第12話 黒衣の死神
――― ゴート ―――
――計画は狂いっぱなしだった。
討伐隊の話を聞いた時、チャンスが来たと思った。
キャンキャンうるさい《極北の風》が参加するというからだ。ハイヒューマンと対等なツラをして、ルールは守れだの、仲間を大切にしろだの、イチイチ口出しして来る。
ヒューマンの分際で。
難しい依頼は《極北の風》に持ち込まれるのも腹が立つ。
実力は《大鷲の斧》の方が上なのだ。
俺は自分の実力に見合った依頼を選ぶ。当然、ついてこれないやつは死んだ。
依頼をえり好みする《極北の風》とは鍛え方が違う。
何度も《極北の風》を殺してやろうと思った。
だが、単に殺しては俺がお尋ね者になる。
ヒューマンの為に将来を棒に振るのは業腹だ。
そんなところへ降って湧いた今回の話。
《極北の風》を片付けても、災厄の魔女のせいに出来る。
稀少なAランクパーティーが減れば、冒険者ギルドは俺に頼らざるを得なくなる。他にもAランクパーティーはいるが、討伐隊の話をいち早く聞きつけ、町から逃げ出した腰ぬけだ。《極北の風》がいなくなれば、俺に尻尾を振って来ることだろう。
俺なしではサラスナは成り立たなくなる。
後はオルグレン子爵か。
一度話した事があるが馬が合った。きっと俺に力を貸してくれるだろう。
手始めにサラスナを支配し、ゆくゆくは貴族となるのだ。
冒険者をやっていれば貴族の横暴を受ける事がある。
ヒューマンは単純に憤るが、それは僻みだと俺は思う。優秀な種族が下等な種族を支配するのは当然の事だ。貴族はただ権利を振りかざしているに過ぎない。
だが、貴族の資格が種族で決まるというのならば。
俺だってハイヒューマンだ。
資格はある。あるのだ。
だが、アリシアの参加で計画が狂った。最初は年端のいかない小娘だと思った。しかし、戦闘を見て考えを改めた。不意を打っても俺達では殺す事が出来ない。
更にオウリだ。
あのクソ生意気なガキ。
認めたかねぇが……尋常じゃなく強い。
あの野郎がいたせいで俺は……大人しくしているしかなかった。
――計画は狂いっぱなしだった。
だが、ようやく修正出来た。
魔物が現れると亜人のガキが言いだし、それを信じたオウリが出て行った。
放っておけないと、アリシアまで追って行った。
都合の良すぎる展開に笑いを堪えるのが大変だった。
アリシアは全員起こせ、と言い残していた。
異常事態が起きれば全員で備えるのが冒険者の鉄則だ。
だから、起こしてやったさ。
救済の剣で、な。
オウリは俺の斧を安物だと言っていた。あの時はバカにしやがってと憤ったが、悔しいがオウリの言うとおりだった。救済の剣は惚れ惚れするほどによく斬れた。
「……ゴート。バカだと思ってたが……てめぇは大バカだ…………アリシアが……戻ってくりゃあ……お前は……終わりだ……」
《極北の風》のリーダー、アレスは虫の息だった。
欝憤晴らしと、試し切りを兼ねて、散々嬲ってやったからだ。
瀕死の仲間に目をやり、アレスは顔を歪めていた。
寝込みを襲われては《極北の風》も大した抵抗は出来なかった。
先に《極北の風》を襲ったので、《千の道》から反撃を受けたが、所詮はBランクパーティーだ。一人一人黙らせていった。正直、《千の道》は案外使える。ここ数日でそう思った。だが、《千の道》が機能するのは、パーティーとして行動した時だけだ。
「兄貴ィ。コイツ、生意気なんスけど。殺っちまっていいですか」
《極北の風》の剣士を引きずり、手下がやって来た。
「おうおう、このバカ野郎が。言っただろうが。殺すんじゃねぇぞって。盾になって貰うんだからよォ」
「盾ですか?」
「そのうちアリシア達が戻って来る。こいつらを人質に取ってやるのよ。お人好しは何も出来なくなるだろうよ。後は隷属の首輪ハメちまえばこっちのもんだ」
「おおお! 兄貴、頭いいっスね!」
「くくく、貴族っぽいだろ。ははっ、いけねぇな。浮かれすぎか」
「でも、兄貴。魔法使いは殺しといた方がよかないスか」
「ああ?」
「ひっ。あ、兄貴に逆らう気はないスよ。ただ……その……ほら、魔法使いは猿ぐつわしても……む、無詠唱出来るかも……いや、なんでもないス」
「バカ野郎!!!」
一喝すると手下がひぃ、と縮み上がる。
ニカッと笑ってやる。更に怯えられた。後でぶっ飛ばす。
「言ってるこたァ間違っちゃねぇよ。俺達が知らないだけで出来るかもな」
一番いいのは全員に隷属の首輪をはめる事だろう。
だが、アリシアとオウリの参加は急だった。
準備できた隷属の首輪は丁度二つしかない。
殺すか。
人質は一人いりゃいい。
ん?
「おい、そいつら隠しとけ。誰か戻って来た。俺が様子を見て来る」
暫く進むと小さな人影が見えた。
亜人のガキだ……シュシュと言ったか。何故か一人で戻って来た。
「ガキ、保護者はどうした」
「後から来る。妾は少し肩慣らしを。レベルが上がったのでな」
そうか、好都合だ。
思わず舌舐めずりしてしまう。最高の人質が手に入った。
シュシュの首に剣を突き付ける。愛らしい顔が驚愕で歪む。だが、脅えるでもなく、侮蔑の眼差しを向けてくる。シュシュの胸に手を伸ばすが、パシンと手で叩かれた。
「何のつもりだ、下郎」
「この剣が目にはいらねぇか」
「オウリがなぜ妾を一人で戻したか分からんのか? 妾が自分で対処出来ると考えたからよ。最もオウリもこんな状況は想像していなかったに違いないが。頭が下半身にあってはこんな事も理解出来ぬか」
シュシュがあざける。頭にカッと血が昇る。
チッ。これだからガキは。状況が分かってねぇ。少し痛めつけてやるか。
が、剣は弾かれた。
……なんだあ、こりゃあ。
黒い幕が出来ていたのだ。シュシュの足元から伸びていた。
「この剣が目にはいらねぇか――だったか。お主の目には入っておるのか」
「な、なんだァ!?」
無数の剣が浮かんでいた。視界を埋め尽くすが如く。剣から黒い線が伸びていて、シュシュの影に繋がっていた。何故か折れてはいるが、全て救済の剣だった。
「《万剣の奏者》――行け」
シュシュを突き飛ばすのと同時だった。剣が次々に俺に向かって放たれた。
「ウォォォ!」
弾く。ただただ弾く!
なにが一体どうなってやがる! ただのガキじゃなかったのか!?
チィ。避けきれねぇ。歯を食いしばり鎧で受け――
「…………」
知らぬまに土を噛んでいた。一瞬、気を失っていたらしい。
……くそったれ。なんてぇダメージだ。
と、目の前の土が爆発した。剣が地面にめり込んでいた。
「この距離で外すか。久しぶりで鈍っておるな」
シュシュが悠然と歩いて来る。
浮かんでいた剣は半分程無くなっていた。
このまま耐えきれば……と希望を抱いた瞬間だ。
シュシュの影から吐き出すように剣が出て来た。
……ふざけてんじゃねぇぞ! さっきより多いじゃねぇか!
「貴様は嬲って殺す。まずは口を削ぐ。興醒めだからのう。命乞いされては。次は足を折る。逃げださぬように。腕は……おう、しまった。この手順は駄目だ。貴様の悲鳴が聞けん。いや、治せばいいだけか。治して、壊して、治して、壊して。くくく、血を見せよ! 悲鳴を上げよ! 絶望に沈め! 屍を晒せ! うん? 妾は何を……言って……」
シュシュの様子がおかしい。
狂ったかのように笑ったかと思えば、顔を手で覆って耐える様にしている。
指の隙間から目が見えた。狂気と正気を行き来していた。黒い瞳が赤へ、赤から黒へ。
…………なんだか分からねぇが、コレはヤバい。
シュシュは焦点の定まらない目で虚空を睨んでいた。
「……魔族化の兆候だと。馬鹿な。この程度で。あり得ん。レベルアップか? 活性化させた? 急速な成長が? 《穢れ》を? ああああああああああああああああああああァ! ノェンデッドォォォ! 二度と、二度と貴様の人形にはならん!」
シュシュが拳を振るう。大木が冗談のように抉れた。
「……疾く消えよ」
シュシュが俺を指さしていた。その瞳は赤で……死んだと思った。
が、剣が放たれる瞬間、シュシュの瞳が黒く戻った。正気の瞳だ。
「…………ハッ、ハッ、ハァ……い、生きてる?」
理由は分からないが、手加減されたらしい。
シュシュの姿は見えない。かなり吹き飛ばされた。
吹き飛ばされる最中、シュシュが倒れるのが見えた。
だが、戻ってどうこうする気は起きなかった。
野営地に戻ると俺の様子を見て手下が泡を食う。
「あ、兄貴? どうしたんでさぁ」
「知るか! 俺が聞きてぇ!」
髪を乱暴にかきむしる。
手を振って手下を下がらせる。
赤い瞳は魔族の証。
国を持たない唯一の種族。
昔はあったらしいが、プレイヤーによって滅ぼされた。
以来、魔族は人に紛れて潜伏している。騎士団はよく魔族狩りを行っている。一見、普通のヒューマンに見えても、追い詰めると魔族は正体を現し、襲いかかって来るのだという。瞳を赤く変じさせた魔族は、ハイヒューマンに匹敵するらしい。
魔族はエルフにも潜伏しているのか?
だが、魔族がエルフを演じていたというより……エルフが魔族になったように見えた。
……ありゃあ、一体、なんだって……
「おい、お前、シュシュに何をした」
予想外の出来事が起きて、考え込んでいたらしい。
オウリが戻って来ていた。アリシアもいる。シュシュは……気絶していた。アリシアが抱えていた。
「見て分からねぇのか。何かされたのは俺の方だ。そのガキは魔族だったんだよ!」
アリシアが溜息をつく。
「……最低な言い訳だな、ゴート。大方、シュシュに襲いかかり、返り討ちにあったのだろう。シュシュをもう無力な亜人と侮らぬ事だ」
「おーおー、無力じゃないだろうよ! 俺を殺そうとすんだからな!」
「見苦しいぞ、ゴート。それ以上いうなら――」
「いや、そう言う事もあるかもな。だって、シュシュは元魔王だし」
オウリが言った。当たり前の事のように。
これには俺もアリシアも呆気に取られた。
魔族を率いる魔の王。神々がハイヒューマンを召喚する切っ掛けとなった。その後、二度、魔王は現れている。神罰騎士団に打倒されたが、被害は甚大だったという。
……その魔王が……シュシュ?
「冗談、冗談。信じた?」
オウリは薄笑いを浮かべている。思わず逆上しそうになるが、何かが引っ掛かり怒りが冷めた。何だと思えばオウリの目だった。オウリの目は冷徹に周囲を観察している。
チッ。軽薄な物言いは注意を引くためか。戦闘中、ヤケに毒舌になるのもそうか。
オウリは口も武器なのだ。耳を貸してはいけない。
怒りで我を失えばそこを衝かれる。
「血の、匂いがするな」
オウリが言った。
自身も血塗れだと言うのによく気付いたものだ。いや、そこここに戦闘の痕跡が残っている。そこから推測したのだろう。
バレたのなら隠しておく必要もない。
「おい! てめぇら、出て来い!」
俺の号令で手下が人質を連れて出て来た。
人質は全員魔法使いだった。何故、魔法使いが生きているのか。激昂しかかるが殺すと考えただけで、命令を下したワケではなかった事を思い出す。
「ゴート……お前……」
アリシアが剣の柄に手をかけた。
俺は余裕をもって言ってやる。
「抵抗するならしろ。ただし、人質は死ぬぜ。お前のせいで、な」
「…………くっ」
アリシアが悔しげに唇をかむ。
予想通り、俺の一言は騎士崩れの小娘には効いた。
これでアリシアは封じられた。問題はオウリだ。何故か大人しくしているが、正直、今にも襲い掛かってきそうで気が気ではない。
「お前らにゃこれをはめる」
隷属の首輪を見せる。アリシアが息を飲んだ。オウリは……無表情だった。
「まずはオウリ、てめぇからだ」
「おいおい、俺は正義の味方じゃないんだぜ? そこの女騎士様は別の意見を持っているみたいだけどな、出会って数日の連中の為に命を捨てろって言われてもね。大体、ここで俺達が抵抗しなけりゃ後はじり貧なのは目に見えてる。よって、お前の要求を飲むのは論外だ……といいたいトコだが。責任の一端は俺にあるみたいだしな」
チラリとオウリが救済の剣を見た。
ははあ。コイツ、救済の剣を手にした事で俺がこの行動に出たと思っているのか? 見当違いだ。だが、敢えて誤解を解く真似はしない。オウリに首輪をはめたら教えてやろう。
「ほら、首輪寄こせ。はめてやっから」
いつもの調子でオウリが言った。
その余裕が俺に疑念を抱かせる。
「てめぇ、知ってやがるな」
「何を」
「自分で首輪をはめただけじゃ、効果が発揮されねぇことを」
「へぇ」
「それと自分にゃ首輪がはまらねぇって事を」
「ああ、それはなんとなく」
一般に出回る隷属の首輪では高レベルの相手に使えない。
外す事が出来るのだ。
だが、ある条件下では嵌める事が出来る。気絶した相手であればレベルは関係ないのだ。
「…………」
オウリは黙って俺を見ていた。恐怖が感じられず、いぶかしむ。
「……ダメ……だ! 逃げて……くれ!」
一人の魔法使いが叫ぶ。
手下が痛めつけるが、魔法使いは口を閉じない。
すると他の魔法使いも口々に逃げろと言いだした。
魔法使いの発言は単純にオウリの身を案じての事だ。
だが、マズい。一番厄介なのはここで引かれる事だ。
始終、オウリ達を警戒しながら進める程この森は甘くない。しかも、俺達は人質というお荷物を抱えながらだ。最悪、人質を殺して逃げ出すしかない。
オウリは照れくさそうに笑っていった。
「……心配させたか。いや、ね。少なからず責任を感じており……ケジメで一発食らうかな、と思った次第で……まァ、そうだよな。俺の自己満足に付き合わせるのも悪い。アンタらはシュシュを人として扱ってくれた。俺の妹もエルフでね。アンタらみたいな人に生き残って貰った方がありがたい。だから、これからのは俺の自己満足で……ああっ、面倒くせぇ。黙って救われとけ」
オウリが手を振る。
すると、
「ぎゃあああああ!」
「痛てぇーーーーーーーーー!」
「あああああああああ!」
「腕っ、腕がァァァァ!」
手下が腕を押えて蹲っていた。手首から大量の血が流れていた。鋭利な刃物で切られたような傷だった。だが、オウリは何も投擲していないはずだった。
……なんだ? 何が起きた?
予想外の事態に頭が回らない。
「…………何をした、オウリ」
「おいおい、なんでお前まで驚いてるんだよ、アリシア。ブレイザールの風を無力化してたんだぜ。これぐらい出来て当然だって言ってくれないとな」
……ブレイザール? 暴風竜?
ワケが分からなかった。悪い夢を見てるかのよう。
オウリは俺に向きなおると両手を広げた。道化めいた仕草なのに目が笑っていない。
「俺のクラス、教えて無かったよな。教えてやる」
オウリの顔が赤く照らされた。
光源がオウリの前に生まれていた。
赤い赤い、炎の槍。
「魔法使いだ」
手下の胸に炎の槍が突き刺さる。
悲鳴が上がる。直ぐに途絶えた。絶命したのだ。
「得意なのは風で後は大したことない。だが、風は目に見えないからな。だから、こうして《フレイムジャベリン》を使ってる。悪人だってなぜ自分が死ぬのか知りたいだろ」
嘘だ。
恐怖させる為だ。
大した事が無いと言いながら、その威力は魔法使い達の比ではない。魔法使い達は目を丸くして自分達の《フレイムジャベリン》より一回り大きい炎の槍を見ていた。
手下は不自然な程に炎の槍を避けなかった。
俺の手下に限って身体が竦んだ事はあり得ない。
風だ。
風で手下の身動きを封じているのだ。
そこで遅まきながら気付く。
人質?
ははは。
そんなものは最初からこの男には意味が無かったのだ。
解放しようと思えばいつでも出来た。静かにしていたのはケジメだったから。ケジメが何を意味するのか分からないが……俺はオウリの掌で踊っていただけ。
《威圧》されたワケでもない。
だが、俺は《委縮》していた。
「おい、仲間は全員あの世に行ったぞ。後を追わせてやる。来い」
「うおおおおおおおおおおおおお!」
破れかぶれで斬りかかる。
何故か、オウリは避ける素振りを見せない。
行ける!
オウリの顔面に救済の剣を叩き込む。剣の切れ味はアレスで実感している。
これならオウリといえど、ただでは済まないだろうと――
「ふん。やっぱな。お前、無抵抗の相手、斬ったろ」
呆れたような声が聞こえた。救済の剣が粉々に砕けていた。耐久度がゼロになったのだ。
オウリも無傷ではない。額から血を流していた。だが、それだけ。
「お前にはこの剣は扱えない」
オウリが無造作に俺を蹴る。避けられなかった。いや、考えつかなかった。
その死神の手からは決して逃れられないのだから。
「…………黒衣の死神」
頭が真っ白になった俺は思わずその名を呟いていた。
「よくよくその名を聞く日だな。この分だと山程いるな、黒衣の死神」
オウリが苦い顔で言った。
黒い刀を持ち黒い外套を着る猛者は黒衣の死神と称される事が多い。彼らが自称するのではなく、周りから自然とそう呼ばれるのだ。世界最悪の異名が冠されるだけあって彼らは強い。だから、本物も偽物もない。そう思っていた。だが、浅墓な考えだった。
偽物だ。
彼らは。
本物は。
いた。
いる。
ここに。
「お前は一思いにゃ殺さねぇ。その歪んだ性根、叩いて直して来世に送ってやる」
俺の身体が浮く。風の魔法だろう。《エアハンマー》か。風が俺を滅多打ちにする。激痛は最初だけだった。すぐに何も感じ無くなった。地面が近付いて来ると、一際強力な風で再び打ち上げられる。視界がぐるぐると回転する。木が見えた。空が見えた。アレスが見えた。俺に歯向う生意気な男。誰かが回復したのだろう。二本の足で立っている。痛みを堪える様な顔だった。自分を殺そうとした男の末路だ。笑って見ていればいい物を。《生命力》と共に何かが流れ出して行く。恐らくは野心とかそう呼ばれるモノ。
オウリが見えた。
つまらなそうな顔をしていた。
それが俺の最後の記憶だった。