借魔
「私は走馬灯にはもう一つの役割があると思うんだ…怒りや謎、愛する者を見るため…つまりは生きたいと強く思わせる役割」
「俺にとってそれはあの男…」
「それだけじゃ無いんじゃ無い?」
白髪の少女はニコリと笑う
「それに私もあなたに死なれたら困るんだよ」
「それってどう言う…」
「私ね、あなたに頼みたいことがあるの…でも今はその時じゃ無い。もう少しであなたの意識は戻るでも、今のまま戻ったところで魔力も回復してないあなたはザグラに殺されてしまう。だからあなたに私の持つ魔力の一部を貸してあげる」
白髪の少女はそう言うと光に包まれた右腕を差し出す。カナタは左手でその光を受け取ると身体中に魔力が流れていく
「それじゃあ”カナタ”…頑張ってね」
あれ…俺名前教えたっけ
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「ん……ハッ!!」
カナタはついに目を覚ます
どうやら病院の一室に運ばれていたみたいだな。不思議と体は痛く無い…むしろ魔力が完全回復したおかげで気分はいい
カナタが起き上がり部屋を出ようとした瞬間部屋のドアが開く
「─────え?か…カナタ、起きたの?」
「フミナか…グヘッ!」
カナタの無事を知ったフミナはカナタの腹部目掛けて勢いよく飛び抱きつく。だがあまりの力にカナタが痛みを感じるほどだった
「痛い…痛いんですけど……フミナパイセンマジイタイッス……」
「あっごめん……どこ行こうとしてたの?」
「あ〜…………嘘はバレるよなぁ…ザグラのとこ…」
「はぁ?なんで!まだ夜明け前だよ?」
「夜明け前?」
カナタの問いに新たに部屋に入ってきた兵士が答える
「ザグラはあなたの治療を待つ代わりに夜明けにあなたを連れてこいと言ったのです。申し遅れました私はギルマティ軍、軍隊長火野カスミと申します」
「この人はまだギルマティとマルガが平和な時に行われていた親交会でちっちゃかった私の世話もしていたんだよ。だから信用して大丈夫」
「なぁフミナ…マルガって国?フミナってマルガ出身なの?」
カナタの一言を聞きフミナはあっと言う顔をする
「はぁ…やっぱり何かおかしいと思えば…フミナ様あなた民間人を」
「あぁ〜もうどうして合わせてくれなかったのさ!私カスミに怒られるじゃん!」
「全く…その様子だとフミナ様がマルガの王女という事も知らないのですね」
「えっ……え?」
戸惑うカナタのためにカスミは詳しい説明をするのだった




