02・青白の若き兵士と邂逅
二話目ですわぁ。
それから時間が経って、学校が終わったイリスは、自転車を走らせて何処かへと向かっていた。先程迄制服だったイリスは、今は水色のパーカーに半ズボンといった格好をしている。
「到着♪」
イリスが自転車を停めた場所は、自宅から少し離れた東京都内にある廃工場だった。イリスは自転車の籠に入れてある私物カバンと、途中のコンビニで買った物が入った袋を持って、廃工場へと入って行く。
「此処はやっぱり落ち着くな…」
廃工場の内部に入り、嘗ては様々な工業用の機械が置かれていたであろう広い空間で、イリスは踊る様に体を回転させた。
イリスは少し前にこの工場が閉鎖された廃墟である事を知り、中へと入り込んでみた。すると何故か妙に気に入り、ちょくちょく一人でこの場所を訪れていた。
イリスは空間の真ん中に置かれた、ボロボロのソファーに座り、カバンからヘッドフォンと音楽プレーヤー、そしてカバンから漫画本と、コンビニの袋からお菓子を取り出した。
「さてと、今日も此処でゆっくりするかな」
そう言って、頭にヘッドフォンを付け、音楽プレーヤーの再生ボタンを押そうとした時…
ドォンンンンン!!!
「!?!?!?」
突然大きな音と地響きが、工場内に響き渡った。突然の事にイリスは、再生ボタンを押す指を止めてしまい、振動によってプレーヤーはソファーに落ちて、頭に付けていたヘッドフォンは首へとずり落ちた。
「…えっ? 何今の…? 爆弾でも落ちた?」
突然の事に動揺して、そう口走るイリス。そう思う程に今の音と衝撃は凄まじかった。
「工場の外で聞こえたみたいだけど…」
気になったイリスはソファーから立ち上がり、工場の外へと出る扉へと向かった。その扉から出た場所は工場の敷地内であり、辺りには草が生い茂っていた。
イリスは扉を出て左を向いて、次に右を向いた。すると…
「何だろ…」
イリスの視線の先には、何やら土埃が舞い上がっていた。
「!?」
イリスはその砂煙の中に、何か大きな影を確認した。やがて砂煙が止んでその正体が明らかになった。
「ド…ドラゴン…!?」
その正体は、伝説の生物・ドラゴンだった。
見た目は青色に胸部から腹部にかけて白い模様があり、大きな翼には羽毛の様な物があった。更にオシャレなのか、頭にはキャスケットの様な帽子が被られており、体には袖なしのジャケットが着こまれており、両手には茶色の手袋、両足には同じく茶色のブーツが履かれていた。
青白のドラゴンは何をするのかというと、頭を抑えて…
「痛った~~~~~~い!!!!!!」
と、叫んだ。
「思いっ切り頭ぶつけた! あれ程着地の訓練していたのに…やっぱり転移後は不安定だったんだよオベル!…オベル?」
一頻り独り言を叫んだ青白のドラゴンは、誰かを探す様に辺りを見回していた。
「あれオベル…? もしかして、僕とは別の場所に転移したの?…!」
青白のドラゴンは、『オベル』という名前の人物を探して、辺りを見回していた際、ドア越しに見ていたイリスと目が合った。
「!!!!」
イリスは気付かれた事に戸惑った…だが不思議な事に、イリスは青白のドラゴンに対して、何故か恐怖心を抱かなかった。一方青白のドラゴンは、イリスの顔を見ると、
「イリス…?」
「えっ?」
「イリスだよね…?」
青白のドラゴンは何故かイリスの名前を知っていた。イリスは戸惑いながらも頷いた。イリスが頷くと、青白のドラゴンは嬉しそうな表情を見せた。そして…
「やったやった♪ 早速会えた♪ 僕が居る場所に転送されたって事は、オベルも其処に転送されたんだ!」
と、何故かイリスと会えた事が、青白のドラゴンには嬉しい様子であった。青白のドラゴンは、再び独り言を呟いて納得すると、イリスの方を見て穏やかな表情を浮かべた。
「初めましてイリス。僕はシオン。エストラル王国軍・第1部隊に所属する兵長で、君のパートナーだよ♪」
そう青白のドラゴン‐シオン‐はイリスに告げた。
「??????」
イリスは何の事か分からず、ただ困惑するばかりであった。
今作のドラゴン・シオン登場!
シオンのビジュアルは、僕がドララーになったアニメのゲーム版のドラゴンから来てるんですわぁ。
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