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第4話 過疎の村

まず、朝早く泉まで行って、飲み水を汲んでくる。


バケツを二つぶら下げられる天秤棒は、肩に重いけど、我慢できないほどじゃない。

マキシさんの奥さんと、朝ごはんの準備。

「孫が帰ってきたみたいだよー」

と、何にも知らない私をかわいがってくれています。


料理は、毎年、ジュリと軍の遠征訓練に行ったときにするくらいなので、久しぶりです。メインはじゃがいもと玉ねぎ。パンはライムギの堅いパンです。たまに豚肉が出ます。美味しいです。


今、レーキというТ型の土寄せ道具で、今年二回目だというジャガイモに土を寄せています。こうすると、芋の育ちがいいそうです。

麦も、今年二回目だそうで、すくすく育っています。


一回目のジャガイモと麦で税を払い、二回目の収穫物で冬を越すらしい。合理的です。ただ、、、、雨期を終えると極端に雨が少なく、しかもゆるい傾斜のついているここらの畑は、、、、大雨だと、収穫間近で流されたり、、、、なるほど、、、この傾斜を平らにするのは難しそうです。


「まあ、そうやって何百年も御先祖様がここでやってきたからねえ、、、、ただ、、、」


マキシさんの奥さんが、木陰での休憩の時に、畑を見て呟く。


「若い者は嫌がってねえ、、、食っていくのと、税を納めるので精いっぱいだからね、、みんな町に出て行っちまうんだよ、、、」


そうですねえ、、、街には仕事がいっぱいあります。

特に、ここドエル帝国の王都はとても大きく栄えていますね。



「・・・だからねえ、もうこの村にいる若いもんは、マーサさん位かね、、、あと、村長の孫息子、、、赤ん坊なんて随分見てないね、、、、」

「・・・・・」

「まあ、そういう時代なのかね?この後、、わしらが死んだら、、、この畑は自然に帰るんだ、、、」


そう言って、マキシさんの奥さんはため息をついた。


「あんたみたいな若いもんの手伝いがないと、年寄り二人では大変でねえ、、、水を汲みに行くのも難儀だよ。

お隣さんはまだ少し若いから、やめて行ったご近所の畑まで請け負っているけどね、あと何年もつか、、、、」


お隣には、エールさんというたくましい青年が手伝いに来ている。時々、畑仕事をしている私を励ましてくれる。良い方だ。

お隣さんは農耕用の馬を持っていて、季節ごとに、近所中の畑を耕してくれているらしい。そうでもしないと、年寄りだけでは耕すのも一苦労だからね、、、、


なるほど、、、この村に入ってすぐ、荒れ地かと思っていたところも、かつては農地だったんですね、、、、家が、ざっと20軒ほどありますが、実際に住んでいるのは8軒。年を取って、街にいる子供のもとに行ってしまうのがほとんどみたいです。



「エールさんも、よそからいらしたのでしょう?この村をどう思いますか?」


ある日、マキシさんに草刈鎌の研ぎを頼まれていたエールさんに聞いてみました。


「そうですねえ、、、、年寄りばっか、ですね。」

「うんうん。」

「この集落は、あと、10年もすると消滅しそうですね。」

「若者にとって、魅力はないわよね?」

「まったく、無いですね。」

「・・・・・」


ですわよね、、、、まあ、時間は使いきれないほどあるので、いろいろと考えましょう。

・・・・・そうね、、、ジュリならどうするかしら、、、、




*****


ローラは近所のジジババに可愛がられ、目が悪いことがわかると、毎日のようにブルーベリーが届くようになったそうだ。目にいいらしい。


・・・・・ジジババにならいくら可愛がられてもいい。


おかげで、よっぽど視力が回復している?そんなに効くのか?


まあ、夜中に、俺が取り上げるまで本を読んだり、国王に急ぎの書類を山のように振られたり、、、思えば、目にいいことなんか何にもなかったか?


眼鏡をはずすのは、ダンスを踊るときだけ。落として踏むといけないから。

だから、あいつの瞳を覗き込めるのは、、、、



*****



これから秋の終わりにかけて、ジャガイモとライムギの収穫。

来年の種イモと麦の種まき、、、

忙しいが、楽しそうにやっているらしい。パンも焼けるようになったらしい。

エミル、、、、おまえはそれを食べたんだな??


最近は、村長の孫息子も巻き込んで、今後の村の運営について話している?

村長の孫は、、、15歳か、、、まあ、いい。


村長経由で領主を説得して、帝国に農業助成金を出すように陳情を指示?


おい、、、なにやってるんだ?目立つだろう?


ドエル帝国の皇弟が、現地の視察に来た?


おい、、、、


皇弟は、、、28歳くらいだったか?

あの方は、、、まだ決まった方がいなかったな、、、、28歳か、、、うーーーーーん、、微妙だな、、、髪色が茶色なら、かえって安心か?庶民なんか興味ないだろうからな、、、


まだ、この村の今後の計画は未定だが、農業助成金の枠があれば、新規事業に参入できる計画が立てやすいでしょ?帝国全体としても、モデル地区になる予定だからヨロシク?予算組んでおいてね?だと?


・・・・あいつ、、、、、楽しそうだな、、、、しかも、皇弟相手になにやってるんだ?


「あーーーーー」


「ど、、、、、どうされましたか?宰相殿???」


思わず執務用の机に頭を打ち付ける。

執務室の事務官全員が固まっている、、、、なんでもないよ?

みんな、年末年始くらいは休みたいよね?俺、1か月くらい休むから、、、、



















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