哲学的な彼女はデレるのか?
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高校2年の夏。
俺、高村誠は不意に思った。
(クーデレとかいいよな……)
なぜそんなことを思ったのかは正直わからなかった。
そもそもそんな人が存在するのかもわからなかった。
アニメなどでは見かけるが現実でそんな人を見かけたことはない。
しかし電子辞書でしらべてみると『人前ではクールなのだが2人になるとデレっとすること。現在希少種』。
そう書かれていた。
現在希少種。
それだけでいるということが証明された。
だったら探そう。
そして付き合ってもらおう。
彼女いない歴=年齢の俺がそんな子に付き合ってもらえる確立なんて1パーセントにも満たなかったのになんで行動したのかわからなかった。
でもこのときたしかに歯車は動き出していたのかもしれない。
俺が彼女に出会ったのは決心した日から1週間後。
まずはここの学校の生徒から探そうと思った俺は校内を歩き回っていた。
友達に聞いてもバカにされるだけだったので自分で探しているのだ。
歩き回って何日も経った。
「はぁ……やっぱりクーデレなんてこの学校にいないのかね……」
俺は肩を落として下を向いて歩いていた。
だから気がつかなかった。
曲がり角から人が出てくることに。
「きゃっ」
「おっと」
誰かがぶつかったようだった。
俺はぶつかってきた人が倒れそうだったのでとっさに支えた。
俺が支えた子は小柄な女の子だった。
「ご……ごめんなさい」
「こちらこそごめん。俺が余所見なんかしなければよかったんだから」
「あなたも余所見してたの……?」
「え?」
「2人が余所見をして廊下の角でぶつかる確立は……そしてそれが同じ学校の生徒である確立は……そしてそれが男女である確立は……」
な……なんなんだこの子……
いきなり語りだしたぞ……
「あなたは……」
「ん?」
「あなたは運命って信じますか?」
「運命……?」
「そう運命。今この廊下であなたと私がぶつかったのは偶然かもしれない。でもそれが運命だったら?」
「もともとぶつかることが決まっていたってこと?」
「うん」
「もしそうだったらおもしろいかな……」
「ほんと!?」
彼女は目を輝かせる。
どうしてこんなにうれしそうなのだろう……?
「初めておもしろいって言ってもらえた……」
「ん?」
「また会いましょうね。先輩」
「へ?」
これが俺と彼女の出会いだった。
次に彼女に会ったのはぶつかった次の日だった。
俺が「今日は早く起きたから早く家を出てみよう」。
そう思って家を早く出たら彼女に会ったのだ。
「先輩おはようございます」
「昨日の……えーっと……?」
「鈴木佳奈です。先輩は?」
「俺は高村誠。どうして俺が先輩だってわかったの?」
「単なる確率論です。って言いたいんですけどクラス証の色が2年生の色だったので」
「じゃあ鈴木……さんは1年生なの?」
「佳奈で大丈夫ですよ先輩」
「……佳奈は1年生なの?」
「はい。先輩はいつもこの時間に出てるんですか?」
「いや、今日は早く起きちゃって早めに学校に行ってみようかな~って思って」
「ぶつかった次の日に登校中その人に会う確立は……」
スイッチ入るとこうなるんだな~。などと俺は思いつつ彼女を見た。
何かを考えている彼女の姿はかっこよかった。
小柄な彼女には似つかないような真剣な顔。
これが俗に言う『クール』というやつなのではないのか……?
「これも運命です」
彼女はうれしそうにしながら言ってきた。
その彼女の顔はさっきまで考え事をしていたものとはまったくちがかった。
この顔で『デレ』られたら……
しかし『クーデレ』の条件は普段周りにはクールで2人っきりのときにデレるというものだ。
まだ彼女がクーデレと決まったわけではない。
学校で彼女を見かけると彼女はいつも難しそうな顔をしていた。
いつも俺にむけている顔とは違う。
これも運命なのだろうか……?
彼女の口癖がうつっちゃったかな。
佳奈とは毎日一緒に登校した。
そうしているうちに俺は佳奈のことが好きになっていた。
ある日の朝。俺は佳奈に告白することを決心した。
ちゃんと前日に考えたセリフがある。
それを今日。朝登校するときに言うことを決めた。
「佳奈。運命ってやっぱり神様が決めるのかね?」
俺は平然を装いながら言う。
「何言ってるんですか先輩。運命っていうのは人と人とのつながりからできているんですよ。人が何気なくした行動が世界を変えるんです。そしてそういうのが重なって偶然となり運命となるんです」
「じゃあ……俺が佳奈と出会えたのは誰かが何気なくした行動のおかげってこと?」
「そうなります」
「じゃ……じゃあさ俺が今から佳奈に告白するのも人が何気なくした行動のせい?」
「え?」
「俺は佳奈が好きだ。付き合ってください」
俺は頭を下げる。
ここまで完璧な告白をするなんて……
今の俺キマった。
……………
あれ?
なんでなにも言ってくれないの?
俺がそっと顔を上げると彼女はスイッチが入っていた。
「えっと……先輩が私に告白する確立があって……あわわわわ……」
彼女は顔を真っ赤にしながら混乱していた。
「えっと……佳奈?」
「ふ……不束なものですが……」
俺は彼女と付き合うことになった。
彼女は『クーデレ』ではないがそんなのはどうでもいい。
俺はいまこうなる運命をつくってくれた人に感謝したいと思っていた。