頑張ることに執着します。
だから。
だから。
いつか、笑えるその日まで。
みんなで声を合わせて、
チューニングクリーニング。
僕は新規作成。
捨て駒の我々はもう、いない。
「p」
ポジション3。
悪くない。
チャンピオンは独り、
美酒に酔う。
我々は与えられた全てに悪戯。
この広き世界へ。
「10;01」
その場しのぎ。都合がいいだけなら、さっさと、帰りな。
僕の世界に文神様がやって来られた。
そんな、朝に邪魔者はいらない。
欲望。
希望。
野望。
泣くのは誰かな。
結局、僕だった。
きれいに音楽を汚し、街はずれで、
息をひそめる。
その場しのぎなら帰りな。
僕は、
早朝にサイクリング。
僕等の時代に嘘などないよ。
きれいな秋に誘われて。
「爆発論も後一つ」
後一つがどうしても欲しい。よく喋り、よく語り、よく眠る。そんな日常を取り戻すと為に。
後一つ。
爆発論も後一つ。
時間はたっぷりと無限にあるのだから。
後一つ。
爆発論も後一つ。
「親孝行」
親父が僕のベースの弦を張る。
嬉しそうに。楽しそうに。僕に変化あり。親父はベースを担ぐ僕を褒めては帰らぬ旅に出た。
ベースを弾き続けることが、
親孝行だと。
僕の愛したものには必ずひびが入る。
今日は闇夜に生きてみるか。
闇夜の中でベーシストが月を見る。
長い過去に付きまとわれないように。
雨か。
西へと急ぐ。
罪一つない、
音のために。
「2837」
EISUKEと夜更かし。語るは、憧れのバンド。ドラムスティックと音譜が、
転がるこの僕の住まい。
狭いけど、上がっていってよ。
テレビには影。
音譜には光。
これから、やって行くよ。
これから、始まるよ。
心斎橋でベースを一本、
お買い上げ。
何でも可能な世。
僕等は永遠を誓う。
焦らなくていいよ。
焦らなくていいよ。
僕等の作詞ノートに僕等の傷あり。
せめて、ヒトトキだけでもとテレビが笑う。
僕等の傷は自慢の傷。
頑張ろう。
明日も。
ずっと。
「毎日が日曜日」
朝起きる。昼、作詞ノートへと向かう。夜、バスタブ。深夜、楽しむ。愛があるものを。
さぼらずにきめ細かにやるのが流儀。
僕等は誰一人として流さずに今を受けとめる。
朝に飲み干したコーヒーが美味く転がって。
「弘人が見つめた先に僕がいる」
繊細な曲作り。ライブのさなかに弘人がギターを持って、ベースを担ぐ僕を見つめて笑う。
ただ、それだけが幸せだった。
大きな音を咲かせてまいりましょう。
夏の京口町にて。
「まともなことなどわすれたよ」
光あり。虹あり。食卓あり。まともなことなどわすれたよ。この今を華麗なものに。
「運」
ラッキーに生きたアスファルトの上。
夜景にお辞儀。
言葉がどうしてもなぁ。
ユウリに言われた。
『それだけ、優しくなれた証拠だよ』
僕は優しそうな廣峯神社の犬の顔を撫でる。
運よ。
僕等を優しく上手く運べ。
おみくじは、
大吉なり。
「基地」
秘密基地にて、作詞ノートにペンを置く。そしたら、コーラが飲みたくなった。
どうしてなのだろうか。
僕は女神を見たんだ。
君と言う女神を。
不確実に笑おう。
秘密基地にて作詞ノートが炸裂。
僕等の厳しい時間を、
愛してくれた全ての人へ。
どこまでも。
「七並べ」
カードが揃った少しの緊張感。鬼はもう消えてしまった。深い霧の住人達は何を想う。
これから先の道のりを歩むべく揃った四人。
心配なし。
七並べのような鬼退治。
「魚町マンネリNoマンネリ」
迷子の小猫が怪我をする。
『もう、僕は限界だよ』
と、小猫は僕に告げている。
『何か食うか』
と、小猫に言うと、小猫は眠ってしまった。
命。生命。命。
わがままの数だけマンネリしない。
明後日は後部座席でのんびりしようっと。
眠った小猫の恩返し。
僕も眠って、青島公園で、冬を一時、感じています。
「背番号19」
苦労した証にストレートを投げる。
時間は素直なモノで嘘を吐けない。
単身、
西長堀の寮へと走る。
明日は大一番が待っている。
そろそろと空を飛ぶ、飛行機と伝書鳩。
隣人にアイスクリームをプレゼント。
誤字。脱字。トンネル、エラー。
それも人生の一コマ。
背番号19に大きく憧れて。
「溜め息の原因」
また、お前がくだらなそうに仕方なく、ラーメンをすすって嘘を吐く。
僕は僕でいたいのに、
クラッシュ寸前のお前に告げる言葉など、見つからない。
溜め息の原因のお前へ。
「マラソン大会」
いつも、走る度に太一に追いつけない僕。結局、僕は三位。
何かで、「イチバン」になってやると誓った、小学校六年生のマラソン大会。
手にしたもの。
それは、
貴重な貴重な夢物語。
追い風をくれ。
辛くとも。
「時には前だけを向いて進む鼓笛隊のように」
夜な夜な、想うこと。タイムマシーンがあれば、母体へと帰りたい。甘い会話。
僕の名前に偽りなし。
時には前だけを向いて、進む、鼓笛隊のように。
この世界に偽りなし。
雲行きを確かめて。
「1123」
あなどるな。人を。人間を。時間たちを。何故にお前は馬鹿を見る。
僕という人間は孤高などは気取らない。
時計は11時23分。
世界へ脱出すべき、このまとまらない僕である。
一日の汗の数だけ、
鏡を見ては僕がいる。
あなどるな。
「どっちなんだよ」
四分前。野里行くと武者は言う。四分後。今宿に行くと武者は言う。
どっちなんだよ。
僕は寿限無寿限無と迷わずにクレパスを手にする男。
武者よ。
どっちなんだよ。
僕はひび割れたガラスを拾い血を流す。
どっちなんだよ。
武者に告げる。
そのうち、全て無くしちまうぞ。
「きれいごとはいいからさ」
きれいに頭を下げる、病人がぶつぶつぶつぶつ、独り言。
友達だ。
知り合いだ。
誕生日だ。
と、『プレゼント』ばかりを告げる病人。
僕はもう、何もいりません。
ただ、僕は僕が欲しいだけ。
そういうことだよ。
病人よ。
きれいごとはいいからさ。
天才病を患うあなたへ。
きれいごとはいいからさ。
僕はなりたい僕になる。
「キツイ」
涙ながらに想う。
キツイ。
修正されし文字が幾つか。
キツイ。
飴でもなめるとしよう。
キツイ。
甘い。
「先生のために咲く花」
哀しい目を持っていた。
四六時中。辛く激しく、そして、嬉しく。
僕はあなたに感謝します。
先生のために咲く花。
アトリエには先生が愛した向日葵が咲く。
絵を描く度にあなたを想います。
北の街での珍道中。
いつも、笑顔で迎えてくれた。
アトリエの中でゆったりと笑うあなたを誰よりも尊敬してやみません。
それだけの、ただ、それだけの大きな存在。
『君ならやれるよ』
僕は、始発電車で八千代に向かいます。
お伽噺のような生き様。
僕はあなたの背中を見ては。
先生。
先生のために咲く花はきれいです。
僕は、また、
旅に出ます。
ありがとう。
ムラカワアオイ 消えてしまえば
1995、1617.
THANKS。
IMAGE。
DREAM。
BUMP。
16。
作詞ノート。
17。
作詞ノート。
right。
Bass。
0000。
1111。
僕。
心音。
こころ。
懺悔。
神の子。
母体。
作詞ノート。
先生のために咲く花。
16歳の僕の素直な作詞ノートより。
AOI MURAKAWA。