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宙魔戦記  作者: いかのてんぷら
第二章 深く
27/68

憤怒

立ち昇る火柱、火の渦に飲み込まれていく民家、カナタは走る。とにかく走る 


「た……たすけて」 


焼け落ちた民家の下敷きになった民間人がカナタに助けを求める。すぐさま瓦礫を退け、安否を確認しようとするがもう息は無かった 


それでも…この人は助けを求めた……


次々と魔物が集まりだす 

 

「お前らは…お前らは……どうして平和を……平気で踏み躙れるんだ……!!」 


カナタは牛の魔物の頭を掴み捩じ切る。取れた牛の頭を投げつけ猿の魔物を潰す。後ろから襲ってきたイノシシの魔物を地面から生やした氷の棘で貫く。淡々と処理するカナタの瞳には優しさや躊躇いなどは無くなっていた   

 

「あ…あぁぁぁッ!!」 


鳥の魔物は足で民間人の胸を貫き、まるで盾の様に構えながら滑空しながら襲いかかってきた   


コイツらは人の神経を逆撫でしなきゃ気が済まないのか!? 

カナタは鳥の魔物の羽を掴み引きちぎる。くちばしを掴むとそのまま裂いた。民間人を助け出すがまたしても助けれ事はできずカナタは魔物への苛立ちと目の前の人一人すらず救えない自身に不甲斐なさを感じていた  


──────────はぁ

 

先程の鳥の様に負傷した民間人を盾の様に扱う人の魔物達を目にした時カナタは言い表せない感情に包まれる。そんな中カップルや兄弟、親子なのだろう者達に盾にされ泣きながらやめてと叫ぶ人達を見つめる


魔物になってしまったとは言え、大切な人に傷つけられたのか 


カナタは複雑な感情を抱いたまま氷の剣を作り出す 


「カナタ様!やめて…家族なんです!!」 


体を千切られても…家族を思って……


カナタの殺意が鈍った瞬間後ろからクマの魔物が襲いかかりカナタを吹き飛ばす


はぁ………………


抉られた左腕に回復ポーションを掛け怪我を治す。再び剣を握りクマの魔物を切り刻む 


「ごめんなさい」 


再び彼らの前に立つと、どんなにやめて、やめろと言われても剣を振るう事をやめなかった 


「ひっ…人殺し!!」 


「まだ生きていたんだ!話せば…”人なんだから”分かってくれだはずだ!!」 


違う、もう人じゃ無い 


「返して……私のお兄ちゃんを返してッ!」 


ドキンッ!! 


カナタの心臓がバグバグとうるさいと感じるほど鳴る   


いつだ?だれだ?遠い昔に言われた様な…いや言葉じゃない…この既視感は……怒りに満ちた眼だ

 

「私はおま」


ドンッ!!!! 

 

怒りに満ちた眼を持った少女を含め、たった今助けたばかりの人達が目の前で巨岩に潰された。返り血で体がビチャビチャになったが一切目を瞑らず、遠くから巨岩を投げているゴリラの魔物を見つめる 


「今度はお前か…」

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