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第5話 農業助成金

「ほお、、、まあ、現状は理解した。帝国内でも、公社化して大きな農場を経営する形態を推し進めている。そのほうが、若者も働きやすいし、休みも取れるからな。」

「・・・さすがです。ただ、それはおそらく、平坦地の、大きな区画が取れる条件でしょ?この村のように、穀物に特化できない地域は、過疎化が進んでしまいます。」

「そうだな、、、、」


帝弟殿下は、煌めく金髪をかきあげる。

眩しい!!目がつぶれそうなほど、顔も綺麗だ。


「一度荒れてしまうと、再度、耕地に作り替えるのは労力が要ります。ここ2.3年が勝負ですね。」

「・・・なるほど、、、それで?お前はここをどうしたいのだ?」


皇弟殿下は、ハナを覗き込むようにして、美しい顔を全面アピールしている。

・・・・残念!!!彼女は良く見えていません。


ハナは、にっこり笑って続ける。


「今、みんなで考え中です。他の作物に転換する場合は、その作物が軌道に乗るまでは資金が要りますでしょ?その資金の提供と、その期間の免税が必要ですよね?」

「・・・・そうだな、、、どちらにしろ、、、今回、見て回ったが、、、この村から十分な税収は見込めないよな?」

「・・・・・そうですよねえ、、、」


領主も、村長の孫息子も同席しているが、オロオロ見守っているだけだ。後は若者代表で俺とマーサが呼ばれた。


マーサがみんなにお茶を入れなおしてくれた。


しかし、、、俺の上司もいい加減いい男だが、、、、黒髪に緑の瞳。きりっと騎士系。

恐ろしいほどオールマイティ。


ここに座るお方は、物腰はやんわりだが、さすがに油断はない。


金髪碧眼。濃いブルーの瞳、、、見詰められたら、イチコロ。ちょっと垂れ目系なのがずるい。なにかをくすぐられる。俺も、、、目が合うと、ちょっとときめく。

本人もそれをよくわかっているらしく、先ほどから前髪を上げたり、首をかしげてハナを見つめたり、、、、、まあ、見えてないんだけどね?たぶん、、ぼんやりとしか。残念!!


この方は、、、持ち込まれた助成金の案にも興味を持ってくれたようだが、、どうも、持ち込ませたハナにも、興味津々みたいだなあ、、、、できれば、、、ご遠慮願いたい、、、俺、まだ首と体は繋がっていたいから、、、、



「まあ、農業助成金制度自体は面白い。金額は規模によるがな。枠を取って、公募を掛ける方式でも使えそうだ。ただ、、、不正が無いよう、管理は厳しくするぞ?」

「はい。それは当然です。では、計画書が出来上がりましたら、申告して、貴殿の審査を待つ、って感じでしょうかね?」

「ああ、そうだな。国が豊かになるのはいい。ましてや、、廃村になるようなところが減れば、それこそ国益だからな。」

「そうでございますね!ここがモデル事業と呼ばれるよう、完璧な計画を立てますわ!」


ハナはにっこりと笑った。

あれは、次の手を考えている顔だ。


皇弟殿下は、、、はっとしたような顔をして、、少し顔を赤らめた、、、ねえ、、、


「ねえねえ、、、マーサ、、、これ、大丈夫かな?」

小声でマーサに話しかける。みんなは世間話なんかしている。

「・・・・ダメかもね、、、、あの男、自分に興味ない女の子に会ったの初めてかもよ?そんなの新鮮過ぎるでしょ???まずいわね、、、、」

「・・・・・」




*****


農業助成金制度設立に関する陳情書、が上がってきた。


作物が不作だから、減税を、とか、支援金が欲しい、とか、、、そう言うんじゃない陳情書は新鮮だった。


文書は完璧。説得力もあり、、、まあ、僕も、農業政策には力を入れているから、興味がわいた。日程を調整し、陳情を上げてきた地方の過疎化の進む村の村長宅に向かう。道中、現状を見るが、、、年寄りしか働いていない、、、年寄りしかいないんだ。


驚いたことに、、、実際に指揮を執っているのは、老夫婦の農作業を手伝っている小娘らしい。書類の作成も、その娘が行ったらしい。村長も領主もペコペコしているし、、、


夕刻、その娘と、村にいる若者2名を呼んで話を聞く。村長の孫息子も同席した。


こげ茶の短い髪のよく日に焼けた娘、、、どこにでもいそうな庶民、、、


姿勢良く座り、理路整然と、この村の今後を語る。


大概の娘は、僕を見るともじもじして、話しどころではないのに、この娘は、視線も外さず、農業の助成金の枠を要求し、免税を条件とし、審査方法まで提示する。

・・・なんなんだ??


よく見ると、、、可愛い顔をしている、、、

茶髪は庶民、の先入観が、可愛い顔を認識するのを遅らせていた、、、


「この村で何が出来るか、考えると楽しいですよね?」


にっこり笑うこの娘に、、、、、

何かに落ちた音がした。















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