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アクトヒーロー出張記  作者: 赤雪トナ
10/11

10 VS危険種

 ジャスティーは呼びに来た男と一緒に廊下を走って、神殿の大部屋に向かう。

 ノックもなしに扉を開け入った中には、グロードスや二つの世界の技術官がいて、怖いくらいに真剣な表情で話している。


「来たか、ジャスティー殿」

「私を呼びに来た者から聞いたのですが、封印されていた危険種が封印を破ったとはまことですか!?」


 挨拶もなしに起きたことを確認する。

 その焦った様子に無理もないと皆思う。彼らもその報告を聞いたとき、耳を疑ったのだ。


「ああ、無線機を使っての連絡があった。少し前に封印していた岩山に地震が起きて、危険種が姿を見せたのを確認したということだ」

「なんてことっ。早くどうにかしないと。女王様や騎士団に連絡は?」

「すでに入れてある。だが騎士団ではどうにもならないだろう?」


 グロードスの言葉に、表情を歪め頷く。

 過去騎士団と危険種の戦いは何度も起きている。それが良い結果を出していれば、ブルーホープが生まれることはなかったのだ。

 

「ええ、良い結果はでないでしょうし、被害は大きなものになるはず。ですが動かないという選択肢はありません」

「たしかに。だが騎士団が動く前に、一つの要請が城からあった」


 少し躊躇いの様子を見せるグロードスに、要請の内容が想像つきジャスティーは正気かと考える。

 その考えを察したのか、グロードスは頷いて見せる。


「私もまだ早いとは言ったのだが」

「早いどころではありません! 予定では人や対応種との戦闘をこなしたあとに危険種と戦うことになっていたでしょう!? それを初戦から危険種にする!? 城の者たちはなにを考えているんですか! ソウタ君はまだまだ未熟ですよ!」

「自力派の一部が動いたのだろう。提出したデータの結果を元にして他の者を説き伏せたらしい。あの強さならもしかしたら、と考えさせられた者もソウタ君の出撃に賛成に回った。多数を味方につけて意見を押し通したようだ」

「……向こうはなんていって出撃させろと? エモールドのことは秘密です。どういった理由で戦わせるつもりですか」


 グロードスは大きく溜息を吐いた。


「それはこっちで考えるようにと言ってきたよ」

「……面倒事はこちらに押し付けですか。自力派が動いたとなると、真っ正直にソウタ君の勝利を期待しているとは思えません」

「ああ、同意見だ。封印は自然に解けたのではなく、自力派の人間が解いたという情報もある。それが本当かはまだ確かめられてないが」

「それが本当ならとんでもないことじゃないですか!」


 自然と封印が解けたのならば自然災害と考えられるが、人間が封印を解いたということは人災だ。国を傾ける意思があるとみなされてもおかしくない。

 ジャスティーたちは、自力派は気が狂いでもしたのかと疑う。


「今自力派のことを考えても仕方ないだろう。どうやってソウタ君を動かすかを考えよう」

「どうしても動かさなければなりませんか?」


 ジャスティーは渋る様子を見せる。

 グロードスもその気持ちはわかるし、権力から遠い位置にいる神殿が城からの要請に従うことに思うところもあるが、一番被害が少なくてすむかもしれないとも思えた。

 頷いたグロードスを見て、ジャスティーは出撃を覆せそうにないと溜息を吐いた。


「出すからには勝率はできるだけ上げます。出力も実験時より上げていきますし、ここの戦力を連れていきますし、町の兵士も連れ出します」


 いいですねとは尋ねずに、断言する。


「出力を上げて大丈夫なのかね?」

「三十パーセントでは勝てません。ソウタ君には悪いですけど、五十パーセントで戦ってもらいます」

「五十パーセントならば勝てると?」

「断言できたらいいのですが、五十パーセント以上ではまともに動くことができるのかわからないんですよ。だから五十パーセントの出力でどうにかしてもらいます」


 三十パーセントで細かな動作をするとふらついていたのだ、五十パーセントまでいくと走るといった基本動作でさえ支障をきたす可能性もある。

 だから蒼太には武術の動きをせずに、基本動作だけでどうにかしてもらうつもりだ。

 そのための戦力持ち出しだ。


「そこまで出力を上げてブルーホープは大丈夫なのか?」


 グロードスはこの場にいる技術官たちに確認する。


「昨日仲間内で話し合いましたが、六十パーセントまでならば問題ないだろうという結論がでています。ただの話題の一つでしたが、話しておいてよかったです」


 そうかと頷いて、ジャスティーに視線を戻す。

 

「では兵たちを連れていくのはどうしてだ? 騎士団よりも練度は低いだろう。まともな戦力になるとは思えん」

「私も戦力としては期待していません。彼らにはロープなどで危険種の動きを止めるか、鈍らせてもらいます。動きが鈍ったところで、攻撃のみを考えさせたソウタ君に突っ込んでもらい倒してもらいます」


 今の蒼太に細かな動作は期待できない。動き回る敵に攻撃を当てるのは困難だろう。だが一つのことに集中してもらえば出力を上げてもなんとかなるだろうと考えたのだ。


「動きを止めるのは周囲の仕事。ソウタ君の仕事は一直線にぶつかってもらうことだけ。これならなんとか」

「確実にとはいえないか」

「何事にも絶対というのはありませんから」

「うむ。討伐方法はどうにかなった。あとは出撃理由だが」

「多少強引でも順当だと思える理由があれば」

「すまないが理由はそちらで考えてくれ、私は急ぎ出撃準備を整える」


 頷いたジャスティーは技術官たちと話し合い、グロードスは準備を整えるため動き始める。

 大急ぎで指示が出され、バスに兵士と必要な荷物を乗せて、蒼太よりも先に現場に送り出された。


 ◆


 蒼太たちよりも先に出た兵たちは、遠目に危険種を確認できる位置でトラックから降りる。

 移動前にこれから対峙する相手を聞かされており、彼らの顔は緊張と恐怖で強張っている。

 危険種が暴れたのはここ十年くらいのことで、皆の記憶にその力は強く残っているのだ。

 双眼鏡を使っているこの場のまとめ役である騎士に、副官が声をかける。その声はわずかにだが震えていた。


「あれが危険種ですか」


 彼らの視線の先には造詣の荒い白いサイがいる。


「思ったほどにはでかくはないな、山にも届く巨体をイメージしていたぞ。記録にはいくつかの町を破壊したと残っていたな」

「町中を走りまわって蹂躙したそうですよ」

「小細工なしに突進力のみで破壊の限りを尽くしたのだったな」


 ここに封印されていた危険種のやったことは単純だ。体当たりだけだった。巨体が速度を上げて突進してくるのを止めるのは困難で、家はガラスのごとく簡単に壊され、人々はぶつかられ踏みつぶされて、町はまたたくまに地獄絵図となった。


「走らせなければとりあえずは大丈夫なのだろう」

「暴れるだけでも大きな被害をもたらしそうですけどね」


 憂鬱そうに溜息を吐いた副官の背中を叩き、騎士は準備を進めるように大声を出す。

 兵たちは、太いロープにつるはしの金属部分を結び付けて大きなフック付きロープにしたものをトラックから降ろす。用意したのは四十本だ。

 このロープを魔法で強化した肉体を使って危険種に投げ飛ばし、念動力の魔法で足や体に絡みつけるのだ。


「戦っても勝つことはできないとわかってはいますが、本当に拘束するだけでいいんでしょうか? 時間稼ぎのために捨て駒にされていません?」

「上ご自慢の兵器が来る。それが役立つかは知らんがな」

「新しい兵器ですか? ジェーグ爆缶よりさらに上のものを作っているという噂は聞いたことありますが、効くんでしょうか」

「いやそっちじゃない。違う派閥が大金をかけて作り上げたらしい。鎧のようなものを着込んで戦うとかなんとか」

「強力な魔法がかけられた鎧? それの小隊でも編成してぶつける? でも魔法は効果が薄い、いや自己強化して武器で戦うのならいけるのか?」


 頼りになるのだろうかと副官は新兵器にいまいち期待感がない。


「使えるかどうかもわからないものを考えても仕方ない。時間を稼げば再封印の準備が整うんじゃないか?」


 まとめ役の騎士も大きな期待はしていないようで、封印の魔法に期待している。

 騎士が自力派で再封印の準備が整っていることを知っているわけではなく、普通の対応として封印準備を急いでいると考えているのだ。

 派閥としてはこの騎士は他力派だが、ただ所属しているだけで熱心に日本との交流を推しているわけではない。上司との付き合いで所属しているだけだった。

 

「封印準備が整うまで犠牲がでないといいんですが」

「たしかに怪我人はでても死者ゼロが最善だが……」

 

 無理だろうと考え、せめて口にはしなかった。

 話しているうちに準備が整い、拘束作戦が始まる。

 ここに連れてくることができた兵は五百人。そのうち四百人を二十個のグループにわけてロープを持たせ、残りは怪我人を運ぶ輸送班、拘束や治療に魔法を使う魔法班、城やジャスティーたちと連絡を取り合う連絡班などにわけた。

 危険種が突っ込んできてもいいように、全方位からばらけて囲みを狭くする。

 近づくほどに皆息苦しさを感じる。危険種から発せられる威圧感が身をすくませる。人間が生きていること自体を拒否するかのような害意を受けて、皆の歩みが鈍る。それでも少しずつ前に進む。これを町に向かわせるわけにはいかないとわかったからだ。ここで少しでも時間稼ぎをしなければという使命感が彼らを動かした。

 危険種も大人しく囲まれるわけはなく、近寄ってきた人間を殺すべく突進する。地響きを鳴らして迫る巨体に悲鳴が上がる。


「避けろ! 魔法班はあいつの顔に炎をとばせ目くらましになる!」


 まとめ役の騎士が声量を上げる魔法を使い指示をとばす。

 危険種の初速が大して速くないおかげで、兵の大半は避けることができた。だが中には足をもつれさせて転び、危険種に蹴飛ばされ踏まれた兵もいた。


「怪我人を回収!」


 軽傷とはいえないが、死者はいなかった。

 まとめ役の騎士は輸送班に怪我人の移動を命じ、駆け抜けていった危険種へと視線を向ける。

 危険種は少し速度を落として旋回し、再び兵たちに突進してこようとしていた。。


「魔法行け!」


 まとめ役の騎士の合図でいくつもの火の玉が尾を引いて飛ぶ。

 目の前が赤く染まったことで危険種は速度を緩める。

 それをチャンスだと判断し、フック付きロープが投げられる。四肢に絡み、首や角にもロープが絡む。

 ロープをいやがり危険種が身をよじる。

 そこかしこで驚きの声が上がった。百人ほどで引っ張っているのに力負けするのだ。


「もっと拘束人数を増やすんだ!」


 ただそれだけではまだ力負けするかもとまとめ役の騎士は考え、バランスを崩すような引っ張り方をするため危険種の動きを観察する。

 拘束がひとまずの安定を見せるまでに、約二百人の兵が負傷し下がることになるのだった。


 ◆


 蒼太とクリーネが部屋で待機して四十分ほど時間が流れた。


「こうして話しているけど、仕事に行かなくて大丈夫?」

「なんらかの問題が起きている状態で、賓客のあなたを一人で放り出すのは駄目。仕事とか勉強は遅らせる。あーあーほんとは勉強時間なんだけど、理由があるから仕方ないなー」

「なんかさぼる理由に使われるような気が」


 クリーネの仕事はわりと都合がきく。時間が変更されてもしっかりと仕事をこなせば問題ないのだ。

 一番重要なのは神石に魔力を注ぐこと。ほかの仕事は祈りとたまに客と会うことや冠婚葬祭の場に出ることだ。

 神石には夕食後に魔力を注げばいいし、そもそも毎日必ず注ぐ必要もない。祈りも同じく必ずやる必要はない。クーライアスが話したがるので祈りを行っているのだ。今はクーライアスが忙しいため祈っても返事はないためたまにならやらなくてもいい。残りの来客と冠婚葬祭は、頻繁にあるものではなく、今日それらの予定はない。

 こうした理由ですぐに仕事を行う必要はない。あとは勉強だが、さぼりならともかくきちんと理由があるなら咎められることはない。


「あ、誰か来た」


 部屋外の足音を聞き、クリーネは雰囲気を使徒のものに戻す。

 すぐにノックがあり、ジャスティーが入ってくる。


「お待たせ。詳細がわかったから説明に戻ってきたわ。あとそれに伴い今日の予定が変更になってる」


 ほうほうと蒼太は頷き、先を促す。


「ちょっと急ぐから移動しながら説明するわ」


 ついてきてと言うジャスティーにクリーネが自分はどうすればいいのか尋ねる。


「……特になにをしてほしいということはありませんね」

「じゃあ気になるのでついていっても?」


 これから向かう場所は危ないから断ろうとしたが、蒼太がいるのでその言い訳は使えない。

 使徒を現場に連れ出すのはまずい。だが考えてきた出撃理由のせいで、危ない場所に向かうと説明できないのだ。

 言い訳が思いつかず頷く。このことで責められたら、城の連中が悪いと責任を擦り付けると決めた。

 擦り付けずとも責任は、無茶を言ってきた城の者たちにあるわけだが。


「まずなにが起きたのか。撮影で使う巨大ゴーレムが制御から外れて暴れ出したの」

「ゴーレムなんて使う予定あったんですねぇ」

「特撮の怪人が追いつめられると巨大化することがあるでしょ? あれをこっちの特撮でも使えないかなってゴーレムを準備したの」

「へー。巨大ってどれくらいですか?」

「そうね……バスの高さと幅それぞれ二倍より大きく? 長さはほとんど同じ。形はサイをもっとごつくした感じ」


 想像してみる蒼太の脳内では、大物が暴れている様子がイメージされた。

 人事のように大変だと考える。


「生き物としてはなかなかでかい。それが暴れてるって大変だ!」

「そう、大変なのよ。でも運のいいことに郊外で暴れているからまだ大きな被害はでてないわ」


 郊外というのも被害が少ないというのも本当だ。

 被害は封印を観測していた建物が壊れたのと、観測記録がなくなったことくらいか。

 岩山の山肌を砕いて危険種が顔を見せた時点で、観測所員たちはなにも持たずに大慌てで逃げ出したので死者はでなかった。


「だから被害が少ないうちに壊してしまおうということになったの」

「なるほど……ん? もしかして予定変更になったのって俺が壊すからだとか?」

「その通り」

「え? やれるの? 危ないでしょ」


 当然危ないが、真っ正直にそう言うわけにはいかない。

 内心の焦りを隠して、余裕をもった表情でジャスティーは続ける。


「まあ少し危ないけど、あって打ち身くらいよ。本当に危ない場所に連れて行くわけないでしょ。そんなところには私たち騎士が行って解決するわ」

「今回も騎士出動に値する事件だと思うけど」

「ついでに撮影もしてしまおうってことになったの」


 出撃の理由はこれだ。ゴーレムが暴れたけど、いい機会なので撮影もすませてしまおう。撮影する余裕もあるから危なくないよ、と思わせるのだ。

 現場を危なくないと思わせるため、クリーネの同伴を断れなかったのだ。


「なんという転んでもたたでは起きない精神。初撮影が大きな戦闘シーンかぁ、まともな戦いできそうにないんだけど」

「そこらへんはわかってるから、やってもらうことは簡単にしてあるわ。ただし頑張ってもらう必要もあるけど」

「なにをソウタ様にやらせるのですか?」


 表面上は穏やかに、けれど目には疑いの色を映したクリーネが尋ねる。

 クリーネも一応蒼太の育成スケジュールを見ている。それによると最初の戦闘シーンは、怪人との戦いという名目でブルーホープの劣化版を身に着けた兵と戦うことになっていたはずなのだ。ついでにスケジュールには巨大ゴーレムとの戦闘シーンはなかった。


「ブルーホープの出力を五十パーセントまで上げて、ゴーレムに走りよってエレクトロブローを当ててもらう。動きのあるシーンのかわりに派手なシーンを取る」

「五十パーセントは無理じゃない?」


 昨日装着して動いてみての言葉だ。


「だからソウタ君には一直線に動いて殴ることだけ考えてもらう。ゴーレムの動きを止めるのは兵たちに頑張ってもらう。止まっている標的を殴るだけならなんとかなると思うのよ」

「まあ、それだけなら?」


 自信なさげに蒼太は頷く。

 ぶっつけ本番なのだから不安に思って当然だ。むしろ少しでもやれそうだという思いを見せてくれたことがジャスティーには嬉しい。


「そういやゴーレムには弱点がないの? 命令を出しているコアとか砕けば動きを止められそうだけど」

「明確な弱点はないわね。力が集まっているところがあって、そこを撃ち抜けば動きが鈍って、弱体化もするという話」


 ジャスティーが語っているのはゴーレムではなく、エモールドについての話だ。

 しかも現状では意味のないことでもある。弱点を探ることができたのは魔法がまだ効いた頃のことなのだ。魔法に対して高い抵抗力を持つようになってからは探査の魔法が聞かず、弱点への攻撃はできなくなった。

 ちなみにゴーレムには蒼太のいうような弱点が二つある。命令を出す魔法を刻んだプレートとゴーレムを動かすための魔力を生み出す小型増幅魔法陣だ。それらをどちらかでも破壊するとただの人形になってしまう。


 話しているうちにブルーホープのつまれたコンテナトラックに着く。それのほかには撮影機材とデータ収集のための機材を載せたトラックがある。

 三人がコンテナに入ると外から閉められ、各トラックが動き出す。急ぐためいつも以上の速度で封印の地に向かう。

 コンテナの中には技術官が二人いて、マシンアームやブルーホープの起動準備を整えていた。

 蒼太はコンテナ内の着替えスペースでコネクトスーツを着て、クリーネは小声でジャスティーに裏事情を問う。

 ゴーレムではなく、エモールド危険種が相手と説明され、クリーネの表情は不安に染まった。

 いきなり危険種にぶつけるなど蒼太を殺したいのかと言いそうになり、なんとか我慢して口を閉じる。


「なにか心配事ですか?」


 着替え終わった蒼太が、深呼吸して気持ちを落ち着かせているクリーネに声をかける。


「……ゴーレムを押さえる兵たちが怪我しないかと」


 エモールドのことを言うわけにはいかず誤魔化し、別の心配事を口に出す。

 危険種を押さえつけるのも、それはそれで大変な作業なので、心配する思いは本当だった。


「兵たちは俺と違って生身なんだっけ、たしかに危ないか」

「こういう状況でこそブルーホープの安定運用バージョンが活躍するんだけどね。早く出てくれると助かるわ」


 ジャスティーのこれも本音だ。危険種を押さえつけるだけならば劣化版でも数に任せてどうにかなる。

 所詮はないものねだりなので、生身でどうにかするしかない。早い完成と配布と期待する者は多いだろう。


「完成はどう急いでも一年以上先でしょうね」


 災害種をどうにかしないことには、それらについて考える余裕はない。

 現状はブルーホープの亜種を数体作っている程度で、安定運用バージョンについては技術官が休憩の合間に各自考えているくらいだ。


「性能ってどんな感じになるんだろう」

「高性能版でも、ブルーホープ出力三十パーセントには届かないとか。二十パーセントと同等のものが最高品質になると思う」


 一般に広まるのは十パーセント以下になるだろうと技術官の間で話されている。


「えらく低い」

「ミレジオリ人の平均魔力だと二十パーセント版でも使いこなせないのよ。短時間使うなら二十パーセント版でもいいんだけど、災害救助とかだと長時間使うことになるでしょうし」


 話している三人に技術官が声をかける。

 到着まで二十分くらいなので、そろそろブルーホープを装着してほしいということだった。

 蒼太はマシンアームに近づいて、技術官にいつでもどうぞと合図を送る。

 車中で揺れるということで、ゆっくりとマシンアームが動き、十分かけて頭部以外のパーツを装着する。

 起動はまだで重いためマシンアームに支えてもらいながら話し、トラックが停まると頭部パーツもつけて起動する。


「出ましょう。ソウタ君は指示があるまでゴーレムに近づかないように。クリーネ様はとりあえす私から離れないでください。いいですね?」

「ゴーレムに近づいてもなにもできませんから、大人しくジャスティーのそばにいますわ」


 扉を開けて、全員で地面に下りる。

 技術官たちは一緒に来ていた技術官のところに行き、機材の準備を手伝い始めた。

 ジャスティーは周囲を見渡す。事前に聞いていたとおり、近くには小さな岩山があり、その下部に危険種が出てきた穴があいている。その穴の近くには危険種の姿はなく、二百メートルほど離れたところに、巨大な白サイがいた。蒼太たちがいる場所からは三百メートル離れている。兵たちの邪魔にならないよう、巻き込まれないようにと離れた位置に停まったのだ。

 危険種の周囲には多くの兵がいて、フック付きロープを持って囲んでいる。

 今も危険種の足や首にはロープが巻き付いていて、それぞれのロープを兵が持って懸命に押さえようとしている。

 二百人以上の兵が引っ張っているが、力負けしているようで危険種が動くたびに引っ張られよろめいていた。

 それでもなんとか拘束できているのは、まとめ役が危険種の動きを読み取り、ロープを持った兵たちに引っ張る方向の指示や力の緩急を指示しているからだ。

 危険種がサイなのも運がよかった。猫のような柔軟な動きの動物の姿だと、動きを読み取ることが困難になっていた。

 拘束するまでにでた怪我人の姿は蒼太には見えない。少し離れた位置に怪我人を集めて、そこに周囲の風景に一体化する幻の壁を魔法で作っているのだ。簡単な幻で、横に回ればすぐにばれるものだが、そういった魔法の存在を知らない蒼太は気づかない。

 ブルーホープ自体に幻を見破る機能はついているが、トレーラーの中での準備でその機能は止められていた。


「自分の目で見てみると改めてデカさに驚くなー。それに力もすごい」


 インカムを通して聞こえてくるのんびりとした蒼太の声音が、ジャスティーには羨ましい。

 あれの持つ力を正しく理解している者には、気楽に構えることなどできないのだ。

 蒼太が気楽なのはブルーホープに仕込まれた気配遮断の魔法のおかげでもある。

 十分ほど危険種対兵の様子を見て、機材の準備ができた知らせを受ける。

 その間、蒼太はモニターをズームにしてエモールドや遠くの景色を眺めていた。


「さあ、突撃準備の指定位置に移動しましょう。クリーネ様は機材近くに置いてある椅子に座って待っていてください」

「わかりました。ソウタ様どうかご無事で」


 クリーネが離れて行き、ジャスティーは蒼太についてくるよう言って小走りで移動を始める。

 移動した場所は、白サイの横腹が見える位置だ。

 白サイまで約二百メートルある。

 危険種から受ける威圧感に対する怯えを心に押し込めてジャスティーは蒼太に声をかける。


「ここから突っ込んでいって、横腹にエレクトロブローを叩き込んで。口で言うと簡単だけど、やってみたら難しいかもしれない」

「まあ、なんとかしてみるよ」


 軽い口調で返した蒼太に、真剣にやってほしいと言いそうになるが、事情を隠しているこちらが言えることではないと飲み込む。


「頑張って、本当に」


 それだけ言うと技術官たちに出力を上げるようにトランシーバーで頼む。

 十パーセントから五十パーセントに上がったことを確認し、技術官たちは合図を返す。蒼太にも出力アップの音が聞こえた。

 見た目に変化はなく、じっとしていれば出力が上がったかはわからない。

 

「じゃあ次は必殺技の準備を」

「えっとバックルを二度押ししてー、オーニパワージェネレイション」


 腰のモーターが回転を始め、一気に回転数を上げる。


「んで次は……」


 右の拳を握りしめる前に、ジャスティーが離れたことを確認する。発せられた電気に巻き込んで怪我させては申し訳ないのだ。

 もちろんジャスティーも危険性は理解しているため離れている。


「よし」


 頷き拳を握る。

 出力が上がったせいか、昨日よりも激しい電気がほとばしる。

 途端に兵との引っ張り合いをしていた白サイが、蒼太のいる方向を気にするそぶりを見せた。


「すご。スタンバイ」


 白サイの様子に気づかず、短く電気への感想を漏らし、電気の状況を落ち着かせる。拳から肩までに数本の稲妻がまとわりつく。


「こっちの準備はできたよ」

「兵に合図送るから、ちょっと待って」


 トランシーバーで技術官に声を届け、技術官から兵のまとめ役に合図の魔法で準備が整ったことを知らせる。

 合図を受けたまとめ役は、最後のひと踏ん張りだと蒼太の方を向きたがる白サイの押さえ込みに集中する。

 気楽に構えている蒼太に反して、ジャスティーたちの緊張感はいやがおうにも高まっていく。


「全ての準備完了。数秒でゴーレムの近くにまでいけるから、距離感を間違えないようにね」

「だいたい何秒くらいで接近すると思います?」


 ブルーホープのスペックを把握できていない蒼太はジャスティーに尋ねる。


「三十パーセントであれだから、確実に十秒はきるわね。五秒辺りだと思ってていいと思うわ」

「百五十メートルを五秒かー、出力百パーセントだとえらいことになりそうだ」


 音速いっちゃう? 走ってマッハ到達? などと考えている蒼太。

 その予想は外れで、そこまでは行かないだろうと見られている。


「じゃあ行きます」


 そう言うとスタートの体勢に入り、前に出した右足にぐっと力を込める。そのまま地面を蹴り、走り出す。

 地面が抉れを走った跡が残り、その跡が真っ直ぐ危険種へと続いていく。

 まっすぐ走るだけならばなんとか体勢を保つことができている。

 

「もうそこ!?」


 聞くと体感するとでは大違いで、あっという間に目の前に迫った巨体へと拳をぶつけるため跳ねて拳をふりかぶる。

 蒼太が力強く地面を蹴って跳ねたと同時に、危険種は身に迫る危機を察したか、これまでとはくらべものにならないほど大きく動いて兵たちの拘束を振り払い、真正面に蒼太を捉える。

 それに蒼太は驚くが、既に突撃した状態でどうにもできず、体ごと開かれた口に突っ込む形で拳を前に突き出す。


「エレクトロブローッ!」


 危険種の口の中で雷光が弾け、顔をのけぞらせて、巨体も顔に引っ張られるように浮き上がる。

 蒼太は危険種にぶつかり、そのまま上空に放物線を描いて飛び、クルクルと回転しながら危険種を超えて地面に落ちる。二重の衝撃吸収措置のおかげで痛みはないが、目は回りそのまま倒れて動けない。

 大きな衝撃を受けた危険種の方はというと、顔は大きく潰れパーツが意味をなさなくなっており、ふらつく様子を見せるが立つことはできていた。

 ただ一人の攻撃がここまでの威力を見せたことに現場の兵は歓声を上げる。だがクリーネやジャスティーたちは違った感想を持った。


「そんな失敗!?」


 倒れない危険種にクリーネが悲鳴じみた声を出す。


「いえ大きなダメージは与えています。もう一度攻撃できれば。ソウタ君っ大丈夫?」


 焦る心を押さえつけながらジャスティーはスピーカーを通して声をかける。


「目が回って気持ち悪いけどなんとかー」


 蒼太も危険種と似たような感じでふらふらとしつつ立ち上がる。


「酷なようだけどもう一度同じことやってほしいの。それでゴーレムを壊せるから。できる? 落ち着く時間がほしいなら兵たちに頑張ってもらうわ」

「距離を取る間に落ち着くと思うから、兵士さんたちにはもう一度押さえてもらえれば」

「わかった。押さえたら合図出すから、ゆっくりでいいから移動してちょうだい」


 返事をして元の位置に戻る蒼太。

 怪我をした様子のない蒼太を見てジャスティーは胸を撫で下ろし、まとめ役の騎士にもう一度拘束を頼む。


「了解した。あれをもう一度やれるなら危険種は倒せるだろう。危険種が死ぬ場面をこの目でみれるどころか、協力もできるとは思いもしなかった。最後の一踏ん張りだ、頑張らせてもらう」


 ブルーホープについて疑念を抱いていたまとめ役の騎士は、大ダメージを与えたところを見て希望を持てたのだろう。明るい声で返事をして、兵たちに指示を出し始める。

 兵たちも疲れているが、ダメージを負い動きを鈍らせた危険種相手ならば、仕事を全うするのに問題ないようで次々とロープをひっかけていく。

 すぐに拘束が終わり、ジャスティーは蒼太に連絡を取る。


「こっちは準備できたわ。そちらの状態はどう?」

「落ち着いたよ。それにしてもえらく頑丈なゴーレムだよね」

「ええ、本当に。あそこまで頑丈だとは思ってもなかったわ」


 五十パーセントならば危険種はなんとかなるというのが甘い見通しだと思わなかった。

 災害種に対しても危険度をさらに上げた方がいいとわかったのは、このハプニングが起きたことで得た一番の収穫だろう。

 もっとも修練終盤の蒼太ならば誰の助力もなく出力五十パーセントでどうにかできるので、見通しが甘いとわけでもない。やはり危険種との対決が早すぎたということなのだ。


「それじゃ準備を始めてくれる? 弱っているとはいえ、手負いの獣は怖いと言うし油断はしないでね?」

「わかったよ」


 エレクトロブローを放つ準備を整えていき、再び稲妻が腕にまとわりつく。

 そこで蒼太は構えを取らず、ジャスティーに話しかける。

 

「ちょっとお知らせ」

「なにか問題?」


 ここにきてなにがとジャスティーは焦りと緊張で心臓が跳ねる。


「いや魔力がごっそり減って、もう一度やれって言われても無理ということを伝えておいた方がいいかなって」

「……まあ事前にわかっていたことだしね。体調はどう? 気怠くて歩けないとかない?」

「少しは怠さを感じるけど、動けないほどではないです」

「……じゃあお願いするわね」


 スタートの構えを取った蒼太はすぐに走りだす。

 二度目なため速度に焦ることなく、エレクトロブローを危険種の横腹に叩き付けることができた。

 殴りつけられた危険種は体を曲げて横倒しになり、空気に溶けるように消えていく。


「うおっ!?」


 同時にブルーホープの安全装置が働いて、発電機は止り、魔力の流れも止められる。

 ただの金属の塊になったブルーホープの重さ耐えかねて、蒼太は地面に膝をつく。

 モニターも消えて真っ暗たが、緊急電源が動いたおかげでスピーカだけは通じた。


「すぐに運ぶからそのまま座ってて」

「お願いしまーす。真っ暗でなにも見えない」


 動けずにいる蒼太の近くでは兵たちが喜びの声を上げている。

 近づいて礼を言いたそうにしている兵もいるのだが、国の機密に関わる兵器なので接触禁止という命令が出ているため遠巻きに見るだけだった。

 まとめ役の騎士が兵に声をかけて撤収準備を始める。

 兵たちが怪我人を運んでいる間に、マシンアームがのったトレーラが近づいてきて、蒼太を回収する。

 その様子を横目に、ジャスティーとまとめ役の騎士が言葉を交わす。


「拘束ありがとうございました。助力がなければ攻撃を当てることはできませんでした」

「いいものを見せてもらった、苦労に見合う成果はあった。だがあれは真っ直ぐにしか動けないのか?」

「動き回ることは可能な作りです。ですが訓練を始めて五日もたっていません。実戦投入には早すぎるんですよ」


 短すぎる訓練期間にまとめ役の騎士は顔をしかめる。そのような代物に自分たちは命をかけたのかという憤りがあった。


「たったそれだけの訓練期間でよく使おうと思ったものだ」

「上層部からのごり押しです。さきほども言いましたが、私たちはまだ早いと判断しています」

「俺も鍛練期間が短い奴を実戦投入は躊躇われるな。だがいなかったら封印準備までに被害が増えていたのも事実なだけに、上層部にどうこういえないが」

「……封印を解いたのが上層部の誰かかもしれないという話もありますが」

「それはないだろう!? 危険種の封印を解くなど国に対する反逆罪だぞ!?」


 突如声を出したまとめ役の騎士に兵たちがなにごとかと注目する。

 それらにジャスティーはなんでもないと手を振り、注意を散らす。


「そうですよね。だから推測にすぎないんですが」

「その推測が外れてくれることを心の底から望むよ。現場に立つ者として、そんな馬鹿なことをする人間がいるとは思いたくない」

「外れたら外れたで問題も出てくるのですが」

「なんだ?」


 なにか他にあるのかと顔をしかめる。


「封印の魔法はいつまでの効果があるわけじゃないということです。自然と解けたのならほかの封印もそろそろ限界に近づいてるかもしれません」

「たしかにそういうことになるか。調査するよう上申した方がいいか」

「調査は必要でしょうね。ここの封印も含めて」

「不謹慎だが、誰かが解いたと結果が出た方が世間的にはいいのだろうな」


 一斉に封印が解けるなど悪夢でしかないと顔を青ざめさせた。

 調査は確実に行ってもらうと言ってまとめ役の騎士は兵たちのところへと歩き出す。

 そして足を止めて振り返った。


「ああ、そうだ。装着者に接触は禁止されているが伝言は大丈夫なのだろうか?」

「内容によります」

「感謝していたと伝えてくれ」

「わかりました」


 頷いたまとめ役の騎士は歩き去っていき、ジャスティーもコンテナに入る。

 コンテナの扉を閉めると、蒼太はブルーホープをようやく外してもらえた。


「ようやく解放された」

「お疲れさまでした。水飲みますか?」

「ありがとう」


 クリーネが差し出してきた水筒を受け取り、こくこくと飲んでいく。

 飲み終わった蒼太にから水筒を受け取りつつクリーネは尋ねる。


「予定外の実戦でしたがどうでした? 見たところ問題はなさそうなんですが、見えないところでなにかあったりします?」

「問題? 特にはないかな。やったことは二回の攻撃だけだし。最初は自分の速さに驚いたねー」


 クリーネと蒼太の会話を聞いたジャスティーは、戦いに恐怖を覚えた様子がないようで安心する。


「真っ直ぐだけですが、問題なく動けてましたね」

「今にして思うと走りやすい地面だったから問題なかったんだろうね。雨が降ってぬかるんだ道とか滑りやすくなってる石畳とかでこぼこした道だとこけてたかもしれない」


 話を聞いていた技術官たちは、その言葉になるほどと頷く。スパイクパーツも作っておいた方がいいかもしれないと考えメモに書き込む。

 メモにはほかのアイデアも書き込まれている。たとえば今回のような一回の必殺技で相手が倒れない場合のために、外部パーツで威力の底上げをしたらどうだろうかというものがある。


「あの速度で転んだら大惨事ですね」

「えっらいことになるだろうねぇ」


 蒼太の脳内には、走ってすぐに転んでそのままガシャガシャといわせつつ障害物にぶつかるブルーホープの姿が浮かんで消えた。

 コメディーチックな光景だが、実際に起こると笑いごとではすまないだろう。


「そうならなくてなによりです。あとなにか気づいたことはありますか?」

「んー……ブルーホープのことじゃないけどそれでもいいのかな。一キロ先まではいかないと思うけど、そこそこ離れたところからこっちを見ていた集団があったけど、通行の邪魔になってたのかな?」

「こっちを見ていた集団ですか」

「ゴーレムの注意をひかないようにか、木陰に隠れてたね」


 ジャスティーが方角を聞き、蒼太は正直に答える。


「私はちょっとその人たちのことを調べてくるから、先に帰ってて」

「帰りはどうするのですか?」


 クリーネの質問に、兵たちに同行させてもらうと答えてコンテナから出ていく。


「遠くにいた人たちを探すつもりかな?」

「そうだと思います。ブルーホープはいずれ発表するものとはいえ、今はまだ秘密にするべきものですからね。映像を撮られていたらそれを消すように説得しないといけません」

「ふーん」


 彼らが偶然通りがかった者たちならば、クリーネの言った通りになるだろう。

 しかしジャスティーは封印を解いた者たちではないかと考えて動いていた。偶然通りがった者たちならさっさと逃げてもおかしくはないのだ。

 クリーネもその可能性を少しだけ疑っていた。


「ソウタ様、着替えてくださいな。落ち着かないでしょう?」

「うん、そうする」


 蒼太は更衣室に入り、クリーネは技術官に出発するように頼む。

 指示を受けた技術官はほかの技術官に帰還の連絡をとり、一足先に出発する。

 神殿に到着すると裏手でコンテナから出て、神殿に入る。

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