自由を知った日
ある日、1074番に特別な知らせが届いた。
「1074番、外の世界での見学を許可する。」
その言葉に、心が跳ね上がった。生まれてこの方、隔離された施設の中でしか生活したことがない自分にとって、外の世界は未知そのものだ。
「ついに…自由の世界…」1074番は胸の高鳴りを抑えきれなかった。
今回の見学は、キアンの課外授業とは違い、外の世界で届かないシールドを強化する様子を間近で学べる貴重な機会だ。そして、何より守護神最強のソフィア様に付き添うという、滅多にないチャンスでもあった。
校長先生は言う。
「イハの君たちがいるからこそ、この世界は平和を保っている。外の人間は欲にまみれておる。決して関わってはいけない存在だ。」
1074番は、その言葉に疑問を抱いた。果たして、本当にそうなのだろうか?
みんなから、「気を付けていってくるんだよ!」そう言ってくれた。
1073番は「ソフィア様から離れるなよ」なんて釘をさされた。
みんな心配してくれてありがとう。
―ソフィア様と合流―
「はじめまして、1074番です。本日は同行させていただき、ありがとうございます。」
目の前には、偉大なる守護神が立っていた。腰の低い優しい女性。
しかし、その膨大なエネルギー量は一目でわかる。
「1074番さん、あなたのことは聞いていますよ。」
1074番の心臓は早鐘のように打ち、体は自然と後ずさる。
ふと、ソフィア様のエネルギーの色が、わずかに黒く見えた。
世代交代のサインなのか――1074番は思わず息を飲む。
付き人に導かれ、3人はバスに乗り込む。
外の世界へ向けて出発するその瞬間、1074番は何も言わず、ソフィアの一歩後ろに立った。
バスの中では、学校のこと、鍛錬のこと、守護神の役割について話が続く。
「昔から学校は変わらないのですね」
「どうしたら強くなれますか?」
「守護神としてどんなお役目があるんですか?」
外の世界への期待と好奇心で、1074番の心は高鳴る。
やがて、バスは大きな門の前に到着した。管理人が数名立ち、身分証を確認する。
いよいよ門をくぐる。
目の前に広がった世界は、一言で表せば「自由」だった。
街を走るバスや車、人々の自由な服装、様々な店が並び、子どもも大人も自由に買い物を楽しんでいる。花や本を売る小さな店もあれば、見たこともない乗り物が行き交う。
1074番はキョロキョロと目を輝かせながら、ソフィア様の後ろを歩いた。
まるで異世界に迷い込んだようだ。
いや、もしかすると、私たちイハが取り残されていたのかもしれない――。
その後、ソフィア様の仕事はあっという間に終わった。圧倒的な力を持つ守護神の手際は美しく、ため息が漏れるほどだ。しかし、1074番の心は仕事ぶりよりも外の世界の衝撃でいっぱいだった。
帰りのバスの中、放心状態の1074番を見て、ソフィア様は誰にも聞こえない声で呟いた。
「理不尽よね…」
外の世界の自由と不公平。その中で生きる人々。
そして守護神としての使命――
1074番は、イハへの疑問を改めて感じたのだった。
―学校に戻ってから―
教室に戻ると、みんなから質問攻めにあった。
「外の世界はどうだった?」
「ソフィア様はどんな人?」
「外の世界の人々の生活って、どんな感じだったの?」
うん、みんな気になるよね。私も苦笑しながら、一つずつ丁寧に答えていった。
その話の中で、私たちは次第にある考えにたどり着く。
――このまま施設に閉じこもっているだけでいいのだろうか。
――外の世界は、イハが守るべき自由で溢れている。
そして、私たちはある計画を立てることにした。
脱走計画――外の世界へ、自分たちの目で確かめに行く。
胸の奥が高鳴った。緊張と期待が入り混じる中で、私たちは少しずつ、未来への一歩を踏み出し始めたのだった。




