43話「Me・ティィング」
「ティミミアを、助けて!」
響いた声は、エクセルから発せられていた。
レイジ達が組織から外へと抜け出した瞬間のことだった。
目の前に広がるのは、武器のつもりか木の棒を構えて傷だらけのエクセル。
そしてドラゴンに変形済みのティミミア、だがそのボディは今にも崩れ落ちそうなほどボロボロであった、血も滴り落ちており、想像を絶する猛攻を受けたというのは想像に安易だった。
「な、なんだ……この状況は……!」
レイジは立ち尽くし、今この場所での状況が飲み込めないでいた。
簡単に言えば、ティミミア達は敵に襲撃されたのだ。組織OPTの幹部達であろうが、そいつらは徒党を組んでこの場所にやってきて、冒険者達を抹殺しようと。
「敵の数は6人、オーパーツ使いが6人も徒党を組めば、あのティミミアがボコされるのも無理ねぇな」
ガレンはそう言うと、トシマの頭を前足で殴る。
気を失っていたトシマは突然のことにびっくりして目覚めた。
「おぉ!? な、なんか殴られたっ!」
「寝てんじゃねー、人出が足りねえよこっちは!」
「そうか、ああすればすぐ目覚めるのか」
ガレンとトシマのやりとりを見て感化されたウツリが次にとった行動は言うまでもない。
頑固親父がちゃぶ台を叩きつけるがごとく、握り拳で顔面への一撃を放つのはどうかと思うが。
「いて!!!」
メガネ大破。
心優しいアリシアは次なる犠牲者とならぬよう、スカーレットを思いっきり揺さぶって起こしてあげた。
気絶者復活。ティミミアとエクセルを合わせて12人態勢で敵を迎えうてる!
「悪ぃがこっちには時間はねーし、塊になってる状況じゃねえ! 全員分散して戦うしか! ないぜ!」
ジャントは剣を振りかぶりながら飛び上がり、地面に剣を突き立て叫ぶ。
「茶色の鬼神色!! 大地よ揺るげ!!」
瞬間。爆音と共に大地に無数の亀裂が走り、敵のオーパーツ使い6人は必然的に分散して飛び避けた。
その一瞬を狙い、冒険者も分散し敵に詰め寄り「1人のオーパーツ使いにつき2人で応戦」できる今ある最善の状況に持ち込むことができた!
むっつのたたかい。まきおこる。
レイジとアリシアが対峙する相手は、赤と白の髪にトサカのような髪型が特徴の女。名前は「ポンズ・パクパタニア」
「一挙に分散化させ有利かつ戦況を理解しやすい状況を作り出すとはなかなかやるなー! だが勝てんよ、私には! ハーイ! オーパーツタイプMの前に土下座しな! うっひょおぉ!」
「うるさい系だな」
「レイジ、今度は私も戦う、二人で倒そう!」
「ああ、やるか、アリシアが居れば百人力だ」
トシマとガレンが対立する敵は、青色の西洋騎士風な格好をした青髪の女。名前は『シャユー・イモータル』
手に持つ長いランスを構え、対峙するトシマとガレンを見据え静かに呟く
「組織に逆らう愚かな者ども、しかし愚かな事は力が余ってるからこそできること。私の『I』のオーパーツとどちらが強いか、手合わせ願いたいわ」
「あの女の人の細身の体、身のこなし軽やかそうだな……ガレンと協力しないと螺旋ボールを当てられそうにないぞっ」
「また俺に乗る流れかこりゃ」
「当たり前だろガレン、お前一人で誰か敵一人でも撃退したことがあったか?」
「ウルセェッ!!」
シェーヌとエルスと対峙するのは、黒いロングコートに身を包んだ、黒髪で黒一色の目で黒い棺桶を背負った、それはまあ暗い男。名前は『ヤミア・ルクトシグレ』オーパーツは『N』
「……」
「うわあ、なんか暗いやつね、全く喋らんし」
「キャラが掴めませんね……」
「これ、あれじゃない? 無口キャラってやつ」
「ああそれもありますね」
「……」
「ご趣味は」
「……読書」
ジャントとスカーレットと対峙する相手は、真っ赤な瞳と茶色の肌で腕が巨大で爬虫類のようにウロコが発達して体から生えてるという人間離れした外見の男『ガイルゼ・ミーク・ミャカレド』
「俺が留守としてる間に奇襲とはなぁ!! お前ら全員俺のオーパーツタイプ『B』で潰す! 許さんぞォ!」
「あちゃ、なんか怒ってるぜェ……アイツの肌トカゲ、いやマツボックリみたいで気持ちわりィ
あ、それはそうとスカーレットおまえ腕大丈夫?」
「ええおかげさまで、良く動くわ。どうもありがとう
私はまた生き延びてしまったのね、なかなか終われないものだわ、つくづく」
「へ、お前ひとり勝手に終わらせるかっつぅの
俺たちのずるずる未完大作に巻き込んだるわ」
「ふふ、長い旅になりそうね」
ノドカとウツリが対峙する敵は、哺乳類の骸骨のような被り物をした跳ねまくってる茶髪の女。名は『ロレンバオ』
「ふ、お前らは既にボクの策にハマっている、ボクの知性派オーパーツ『タイプO』の術中にな!」
「知性派オーパーツだと?」
「そうだ、発動したが最後、お前らに勝ち目はないぜ!」
「それは大変だ」
「なぁノドカ、ノドカもオーパーツ持ってたよね、ほら、敵の能力を封……」
「いや止そう、しばらくは喋らせてあげよう。これが慈悲というやつだ」
「……慈悲というよりイジメになると思うよ後で」
ティミミアとエクセルに対する相手は、緑色の髪で、鎧に身を包み細長い剣を持つメロンみたいな女。
名を『アクィマ・アンデスメロン』
「仲間が来て助かったというわけか、ティミミア、かつての我が組織の処刑人、成れの果ては異常性愛者の気狂いの裏切り者め」
「グ……だまれ、雑魚幹部の集まりめ、が」
「ティミミア、無理しないでくれ! わ、わたしも戦おうそうしよう!」
「下がっていろエクセル……この程度の傷、いや、この程度の相手、どうということはないのだ」
「お前のオーパーツは確かドラゴンのDだったな。所詮一生物、世界が無ければ存在すらしない粒よ。私のオーパーツ『タイプU』は世界そのものだ、ティミミア。お前はここで終われ」
割れた地をものともせず、冒険者と組織幹部の仁義なき命のうばいあいが始まった!
「ハッピーマンデー、このポンズが永遠の眠りにつかせてやるわアーッ!!」
「アリシア! お互い距離を取って戦うぞ! まず俺が特攻を仕掛ける、だから援護は任せた!」
「うん分かった!」
アリシアとレイジの分散作戦を見ても慌てることなくポンズは地面から石を拾ってレイジに投げつける!
「なんだこいつの戦い方!?」
地味すぎて慌てる、そりゃそうだ。
レイジは念動力で石を全てはじき、ポンズの眼前に迫る。
「ぬ、速い!」
「お遊びなら夢の中でやれ」
念動力を足に込めポンズの顔面を狙う。第一話以来の蹴り技だ!
「しかしィー! その蹴りは私に届かないッ!」
瞬間。レイジの後頭部にごく小さなものが激突する、バランスを崩しレイジは蹴りの態勢を崩してしまった。
しかし勢いのままポンズに体ごと激突、思わぬ突進攻撃。
「グボァー」
「よし、今だ!」
吹き飛んだポンズに、アリシアはすかさず能力による火球攻撃!
「あぶな! そうはいかんぜ!」
ポンズは体勢を整え地面を蹴り火球をひらりとかわす。
そしてすぐさま地面から土を掴み取りレイジにぶちまける。
「く! 小細工をしているな! 早くオーパーツ能力を見せろ!」
「オーパーツ能力を見せろだとォ〜? もう見せているってーの! これでもくらえや!」
懐から水の入った瓶を取り出し、これまたレイジに投げつける! どうやら脅威となるレイジから潰そうという魂胆のようだ。
「さっきからレイジに投げてばっかり! せこいことなんてやめてよ!」
耐え兼ねたすえの火球攻撃。 レイジもアリシアに便乗してサイコビームを撃ち放つ!
「うわわわ集中砲火きとる! ヒエッー」
一目散に逃げるポンズ、レイジとアリシアは同時に追いかける。
「あいつ、ただ逃げてるとは思えんな、アリシア油断するな!」
「うん! あいつのオーパーツを無力化しなきゃこっちは安心できないもんね!」
すると突如としてポンズは振り向き、小指を突き立て不敵な笑みを浮かべる。
小指をよく見れば真っ赤な機械のような物が装着されている! これがオーパーツタイプM! 小指に付けるオーパーツ。
その、能力はッ!
「Meeting(集合)! 集まれ「私のもの」ッ!!」
「ぅぐッ!?」
レイジの背中に、無数の刃。無数の鋭利が突き刺さる。
なんてことはないガラス片である。 ガラス片が突如として飛んできて、レイジに突き刺さッたのだッ。
「レイジ! 一体どこからガラスが……! そうか、あのとき投げた瓶ね、アレが割れてガラス片になったのね!」
「ヒヒヒそのとおーり! 私は自分の所有物をなんでも私の元に集める事ができる! 「拾った」石も「持っていた」瓶も、全ては私のもの。ゆえにミーティング!」
「ごはっ!」
レイジは足をとられて地面に倒れた。お次は水が足元を通過してやってきたのだ。
「個体でなく液体も、私のものに変わりはなし! アハーハッハッハ!」
「高笑いしてる暇なんてないわよ! くらいなさい!」
アリシアの火球攻撃が無数飛ぶ! ポンズは身軽に飛び回りその攻撃をひらりとかわしてみせる。
「無駄だ私には勝てん! そしてアリシア、次はお前だ喰らえ!」
「うあっ!?」
ミーティング能力により、先ほど投げた土を集合させる! 羽根にまとわりついた土によりアリシアは地面に落ちそうになり、すかさずそこに石の大群がおしよせ攻撃してくる!
「いたたたっ! 痛いっ!」
「どおーだ痛いか!」
「いい加減にしろ」
テレポートでポンズの背後に現れサイコビーム射出準備。レイジをガラス程度でダウンさせられるとは思って欲しくない。
「来ると思っていたよレイジ! ミーティング!」
「なに!?」
予想されていた。その焦りがレイジの表情に現れる、その瞬間。石が飛んできてポンズの顔面にヒット。
その衝撃で吹っ飛びレイジのビームをかわしたのだ。
「なんて避け方だ、こいつ!」
「へへ、私は一つの惑星だ」
「なんか名言っぽく言ったけどカッコ悪いぞお前」
レイジは二撃目のサイコビームを無慈悲にも撃ち放つ。
「ん!?」
だがレイジの体は突如引っ張られバランスを崩しサイコビームは中止された。
「ヒヒ、お前が私にぶつかってきたときに私の財布をお前の服の中にねじ込んでおいたのだよ……だからお前ごと集合させた、そしてトドメを刺そう」
「うぅ!? グッ、背中に痛みが……まさかお前」
「そうさ、さっきのガラス片はお前の体に刺さったまま! より強く集合させることにより! お前の体を突き抜けて私を目指す! ヒハハハ!!」
「そんなことさせないわ!!」
アリシアがすかさず突進する! 土は既に振り払った、アリシアの体にポンズの物は張り付いてはいない!
「妖精が! お前などどうでもいいわ、石を集合させ殴打して殺してくれるっ!」
先ほどから投げた石群を全て集合させアリシアを狙う。
アリシアは火球を絶え間無く発射し続けているが、焦りもあってか地面にぶつかり続け爆発を起こすのみ、早くポンズへの射程距離に届かなくては勝ち目は、ない!
「よし! 当たるコースに来たなアリシアめ! くたばれ!」
全力のミーティング能力。速度の乗った石達がぶつかればひとたまりもない。
ガンッ!
ものすごい音が鳴り響き、1人倒れる者が。
「ば……ばかな、なんで、わたしに……」
ポンズ。彼女自身の顔面に石はぶち当たった。 顔を歪ませながら力なく地面に倒れる。
「私の能力は炎だよ、爆発でおこった炎が蜃気楼をおこして、私の見える位置を、あなたから錯覚させたんじゃないかな?」
「そん、な……ガクッ」
ポンズ・パクパタニア、意識不明によりリタイア。
ポンズ・パクパタニア
能力名『Me・ティィング(みー・てぃぃんぐ)』
自分のものを自分のところへ集合させる能力。オーパーツはM




