episode8
こんちはー
最近口調を統一するのが面倒くさくなってきている。
こんちはーと言っても今この世界では夜なのだがな。
二人の夜について今日はのぞき見してみよう。
さきに八神家へ行こう。
明るい照明、
130㎝あまりの大きなクマのぬいぐるみ、
整頓された机の上。
いかにも勉強ができる女の子の部屋という感じだ。
「付き合ってみる...か。んふふ。」
八神は少しうれしそうに微笑んでいる。
「付き合ってみても、いいのかな、
いやいや、自惚れてはいけないぞ!璃奈!冗談って言ってたし。」
顔を赤らめ、布団にうずくまった八神であった。
古屋家ものぞいてみよう。
八神の部屋とは対照的に服はぬぎっぱなし、
教科書は散乱、、
といかにも中学生男子という感じの部屋だ。
無論お年頃男児のためしっかりえっちな本は
ベットの下に隠しているのである。
ただしこれは、古屋家族全員が知っているのであった。
「付き合ってみる?なんて聞いちゃって、、
どんだけナルシなんだよ、俺...」
「これ、八神が何とも思ってなかったらただの黒歴史だぞ...」
と、顔を真っ赤にさせながら勉強机に突っ伏す古屋。
ナルシとはナルシストの略である。
一人反省会をしている模様。
思い出すだけでも恥ずかしいな。見ているこっちまで恥ずかしい。
二人とも今日の出来事の重大さを静かながら感じているようだ。
ここから物語は急激に動き出す。
それは当の本人たちも薄々気が付いている様子だった。
嵐の中のつかの間の静寂。
これから起こる大波乱に巻き込まれていくことを、
彼らはまだ、知らない。