03・シオンとの会話
三話目や。此処で書き溜めは終わりなので、また暫く開くと思うので、待ってて下さいなぁ。
「えっと…シオンさんだっけ…? 君って一体…?」
「シオンで良いよ。そうだね、色々と説明しないとね」
シオンはその場に座り込んだ。イリスも先程よりシオンに対して警戒心を無くしており、シオンの前まで来ていた。
ドラゴンという事で怖いイメージがあったが、目の前に居るシオンはとてもその様な感じはせず、寧ろ自分より少し年上の子供といった様な印象をイリスは感じていた(世の中にはドララーという人も居るが、イリスはドララーではない)。
「まず分かると思うけど、僕はこの世界の存在じゃないんだ」
そうイリスに告げるシオン。シオンは先程、『エストラル王国軍』と言っていたが、少なくともイリスはそんな国に聞き覚えが無かった。それ以前に空想の存在であるドラゴンが居るなんて話自体、聞いたことが無かった。
「僕は此処とは別の世界に存在している国の軍人なんだ」
そう言ってからシオンは説明を始めた。
シオンによると、自分はエストラル王国という国の軍に所属している部隊の軍人(軍竜?)らしく、とある任務の為にこの世界へと派遣されたとの事。
「とある任務って?」
「ん~…もう少ししたら話すよ」
「…何それ…」
イリスは少し不満に思うが、シオンは軍人の為に極秘任務なんだろうと思った。
「でもシオンって…軍人っぽくないね」
「ええっ!? 何で~???」
イリスの言葉に、シオンは戸惑いながら尋ねる。
「だって軍人って軍服って制服を着ているイメージがあるけど、シオンって何か帽子とジャケットだけだし…それに何か…お腹も出てるし…喋り方も何か僕と大して変わらない気が…」
「む~…此れでも僕は軍人なんだよ! そもそも僕の所属している軍には、決まった服装は無いんだからね! お腹だって…その…オベルと違って引き締まってないけど、動きに支障は出てないし…」
「さっきも言ってたけど、その『オベル』って?」
「僕の親友だよ。一緒に派遣されたんだけど、此処じゃない別の場所に転移したみたい。多分僕と同様に、パートナーとなる人間の近くに転移したんだと思うよ」
「そういえば…さっき僕の事をパートナーって言ってたけど、何なのそれ?」
何のパートナーなのかが気になり、イリスはシオンに尋ねる。
「それは…」
シオンが説明しようとした時…
グググゥゥ…
…妙な音が鳴り響いた。シオンのお腹から…。
「シオンもしかして…お腹空いてるの?」
「えっと…うん…お昼食べてなかったから…」
シオンの所属している軍がどの様なものか、イリスには分からないが、本来なら昼食が出る筈であったが、何らかの事情でシオンは食い損ねたとイリスは判断した。
「えっと…お菓子ならあっちにあるけど、食べる?」
「お菓子!? 食べる♪」
イリスの提案に、シオンは目を輝かせながら応じる。
「じゃあこっちに来て」
そう言うとイリスは、先程迄居た場所へと案内をし、シオンはイリスに付いてくる。シオンの大きさはかなりあり、イリスが通ったドアからは内部に入れないが、幸いにも大きな鉄の扉があった。イリスはその扉が大きくて固い為、今まで一度も開けた事がなかったが、シオンはその扉を軽々と開けた。
「やっぱりドラゴンだから、力も凄いね」
「そうかな? 僕より力が強いドラゴンは、部隊にも居るよ?」
イリスの言葉に、シオンはそう返した。どうやらシオンが所属している部隊には、シオンより強いドラゴンが居る様だ。
工場内部に戻ったイリスは、カバンから幾つかのお菓子を取り出した。
「小さいね…」
ちょっとガッカリした様子を見せるシオン。
「そりゃ人間サイズのだからね…」
苦笑しつつ、何が良いか選ぶイリス。そして白い紙に包まれた、板の様な物を取り出した。
「イリス。それは何?」
「白い板チョコだよ」
「チョコ? それって美味しいの?」
「シオンの世界には、チョコが無いんだ…美味しいよ」
「頂戴ッッッ♪♪♪」
目を輝かせながら、チョコを求めるシオン。
『ドラゴンってもっと高尚なイメージがあるけど…シオンの世界のドラゴンは違うのかな…』
そう思いつつ、イリスは神を外して銀紙を剥がして、白い中身をシオンに差し出した。シオンは大きく口を開けた。イリスは食いつかれないか不安に思いながらも、シオンの口にチョコを入れた。
「!!! あっま~~い♪♪♪」
チョコの甘さにシオンは、翼を羽ばたかせながら喜んだ。その為か羽根が撒き散らしてしまう。
イリスは喜んでいるシオンを、笑顔で見つめていた。
シオン
「エストラル王国軍・第1部隊所属の兵長。
異世界から派遣されたドラゴン。キャスケットにジャケットといった、人間の様な格好をしている。派遣された理由は現在不明」
シオンがホワイトチョコが好きなのは、美味しそうに食べているイメージに浮かんだからなんですわぁ。
『転生したドララー』も書かんとなぁ…。
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