後日譚3
考明塾は盛況だった。
そろばんと習字を習う異国の麗人、マルギナータとハンナニーナの二人が評判になったからだ。
たまに神父風の外人が説教混じりに流暢な日本語で世間話を父兄に行うのも好評だった。
たまに弥生が出没しては子供を襲おうとして撃退されるのもご愛嬌なイベントだった。
「人間の子供に負ける吸血鬼って・・・」
と、若生は自分と姉とのギャップにいまだ戸惑いを抱いたままだった。
桐蔭寺早紀は考明塾に蓮夏以上の入りびたり状態だった。
主に七緒との吸血鬼談議に花を咲かせていた。
しかし、その実彼女の本命はエディーのようだったが、本人の前では高一の乙女に戻り、これも甚だしいギャップ萌えを見せ付けていたのだった。
エディーの方も満更ではないようだ。
本庄蓮夏は意外な程に普通の日常生活を送っていた。
これは早紀も同じなのだが、結局、咥内等に異常は出なかった。
つまり通常の出血等が発生しない、かなり自由なスレイブということになる。
早紀とともに普通に学校生活を送っている。
それが実は蓮夏にとっては不満であるのは、やはり若生が通学していないからだ。
蓮夏は今、爛れた女性関係を静かに清算している。
幸いなことに関係維持を執着されるような事態にはまだ発生していない。
エディーになびいている早紀からも静かに身を引くタイミングを考えてもいる。




