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ゼノスフィード・オンライン  作者: 光喜
第2章 ドレスザード神国
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第9話 剣の騎士団

 階段を昇っていると、階上から轟音が響いた。

 地上へ繋がる入口。土くれが飛び込んで来た。

 先行させていたゴーレムの成れの果て。俺の分身だけあって最後まで足掻いていたのか。両手両足を失い丸い土の塊になっていた。全身から煙が上がっており、火魔法で倒されたのだと分かる。エルフと言えば木を焼かないため、火魔法を避けるイメージがあったが、城が土造りだという事もあってか、躊躇なく威力の高い属性魔法を使っている。


「待ち構えているようだな」


 アリシアの言葉に俺は頷く。


「準備に時間かかったし脱獄はバレてるわな」


 犯罪者を選別するのに時間がかかったのだ。「牢屋に就職を希望した理由は?」と面接官の気分だった。


「オウリがバレるようにしたのだろう」

「バレても構わないと思ってただけだぜ。どの道、騒ぎを起こそうと思ってたからな」

「なあ、オウリ。気持ちは分かる。鬱憤が溜まっている。私もだ。だが、時と場所を選べ」

「……おい、優しく諭すな。バカにされるより堪える。違うから。商人を逃がすためだ」

「うん? 商人とは別行動する気か」

「俺としては派手な脱獄を考えてたんだぜ。ヤーズヴァル呼んで城をぶっ飛ばす、とかな。だが、残念ながら地味な脱獄になった。それもこれもゴーレムを商人の護衛に回すためだ。聖戦なんて物騒な言葉を聞いたからな。放っておくワケにもいかなくなった」


 アリシアは顎に手を当てて思案する。


「……師匠とシュシュを残して城を離れるわけにもいかないか」

「二人は心配ないだろ」

「いや、私が心配なのはエルフの方だ」

「……ああ、そっち。確かにな」

「……師匠は……敵対する者に容赦がないからな……エルフが早まらなければいいが……」


 二人でエルフの良識を祈っていると、ドワーフが慌てた様子でいった。


「な、なにを呑気にしておる。ゴーレムが倒されたのだぞ」

「俺からすればなに慌ててるって感じだけどな。魔法の集中砲火を浴びれば壊れるのは当たり前だろ。まさか、俺がゴーレムより弱いと思ってるのか?」


 冗談めかして言えばドワーフは絶句していた。


「……マジかよ」


 俺がボヤくとドワーフが目を逸らす。


「……すまん。だ、だが、仕方があるまい。お前さんの実力は未知数だ」

「……セリアンスロープボコったろ」

「ヤツでも歯が立たなかった牢を破ったのはゴーレムだ」

「それ、作ったのは俺だけど」

「……あんな規格外なゴーレムを見たのは初めてだったからな。だから、お前さんはゴーレムに特化した魔法使いなのかと……」

「……素直に術者も規格外なんだと思っとけよ」


 見とけ、と言い残し、入口に向かう。

 入口からは陽光が差し込んでいた。陽光に目を細めていると、白い光が赤へと変わった。

 視界を炎が埋め尽くしていた。

 大半は《ファイアアロー》だ。

 《ファイアボール》や、《フレイムジャベリン》も混じっている。

 低い階梯の魔法だが、塵も積もれば山となる。

 ゴーレムが倒されたのも納得の斉射だ。

 エルフの練度に感心しながら、詠唱していた魔法を発動させる。


「――恩寵なりし七彩の輝き。魔を退けし、鏡とならん」


 伸ばした腕の先に輝く水鏡が生まれる。《プリズムリフレクション》である。七色に光る水鏡は瞬く間に赤一色に染まる。水鏡が次々に魔法を跳ね返して行く。

 魔法同士が衝突し、炎の花が咲き乱れる。炎のヴェールがエルフの姿を覆い隠す。


「撃て! 撃て! 撃ち続けろ!」


 指揮官らしき男の号令が響く。


「《ファイアアロー》!」

「《ファイアアロー》!」

「《ファイアボール》!」


 へぇ、切り替えが早い。想定していたのか、《プリズムリフレクション》を。それにしても迷いが……ああ、ゴーレムを先行させたから。アレで魔法使いがいるとバレたのか。


 どうやら発動中は身動きの取れない《プリズムリフレクション》の弱点を衝くつもりらしい。魔法を跳ね返すと言っても全ての魔法を跳ね返せるワケではない。跳ね返す事が出来るのは飛来する魔法だけだ。指定した座標に発現する魔法は跳ね返せない。

 低い階梯の魔法で俺を釘付けにし、座標指定の魔法で仕留める気なのだろう。

 と、なると本命は火魔法第五階梯《フレイムピラー》当たりか。

 指定した場所に炎の柱を生み出す魔法である。

 即座に放って来ないのは《詠唱破棄》のスキルレベルが足りないからだろう。

 

「さて、行くか」


 《エアライド》で天井付近まで駆け上がる。

 爆煙を突っ切る。視界が開けた。廊下が直線に伸びている。

 エルフは《ストーンウォール》で築いた土塁の影に身を潜めていた。頭を出さないように気を使っているようだが、頭上からは丸見えなので意味がなかった。

 廊下の反対側に着地する。

 エルフは変わらず入口に魔法を撃ち込んでおり、俺が脱出している事に気付いている様子はなかった。

 上手くいきすぎて拍子抜けし……悪戯心がムクムクと湧き上がって来る。

 にやにやしながら最後尾のエルフに声をかける。


「なにしてるんだ?」

「見ればわかるだろう」


 エルフは入口を凝視したまま、おざなりな返事を返して来た。

 やべぇ。楽しい。


「誰と戦ってるんだ」

「……脱獄犯だ」

「へぇ。堅固な牢屋だって聞いたぜ。それを脱獄するとはね。凄いヤツもいるもんだな」

「……敵を褒めてどうする。おい、いい加減に黙れ」

「カッカするなよ。視野が狭くなるぜ」

「……誰のせいだ」

「俺のせいだって? いやはや、ごもっとも。ただ、認識の齟齬があるな――」

「……黙れッ」

「おいおい、人のアドバイスは聞くもんだぜ。ここからが一番大事なトコなんだからさ。いいか、俺が話しかけたから視野が狭まった。それは間違いだ。最初からなんだよ。でなきゃ、高く飛んだとはいえ見通しのいい廊下でアンタが俺を見落とすはずがない」

「…………え?」


 流石に不穏なモノを感じたか。エルフが振り返ろうとする。が、それより早く静寂が訪れた。魔法の斉射が止んだのである。エルフの視線が再び入口に戻る。

 煙が晴れるとそこには誰もいなかった。

 骨も残さず燃えたか。

 大半のエルフはそう思った事だろう。

 しかし、一人だけ違う反応を見せた。俺が話しかけていたエルフだ。彼はバッと振り返ると、俺の顔を見て身体を強張らせた。


「脱獄犯!」

「おう、メシが出ないから。出て来た」


 エルフと視線が交錯する。瞳に怯えの色が混じっていた。しかし、戦意は失っていなかった。距離を取って魔法を使う気なのだ。だが、彼を守るハズの土塁が退路を断つ。

 《威圧》を発動させ、俺が一歩近づくと、泡を吹いて失神した。

 

「後ろだァァァ! 回り込まれているぞ!」

「一体、どうやって!?」

「詮索は後回しだ! あの男を捕えろ! 殺しても構わん!」


 混乱するエルフの一団目掛け突っ込む。

 矢が飛んで来るが、纏う風が軌道を逸らす。エルフは弓が得意な種族である。いずれ弓を使って来ると思い、《ミサイルガード》を発動させていた。矢は《バーストアロー》だったようで土塁に当たると爆発した。舞い上がる土を《エアハンマー》で吹き飛ばす。土が目に入ってしまったのだろう。目を閉ざしたエルフを殴って気絶させる。

 倒れ込むエルフを掴み上げ、詠唱の聞こえる方へ投げる。

 詠唱が止まった一瞬で俺はエルフの一団の中へ。

 忌々しげな舌打ちが聞こえて来る。魔法を放つチャンスを失ったからだ。

 乱戦では魔法は使えない。

 味方を巻き込んでしまうからである。

 だが、孤立無援の俺は……魔法を使いたい放題だ。

 どこを向いてもエルフがいるのだ。狙いを付ける事もなく、無詠唱で《ファイアアロー》をバラ撒く。エルフが手をこまねいている間に怪我人が量産される。


「うろたえるな、バカモノォ!」


 落雷のような一喝だった。

 瓦解しかかっていた士気が持ち直していた。声の主への信頼が窺える。

 味方をかき分けて現れたのは厳めしい顔付きのエルフだった。四十代に見える容姿だが……エルフの外見年齢はアテにならない。恐らく入口付近で指揮を執っていたため、ここまで来るのに時間がかかったのだろう。


「我らは誉ある剣の騎士団ぞ! 罪人に怯むとは恥を知れ!」


 エルフは種族柄、《腕力》は伸び辛い。

 しかし、その男は大剣を掲げて部下を鼓舞している。勿論、レベルが上がればエルフだって大剣を振り回す事は可能だ。しかし、エルフの高い《技量》を活かそうと思えば、《技量》への補正が大きい剣か刀を使うのが普通である。なんか、脳筋っぽい。

 しかし、剣の騎士団か。

 杖の騎士団じゃなかったんだな。ま、近衛が何度も王の傍を離れないか。

 神国には三つの騎士団がある。

 治安維持を担当する剣の騎士団。

 魔物退治を担当する弓の騎士団。

 王の警護を担当する杖の騎士団。

 

「ワシの名はルート。剣の騎士団団長だ。貴様の名は?」

「オウ――」

「むっ? いや、いうな! 耳が汚れてしまう。死にゆく者の名など。貴様、ハイヒューマンか?」

「ハイヒューマンだったらどうし――」

「ああ、いい、いい。聞くまでもなかったわ! ヒューマンであっても構わん。ワシが求めているのは強者よ!」

「訊ねておいて無視たァ――」

「者共ォォ! 丁度いい前哨戦だと思え! 一人のハイヒューマンに勝てずして、聖戦に勝利することなど叶わん!」

「…………」


 こめかみがピクピクする。

 ……なあ、ルートだっけ。俺もな、やるぜ。口八丁で人を怒らせるコト。人は怒ると動きが単調になる。それが付け入る隙になるから。ただ、これって諸刃の剣なんだよ。


「魔法剣士! 魔闘士! ワシに続け!」


 うおおお、とエルフが歓声を上げる。

 ……ああ、もう、限界。なんだ、この茶番は。付き合ってられねぇ。


「人の話を――」

 

 《瞬動》でルートの懐に入る。

 ポカンとルートが口を開けていた。

 隙だらけのルートに《崩拳》を放つ。


「――聞けよ!」


 ルートの長身がくの字に折れた。手から大剣がこぼれおちる。丁度いい位置に来たムカつくツラを《虎影脚》で蹴り上げる。天井にルートが叩きつけられる。パラパラと土が落ちて来る。一拍遅れてルートも落下を始める。天井にはルートの型が出来ていた。


「口は災いの元だな、ルート!」


 全力で《チャクラ》を練り、ルートの大剣を投げる。


 ――ドン!


 凄まじい衝撃が廊下を走り抜ける。それは俺の怒りそのものと言えた。


「…………」

「…………」

「…………」


 エルフは声を失い、天井を見上げていた。彼らの視線の先にはルートがいた。天井に張り付けにされ、白目を剥くルートが。蹴り上げた際に回転したのだろう。マントがルートの身体に巻き付いている。その上から大剣が突き刺さっていた。

 ポタリ、と大剣を伝って血が垂れて来た。

 それが契機になったか。

 我に返ったエルフが口々に騒ぎ出す。


「よくも団長を!」

「団長の仇を取れ!」

「ハイヒューマンを許すな!」

「聖戦だ!」

「そうだ、聖戦だ!」


 鎧袖一触で団長がやられたというのに意気軒昂だ。

 草葉の陰から彼らの姿を見ていれば、散っていったルートも満足する事だろう。

 まあ、死んでないんだが。

 一見大剣で串刺しにされているようだが……大剣が貫いているのはマントだけでルートは無事だ。マントで分かり辛いが……少な過ぎる出血で気付け。

 

「派手にやったな、オウリ」


 背後から声がかけられた。呆れ顔のアリシアがいた。

 俺は肩を竦めて言う。


「カッとしてやった。後悔はしていない」

「師匠達を探しに行くか?」

「騒ぎを聞き付けて向こうからきそうだけどな」

「それもそうだな。ここで暴れているか」


 習得したクラス外スキルを試したいのか。アリシアが好戦的な笑みを浮かべる。

 

「王に会いに行く」

「ふむ、頭を潰す気か」

「潰さねぇよ。ビビるわ。物騒な発想。頼むだけだ」

「力ずくで、だろう? しかし、頼む? 何をだ?」

「それは――っとォ」


 《制空圏》が迫るエルフを感知。俺の背後から剣で斬り下ろし。両手を頭上に掲げると、エルフの腕が収まった。驚いた顔が見れないのは残念だな、と思いながら《呼応投げ》で投げ飛ばす。ついでに《エアハンマー》で勢いをつける。アリシアの背後に迫っていたエルフを巻き込んで吹っ飛んで行く。


「余計なお節介を」


 敵に気付いていたのだろう。アリシアは仏頂面で短刀を弄ぶ。


「そんなにアーツを試したいか? なら、ここは任せてもいいか?」

「任せておけ」


 嬉々として短剣を撫でるアリシアにそこはかとない不安を覚える。

 セティのやり過ぎを心配するのと同じ類の不安で……やはり師弟だな、と思った。アリシアに言えば師匠と一緒にするな、と怒りそうだが……ルートの惨状を見たアリシアの目は「やはり兄妹だな」と言っていたのでお相子だ。

 エルフの冥福を祈りつつ、地下牢の入口に向かう。

 アリシアは暗殺者のアーツを試す気だ。

 《毒牙》、《病牙》、《痺牙》と苦しむアーツが揃っている。

 

 地下牢の入口からは続々と商人が脱出を果たしていた。

 商人を捕らえようとするエルフもいたが、ゴーレムによって返り討ちにあっていた。

 ゴーレムの思考はお世辞にも賢いとは言えない。先を読んで行動出来ないため、どうしても場当たり的な対処になる。しかし、剣の騎士団の下っ端相手なら、ステータスに物を言わせた戦い方で十分のようだった。

 

「とう」


 と、俺は軽く踏み切ると、ゴーレムと向かい合う、エルフの背に蹴りをかます。エルフは勢い良く壁に衝突すると、顔面を壁に擦りつけながら崩れ落ちた。ゴーレムに任せていても問題なかったのだが、余りにも背後の警戒が温かったので、つい。


「よう、脱獄おめでとう」


 顔馴染みになったドワーフに手を挙げる。ドワーフは引き攣った笑みを浮かべていた。


「……ハハハ、自分の目が信じられん。お前さんが言っていた……自分が魔法使いである事を忘れる。なにかの冗談かと思っていたが……まさか文字通りの意味とはなあ。魔法使いは蹴りで敵を倒したりはしないぞ。友人に話しても……信じてくれんだろうな。お前さんは何もかもが規格外過ぎる」

「恐ろしくなったか」

「フン。お前さんは恩人だ。それは変わらんよ」

「そうか、ありがとよ。全員脱出したか?」


 言いながら八咫姫を抜刀。エルフが斬りかかって来た。《一の太刀》でエルフの剣を一刀両断。八咫姫を使うまでもないのだが、先ほどからご立腹の様子で仕方なく。柄しか無くなった剣にエルフが呆然としている。戦いに巻き込まれては可哀想なので、《エアハンマー》で端に寄せておく。


「悪い、悪い。んで、脱出……どうした?」


 少し目を離した間にドワーフが虚ろな目になっていた。


「……ワシもまだまだだな。お前さんが斬った剣は……ワシが鍛えたものだ」


 考えてみれば当たり前の話だった。商人は武具の納品に来て捕まったのだ。騎士団が使用している武具は納品された物のはず。俺も一応、鍛冶師の端くれである。自分の作った武具が粗雑に扱われたら怒りを覚える。だから、ごめんな、と謝ると、逆に睨まれた。

 ドワーフが言う。

 

「脱出は済んだ。ゴーレムが一体、牢屋に残っていたが?」

「ああ、あれ。見張り。騎士団が混乱するのは目に見えてたから。騎士団が落ち着くまで犯罪者を逃がさないよう命令してある」

「盗人猛々しいとはこの事か。混乱させたのはお前さんだろう」

「だから、せめてものお詫びだろ。ゴーレムはアンタの命令に従う。そういう命令を出しておいた。アンタも知ってるだろうが、ゴーレムには持続時間がある。寄り道しないで神都から脱出してくれ。俺達が暴れてるし、追手は少ないと思う。だが、全くいないってワケでもないだろうし」

「お前さんは? どうするんだ?」

「あー、戦争を止める……つもりだったんだけどな」


 神国が起こそうとしている戦争がChapter29《因果応報の聖戦》なのかは分からない。しかし、可能性は低くないと思う。ジャーナルの通りに歴史が進んでは、神の掌の上で踊っているようで不愉快だ。それだけでも戦争を止める理由になり得るが、俺が因果応報の聖戦を防ごうとしているのは、もっと私的な理由からである。

 因果応報の聖戦のボスは魔王トリス・スクラント。

 シュシュの弟らしい。

 友人の弟を魔族にしたくはない。

 

「戦争を止めるか。容易くないぞ。力では解決出来ん」


 ドワーフが渋い顔で言う。エルフの気持ちが分かるからだろう。


「分かってるさ。だから、王様にケンカ売ることにした」

「……は? 王に? 喧嘩を? 話がさっぱり……と、のんびり話をしている場合でも無いな」

「俺は別に構わないが」

「ワシらが構う。胃に穴が開くわ」


 こうして話している間もエルフが襲いかかって来ていた。散発的な攻撃なのであしらいながらでも会話出来るのだが、見ているドワーフは気が気でないらしい。

 

「じゃあ、達者でな」

「お前さんもな」


 ドワーフに手を振り、アリシアの元へ走る。

 制圧するだけなら《威圧》を使えばよかった。しかし、俺は意図的にエルフに実力の差を見せ付けた。ハイヒューマンの恐ろしさを思い出して貰うためだ。

 だが、剣の騎士団の心は折れず、王国への根深い怨みを見せ付けられた。

 最初は王を脅して戦争を撤回させようと考えていた。しかし、騎士団の奮闘を見て考えを改めた。王の一存で国の趨勢を決められる段階は過ぎていた。王に不戦を誓わせたとしても、聖戦がクーデターに変わるだけだ。そして、新たな王が聖戦を宣言する。

 最早、戦争は止められない。

 だから、発想の転回だ。


 戦争が止められないのなら――俺が戦争を始めてしまえばいい。

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